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ハロー効果とは?〜人事考課で間違った判断を下さないためのポイント〜

ハロー効果とは

「この人は高学歴だから仕事ができそう」

「この人は見た目に気を遣っていないから仕事ができなさそう」

ビジネスで誰かと対面した際、みなさんは上記のような考えを他人に対して抱いた経験はないでしょうか?

確かに学歴や見た目などにある程度比例することもあるでしょうし、第一印象で判断するのが良いという意見もあります。

ですが、必ずしも一部の印象でその人の能力や性格全体を正しく評価できるとは限りません。

このような考え方は「ハロー効果」によってもたらされるのですが、人事考課で間違った判断を下す要因となるかもしれないので注意が必要です。

今回の記事では、人事考課の課題と言われている「ハロー効果」や、ハロー効果に対処して正しい評価を下すポイントなどをご紹介します。

  • ハロー効果とは?まずは身近な例で解説
    • ハロー効果の意味
    • ハロー効果の種類
  • 人事考課におけるポジティブ・ハロー効果と具体例
    • 人事考課におけるポジティブ・ハロー効果とは
    • 人事考課におけるポジティブ・ハロー効果の具体例
      • 具体例①:高学歴だから仕事ができると判断する
      • 具体例②:明るくてコミュ力があるから仕事の遂行能力があると判断する
  • 人事考課におけるネガティブ・ハロー効果と具体例
    • 人事考課におけるネガティブ・ハロー効果とは
    • 人事考課におけるネガティブ・ハロー効果の具体例
      • 具体例①:営業が苦手だから仕事の遂行能力が低いと判断する
      • 具体例②:根暗だから仕事ができないと判断する
  • ハロー効果により間違った人事考課を行わないためのポイント
    • 定量的な評価基準を明確に定める
    • 複数の評価項目を設ける
    • 多面評価を取り入れる
  • ハロー効果のまとめ

ハロー効果とは?まずは身近な例で解説

ハロー効果の意味

ハロー効果とは、ある特定の特徴や要素によって、他の要素に対する評価が歪んでしまう心理現象を意味します。

ハロー効果の意味を掴んでもらうために、まずは身近な例で説明します。

たとえば見た目が優れている人に対して「信頼できそう」とか「性格が良さそう」という良い印象を抱く場合や、逆に顔が怖い人に対して「性格が悪そう」とか「裏切ってきそう」という悪い印象を抱く場合、それはハロー効果が大きく影響していると言えます。

見た目が良くても性格が悪かったり裏切ってくる人はいますし、逆に人相が怖くても性格が良かったり信頼できる人はいますよね。

見た目と性格は必ずしも一致すると限らないのに、多くの人は見た目で性格を判断してしまいます。

このように、一部の印象で他の要素についても勝手に決めつけるのをハロー効果と呼ぶわけです。

ハロー効果の種類

後光効果とも言われるハロー効果は、「ポジティブ・ハロー効果」と「ネガティブ・ハロー効果」の二種類に分けられます。

ポジティブ・ハロー効果とは、ある人の良い面を見つけた際に、他の要素について実際よりも高く評価する現象です。

先ほどお伝えした「見た目が良いから性格も良いだろう」と判断する例は、ポジティブ・ハロー効果に該当します。

一方でネガティブ・ハロー効果とは、 ある人の悪い面を見つけた際に、他の要素について実際よりも低く評価する現象です。

「人相が怖いから性格が悪そう」と判断する例は、ネガティブ・ハロー効果に含まれます。

人事考課におけるポジティブ・ハロー効果と具体例

ハロー効果は、人事考課の大きな課題であると言われています。

というのも、ハロー効果が生じてしまうと、社員を正当に評価することができなくなり、優秀な人材を活用しないことで機会損失が生じたり、逆に高く評価しすぎてプロジェクトが失敗するなどの事態が生じるためです。

この項では、人事考課におけるポジティブ・ハロー効果についてお伝えします。

人事考課におけるポジティブ・ハロー効果とは

人事考課の場面におけるポジティブ・ハロー効果とは、ある人材を評価する際に、表面的な良い印象やたった一つの良い側面から、その人自身を過大評価してしまう現象です。

人事考課におけるポジティブ・ハロー効果の具体例

具体例は様々ありますが、今回は代表的なものを2つご紹介します。

具体例①:高学歴だから仕事ができると判断する

ポジティブ・ハロー効果の顕著な例は、学歴の高さを理由に仕事ができると判断するケースです。

確かに高学歴の人ほど、頭の回転や記憶力の面では優れている傾向があるでしょう。

しかし必ずしも「学歴が良い=仕事の能力が高い」とは限らず、学歴が低くても仕事ができる人はいますし、反対に高学歴でも仕事ができない人もいます。

具体例②:明るくてコミュ力があるから仕事の遂行能力があると判断する

こちらも良くあるケースですが、明るくてコミュ力がある人ほど、仕事の遂行能力があると判断されやすいです。

確かに明るくてコミュ力がある方が、社内でのチームワークや営業などでは有利かもしれません。

しかしただ人に好かれやすいだけで、マルチタスクが苦手だったり、論理的思考が苦手な人も少なくありません。

人事考課におけるネガティブ・ハロー効果と具体例

次に、人事考課におけるネガティブ・ハロー効果についてお伝えします。

人事考課におけるネガティブ・ハロー効果とは

人事考課の場面におけるネガティブ・ハロー効果とは、ある人材を評価する際に、表面的な悪い印象やたった一つの悪い側面から、その人自身を過小評価してしまう現象です。

人事考課におけるネガティブ・ハロー効果の具体例

ネガティブ・ハロー効果についても、主な具体例を2つご紹介します。

具体例①:営業が苦手だから仕事の遂行能力が低いと判断する

多くの会社では、新卒採用されたらとりあえず営業の仕事を任されるかと思います。

もちろんコミュ力があって営業が得意な人もいますが、中には営業で思うような成績を残せない人も出てきます。

そのとき営業ができない人に対して、「仕事ができない人」というレッテルを貼るのはネガティブ・ハロー効果の最たる例です。

なぜなら営業が仮に苦手だとしても、マーケティングや経営企画といった発想力や論理的思考力が問われる仕事は得意だったりするためです。

人には得意不得意あるにもかかわらず、一つの仕事ができないからって何もできないと決めつけるのは、その人にとっても会社にとっても勿体無いことです。

具体例②:根暗だから仕事ができないと判断する

根暗な人はどうしても仕事ができないと判断されがちです。

確かに営業などの職種では不利かもしれませんが、発想力や論理的思考力があれば他の職種で結果を残せるかもしれません。

先ほどの例でも言いましたが、一つの側面で何もかも決めつけると評価される社員の可能性を潰してしまいます。

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ハロー効果により間違った人事考課を行わないためのポイント

これまでお伝えした通り、ハロー効果の影響があると相手のことを正当に評価できなくなります。

これは社員にとっても会社にとっても、長期的に見ると大きな機会損失となるかもしれないので対処が必要です。

ハロー効果により間違った人事考課を行わないためには、下記3つのポイントを実践するのが良いでしょう。

定量的な評価基準を明確に定める

主体性ややる気といった曖昧な基準により人事考課を行うと、どうしてもハロー効果が生じて評価者の主観が入った評価となってしまいます。

これでは正しい評価を下すのは困難ですし、不当に低く評価された社員はモチベーションが低下してしまいます。

そのような事態を防ぐには、「新規契約数」などといった定量的な評価基準に基づいて評価するのが良いでしょう。

定量的に測れる基準で評価すれば、公平かつ正しい評価を下しやすくなります。

複数の評価項目を設ける

そもそもハロー効果は、一つの要素や特徴のみで判断するからこそ生じる心理現象です。

つまりハロー効果の影響を小さくしたいのであれば、複数の評価項目を設定すれば良いのです。

複数の評価項目を設定すれば、「その人は何ができて何ができないのか」を明確にでき、正当な評価を下せるようになります。

また複数の項目で評価すれば、その人の強みである能力やスキルに合った仕事を任せることができ、「適材適所の人材配置」が可能になります。

多面評価を取り入れる

ハロー効果の効果を抑える上では、多面評価の導入も一つの手です。

多面評価とは、複数の評価者によって対象者を評価する仕組みです。

一人の評価者により評価すると、どうしてもその人の好き嫌いや重視する価値観などによって評価が左右されてしまいます。

しかし立場の異なる複数の評価者によって評価を下せば、様々な観点からその人を評価できるため、比較的公平な評価を下しやすくなります。

ハロー効果のまとめ

今回の記事では、ハロー効果とは何なのかを、身近な例を交えつつご紹介しました。

社内の人材を評価する際、どうしてもハロー効果により誤った評価を下しやすいのは仕方ありません。

ですがそのままでは会社にとっても社員にとっても不利益となるので、 ハロー効果の影響を小さくする対処を施す必要があります。

何かしらの機会に他人を評価する際、ハロー効果により誤った評価を下さないように意識するだけでも、正当な評価を下しやすくなると思います。

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キャズム理論とは?〜新規事業で直面するキャズムを超える方法〜

キャズム理論

新規事業を新しく始めるに際して、是非とも知ってもらいたい理論の一つに「キャズム理論」があります。

キャズム理論を学ぶと、新規事業を進めるうちに直面する「壁」をどのように乗り越えれば良いのかのヒントを得られます。

今回はキャズム理論の概要やキャズムを超える方法をお伝えするので、是非参考にしてみてください!

  • キャズム理論とは?前提となるイノベーター理論も解説
    • 前提知識となるイノベーター理論を確認しよう
    • キャズム理論の概要
  • キャズム理論と製品ライフサイクルの関連性
  • キャズムを超える戦略
  • キャズム理論を学習できる本
  • キャズム理論のまとめ

キャズム理論とは?前提となるイノベーター理論も解説

まず初めに、キャズム理論とは何なのかをお伝えします。

前提知識となるイノベーター理論を確認しよう

キャズム理論は「イノベーター理論」の知識を基にした理論であるため、まずはイノベーター理論について簡単にご紹介します。

イノベーター理論とは、ある新商品を購入する時期に応じて消費者を5つに分類した理論であり、新商品が市場に現れてから普及するまでの流れを表しています。

イノベーター理論では、商品の購入時期に応じて消費者を次のように分類しつつ、それぞれが全体のうちどのくらいを占めるかを定義しています。

  • イノベーター(新製品を真っ先に購入する消費者)→2.5%
  • アーリーアダプター(新製品を早い段階で購入する消費者)→13.5%
  • アーリーマジョリティ(新製品に若干慎重な消費者)→34%
  • レイトマジョリティ(新製品に懐疑的な消費者)→34%
  • ラガード(新製品にとても保守的な消費者)→16%

ざっくりイノベーター理論を要約すると、新商品の技術的な革新性や目新しさにより積極的に購入する人は全体の15〜16%程度であり、大多数の人は新製品の購入に消極的であると言えます。

キャズム理論の概要

イノベーター理論を見てみると、アーリーアダプターまでの割合とそれ以降(アーリーマジョリティからラガードまで)の割合に大きな差があるのが分かります。

この差を「イノベーション普及の障害」であると考えるのがキャズム理論です。

キャズム理論では、アーリーアダプターとアーリーマジョリティはそれぞれ新商品に求めるニーズが大きく異なると考えます。

アーリーアダプターは商品の革新性を求める一方で、アーリーマジョリティは商品の実用性や安心さを求めます。

アーリーアダプターに受け入れられた商品をそのまま売り出しても、簡単にはアーリーマジョリティに普及しません。

前述した通り、アーリーアダプターまでの顧客は全体の16%しかいない一方で、アーリーマジョリティは34%も存在します。

よって新規事業を軌道に乗せるには、市場のメインストリームであるアーリーマジョリティに商品を普及させるのが必要条件となるのです。

しかし大多数の新規事業は、アーリーマジョリティに商品やサービスが受け入れられずに(キャズムを超えることができずに)市場から姿を消します。

画期的なビジネスモデルを持つ新規事業を成功させるには、キャズムをいかに超えられるかが鍵となります。

キャズムを超える具体的な戦略については、後ほど詳しく解説します。 

キャズム理論と製品ライフサイクルの関連性

キャズム理論は、製品ライフサイクルとの関連性も高いです。

製品ライフサイクルとは、新しい製品が市場に現れてから衰退するまでの流れを意味します。

製品ライフサイクルは具体的に下記4つの期間に分類され、それぞれ対象となる顧客や必要な戦略が異なります。

  • 導入期→市場での認知度を高める。イノベーターが対象
  • 成長前期→競争に対処しつつ市場シェアを最大化。アーリーアダプターが対象
  • 成長後期→市場シェアに加え利益最大化を目指す。アーリーマジョリティが対象
  • 成熟期→競争優位性の確立を目指す。レイトマジョリティやラガードが対象
  • 衰退期 →市場からの衰退や市場の延命を目指す。対象顧客は成熟期と同様

つまりキャズム理論で言う「キャズム」とは、成長前期から成長後期の間にある超えるべき溝を意味します。

アーリーマジョリティに商品が普及すれば、その後の成熟期や衰退期まで事業を続けられる可能性が高まり、事業で安定的に利益を得られるようになります。

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キャズムを超える戦略

最初に結論を言うと、キャズムを超えるには「アーリーマジョリティのニーズに適した商品・サービス作りとマーケティング戦略の実行」が必須となります。

言い方を変えると、市場の大多数を占める顧客層へのアプローチを考えた段階で、マーケティング戦略を抜本的に変える必要があります。

新製品を販売し始める当初は、高度な技術や商品の革新性をアピールしてイノベーターやアーリーアダプターに商品を販売します。

しかし市場の大多数を占める顧客層(アーリーマジョリティ以降の顧客)は、使われている技術や革新性に興味があるのではなく、「商品の実用性」や「安心さ」、「手軽さ」といった面に興味があります。

そのため、より実用性や手軽さの面で優れている商品を販売・アピールしたり、安心して使える旨を訴求するのが重要となります。

たとえば生活でどのように役立つかを広告でアピールしたり、安心して買ってもらえるように購入者数を伝えるといった施策が考えられます。

もしくは、アーリーマジョリティからの支持を得ている有名人(インフルエンサー)を使ったマーケティング戦略も、キャズムを超える上で効果を発揮します。

このようなマーケティングを行う際には、「準拠集団」の考え方を知っておくと便利です。

準拠集団について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!

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キャズム理論を学習できる本

これまでの説明を読んで、「キャズム理論をもっと本格的に学びたい!」と思った方もいると思います。

そんな方におすすめなのが、「キャズム Ver.2」という本です。

こちらの本はキャズム理論の提唱者が実際に執筆した本であるため、キャズム理論の本質を隅から隅まで学習できます。

事例付きでキャズム理論の概要やポイントが説明されているため、実務に役立てる際にもとても役立ちます。

新規事業をこれから始めたい方はもちろん、今現在事業の拡大に苦戦している方にとっても大きなヒントを得られる一冊となっています。

 

キャズム理論のまとめ

今回の記事では、キャズム理論の意味やキャズムを超える方法などについて解説しました。

新規事業を軌道に乗せて安定的な経営を行うには、「キャズム」を超えなくてはいけません。

キャズムを超えるためには、それまで実施していた戦略を抜本的に変える必要も出てきます。

新規事業を新しく始める際には、いずれキャズムに直面し、それを超えなくてはいけない点を頭の片隅においておくのがおすすめです。

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差別化戦略とは?差別化のメリットやポイント、成功事例を解説!

差別化戦略

「ビジネスで成功するには差別化が大事!」こんな感じのフレーズを、経営やマーケティングに携わる方であれば一度は耳にした経験があると思います。

考えてみると差別化は大事だなあ・・・と何となくは思うでしょうが、差別化はなぜ大事なのでしょうか?

そもそも差別化戦略って、具体的にどうやって進めるのでしょうか?

この記事では、ふわっとした感じで認識されがちな「差別化戦略」について、メリットや具体的な方法、差別化のポイントなどをわかりやすくお伝えしようと思います。

差別化戦略や差別化を意識したマーケティングについて知りたい方は必見です! 

  • 差別化戦略の意味とは?
  • 差別化戦略のメリット
    • 競争優位性の確立
    • 価格競争の回避
    • 高価格でも消費者に受け入れられやすい
  • 差別化戦略の具体的な方法
    • 商品そのもので差別化する方法
    • 商品の付加価値で差別化する方法
    • ブランティングにより差別化する方法
  • 差別化戦略のポイント
    • 自社の強みやイメージ、取り扱う商品に適した差別化を行う
    • 「顧客に価値を提供する部分」で差別化を図る
    • 競合他社に真似されにくい差別化戦略がベスト
  • 差別化戦略により成功した企業の事例
    • 成功事例①:スターバックス
    • 成功事例②:アップル
  • 差別化戦略のまとめ

差別化戦略の意味とは?

まず初めに、差別化戦略の意味をご紹介します。

差別化とは、購入する顧客にとって魅力的な独自性を打ち出すことにより、競合他社に対する競争優位性を価格以外の面で築き上げる戦略です。

すごく簡単に言うと、他の会社とは違うやり方でお客さんに価値を届ける戦略を差別化と言います。

差別化戦略は、有名な経営学者であるポーターが提唱した三つの競争戦略の一つです。

ポーターによると、今回ご紹介する差別化戦略か「コストリーダーシップ戦略(低コスト生産)」、そしてニッチ市場に特化してビジネスを行う「集中戦略(ニッチャー戦略)」のいずれかの戦略により、競争優位性を構築できるとされています。

経営資源があまりない中小企業は、ニッチ市場にフォーカスした上で差別化戦略を図るのが個人的にはおすすめです。

中小企業にオススメのニッチャー戦略について知りたい方は、下記の記事をご覧ください!

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差別化戦略のメリット

多くの企業が実践している差別化ですが、果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか?

結論から述べると、差別化戦略のメリットは「競争優位性の確立」と「価格競争の回避」、そして「高価格でも消費者に受け入れられやすい」の3つです。

この章では、差別化戦略の各メリットを詳しくお伝えします。

競争優位性の確立

差別化戦略の最たるメリットは、競争優位性を確立しやすい点です。

他社と異なる価値を提供できれば、顧客にとってはその企業の商品・サービスを利用することでのみ、その価値を得られることを意味します。

自社の商品やサービスを利用したい固定のファンを一定数獲得できるため、他社との競争に勝ちやすくなるわけです。

価格競争の回避

差別化戦略の持つ二つ目のメリットは、他社との価格競争を回避できる点です。

また価格以外の面で差別化できれば、万が一業界内で価格競争が発生しても巻き込まれずに済みます。

価格競争に巻き込まれると十分な利益を得られなくなるため、価格競争を回避できる点は差別化戦略の大きなメリットと言えます。

高価格でも消費者に受け入れられやすい

行動経済学の研究によると、ある商品について人は最初に購入した(目にした)価格により、その後その商品に対する価格の判断を行います。

※詳しくは行動経済学の本「予想どおりに不合理」を読んでみてください!

例えば最初に200円で購入した商品だと、その後は200円を基準に高いかやすいかを決定するわけです。

裏を返すと、すでに世の中で広く知れ渡っている商品やサービスを販売する場合は、相場よりも高い値段で買ってもらうのは困難というわけです。

そこで差別化が有効です。

消費者にとって画期的なサービスや商品を販売すれば、価値判断の基準がないため、比較的高い価格でも買ってもらいやすくなります(ただし継続的に買ってもらうには中身も大事です)。

高い価格で商品やサービスを販売できれば、多くの利益を獲得できます。

差別化は、マーケティングの視点から見てもメリットの大きい経営戦略であるといえます。

差別化戦略の具体的な方法

差別化戦略は、具体的に下記3つの方法により実現することができます。

商品そのもので差別化する方法

最もポピュラーなのは、製品やサービスそのもので差別化を図る方法です。

たとえば他社よりも高品質や多機能の商品を販売するのが、差別化の最たる方法です。

もしくは他社よりもスタイリッシュだったり独創的なデザインや包装で勝負するのもアリでしょう。 

お客さんに差別化された商品の価値が認められれば、圧倒的な競争優位を確立できるでしょう。

商品の付加価値で差別化する方法

製品自体で差別化を図るのではなく、製品の提供過程や提供後の付加価値で差別化する方法もあります。

たとえば使い方が難しい製品であれば、アフターサービスを充実すればそれ自体が顧客にとって価値のある差別化となります。

またはAmazonの事例を参考にして、即日配送といった利便性の面で差別化を図るのも効果的です。

他にも商品やサービスの提供スピード、店舗数、品揃えの豊富さなど、差別化できる付加価値は考えればたくさん出てきます。

業界ごとに差別化できる付加価値の内容は異なるので、「他社がやっていないけど、やった場合には顧客に価値をもたらす」ような付加価値を自分自身で見つけ出すのがポイントです。

ブランティングにより差別化する方法

差別化は必ずしも製品や付加価値的なサービスといった「具体的な要素」でのみ実現される訳ではありません。

シャネルやロレックスといった高級ブランドを見れば分かるように、ブランド力により差別化を図るのも可能です。

ただしブランディングは簡単ではありませんし、十分なブランド力をつけるまでには時間がかかります。

地道な広告宣伝や販促はもちろん、カリスマ経営者の存在や他にはない価値の提供といったプラスの要素も必要です。

極端な話、提供する商品の質が他社よりも劣っていたり、他社と比べて優れた付加価値を提供できていないと、どれだけブランド力を強化しても意味はありません。

つまり、ブランド力の強化のみで差別化を図るのは現実的ではないのです。

基本的には商品やそれに付随するサービスなどの面で差別化を図りつつ、同時にブランディングを行うのがセオリーだと思います。

 

以上3つが差別化戦略の具体的な方法です。

とはいえ、「商品そのものや付随するサービスで差別化といっても、どうやれば良いの?」と思う方もいると思います。

そんな方は、ジョブ理論などのフレームワークを活用するのがオススメです。

ジョブ理論を活用すれば、顧客の抱える真のニーズを洗い出し、それに基づいた新規ビジネスのアイデアのヒントを得られます。

どのように差別化すべきか迷ったら、このようなフレームワークを活用すると思考を整理しやすくなるのでオススメです! 

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差別化戦略のポイント

差別化戦略を実施する上で、ただ単に「他の会社と違う行動をすれば良い」と考えるのは危険だと思います。

差別化戦略をやみくもに実施すると、全く効果が出なかったり、簡単に競合他社に模倣されて優位性を失ってしまう可能性があります。

この項では、そのようなリスクを避けるために(差別化戦略を成功させるために)、意識すべき3つのポイントをご紹介します。

自社の強みやイメージ、取り扱う商品に適した差別化を行う

「他社と違ければ良い」という視点で差別化戦略を実施すると、あまり大きな効果は得られない可能性があります。

たとえば何の変哲も無いティッシュペーパーを、高級ブランドの真似をしてブランディングを行ったらどうなるでしょうか?

確かに他社はしていないので「差別化」にはなっています。ですがティッシュペーパーは使えれば基本何でも良い製品なので、高級ブランドのような宣伝をしたところでコアなファンが増えるとは考えられません。

また、自社の強みや弱みを無視した差別化戦略もあまり良い結果を得られない可能性があります。

たとえば人員不足という弱みを抱えているにもかかわらず、無理してアフターサービスの面で差別化を図ろうとしても難しいのは明らかです。

差別化戦略で成功するには、自社の強みやブランドイメージ、商品の内容などに適したマーケティングを行うのが重要なポイントになります。

「顧客に価値を提供する部分」で差別化を図る

冒頭でもお伝えしましたが、「顧客にとって魅力的な独自性(価値)」を提供して初めて差別化戦略と呼べます。

他の企業と違う施策をしても、それが顧客にとって魅力的でない(価値がない)と収益増加や固定客化といったメリットは得られません。

たとえばラーメン屋を経営しているとして、差別化だからといって市販の家具を販売したらどうなるでしょうか?

ラーメンを食べたいと思って来た人に、全く関係ない上に持ち帰るのに苦労する家具を販売したところで、あまり買ってくれるとは思えませんよね。

ラーメン屋ならば味や見た目、提供スピードなど、顧客に価値をもたらすマーケティング施策で差別化を図る必要があります。

競合他社に真似されにくい差別化戦略がベスト

自社の強みや商品の性質にも適しており、かつ顧客に価値をもたらす差別化戦略であっても、簡単に真似されやすい戦略であると、すぐに競争優位性は失われてしまいます。

長期的に競争優位性を確立する上で、競合他社に模倣されにくい差別化戦略を実施することは重要なポイントです。

極端な話、誰にも真似できない差別化戦略を一度確立してしまえば、長期的に一人勝ちできる可能性もあります。

自社の差別化戦略や経営資源がどの程度の競争優位性を持っているか知りたい場合には、VRIO分析のフレームワークが役立ちます。

詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください!

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差別化戦略により成功した企業の事例

差別化戦略によりビジネスを成功させた企業は数多く存在します。

今回はその中でも、特に参考にすべき成功事例として「スターバックス」と「アップル」の2つをご紹介します。

成功事例①:スターバックス

古くから存在するカフェ事業で後発企業であるスターバックスが成功できたのは、緻密な差別化戦略があったからと言われています。

従来カフェは、休憩時間にコーヒーを飲む単なる場所としての意味合いを持っていました。

ですがスタバは、「居心地の良さ」や「おしゃれさ」を重視した空間作りを徹底しました。

この空間作りを徹底するために、同社では商品の質はもちろん内装や従業員教育を徹底しました。

その結果スターバックスは、既存のコーヒーチェーン店とは全く異なる独自のブランドの創出(差別化)に成功し、今では世界的に人気のカフェとなっています。

他ブランドより高い価格にも関わらず人気なのは、「差別化による独自の価値を顧客に提供しているから」という訳です。

成功事例②:アップル

二つ目の事例としてご紹介するのは、スマホやパソコンなどの販売で大成功を収めているアップル(Apple)です。

スマホやパソコン自体他の大手企業も販売していますが、アップルは他の会社とは徹底的に異なる部分(≒差別化のポイント)があります。

アップルの差別化ポイントとは、ズバリ「デザイン性」や「シンプルな操作性」です。

従来パソコンなどに見られる電子機器の製造・販売では、高度な技術力で優れた機能を実現することが重視されていました。

ですがAppleは、技術力や機能の豊富さよりも、洗練されたデザイン性やユーザーにとっての使いやすさを重視した製品を世に出しました。

その結果iPhoneやMacbookなどのアップル製品は、既存の製品とは異なるものだと消費者に認識され、多くの支持を集めるに至っています。

経営者のカリスマ性はもちろん、徹底したデザイン面での差別化戦略も、アップルの成功に貢献しているのです。

差別化戦略のまとめ

今回の記事では、差別化戦略の意味や方法、差別化戦略を成功させるポイントをご紹介しました。

差別化戦略が成功すれば、価格競争を回避しつつ競争優位性を確立できます。

簡単かつすぐに実現できる戦略ではないものの、差別化を意識して経営・マーケティング戦略を立ててみるだけでも違うと思います。

皆さんも、差別化戦略を意識してビジネスに関わってみてはいかがでしょうか?

差別化戦略を実施する際には、スターバックスやアップルなどのビジネスを事例として参考にするのも良いと思います!

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トリプルメディア戦略〜目的に応じて自社サイトや広告を使い分けよう!〜

トリプルメディア戦略

「トリプルメディア」という概念は、インターネットが普及した昨今、マーケティング戦略においてとても重要となっています。

この記事を読んでトリプルメディアの特徴や効果を知れば、マーケティング戦略の効果を高められるかも知れません!

そこで今回の記事では、まず初めにトリプルメディアの意味をお伝えし、次に各メディアの特徴や期待できる効果をそれぞれご紹介し、最後にマーケティングの効果を最大限発揮する上で、どのようにトリプルメディアを活用すべきかをお伝えします。

  • トリプルメディアとは?トリプルメディアの特徴
  • トリプルメディアその①:ペイドメディア(Paid Media)
    • ペイドメディアの意味と具体例
    • ペイドメディアで期待できる効果
    • ペイドメディアの活用戦略
  • トリプルメディアその②:オウンドメディア(Owned Media)
    • オウンドメディアの意味と具体例
    • オウンドメディアで期待できる効果
    • オウンドメディアの活用戦略
  • トリプルメディアその③:アーンドメディア(Earned Media)
    • アーンドメディアの意味と具体例
    • アーンドメディアで期待できる効果
    • アーンドメディアの活用戦略
  • トリプルメディアを上手く連携させた戦略が大事!
    • ペイドメディアやアーンドメディアに特化するのはオススメできない
    • 最適なトリプルメディア戦略は?
  • トリプルメディア戦略のまとめ

トリプルメディアとは?トリプルメディアの特徴

トリプルメディアとは、メディアを「ペイドメディア」「オウンドメディア」「アーンドメディア」の三つに分類する考え方であり、アメリカの情報サイトCNETで取り上げられた論文「Multimedia2.0」で提唱された概念です。

インターネットが普及した現代においては、三つのメディア(トリプルメディア)を上手く組み合わせて消費者とのコミュニケーションを図るのが、マーケティング目標を達成する上で重要だと考えられています。

三つのメディアを組み合わせたマーケティング戦略は、文字通り「トリプルメディア戦略」とも呼ばれます。

最後の項では、効果的なトリプルメディア戦略について自分なりの考察をお伝えするので、結論だけ知りたい方は最後まで読み飛ばしてください!

トリプルメディアその①:ペイドメディア(Paid Media)

ペイドメディアの意味と具体例

ペイドメディアとは、外部の機関に対価を支払って利用するメディアです。

テレビCMや新聞といった従来のマスメディアは、ペイドメディアに含まれます。

また、リスティング広告やアフィリエイト広告、バナー広告など、インターネットを利用した広告もペイドメディアに該当します。

ペイドメディアで期待できる効果

ペイドメディアを活用すると、商品・サービスや自社に対する認知度向上の効果を期待できます。

新聞やテレビ、有名なアフィリエイトサイトなど、ペイドメディアの多くはたくさんの読者(視聴者)を抱えています。

そのため他のメディアを使用する場合と比べて、商品や自社の知名度をより多くの消費者に素早く伝えることができます。

また商品やサービスを幅広い人にアピールできるため、新規顧客の集客にも向いています。

ペイドメディアの活用戦略

ペイドメディアには素早く幅広い消費者にアピールできる利点がありますが、他のメディアと比べて多くの費用がかかる傾向があります。

そのため、自社や自社商品を利用しそうな見込み客が利用するメディアに絞って、広告を出稿するのが大事となります。

たとえばシステム開発のサービスを宣伝したいのであれば、ITに関心がある人やWeb系の経営者が読みそうなメディアサイトに広告を出す戦略が効果的です。

またペイドメディアを活用する際には、情報の訴求が一方的であり、かつ伝えられる情報に限りがある点にも注意が必要です。

そのため、広告のリンク先である自社サイト(オウンドメディア)のページに商品の詳しい説明を載せるといった戦略が求められます。

また、限りあるスペースで少しでも魅力的かつ重要な情報を伝えられるように、広告を作るのも大切です。

トリプルメディアその②:オウンドメディア(Owned Media)

オウンドメディアの意味と具体例

オウンドメディアとは、自社が所有するメディアを意味します。 

具体的には、自社のホームページやECサイト、メールマガジンなどがオウンドメディアに含まれます。

オウンドメディアで期待できる効果

オウンドメディアには、自社や自社の商品・サービスに関して詳しい情報を消費者に訴求できる効果があります。

ペイドメディア(広告)とは違い、オウンドメディアでは伝えたい内容を無制限かつ自由に伝えられます。

たとえば販売している商品の良さを伝えるのも良いですし、自社商品に関連する検索キーワードで記事を執筆・公開し、その記事を閲覧してきた見込み客に商品の販売を進めるのも可能です。

自社のマーケティング戦略に合わせて自由に活用できるメディアであるため、使い方次第で新規顧客の獲得やブランド力アップなど、様々なメリットを得られます。

オウンドメディアの活用戦略

オウンドメディアの運用では、商品や自社の魅力を最大限詳しくアピールする戦略が求められます。 

たとえばペイドメディアで浅く紹介した内容について、オウンドメディア内で詳しく紹介すれば、売上高の獲得に繋がりやすくなるでしょう。

より多くの新規顧客や売上高を獲得するためには、商品や自社ブランドを魅力的に見せる文章やサイト設計が大事となります。

また、検索エンジン経由でより多くの消費者に自社サイトを見てもらえるように、SEO対策を実施するのも大切です。

ここで注意していただきたいのが、SEO対策の効果はすぐには表れにくい点です。

SEO対策により自社サイトのページが上位表示されるには、約3ヶ月から1年以上かかります。

ただし長期的に運営すれば、低コストで安定的に見込み顧客の流入を期待できます。

つまりオウンドメディアは、長期的な視点で運用すべき手法であると言えます。

トリプルメディアその③:アーンドメディア(Earned Media)

アーンドメディアの意味と具体例

アーンドメディアとは、消費者からの信頼や評判を獲得するためのメディアです。

少々抽象的でわかりにくいですが、要はツイッターなどのSNSやブログ、掲示板などのメディアを意味します。

アーンドメディアで期待できる効果

アーンドメディアでは、「短時間かつ広範囲への情報拡散」と「信頼や評判の獲得」という二つの効果を得られます。

たとえばSNSで自社の新商品を宣伝した場合、その商品がユニークであれば、瞬く合間にリツイートやいいねで拡散されます。

また自社の商品の使い勝手がよければ、SNSで良い口コミが広がっていき、意図せずとも自社の商品に対する信頼や評判が高くなります。

このようにアーンドメディアには魅力的なメリットがある一方で、情報をコントロールできないデメリットもあります。

広告や自社サイトの場合、情報の内容や伝える内容をある程度自由にコントロールできます。

しかしアーンドメディアの場合はあまりコントロールできません。

誰かが何となく言った悪評が瞬く間に広がったり、自社の商品に全く関心を持たない層にまで情報が拡散されます。

アーンドメディアの活用戦略

アーンドメディアを活用する際には、その情報拡散力を最大限に活かす戦略が大事です。

たとえばオウンドメディアのみの運営では、自社サイトで販売する商品が広く認知されるまでに時間がかかります。 

そこでアーンドメディアで自社サイトの内容やリンクを公開すれば、幅広い相手へ素早く情報を拡散できます。

またSNSで見つけた自社に対する評判や要望を、積極的に商品開発や販売に活かす戦略も大切だと思います。

たとえばツイッターで「良い商品だけど◯◯の機能が少し使いにくい」というツイートがあったら、その部分を直すことでより良い商品に改良することができます。

自社にとってマイナスの情報も広まるアーンドメディアですが、裏を返せば消費者の本音を見れるツールでもあるため、積極的に耳を傾けて、より良い評判を得られるようにするのも大事です。

トリプルメディアを上手く連携させた戦略が大事!

メディアの種類ごとに得られる効果や特徴は異なるため、マーケティングの目的に応じてトリプルメディアを上手く連携させる戦略が大事です。

ここでは、トリプルメディアをどのように活用する戦略が効果的なのかを考察します。

ペイドメディアやアーンドメディアに特化するのはオススメできない

結論から言いますと、ペイドメデイアかアーンドメディアに特化する戦略は長期的に見ると逆効果だと思います。

ペイドメディアばかりに傾倒すると、自社商品の良さを詳しく・双方向的に訴求できないために、顧客獲得や固定客化に繋がりにくいでしょう。

またアーンドメディアに傾倒しても、良い商品や魅力的なコンテンツがなければ、情報の拡散には繋がりませんし、逆に評判が悪くなる可能性があります。

一方でアーンドメディアでは、SEO対策により長期的に見込み客を呼び込めますし、メディア内で自社商品の魅力を最大限アピールできるため、顧客獲得や固定客化に繋がりやすいです。

最適なトリプルメディア戦略は?

以上の理由から賛否両論あるかもしれませんが、「オウンドメディア」を主軸で運用しつつ、必要に応じてペイドメディアとアーンドメディアを活用する戦略が良いと個人的に思います。

具体的には、オウンドメディアで「SEO対策による長期的な集客」と「自社商品のアピール」を同時に行いつつ、ペイドメディアで「見込み客に対する認知度向上」と「オウンドメディアへの流入」を図る戦略がおすすめです。

またアーンドメディアを活用し、消費者の生の声を把握したり、積極的に情報発信を行い「オウンドメディアへの流入増加」や「情報拡散による評判の向上」を目指す戦略も同時に実施すると良いかと思います。

トリプルメディア戦略のまとめ

今回は、トリプルメディアを活用した戦略について私見を述べました。

インターネットが普及した昨今、トリプルメディアを駆使した戦略がますます重要となっています。

トリプルメディアを戦略的に利用できれば、売り上げを大幅に増やせたり、新規顧客をこれまで以上に獲得できるようになります。

これまでメディアをあまり活用せずに事業を営んでいた方は、一度トリプルメディアを駆使した戦略を取り入れてみてはいかがでしょうか?

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ダイレクトマーケティングとは?手法や事例をわかりやすく解説!

ダイレクトマーケティングとは
マーケティングの仕事に携わる方はもちろん、マーケティングを勉強している方であれば一度は「ダイレクトマーケティング」という用語を耳にした経験があるかもしれません。

インターネット広告やECサイトの発展に伴い、ダイレクトマーケティングを活用する企業は大きく増加しました。

そんなダイレクトマーケティングとは、一体どのようなものなのでしょうか?

この記事では、ダイレクトマーケティングの意味やメリット・デメリット、手法、そしてダイレクトマーケティングを実践する企業の事例をお伝えします。 

  • ダイレクトマーケティングの意味・特徴とは
  • ダイレクトマーケティングのメリットとは
    • 仮説検証や施策の改善がしやすい
    • 費用対効果が高い
    • 顧客の特徴やニーズを把握できる
  • ダイレクトマーケティングの手法
    • 手法①:ダイレクトメール
    • 手法②:電話(テレマーケティング)
    • 手法③:SNS
  • ダイレクトマーケティングを行う企業の事例
    • 事例1:ソフトバンク
    • 事例2:シャープ
  • ダイレクトマーケティングのまとめ

ダイレクトマーケティングの意味・特徴とは

ダイレクトマーケティングとは、「広告メディアを使って、外部の流通業者を経由せずに、企業が顧客と直接的にコミュニケーションを図る手法全般」を意味します。

製造業者が直接消費者にアプローチを行うケースだけでなく、通信販売やインターネットビジネスで直接顧客とコミュニケーションを行うケースもダイレクトマーケティングに含まれます。

一昔前までは、企業が顧客に商品を宣伝・販売するためには、テレビや新聞を使ったマスマーケティングを実施するのが一般的でした。

しかし近年は情報通信技術の進歩に伴い、企業が顧客一人一人と双方向的にコミュニケーションを取るのが容易となったため、以前と比べてダイレクトマーケティングを実施しやすくなりました。

ダイレクトマーケティングでは、「双方向的なコミュニケーション」が鍵となります。

一方的に売りたいものを売るのではなく、顧客のニーズを洗い出し、そのニーズに基づいた商品を提案するのが大事となります。

双方向的なコミュニケーションを重視する点から、リレーションシップマーケティングと基本的な考え方は同じであると言えます。

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ダイレクトマーケティングのメリットとは

マスマーケティングと比較した場合、ダイレクトマーケティングには次の3つのメリットがあります。

仮説検証や施策の改善がしやすい

ダイレクトマーケティングには、自分たちが行なった施策がどの程度顧客から反応があったのかを数字で把握できる特徴があります。

施策の効果を定量的に把握できるため、仮説検証や施策の改善がしやすくなります。

たとえば新商品のプロモーションとして、顧客にダイレクトメールを送ったとします。

当初立てていた予測以上にお問い合わせや購入が多ければ、施策は成功したといえます。

一方で予測を下回ったのであれば、ダイレクトマーケティングの手法を変えたり、場合によっては商品自体を改良するなど、より良い施策に改善することができます。

このようにPDCAを回してより良い施策を構築できる点は、ダイレクトマーケティングの大きなメリットです。

費用対効果が高い

マスマーケティングでは、自社商品に興味がない人も含めて幅広い人に対して、多額のコストを費やして情報を届けるためかなり非効率な面があります。

一方でダイレクトマーケティングでは、自社の商品に興味がありそうな見込み客や既存顧客にフォーカスした上で施策を打ち出せます。

そのため、比較的少ないコストで「新規顧客の獲得」や「客単価の増加」といったメリットを得られます。 

顧客の特徴やニーズを把握できる

マスマーケティングでは、基本的に顧客のニーズをほとんど分からない状態で施策を打つ必要があります。

一方でダイレクトマーケティングを行う過程では、顧客の特徴や好みなどをデータベースに蓄積することができます。

そのため、顧客のニーズに合う商品を開発・販売したり、顧客の特徴に応じてマーケティングの施策を柔軟に変えることができます。

ダイレクトマーケティングの手法

ダイレクトマーケティングでは、主に下記3つの手法が用いられています。 

手法①:ダイレクトメール

ダイレクトメール(DM)とは、お客さんの住んでいるところに郵便を利用して、直接自社商品の宣伝広告やカタログを送付する手法です。

従来は郵便による送付に限定した概念でしたが、近年は携帯電話のメールなどに直接メールを送る手法もダイレクトメールに含まれるようになりました。

コンテンツのデザインや郵送費など、他の手法と比べるとコストがかかりやすいデメリットがあります。

しかしデザインにより商品や自社ブランドをアピールできたり、試作品などを同封して実際に商品を試し使いしてもらえるメリットもあります。

手法②:電話(テレマーケティング)

テレマーケティングといって、電話によりダイレクトマーケティングを行う手法もあります。

ダイレクトメールと比べると、より顧客との対話により柔軟に商品や自社の良さをアピールすることができます。

また、顧客のニーズや要望を把握する上でもメリットがある手法です。

ただし人件費や通信費といったコストが高くつく点や、電話によるアプローチ自体にあまり良い印象を持たれにくい点など、デメリットも多い手法です。

手法③:SNS

インターネットの発展に伴い、近年流行している手法がSNSによるダイレクトマーケティングです。

ツイッターなどで公式アカウントを開設し、直接見込み客や既存顧客とコミュニケーションを取ることで、顧客の獲得やニーズの把握などを目指します。

他のダイレクトマーケティング手法と比べて、はるかにコストを抑えられる点は大きなメリットです。

また、SNSの利用率が高い若い世代に対しては、とても効果の高い手法でもあります。

ただしSNSでは奇抜さや面白さが求められる傾向があるため、単調な情報発信をしているだけでは支持を集めにくいのは難点だと思います。

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ダイレクトマーケティングを行う企業の事例

最後に、ダイレクトマーケティングを実際に行なっている企業の事例を2つご紹介します。

事例1:ソフトバンク

ソフトバンクでは、「ソフトバンクお知らせメール」を使ったダイレクトマーケティングを実施しています。

ソフトバンクお知らせメールとは、ソフトバンクユーザーに対して、自社が提供しているキャンペーンやサービスなどの情報を不定期に配信するメールです。

すでに自社サービスを使っているユーザーに対して、他のサービスの宣伝をメールで行うことで、客単価の増加などの効果が生じていると考えられます。 

参考:https://www.softbank.jp/mobile/service/oshirasemail/

事例2:シャープ

SNSによるダイレクトマーケティングを最も有効活用しているのが、電子機器メーカーのシャープです。

シャープでは自社の公式アカウントをツイッターで開設しているのですが、そのツイートが自由で秀悦なため、度々若い人たちの間で話題になっています。

ただ単に商品の宣伝を行うに留まらず、流行っている話題を積極的に取り入れてウケを狙ったツイートを発信し、着実にフォロワーを増やし続けています。

特に上手いなと思ったのは、「#自分が怒ったらどうなるか画像で表せ」という当時流行っていたハッシュタグを使って、面白いネタツイをしながらちゃっかり自社製品の宣伝をしていたことです。

詳しく知りたい方は、下記の記事で紹介されているので確認してみてください笑

matome.naver.jp

若者からのウケを狙ったツイートをしながら、嫌味なく自社の製品をアピールできている点はSNSを使ったダイレクトマーケティングのお手本とも言える事例だと思います。

ダイレクトマーケティングのまとめ

今回の記事では、ダイレクトマーケティングの意味や手法、事例などをお伝えしました。

直接顧客のニーズを知れたり、顧客の反応を数字で把握できるなど、ダイレクトマーケティングを実施すると多様なメリットを享受できます。

今後自分でビジネスを行う方は、ダイレクトマーケティングを実践してみてはいかがでしょうか?

実際にダイレクトマーケティングを実施する際には、ソフトバンクやシャープなどの導入事例を参考にするのも良いと思います。

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多角化とは?多角化戦略の意味や事例をご紹介!

多角化

経営戦略の中でも特に有名なものに「多角化」という戦略があります。

大企業のみならず中小企業でも行われている多角化とは、一体どのような戦略なのでしょうか?

この記事では、多角化の意味や種類、多角化を実践している企業の事例などを解説します。

  • 多角化とは?多角化戦略の意味
  • 多角化の種類
    • 種類その1:水平型多角化
    • 種類その2:垂直型多角化
  • 多角化を成功させるには
    • 本業との関連性が高い分野で多角化するのがベスト
    • 主力事業を重視する
    • M&Aの活用も一つの選択肢
  • 多角化経営を行う企業の事例
    • 事例1:ソニーの多角化
    • 事例2:オリックスの多角化
  • 多角化のまとめ

多角化とは?多角化戦略の意味

多角化とは、これまで対象としてこなかった新しい市場で、新しい製品を販売する経営戦略を意味します。

多角化戦略は、有名なフレームワーク「成長マトリクス」に含まれる経営戦略です。

多角化戦略は、主に「主力ビジネスの停滞」や「収益源などのリスクの分散」、「シナジー効果の追求」などを理由に行われます。

多角化にはたくさんの利点があるものの、マトリクスの中の4つの戦略の中で最も難易度が高い戦略だと言われています。

実際これまでとは大きく異なる事業を行うため、不確実性が高い上に多大なコストがかかります。

そのため、経営資源に乏しい中小企業や設立したばかりのベンチャー企業は、多角化よりもまずは単一事業に集中するのが良いという意見もあります。

もちろん中小企業やベンチャー企業であっても、多角化経営が上手くいく可能性はあります。

とはいえリスクもコストも高い点は事実なので、中小・ベンチャーはまずは単一事業をある程度成功させてから、多角化経営に切り替えた方が良いと個人的にも思います。 

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多角化の種類

多角化と一口に言っても、切り口や視点から様々な種類に分けられます。

今回はその中でも、主要な二種類の多角化を説明します。

種類その1:水平型多角化

水平型多角化とは、自社がすでに対象としている市場(商品)と類似する市場や分野に進出する手法です。

たとえばPCを製造している企業であれば、スマートフォンやタブレットの製造事業を始めるケースが水平型多角化となります。

水平型多角化には、すでに行なっているビジネスで培った技術などを活用しやすかったり、既存事業とのシナジー効果を得やすいなどのメリットがあります。

種類その2:垂直型多角化

垂直型多角化とは、製品やサービスを提供するサプライチェーンにおいて、上流や下流で新しいビジネスを始める方法です。

たとえばPCを製造している企業であれば、流通や販売といったサプライチェーンの下流に事業を拡大するケースが垂直型多角化となります。

垂直型多角化により、コストの削減や新規顧客の獲得による収益の増加といったメリットを得られます。

なお下記の記事では、種類に関係なく多角化全体で得られるメリットとデメリットについて解説しています。

多角化のメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!

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多角化を成功させるには

多角化経営は成功すれば大きなメリットを得られるものの、難易度はとても高いです。

この項では、多角化が上手くいく可能性を1%でも上げるために意識すべきポイントや施策をお伝えします。

本業との関連性が高い分野で多角化するのがベスト

既存事業で培った技術やノウハウを活かせるビジネスを行う方が、全くもって新しい分野で多角化するよりも上手くいく可能性は高いと言われています。

たとえばビジネス用ソフトウェアを製造している企業であれば、プログラミングやネットワークに関するスキルが蓄積されています。

そのため、突然ノウハウも技術もない飲食店を始めるよりも、培ってきた技術を活用できるゲームの開発などのビジネスで多角化する方が上手くいく可能性は高いです。

また既存事業で得た経営資源を活用できる方が、コストや時間をかけずに事業を成長させやすいです。

主力事業を重視する

多角化により複数の事業を運営するとなっても、あくまで主力事業を第一に考えた方が良いと思います。

そもそも多角化を成功させるには、事業を軌道に乗せるための資金がたくさん必要となります。

その資金を得るには、融資や出資を受けるのもありですが、何より自己資金が必要です。

現時点で十分な利益を生み出す本業を重点的に行い、そこで得た利益を新規事業に回すのがベストです。

また多角化した事業に集中しすぎるあまり本業がおろそかになると、本業の業績が低下し全社的な経営状態が悪化するリスクが高くなります。

不確実性が高い新規事業よりも、確実性の高い主力事業を最優先にする方が合理的だと言えます。

M&Aの活用も一つの選択肢

自社のみの力で一から多角化を行うとなると、事業を軌道に乗せるまでに多大な費用や時間がかかります。

成功するか分からない事業に費用や時間をかけるのは、それ自体がハイリスクです。

そこでオススメなのが、M&Aにより多角化する方法です。 

多角化したいビジネスですでに上手くいっている企業を買収すれば、設備や販路など必要なものが全て揃った状態で多角化を始められます。

確かに買収には多額の費用を要するものの、どっちみち自社のみで多角化を進める場合にも多額の費用がかかります。

どうせ多額の費用が発生するのであれば、失敗するリスクが小さい方法を選ぶのが合理的という考え方もできます。

またスピーデイーに多角化を実行できる点も利点の一つです。

M&Aには他にも様々な利点があるので、興味がある方は下記の記事を読んでみてください!

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多角化経営を行う企業の事例

大企業の多くは、多角化経営により事業を拡大しています。

今回は数ある多角化経営を行う企業の中でも、特に参考となる事例を2つご紹介します。

事例1:ソニーの多角化

日本を牽引する企業の一つ「ソニー」は、実は多角化経営により大きな成長を遂げてきました。

1946年に設立されて以来、「電気製品の分野にとどまらず、新しい分野に積極的に挑戦し、世界的な企業になっていく」という創業者の意思に基づき、様々な事業分野に進出しています。

ソニーと聞くとテレビやスマートフォンといった電気製品ばかりが注目されますが、実は音楽や金融、映画といった事業も行なっています。

そんなソニーには、外資系企業との合弁により多角化を進めてきたという特徴があります。

1965年の米テクトロニクス社との合弁を皮切りに、アメリカの化学メーカーであるUCC社や生命保険会社プルデンシャル社など、実力のある外資系企業との合弁を実施することで、着実に会社の規模を成長させてきました。

事業間でのシナジー効果もさることながら、海外企業との協調を積極的に行なってきたからこそ、ソニーはグローバル企業としての確固たる地位を築けたと考えられます。

事例2:オリックスの多角化

野球の球団を持っていることで有名なオリックスも、多角化経営により大成功した企業の一つです。

オリックスの多角化の特徴は、本業で培ったノウハウを活かしてきた点です。

今現在では金融分野の事業が主力となっていますが、設立当初は機械設備のリース事業を行なっていました。

設立後しばらくして同社は、機械設備のリース事業のノウハウを転用し、船舶や航空機のリース事業に乗り出しました。

その後リース事業で十分な実績を得た同社は、リースで得た与信審査やファイナンスのノウハウを活かし、法人向け融資や生命保険事業への多角化を果たしています。

本業であるリースで培った強み(与信審査やファイナンスのノウハウ)があったからこそ、オリックスは金融分野への多角化に成功したのだと考えられます。

多角化のまとめ

この記事では、多角化の意味や種類、企業の事例などをお伝えしました。

多角化はハイリスクな経営戦略ではあるものの、成功すれば事業規模の拡大をはじめとして様々なメリットを享受できます。

多角化が成功する可能性を1%でも高めたいのであれば、ソニーのように他社との提携を図ったり、オリックスのように自社の強みを活かした多角化を実践するのが良いでしょう。

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DCF法による企業価値の計算方法をわかりやすく解説!

DCF法と企業価値

M&Aや株式投資などの場面で重要な概念となるのが「企業価値」です。

企業価値を算出すれば、「その会社をいくらで売買すべきか」とか「株価はいくらくらいが妥当なのか」などの判断材料にすることが可能です。

企業価値の計算方法には様々ありますが、今回はその中でも特に信頼性が高いと言われる「DCF法」についてお伝えします。

DCF法は比較的難しい手法であり、調べてみるとある程度会計やファイナンスが得意な方向けの記事が大半です。

そこで今回は、会計やファイナンスの初心者〜中級者向けに、DCF法による企業価値の求め方を極力わかりやすくお伝えしようと思います。

  • DCF法による企業価値計算の簡潔な説明
    • DCF法とは?
    • DCF法ではどうやって企業価値を求めるのか?
  • 手順1:数年分のフリーキャッシュフロー(FCF)の算出
  • 手順2:割引率の決定
    • WACCを割引率とする場合
    • 自分で割引率を決める場合
  • 手順3:継続価値(TV)の算出
  • 手順4:数年分のFCFと継続価値を現在価値に割り引く
  • 手順5:事業価値(FCFの現在価値 + 継続価値の現在価値)を計算する
  • 手順6:非事業資産の時価を算定する
  • 手順7:企業価値(事業価値 + 非事業資産の時価)を計算する
  • DCF法による企業価値の計算方法のまとめ

DCF法による企業価値計算の簡潔な説明

DCF法とは?

まず初めに、ある程度会計やファイナンスの知識がある方に向けて、DCF法による企業価値計算を簡潔に説明します。

DCF法とは、その会社が将来的に生み出す価値の合計金額を現在価値に修正したものを企業価値とする計算方法です。

DCF法には、将来的な収益力や無形資産の価値を考慮した上で企業価値を導出できるメリットがあります。

そのためM&Aや株式投資など、ビジネスの様々な場面で活用されている手法です。

DCF法ではどうやって企業価値を求めるのか?

DCF法では、まず初めに将来数年分(予測期間)のフリーキャッシュフローと割引率を算出します。

そして次に、予測期間よりも後に創出されるFCFから継続価値を算出します。

そして予測期間のFCFと継続価値をそれぞれ現在価値に割り引いて、それらを合計することで「事業価値」を求めます。

最後に、事業価値と非事業資産を足し合わせれば「企業価値」が求められます。

つまりDCF法を用いた場合、企業価値は下記の手順で算出されます。

  1. 将来数年分のFCFを算定
  2. 割引率を決定する(基本的にはWACCを使う)
  3. 継続価値を算出する
  4. FCFと継続価値を現在価値に割り引く
  5. 事業価値を計算する
  6. 非事業資産の時価を算定する
  7. 企業価値を計算する

かなり会計が得意な方であれば、この説明で理解できたかもしれません。

ですが大半の方にとっては、この説明ではさっぱり分からないと思います。

次項からは、7つのステップで企業価値を計算する方法をわかりやすくお伝えします。

手順1:数年分のフリーキャッシュフロー(FCF)の算出

DCF法により企業価値を求めるには、まず初めに今後3〜5年分のフリーキャッシュフロー(FCF)を求める必要があります。

フリーキャッシュフローとは、株主への配当金や債権者への利息支払いに利用できるキャッシュフローを意味します。

難しい説明は抜きにして、とりあえず下記の計算式を覚えてしまうのが良いかなと思います。

  • FCF = 営業利益 × (1 − 税率) + 減価償却費 − 運転資金増加額 − 投資額

ちなみに運転資金とは、売上債権と棚卸資産の合計額から仕入債務を差し引いた金額です。

FCFの計算では、前期から当期に渡って増加した運転資金を差し引きます。

上記の式を用いて、今後3〜5年間でどの程度のキャッシュフローを得られるかを算出していきます。

手順2:割引率の決定

3〜5年分のFCFを算出したら、次に割引率を決定します。

割引率とは、FCFや後述する継続価値を現在価値に割り引くために用いる値を意味します。

WACCを割引率とする場合

一般的にはWACC(加重平均資本コスト)と呼ばれる値を、DCF法の割引率として用います。

WACCを簡単に説明すると、資金調達に必要なコストが資金調達の総額に占める割合を意味します。

WACCは下記の計算式で求められます。

  • WACC = {E×rE+D×rD×(1-t)} ÷ (E+D)

※参考

E:自己資本の価値

D:負債の価値

rE:自己資本のコスト

rD:負債コスト

t:実行税率

自分で割引率を決める場合

上記の通り、WACCの計算はかなり難しいため、会計やファイナンスが得意でない方が使用するのは難しいです。

WACCを算出するのが難しいのであれば、自分で割引率を設定するのも可能です。

では、割引率はどのように決定すれば良いのでしょうか?

結論から言うと、事業計画(FCFの予測)の不確実性が高いほど、割引率は高く設定します。

DCF法では事業計画に基づいて将来得られるであろうFCFを算出しますが、事業内容や計画の質によってその確実さは変わってきます。

たとえば設立間もないベンチャー企業の場合は不確実性が高いですが、ある程度収益を安定的にあげている大手企業の予測は比較的正確さが増します。

自分で割引率を決定する際は、企業価値を算出する会社の状況に応じて、大体の割引率を設定すれば良いのです。

参考までに言うと、設立したばかりのベンチャー企業では50%以上、上場間近のベンチャーでは20〜40%、上場企業の場合は5〜10%程度が良いと言われています。 

手順3:継続価値(TV)の算出

3〜5年分のFCFを予測・算出しましたが、倒産しない限りそれ以降も会社の経営は続きます。

よってDCF法により企業価値を計算する際には、予測期間よりも後に生じるFCFも考慮するのが一般的です。

そのためには、予測期間の最終年度時点における事業の金銭的価値である「継続価値(Terminal Value)」を算出します。 

多少語弊はあるかもしれませんがもっと簡単に言うと、「予測期間以降に発生するFCFを合計し、それを予測期間の最終年度における現在価値に修正した金額」を継続価値と呼びます。

たとえば今後5年間のFCFを予測する場合は、「5年目時点での事業価値」または「6年目以降に発生するFCFを合計した金額を、5年目の現在価値に修正した金額」を継続価値とします。

継続価値(TV)は、下記の計算式で算出するのがセオリーです。

  • 継続価値(TV)={予測期間の最終年度のFCF×(1+永久成長率)}÷(割引率−永久成長率)

継続価値を求める際には、予測期間よりも後は一定の成長率でキャッシュフローが増えていくとします。この一定の成長率を「永久成長率」と呼び、一般的には0%〜1%の間で決定します。

たとえば5年目のFCFが100万円、割引率が10%、永久成長率は0%だとします。

この場合の継続価値は次の通り計算できます。

  • TV={1,000,000×(1+0)}÷(0.1-0)=1,000,000÷0.1=10,000,000円(1,000万円)

つまり5年目時点での事業価値は1,000万円となります。

手順4:数年分のFCFと継続価値を現在価値に割り引く

計画期間内のFCFと継続価値を算出したら、割引率を用いてそれぞれを「現時点での」現在価値に割り引きます。

将来得られるお金は、100%必ずその時に受け取れるとは限りません。

たとえば政治や法律の変化により、思わぬ形で事業が失敗して予測していたFCFを得られなくなるリスクもあります。

DCF法で企業価値を求める際には、このようなリスクを踏まえた上で、「将来得られるお金(将来価値)は現時点でどの程度の価値を持つのか」を表す現在価値を使用します。

現在価値は下記の算式で求めます。

  • 現在価値=将来価値÷(1+割引率)^n

「^n」とは(1+割引率)の累乗であり、nにはFCFが発生する年度が入ります。

たとえば3年後に得られるFCFであれば、(1+割引率)を3乗します。

 

ところで「継続価値は先ほど現在価値に修正したのに、どうしてもう一度修正する必要があるのか?」と疑問に思う方もいると思います。

その理由は単純で、「継続価値は、予測期間よりも後のFCFの合計を予測期間の最終年度時点の現在価値で表したものであり、現時点での現在価値を表すわけではないから」です。

DCF法で求めたいのは「現時点での現在価値」であるため、予測期間の最終年度時点における現在価値を、さらに現時点での現在価値に直す必要があるのです。

たとえば5年目時点での継続価値を現在価値に修正するのであれば、先ほどの式のn部分に5を代入して計算します。

手順5:事業価値(FCFの現在価値 + 継続価値の現在価値)を計算する

FCFと継続価値の現在価値をそれぞれ導き出したら、それらを全て合計します。

なお全て合計したものは、「事業価値」と呼ばれます。 

事業価値の求め方を簡単な例で確認しましょう(FCFと継続価値は共に現在価値)。

  • 1年目FCF:300万円
  • 2年目FCF:500万円
  • 3年目FCF:700万円
  • 4年目FCF:1,000万円
  • 5年目FCF+継続価値:1億1,000万円

事業価値=300万円+500万円+700万円+1,000万円+1億1,000万円=1億3,500万円

手順6:非事業資産の時価を算定する

企業価値を算出するには、事業が今後創出する価値の合計である「事業価値」に、現時点で保有している資産である「非事業資産」の価値を足し合わせる必要があります。

非事業資産には具体的に、現預金や投資有価証券などが該当します。

なお非事業資産を足し合わせる際には、帳簿価格ではなく「時価(現時点で売却して得られる金額)」を用います。

手順7:企業価値(事業価値 + 非事業資産の時価)を計算する

非事業用資産の時価を算定したら、それを事業資産と足し合わせることで企業価値を算出できます。

たとえば非事業用資産の時価総額が5,000万円、事業価値が1億3,500万円の場合の企業価値は、1億8,500万円となります。

DCF法による企業価値の計算は以上となります。

DCF法による企業価値の計算方法のまとめ

今回の記事では、DCF法により企業価値を計算する方法をなるべくわかりやすいように解説してみました。

今回お伝えしたやり方は教科書的なやり方であるため、M&Aなどの実務ではもう少し精密なやり方を用いているかもしれません。

ですが「自分の会社がどの程度の価値を持っているのか知りたい」とか「趣味の範囲でやっている株式投資の参考にしてみたい」など、簡易的な目的で企業価値を計算する目的であれば、今回お伝えしたやり方で十分対応できるかと思います。

企業価値の計算方法を何となく知っているだけでも、いろんな場面で役立つと思うのでぜひ活用してみてください!

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ストックオプションを付与するメリットとデメリットをわかりやすく解説!

ストックオプションのメリットとデメリット

急成長を遂げているベンチャー企業を筆頭に、ストックオプションを取り入れる企業が近年増えています。

そもそもストックオプションとは、前もって決められた値段で株式を購入できる権利を意味します。

ストックオプションを交付された従業員は、株価が上昇したタイミングで権利を行使し、獲得した株式を市場で売却する事で、多くの利益を得られる可能性があります。

以上のように、従業員にとってのメリットが大きいのはご存知の方も多いと思います。

一方でストックオプションを交付する会社側には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

そこで今回の記事では、ストックオプションを交付する会社側が得られるメリットと、それと同時に生じ得るデメリットをお伝えしようと思います。

  • ストックオプションを従業員に与えるメリット
    • メリット①:従業員のやる気がアップする
    • メリット②:資金がなくても優秀な人材を確保できる
    • メリット③:人材流失の防止につながる
  • ストックオプションを従業員に与えるデメリット
    • デメリット①:業績が悪化するとかえって従業員のやる気が低下する
    • デメリット②:成長性が鈍化している企業ではインセンティブの効果が薄い
    • デメリット③:ストックオプションを保有する人とそうでない人の間で軋轢が生じるリスクがある
  • ストックオプションのメリットとデメリットに関するまとめ

ストックオプションを従業員に与えるメリット

ストックオプションを交付する会社は、下記3つのメリットを得られます。 

メリット①:従業員のやる気がアップする

ストックオプションで利益を生み出すには、基本的に付与時点と比べて株価が上昇している必要があります。

株価は業績に応じて上昇する傾向があるため、従業員にとっては自分の頑張りによって株価上昇による利益を得られることになります。

そのためストックオプションを付与された従業員は、業績を上げるため(利益を得るため)に普段よりも頑張って働こうとする可能性が高くなります。

つまりストックオプションを付与すれば、従業員のやる気を向上させられるメリットを得られるのです。 

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メリット②:資金がなくても優秀な人材を確保できる

本来優秀な人材を雇うには多額の人件費を毎月支払う必要があるため、資金力に乏しい会社にとって中々仕事ができる人材を雇うのは難しいのが現実です。

しかしストックオプションがあれば、仕事ができる人材に対して「将来的に大きな利益を渡せる可能性がある」というアピールができます。

仕事ができる優秀な人材からすると、自分の頑張りによって圧倒的な利益を得られる可能性があるので、給料が多少低くてもその会社に入りたいと思う可能性が出てきます。

以上の理由から、ストックオプションを提示すれば、資金力に乏しくても優秀な人材を獲得できるわけです。

メリット③:人材流失の防止につながる

ストックオプションには、「交付されてから◯年後から権利行使できる」といった形で、権利を行使できるタイミングに制限をかけるのが可能です。

この制限をうまく活用すれば、権利行使せずに辞めるのは勿体ないと社員に思わせることができ、人材流失の防止につながります。

ストックオプションを従業員に与えるデメリット

上記のようなメリットがある一方で、ストックオプションを与える際には下記3つのデメリットにも注意を払う必要があります。

デメリット①:業績が悪化するとかえって従業員のやる気が低下する

業績が思うように伸びなかったり悪化すると、基本的には株価も上昇しません。

株価が上昇しないとストックオプションによる利益を享受できないので、従業員のやる気がかえって低下する恐れがあります。

あまり業績が伸びる自信がない場合には、他の形で従業員のやる気を上げる方が良いかもしれません。

デメリット②:成長性が鈍化している企業ではインセンティブの効果が薄い

社員がストックオプションにより利益を得るためには、前提として株価が上昇する(会社が成長する)必要があります。

上場企業ですでに十分株価が上がりきっており、今後二倍三倍と株価が上昇しそうにない会社の場合は、社員に対するインセンティブの効果が薄まってしまいます。

つまり成長性が鈍化した企業では、ストックオプションによる「やる気の向上」や「デキる人材の確保」といったメリットはあまり得にくいのです。

ただし「株式報酬型」のストックオプションを活用すれば、従業員の退職金を確保することは可能です。

株式報酬型ストックオプションとは、権利行使価格が極めて低い価格(1円など)に設定されたものです。このタイプのストックオプションを付与された人は、「権利行使時点の株価×株式数」とほぼ同額の利益を獲得できます。

この仕組みを利用して、従業員の退職金を確保する企業も少なくありません。

デメリット③:ストックオプションを保有する人とそうでない人の間で軋轢が生じるリスクがある

三つめのデメリットは、ストックオプションを与えた人とそうでない人の間で、軋轢が生じる恐れがある点です。

ストックオプションをもらっていない人からすると、同じ量だけ頑張って業績が向上しても、ストックオプションを持っている人と比べて得られる利益は少なくなってしまいます。

そのためストックオプションを与えられていない人の間で不公平感が生じ、結果的に軋轢が生じて生産性やモチベーションが下がってしまう可能性があります。

ストックオプションを付与する相手を決定する際は、各従業員の成績や勤続年数などをベースに公平性の高い基準を設けるのが大事です。

ストックオプションのメリットとデメリットに関するまとめ

ストックオプションの付与は、仕事ができる人材を確保したり従業員のモチベーションを高める上でとてもメリットの大きい施策です。

しかし一方で、業績が上がらなかった際にかえってモチベーションが低下するなどのデメリットもあります。

自社の状況を踏まえて、メリットの方が大きくなる場合にストックオプションを取り入れるのがベストと言えるでしょう。

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認知的不協和を逆手にとったマーケティングを行う方法

認知的不協和とマーケティング

皆さんは商品を購入した後に、「この商品を購入したのは本当に正解だったのか?」と不安に感じた経験はあるでしょうか?

このような不安を一般的に「認知的不協和」といい、この状態に陥った消費者は特定の行動を取ると言われています。

実は、認知的不協和に陥った消費者が取る行動を逆手に取れば、マーケティングの効果を高められるかもしれないのです。

今回の記事では、お客さんの認知的不協和を逆手にとって、より多くの売上高や利益を得る方法をご紹介しようと思います。

  • 認知的不協和とは?
  • 認知的不協和が起きると消費者はどんな行動を起こすのか
    • 購入した商品の欠点を発見したとき
    • 自らの価値観に矛盾を生じさせるような情報を目にしたとき
  • 認知的不協和の理論をマーケティングに応用する方法
    • マーケティング施策①:購入後のアフターフォローを行う
    • マーケティング施策②:相反する二つのフレーズを用いて商品をアピールする
  • 認知的不協和とマーケティングに関するまとめ

認知的不協和とは?

認知的不協和とは、互いに矛盾する二つの認知を同時に抱えることで不安感を持つ状態を意味します。

たとえばある喫煙家がタバコは体に害を及ぼすという事実を知った時、体に悪いものを好んで吸う自分に矛盾を感じます。

この時に感じる矛盾が認知的不協和と呼ぶわけです。

認知的不協和はアメリカの心理学者レオン・フェスティンガー氏によって提唱された理論であり、社会心理学の分野で多用されている理論(用語)です。

近年はマーケティングの分野でも広く知れ渡っており、多くの企業が顧客の抱える認知的不協和を逆手にとった施策を行なっています。

認知的不協和が起きると消費者はどんな行動を起こすのか

フェスティンガー氏によると、人は認知的不協和を感じるとそれを解消するために行動や考え方を変えるとされています。 

マーケティングの分野に限定すると、ある商品を購入する前後に認知的不協和が生じると言われています。

具体的には、「購入した商品の欠点を発見したとき」「自らの価値観に矛盾を生じさせるような情報を目にしたとき」に認知的不協和が発生します。

購入した商品の欠点を発見したとき

たとえば良いと思って購入した商品が大して使い勝手が良くなかった場合、「自分は良いと思って購入した」という認知と、「実際は大して使い勝手が良くない」という相反する二つの認知が発生し、認知的不協和の状態に陥ります。

消費者は認知的不協和を解消するために、ネットの口コミや広告などを見て商品の良さを発見するような行動を取るか、もしくは悩んで選ばなかった方の商品の粗探しを行ないます。

高評価の口コミを発見すれば「実際は使い勝手が良くない」という矛盾を軽減できますし、他の商品の欠点を見つければ「自分が購入した商品の方がよかった」と思い、自分の選択は間違っていなかったと思えます。

ただしいずれの方法でも認知的不協和を解消できない場合には、商品を販売している企業に責任があると考え、ネガティブな口コミを広げることで「自分は良いと思って購入した」という矛盾を解消しようとします。

そうなると会社側に大きな損失が生じる恐れがあるため、事前に対処する必要があります。

自らの価値観に矛盾を生じさせるような情報を目にしたとき

商品の購入前でいうと、自らの価値観に矛盾を生じさせるような広告のキャッチコピーなどを目にすると、認知的不協和に陥ると言われています。

たとえば一時期流行った「一日5分で月収1,000万円」みたいなキャッチコピーは認知的不協和を生じさせる最たる例です。

世の中のほとんどの人は、一日7〜9時間くらい働いて月収で20〜100万円前後稼げるという認識を持つと思います。

そんな認識を持つ人が「一日5分で月収1,000万円」というキャッチコピーを目にすると、自分の持つ認識との矛盾が生じて認知的不協和に陥ります。

人間の心理的には、認知的不協和を感じるとそれを解消しようと行動します。

そのため、嘘だと思っていても気になってついつい広告をクリックして詳しく見る人が一定数出てくるのです。

認知的不協和の理論をマーケティングに応用する方法

大抵の消費者は期待を持って商品を購入するため、割と認知的不協和に陥りやすいと言われています。

一見すると企業にとって厄介な認知的不協和ですが、実は上手く利用すればマーケティングの効果を高める効果が期待できます。

具体的には、下記2つの方法によりマーケティングの効果を高められる可能性があります。

マーケティング施策①:購入後のアフターフォローを行う

先ほどお伝えしたように、「実際には使い勝手が良くなかった」とか「周りから他の商品の方が優れていると言われた」などの理由で、自社商品を買ってくれたお客さんが認知的不協和を抱くケースがあります。

そのまま放置すると自社への批判などに繋がりかねないので、購入後のお客さんに対してアフターフォローを行うのがおすすめです。

商品の使用方法を直接教えるなどのアフターフォローを行えば、「やっぱりこの会社の商品を買って良かった」と思ってもらい、認知的不協和の解消に繋がります。

またお客さんの満足度も向上するため、固定客化や客単価の向上などの効果も期待できます。

マーケティング施策②:相反する二つのフレーズを用いて商品をアピールする

商品の購入率を上げたいのであれば、商品をお客さんにアピールする際に「相反する二つのフレーズを用いる」のがおすすめです。 

たとえばお砂糖控えめのヘルシーなアイスクリームを販売している会社の場合、ただ単に「砂糖控えめでヘルシーなアイスクリーム」と言うよりも、「アイスクリームなのに太りにくい」などと言った方が、商品に対する興味を持ってもらえる可能性が高くなります。

「アイスクリームは太りやすいと言われているのに、どうして太りにくいと言っているのか?」 という認知的不協和を抱かせてから具体的な理由を伝えれば、商品の購入率が高まるのです。

認知的不協和とマーケティングに関するまとめ

消費者の持つ認知的不協和を理解し逆手に取れば、マーケティングの効果を高める効果が期待できます。

この記事を読んでいる方も、お客さんの認知的不協和を利用したマーケティング施策を実施してみてはいかがでしょうか? 

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準拠集団の理論を応用してマーケティングの効果を高めよう!

準拠集団

みなさんは「◯◯さんが使っているから」とか「学校で流行っているから」などの理由で、何かしらの商品を購入した経験はあるでしょうか?

このような理由で購買を決定する場合、あなたは「準拠集団」からの影響を少なからず受けていると考えられます。

準拠集団の理論を上手く応用すれば、効果的なマーケティング施策を打ち出しやすくなります。

そこで今回の記事では、準拠集団の意味やマーケティングへの応用方法などをわかりやすく解説します。

  • 準拠集団とは?
  • 準拠集団の影響を受けやすい商品・サービス
    • 人に見られやすいもの
    • 高級な商品やサービス
    • その人にとってこだわりがない商品やサービス
  • 準拠集団の応用によりマーケティングの効果を高める方法
  • 準拠集団をマーケティングに活用する際の注意点
  • 準拠集団のまとめ

準拠集団とは?

準拠集団とは、人の行動や価値観、態度などに影響を与える集団を意味します。

本来準拠集団は、社会心理学や社会学の分野で使用されていた用語でしたが、近年はマーケティングでも活用されるようになりました。

マーケティングの分野では、「消費者の購買に影響を与える集団」を準拠集団と呼びます。

具体的には、 家族や会社といった自分が所属している(していた)集団や、スポーツ選手や芸能人といった自らが憧れを抱く集団などが準拠集団に該当します。

たとえば、Aさんが毎日板チョコ1枚を食べる習慣を持つ家族で育ったとしましょう。

この場合Aさんの「板チョコを毎日1枚食べる(購入する)」という行動は、「家族という準拠集団」によって影響されていると言えるわけです。

二つ目の例として、とあるプロ野球選手が好きなBさんがいるとしましょう。

そのプロ野球選手が何かしらの商品をSNSで宣伝していた場合、その選手が好きなBさんはその商品を購入する可能性が高くなります。

この場合Bさんから見ると、プロ野球選手自体が準拠集団に該当します。

以上の通り、一人一人によって準拠集団は異なる(=誰からの影響を受けやすいのか)点は、準拠集団をマーケティングに応用する上で大事なポイントなので覚えていてください。

準拠集団の影響を受けやすい商品・サービス

全ての商品やサービスにおいて、準拠集団の影響を受けやすくなるとは限りません。

たとえばパソコンの性能面に強いこだわりを持っている人にとっては、他人の意見がどうであれこだわりがあるため自分の意思で購入するブランドを決定する可能性が高いです。

一方で下記3つの条件に該当する商品やサービスは、準拠集団からの影響を比較的受けやすいと考えられています。

人に見られやすいもの

公共の場で使用するものであり比較的人に見られやすい商品は、準拠集団からの影響を受けやすいと言われています。

この条件に該当する商品の最たる例はズバリ衣服でしょう。衣服は常に公共の場で着用するものであり、他人の目にさらされています。

ギャル系の芸能人や先輩に憧れる人であれば、その人に近づくために自分もギャルっぽい服を着るでしょう。

またサラリーマンの方であれば、職場での服装がたとえ自由であっても、他の同僚や上司がスーツを着ていれば自身もスーツを着る可能性が高いと考えられます。

高級な商品やサービス

準拠集団からの影響を受けやすいものとしては、高級な商品やサービスも該当します。

例えばお金持ちの人は、なぜか知らないけど身につけている服や腕時計のブランドが同じだったりしますよね。

これは「お金持ちはロレックスの腕時計をつけている」と、知らず知らずに準拠集団からの影響を受けているために生じる現象だと考えられます。

その人にとってこだわりがない商品やサービス

先ほど少し触れましたが、その人にとってこだわりがない商品やサービスほど、準拠集団からの影響を受けやすいです。

たとえば化粧品に物凄いこだわりを持つCさんと、使えれば何でも良いと考えるDさんがいるとして、どちらも憧れのモデルがいるとしましょう。

化粧品にこだわりを持つCさんの場合、たとえ憧れのモデルがある化粧品を紹介したとしても、自分の好きなものを買いたいと思うでしょう。

一方で特にこだわりがないDさんの場合、「憧れの人が使っているものだから良さそうだな」と思って購買に至る可能性が高いです。

準拠集団の応用によりマーケティングの効果を高める方法

前項では、準拠集団からの影響を受けやすい商品やサービスの特徴をお伝えしました。

その特徴を把握し応用すれば、マーケティングの効果を高めることが可能です。

 

具体的には「人に見られやすい商品・サービス」や「高額な商品・サービス」、「その人にとってこだわりのない商品・サービス」を、準拠集団の口コミや宣伝を活用して売り込めば良いわけです。

たとえば20代前半の流行に敏感な女性をターゲットとする場合、ターゲット層から人気が高いモデルや女優(準拠集団)を起用し、SNSやCMで洋服などの商品を宣伝する施策が効果的だと考えられます。

ターゲットとする顧客層が普段どのような準拠集団から影響を受けやすいのかを正確に把握し、その準拠集団を上手く活用する施策を行えれば、売上高や利益を多く得られると思います。 

準拠集団をマーケティングに活用する際の注意点

前項の最後でお伝えした内容と重複しますが、準拠集団を応用してマーケティングの効果を高めるには、ターゲット顧客の準拠集団を見極めなくてはいけません。

先ほどの例でいうと、20代前半の流行に敏感な女性をターゲットとしているにもかかわらず、小学生に人気のユーチューバーとかを起用してもあまり大きな効果を期待できないです。

ターゲット顧客の準拠集団を見極めた上で、的確なアプローチを施して初めて、顧客の購買意欲を高める効果が期待できるのです。

準拠集団のまとめ

今回の記事では、準拠集団について解説しました。

準拠集団の理論は、上手く活用できれば効果的なマーケティング施策を打ち出すのに役立ちます。

自分で何か商品を販売する際には、準拠集団の考え方を応用するのをオススメします!

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