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AISASモデルとは?AISASの理論をマーケティングに応用しよう!

AISASモデル

マーケティングの仕事をしていたりマーケティングを勉強していると、「AISAS」とか「AISASモデル」という用語を見聞きすることがあります。

この記事を読んでくださっている方の大半は、もしかしたら「AISASモデル」の意味を知る目的でこの記事を開いたのかもしれません。

そこで今回の記事では、AISASモデルの意味や具体例についてわかりやすく説明しようと思います。

ですがAISASモデルは、意味をただ理解するだけでなく、マーケティングに活用して初めて意味があると思っています。

なのでAISASモデルをマーケティングで応用する方法も併せてご紹介します。

インターネットやSNSを使ったビジネスを行いたい方は必見です!

  • AISASとは?AISASモデルの意味
  • AISASモデルとAIDMAモデルの違い
  • 企業のプロモーション事例を使ってAISASのプロセスをくわしく解説してみる
    • Attention(注目)
    • Interest(興味)
    • Search(探索)
    • Action(行為)
    • Share(共有)
  • AISASをマーケティングに応用しよう!
    • Attention〜自社の商品・サービスを適切な相手に知ってもらう〜
    • Interest〜顧客に商品・サービスの良さを魅力的かつ的確に伝える〜
    • Search〜商品・サービスの特徴や良さを徹底的に伝えよう!〜
    • Action〜お客さんが快適に購入できるようにする〜
    • Share〜良い情報をよりたくさんの人に広める〜
  • AISASモデルのまとめ

AISASとは?AISASモデルの意味

AISASモデルとは、消費者がある商品を購入するまでにたどる心理プロセスをモデル化したものです。

AISASモデルでは、「Attention(注目)」⇨「Interest(興味)」⇨「Search(探索)」⇨「Action(行為)」⇨「Share(共有)」というプロセスで消費者の購買プロセスが進むと定義しています。

インターネット上で商品を「search(探索)」する事と、実際に使ってみて良かった商品を他人と「Share(共有)」する行為がプロセスに含まれる点が AISASの特徴です。

AISASモデルは株式会社電通が提唱・商標登録した理論であり、インターネットが普及した時代に適した購買行動プロセスとして、マーケティングの場面で広く活用されています。

AISASモデルとAIDMAモデルの違い

消費者の購買行動プロセスを表すモデルには、AIDMAモデルというものもあります。

AIDMAモデルでは、「Attention(注目)」⇨「Interest(興味)」⇨「Desire(欲求)」⇨「Memory(記憶)」⇨「Action(行為)」というプロセスで消費者の購買プロセスが進むと定義されています。

インターネットが普及している現代のマーケティングを踏まえたAISASモデルとは違い、AIDMAモデルは汎用的(一般的)な顧客の購買行動プロセスを説明した理論です。

AIDMAモデルは、主に新聞やテレビなどのマスマーケティングに触れてから、実際に商品を購入するまでに至る心理プロセスを説明しています。

一方でAISASモデルでは、AIDMAで説明している一般的な心理プロセスに、インターネットを使った顧客の行動を加味しています。

AIDMAモデルも優れた理論であるのは確かですが、インターネットを活用するビジネスであれば、AISASモデルを使ってマーケティング施策を考えた方が良いでしょう。

※インターネットを用いたマーケティングについては、こちらの記事も参考になると思います!

www.bizkurage.com

企業のプロモーション事例を使ってAISASのプロセスをくわしく解説してみる

AISASモデルの理解を深めるために、旅行会社のプロモーション事例使って、AISASの各要素がどのようなプロセスなのかを具体的に説明します。

Attention(注目)

Attention(注目)とは、CMやネット広告などで商品やサービスの存在を知るプロセスです。

旅行会社を例にとると、「ハワイがなんと7万円で行ける!」と宣伝するCMや広告を発信し、お客さんに自社サービスの存在を知ってもらう段階です。

Interest(興味)

Interest(興味)とは、お客さんが商品やサービスに興味を持つプロセスです。

CMや広告の内容がお客さんのニーズと合致すれば、興味を持ってもらえます。

先ほどの例で言うと、ハワイ(海外)旅行に興味がある人であればこのステップはクリアとなる一方で、全く旅行に興味がない人に対しては全くCMや広告が刺さらないので、このステップで終了(探索してもらえない)となります。

Search(探索)

Search(探索)とは、商品やサービスに興味を持った消費者が、インターネットを駆使して情報を集めるプロセスです。

そのサービスや商品を提供する会社HPや口コミサイト、SNSなど、探索する幅は多岐に渡ります。

旅行会社を例にすると、消費者はCMや広告で宣伝した旅行プランの口コミを調べたり、料金比較サイトを使って値段の妥当性を調べたりするでしょう。

Action(行為)

Action(行為)とは、商品やサービスを実際に利用する(お金を払う)プロセスです。

探索の結果商品やサービスに価値があると顧客が判断すれば、Actionが実行されます。

旅行会社の例でいうと、実際に旅行プランに申し込む段階です。 

Share(共有)

Share(共有)とは、実際に商品やサービスを使用して感じたことを、友人や知人といった第三者に伝えるプロセスです。

インターネット(SNS)が普及した昨今、インターネット上で幅広い人に情報をShareしやすくなりました。

旅行会社の例でいうと、旅行の満足度を口コミサイトに書いたり、SNSで自慢するといった行為がこのプロセスに該当します。

AISASをマーケティングに応用しよう!

AISASモデルに関する基本的な説明は終わりましたが、ただ概要を知っているだけでは何の役にもたちませんよね。

AISASモデルをどの様にマーケティングに活かすかを知って、はじめて意味があります。

この項では、AISASをマーケティングに応用する方法として、各プロセスで企業が取るべき施策や戦略をご紹介します。

Attention〜自社の商品・サービスを適切な相手に知ってもらう〜

この段階で重要なのは、商品やサービスの認知度を高めることです。

ただし、単純により多くの人に知ってもらえば良いというわけではありません。

自社の商品やサービスに全く興味がない消費者に宣伝しても、興味を持ってもらえずに費やしたコストが無駄になってしまいます。

よってまずはターゲットマーケティングを実施し、自社の商品・サービスに強いニーズを持つ顧客層を限定する必要があります。

そして自社商品・サービスに対するニーズを持つ顧客を特定したら、その顧客に対して効率よく商品やサービスを認知してもう施策を実行します。

たとえばリスティング広告を使って手早く認知度を高めたり、SEO対策を施して商品・サービスを販売するサイトの流入数を増やすといった施策が有効です。

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Interest〜顧客に商品・サービスの良さを魅力的かつ的確に伝える〜

この段階で重要なのは、商品やサービスに興味を持ってもらうことです。

ただし難しいのが、商品・サービスがどれほど良いものでも、消費者の心を動かさなければ興味を持ってもらえない点です。

私たち消費者は感情ファーストで生きているので、商品のメリットを小難しく辞書みたいに説明する広告よりも、 惹きつけられる様な魅力的な広告によって心を動かされます。

そのため、「どうやったらお客さんに興味を持ってもらえるか?」という視点で魅力的な広告やサイト作りに努める必要があります(自分はこれがとっても苦手です・・笑)。

具体的には、実際に商品を使っているイメージを喚起させる様な文章を加えたり、一目見て興味を持つような画像を使ったり、ストーリーを駆使して商品の良さを伝えるといった施策が効果的でしょう。

Search〜商品・サービスの特徴や良さを徹底的に伝えよう!〜

この段階で重要なのは、顧客が知りたがっている情報を徹底的に伝えることです。

商品やサービスに興味を持った消費者は、さらに詳しい情報を調べるためにSNSや検索エンジンを使って、使用者の口コミや詳細な情報を知ろうとします。

そこで企業が取るべき戦略は、消費者が知りたいであろう情報を洗い出した上で、その答えをSNSや自社サイトで積極的に発信することです。

たとえばツイッターのアカウントを作って、使用者の口コミをリツイートしたり、定期的に商品の良さをツイートすれば、お客さんの抱える疑問を解消できるでしょう。

もしくは検索エンジン経由で商品の販売サイトに訪れた人に対しては、サイト内で詳しい商品の良さや口コミを載せておくのが効果的です。

お客さんがSearch(探索)で使用する媒体(SNSや検索エンジン)を調査した上で、一番使われている媒体を使って、消費者が知りたいであろう情報を発信するとなお良いでしょう。

Action〜お客さんが快適に購入できるようにする〜

この段階で重要なのは、ターゲット顧客に購入してもらいやすい形で商品を販売することです。

商品・サービスの種類によって、それを利用するお客さんの年代や職種といった特徴は異なります。お客さんの特徴が異なれば、当然ながら好まれる価格帯や購入手段は異なります。

たとえば20代の人向けであればネット通販やクレカ決済でも問題ないですが、高齢者向けの商品やサービスであれば対面での販売が好まれるでしょう。

購入するタイミングで購入意欲を減退させないためにも、お客さんが心地よく購入できる価格や方法、場所などを考えた上で商品を販売しましょう。

Share〜良い情報をよりたくさんの人に広める〜

この段階で重要なのは、良い情報が多くの人に共有される状況を作ることです。 

インターネットが発展し気軽に情報を共有できるようになった昨今、企業は商品を販売してから以降のことも考えなくてはいけません。

たくさんの商品やサービスを販売したとしても、インターネット上でネガティブな情報が拡散されてしまうと、だんだんと売上高が減少してしまいます。

良い情報を共有してもらうために、最低限良い商品やサービス作りに励んだり、顧客との良好な関係性を維持するのは不可欠です。

また、情報を共有したくなるような仕組みを作るのも大切です。

たとえば、情報共有してくれた人にプレゼントを送るキャンペーンを行えば、情報を共有してもらいやすくなるでしょう。

もしくは親しみやすさや独特なキャラをアピールすれば、情報を共有してもらいやすくなったり、固定のファンを獲得できる可能性があります。

より多くの人に共有してもらう方法に正解はないので難しいですが、チャレンジする価値は十分あるでしょう。

SNSを駆使したマーケティングについては、下記記事で紹介している「シャープ」さんの話が参考になると思います!

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AISASモデルのまとめ

AISASモデルを活用すれば、どのタイミングでどのような施策を行うべきかが明確になります。

単純に商品やサービスを売り出すのではなく、顧客の購買プロセスごとに適切な施策を考えて実施すれば、よりマーケティングの効果を高められるでしょう。

インターネットを活用したビジネスを行う方は、AISASモデルを一度活用してみてはいかがでしょうか?

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ジョブローテーションのメリットとデメリットをわかりやすく解説!

ジョブローテーションのメリットとデメリット

企業の業績を長期的に維持・向上し続けるには、人材の育成や適材適所の人材配置が不可欠です。

そんな人材配置・育成に役立つ制度の一つが「ジョブローテーション」です。

日本でも多くの企業が取り入れているジョブローテーション制度ですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

そこで今回は、ジョブローテーション制度のメリットとデメリットをそれぞれお伝えしようと思います。

従業員の教育に悩んでいる方や今後人を雇ってビジネスを行いたい方は必見です!

  • ジョブローテーションのメリット
    • 従業員の得意不得意を発見できる
    • 部門・部署間での連携が取りやすくなる
    • 経営的な考えを持つ人材を育てられる
    • 急な人員不足や欠員に対応しやすくなる
  • ジョブローテーションのデメリット
    • 業務のスペシャリストを育成しにくい
    • 社員のモチベーション低下や離職につながる恐れがある
    • 一時的に生産性が低下する場合がある
  • メリットとデメリットを知った上でジョブローテーションを活用しましょう!

ジョブローテーションのメリット

ジョブローテーションの制度には、主に下記5つのメリットがあります。

従業員の得意不得意を発見できる

一つ目のメリットは、従業員の得意不得意を発見できる点です。

まだ仕事の経験がない新入社員って、どの業務が得意なのか?逆に不得意なのか分かりませんよね。

ジョブローテーション制度で何個もの仕事を新入社員に経験させることで、仕事の得意不得意を発見できるのです。

従業員の得意不得意を発見し、それぞれの長所を活かした人員配置を実現できる点はジョブローテーションのもっとも大きなメリットでしょう。

また従業員の側から見ると、何個もの仕事を経験することで、自身のキャリアパスを考えやすくなるメリットもあります。

部門・部署間での連携が取りやすくなる

二つ目にご紹介するメリットは、部門や部署間で連携を取りやすくなる点です。

新規事業立ち上げなどのプロジェクトでは、製造や営業、マーケティングなど複数の部門が連携してプロジェクトに取り組む必要があります。

入社当初から一つの部署でしか仕事をしない会社の場合、普段関わった経験がない人たちと突然プロジェクトを行うことになるので、いきなりスムーズに連携を図るのは難しいです。

一方でジョブローテーション制度を取り入れていると、部門間で人材が活発に異動するので、「どの部署や部門にも1人は知り合いがいる」という状況になります。

つまり最初から関係構築が済んでいる状態でプロジェクトに取り組めるので、部門間での連携が取りやすくなるのです。

新規事業を活発に取り組む企業にとっても、ジョブローテションはメリットの大きい制度であると言えます。 

経営的な考えを持つ人材を育てられる

ジョブローテーションには、経営的な考えを持った人材を育てられるメリットもあります。

事業部長や経営陣・役員クラスの人材には、一つの仕事に特化した能力よりも、全体を見渡して最適な戦略や施策を考えられる能力が求められます。

ジョブローテーション制度で何個もの仕事を経験させれば、この全体的な視点を自然に養わせることができるのです。

ジョブローテーションの制度は、経営企画といった会社全体にとって重要な人材を育てたい企業にとっても大きなメリットをもたらすのです。

急な人員不足や欠員に対応しやすくなる

急な人員不足や欠員に対応しやすくなる点も、ジョブローテーションの大きなメリットです。

ジョブローテーション制度を取り入れている企業の従業員は、社内のあらゆる仕事を最低限それなりにはできるようになります。

そのためある部署で急に人員不足や欠員が生じた際に、臨時的に他の部署から人員を助っ人として移動できます。

人員不足に柔軟に対応できるので、介護休暇や育児休暇といった制度を導入しやすくなるメリットも得られます。

ジョブローテーションのデメリット

メリットの多いジョブローテーションですが、下記3つのようなデメリットもあります。

業務のスペシャリストを育成しにくい

一つ目に紹介するデメリットは、業務のスペシャリストを育てにくい点です。

たとえばエンジニアのようなある業務のスペシャリストを育てるには、当たり前ですがその仕事をよりたくさん経験させる必要があります。

しかしジョブローテション制度では、何個もの仕事を経験させるので、その分専門性の高いスペシャリストは育ちにくくなります。

高い技術力を持つ人材が不可欠な会社にとっては、このデメリットはとても痛手となります。

社員のモチベーション低下や離職につながる恐れがある

ジョブローテーションを実施すると、社員のモチベーション低下や離職といったデメリットが生じるおそれもあります。

ある仕事に関する専門性を高めたいと考えている従業員や、ある仕事に対して苦手意識を感じる従業員も存在します。

そのような従業員に対して無理やりいくつもの仕事をさせると、モチベーションの低下や離職につながるおそれがあります。

 

自分の体験談ですが、数年前にとある企業でジョブローテション的にいろいろな仕事を経験させてもらいました。

当時の自分は、経営学やマーケティング、財務会計の知識を活かせる(関連性が高い)仕事をして、自分の専門性を高めたいと思っていました。

また人と話すのがあまり得意ではないため、営業はしたくないというのが本音でした・・・笑

なので営業を任せられた時は本当にストレスが溜まり、あらゆることに対するモチベーションが下がって、精神的にもかなり病みました苦笑

結果的に色んな業務を経験して得手不得手や好き嫌いを知れたのは良かったですし、嫌な仕事をやる事で忍耐力をつけられた点では、収穫はあったと言えます(嫌な仕事を経験したおかげで、けっこう忍耐力はつきました笑)。

しかし長期的に苦手な仕事を任せられて、一時的にモチベーションが低下して精神的に病んだのも事実です(^_^;)

 

「ろくに経験もない若者が偉そうに仕事を選ぶな!苦労も大事なんだよ怒」と思う方も世の中にはいるでしょうし、その考えを否定はしません。しかし人材不足の昨今、無理に苦手な仕事をやらせて生産性(モチベーション)が下がったり、離職されては元も子もないですよね。

少しだけ経験させて無理そうであれば、比較的本人が好きな仕事や得意な仕事をやらせる方が、かえって会社にとってメリットが大きいと思います。

「中小企業は選択と集中により得意な業務に特化した方が良い」と経営学の理論が示しているのと同様に、個々の労働者も得意な分野に集中した方が良いと自分的には思っています。

一時的に生産性が低下する場合がある

一時的に生産性が低下する可能性がある点も、ジョブローテーションで無視できないデメリットです。

ジョブローテーションは、これまで経験がない仕事にチャレンジする制度です。

全く未経験の状態から仕事に取り組むため、最初はその仕事に熟練した人と比べて生産性は低くなる可能性が高いです。

長期的に見ると人事配置の柔軟性が高まるなどのメリットもありますが、短期的に見るとこのようなデメリットがある点には留意しておく必要があります。

メリットとデメリットを知った上でジョブローテーションを活用しましょう!

今回の記事では、ジョブローテーションのメリットとデメリットをご紹介しました。

ジェネラリストを育成できたり、柔軟な人員配置が可能となる点など、ジョブローテーションには企業にとって大きなメリットをもたらします。

しかし一方で、スペシャリストを育てにくい点をはじめとしたデメリットも存在します。

ジョブローテーションを実施する際には、メリットばかりでなくデメリットもしっかり理解した上で実施するのが好ましいでしょう。

「とにかくスペシャリストを育てたい!」といった場合には、ジョブローテーション制度を導入しないのも一つの手です。

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イノベーションとは?意味や種類、事例などについて解説!

イノベーションとは

ビジネスシーンに限らず普段の生活でも、「イノベーション」という用語は頻繁に耳にするかと思います。

イノベーションの意味を「技術革新」と理解している方は多いですが、実は技術革新はイノベーションの一部でしかありません。

今回の記事では、イノベーションの正確な意味や種類、具体的な事例などをお伝えしようと思います。 

  • イノベーションの意味とは?
  • イノベーションの種類
    • プロダクトイノベーション
    • プロセスイノベーション
    • インクリメンタルイノベーション(持続的イノベーション)
    • ラディカルイノベーション(破壊的イノベーション)
  • イノベーションの事例
    • 事例①:Amazon
    • 事例②:AirbnB
  • なぜリーダー企業は衰退してしまうのか?〜イノベーションのジレンマ〜
  • イノベーションのまとめ

イノベーションの意味とは?

イノベーションの意味を「技術革新」 と捉えている人が多いですが、実は技術革新に限った概念ではありません。

イノベーションとは、「創造的なアイデアを実行に移すことで、その企業自身や世の中に新しい価値や利益をもたらす変革」を意味します。

「イノベーション」という用語は、20世紀の初めに著名な経済学者「シュンペーター」が自身の著書で発表したのが起源となっています。

シュンペーターは自身の主張にて、イノベーションは経済発展を促す「新結合の遂行」であると定義し、具体的に下記の5つをイノベーションとして挙げました。

  • 新しい生産物または生産物の新しい品質の創出と実現
  • 新しい生産方法の導入
  • 産業の新しい組織の創出
  • 新しい販売市場の開拓
  • 新しい買い付け先の開拓

見てもらえるとわかるように、単に新しい製品を作るだけでなく、市場の開拓や組織の創出といったこともイノベーションに含まれます。 

シュンペーターが提唱したイノベーション理論は、その後の経済・経営学の理論にも大きな影響を与えています。

シュンペーターのイノベーション論に影響を受けた一人に、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるクリステンセン氏がいます。

クリステンセン教授のジョブ理論では、顧客の購買行動に着目し、新しい商品やサービスのアイデアを見出す重要性や具体的な方法が述べられています。

新規事業の立ち上げにも役立つ考え方なので、下記の記事を詳しくご参照ください。

www.bizkurage.com

イノベーションの種類

イノベーションと一口に言っても、イノベーションにはさまざまな種類があります。

今回は色々とあるイノベーションの中から、主要な4種類をご紹介します。 

プロダクトイノベーション

プロダクトイノベーションとは、従来存在しなかった新製品や新サービスを作り出す種類のイノベーションです。

革新的な技術を用いて、これまで存在しなかった新しいモノを創造する行為です。

近年の例で挙げるとすれば、AI技術が搭載された製品がプロダクトイノベーションであると言えます。

一般的にイノベーションと聞くと、プロダクトイノベーションを思い浮かべる方が大半でしょう。

プロセスイノベーション

プロセスイノベーションとは、既存製品の生産方法や商品の提供方法を変える種類のイノベーションです。

商品やサービス自体が変わらなくても、従来と比較して圧倒的低コストで生産できるようになったり、全く異なる方法でお客さんが商品を購入できるようになれば、それはイノベーションと呼べるのです。

たとえば日本を代表する自動車メーカーのトヨタは、JIT生産方式と呼ばれる独自の生産プロセスを開発しました。

このプロセスイノベーションによりトヨタは、在庫管理費の削減や問題の見える化を実現しました。

インクリメンタルイノベーション(持続的イノベーション)

インクリメンタルイノベーションとは、既存製品の細かな部分改良や性能向上を目指すイノベーションです。

生産技術の向上に伴い、より顧客に求められる商品を生産・販売するのが持続的イノベションの目的です。

たとえば同じ機種のスマホであっても、年々バージョンアップした商品が発売されますが、あれこそが持続的イノベーションの典型例です。

イノベーションと聞くと画期的な商品を作り出すことと誤解されがちですが、実は既存商品のバージョンアップ的なものを作るケースもイノベーションと呼べるのです。

ラディカルイノベーション(破壊的イノベーション)

ラディカルイノベーションとは、従来とは全く異なる商品やサービスにより、市場に対して新しい価値基準をもたらす種類のイノベーションです。

たとえばガラケー全盛期だった時代に、突然スマートフォンが現れた時は多くの人が衝撃を受けました。

「携帯=単なる連絡手段」という価値観だった消費者に対して、これからは「ゲームやインターネットなどの機能を使うのが主流」という価値観をもたらしたのは、まさにラディカルイノベーションと呼べるでしょう。

イノベーションの事例

今回は世界的にインパクトを与えたイノベーションの事例として、AmazonとAirbnBをご紹介します。

事例①:Amazon

世界最大のECサイトを運営するAmazonが成功した理由の一つには、製品知識を重視していた従来のECサイトとは違い、顧客のデータを重視した画期的なECサイトを立ち上げたことがあると言われています。

顧客の購買履歴をはじめとしたデータを収集し、顧客の好きな商品を好きなタイミングで提案することで、Amazonは着実に顧客数や売上高を増やしていきました。

今ではアメリカの主要IT企業「GAFA」の一角にも数えられるほどの成長を遂げました。

「製品重視のECサイト」から「顧客重視のECサイト」へのイノベーションを起こしたことが、Amazonが成功した要因の一つであるのは確かでしょう。

※こちらの記事を参考にしました!

netshop.impress.co.jp

事例②:AirbnB

近年の宿泊業に大きなイノベーションを巻き起こしたのが、AirbnBというサービスです。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、AirbnBとは「空き部屋を持っている個人と安く宿泊したい旅行客」をつなげるプラットフォームビジネスです。

 

旅行客にとってホテルや旅館よりもより安価な値段で宿泊できる点や、一般人でも簡単に宿泊業に参入できるようになった点は、まさに画期的なイノベーションです。

またAirbnBは、宿泊業に「人とのふれあいを体験できる」という全く新しい価値をもたらしました。

AirbnBで部屋を借りる際には、基本的にホストと実際に対面して部屋の使い方などを教わります。

その際にたわいもない会話をしたり、場合によっては一緒に食事を楽しむこともあります。

現地の人との交流を楽しめる点は、AirbnBだからこそ体験できる価値です。

「宿泊させる・宿泊する」という単純な宿泊業のビジネスに、「人との交流」という新しい価値をもたらした点こそが、AirbnBが巻き起こしたもっとも大きなイノベーションだと個人的に思います。

ちなみに自分も海外旅行の際にAirbnBを活用していますが、ホテルよりも安い上に現地の人とも交流できるのでとてもオススメです!!

※こちらの記事を参考にしました!

medium.com

なぜリーダー企業は衰退してしまうのか?〜イノベーションのジレンマ〜

革新的な生産工程や新製品により一度は市場を席巻した企業が、数十年後には大幅に衰退してしまう現象は多々見受けられます。

一時は市場のリーダーとなるほどの実力があるにもかかわらず、どうして突然衰退してしまうのでしょうか?

結論を言うと、リーダー企業は既存の顧客からの要望に応えることで精一杯で、革新的な商品・サービスの開発などに着手しない(できない)からです。

ある商品やサービスを使用しているお客さんは、基本的に「製品の使い勝手をよくしてほしい」とか「デザインをもう少しスタイリッシュにしてほしい」という感じで、既存製品の延長線上の要求しかしません。

一方でリーダー企業からすると、既存顧客からの要求に応えるのが一番低リスクで確実に利益を得られる手段です。

そのためリーダー企業は、既存顧客からの要求に応えて、既存製品の改良をはじめとした持続的イノベーションに取り組み続けます。

持続的イノベーションを続けた結果、ある日突然破壊的イノベーションを巻き起こした企業に市場シェアを大きく奪われてしまうのです。

このような既存のリーダー企業が破壊的イノベーションに対応できなくなる現象は、「イノベーションのジレンマ」と呼ばれます。

イノベーションのジレンマの対策をしなければ、次世代のイノベーション競争に乗れずに市場から姿を消してしまいます。

イノベーションのジレンマの解決策について下記の記事で解説しているので、もしよければご覧ください。

www.bizkurage.com

イノベーションのまとめ

イノベーションは私たちの生活だけでなく、経済発展を促す要因としても非常に重要です。

イノベーションと聞くと高度な技術革新などが必要だと誤解されがちですが、今回ご紹介したように新しい生産方式や販売方法の開発もイノベーションに含まれます。

新規事業を始める際には顧客のニーズや市場のトレンドを踏まえ、小さくても良いのでイノベーションを起こせるようなビジネスプランを考えると、大きな収益を得られる可能性があると思います。

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リーダーシップの理論〜結果をもたらすリーダーシップのヒントを得よう〜

リーダーシップの理論と種類

「リーダーシップのある人材を求めています」とか「経営者や管理職にはリーダーシップが欠かせない」といったフレーズは、ビジネスに携わる方であれば一度は耳にした経験があるでしょう。

リーダーシップが組織にとって重要なのはもちろんですが、一体どのようなリーダーシップが企業にとって必要なのでしょうか?

組織にとって好ましいリーダーシップについては、これまで様々な理論が提唱されてきました。

今回の記事では、リーダーシップの主要な理論について、これまでの変遷を辿りながらご紹介します。

リーダーシップを使って事業運営の効果を最大限高めたい方には、何かしらのヒントを与えられると思います。

  • 資質特性論
  • 行動類型論
    • レビンのリーダーシップ類型論
    • PM理論
  • 状況適合論
    • フィードラー理論
    • パス・ゴール理論
  • コンセプト理論
    • カリスマ的リーダーシップ論
    • 変革型リーダーシップ論
  • 自社に合ったリーダーシップの理論を見つけるのがポイント
  • リーダーシップの理論まとめ

資質特性論

もっとも古い研究アプローチであり、リーダーシップを最初から備わっている特性であるとする理論です。

資質特性論の研究では、実際にすぐれた功績を残したリーダーの人間性とリーダーシップの相関関係を明らかにする試みが行われました。

その結果、優秀なリーダーは主に下記の特性を持つという結論に至りました。

  • 学力や想像力が高い
  • 協調性や忍耐力がある
  • 責任感にあふれている

とはいえ、優秀なリーダー全員が上記の特性を持っているわけではありません。

科学的な根拠に乏しく、昨今はリーダーシップは生まれ持った特性のみでは説明できないと考えられています。

行動類型論

行動様式からリーダーシップに欠かせない要素を特定しようとする理論です。

要するに、リーダーシップを持って生まれたものと捉える資質特性論とは異なり、行動類型論ではリーダーシップを行動次第で出せるものと捉えているのです。

様々な理論がありますが、ここでは主要な3つのリーダーシップ理論をご紹介します。

レビンのリーダーシップ類型論

レビンのリーダーシップ類型論では、アイオワ大学での研究結果を基に、リーダーシップを下記の3種類に分けました。

そしてその中で、どのリーダーシップがもっとも組織に対して良い効果をもたらすかを結論づけました。

  • 民主型:リーダーはあくまでサポート役に徹し、意思決定は関与する人全員で行う
  • 独裁型:リーダーが全ての意思決定を行い、全ての行動に対して細かく指示を出す
  • 放任型:リーダーは組織運営に関与せず、現場に全てを任せる

結論としては、民主型のリーダーシップが「集団の団結力」や「メンバーの積極性」、「メンバーの満足度」、「組織の作業成果」のいずれの面でも優れているとなりました。

要するに、サポート役に徹して個々人を尊重するリーダーが、モチベーションアップや生産性向上の面でもっとも優れているという結論に至ったのです。

PM理論

リーダーシップを「Performance(目標達成機能)」と「Maintenance(集団維持機能)」の有無から、リーダーシップを4種類に分ける理論です。

前者は組織の目標を達成させる機能、後者は人間関係を良好にマネジメントする機能をそれぞれ意味します。

言うまでもなく、PM型(どちらの機能も持ち合わせている)のリーダーが生産性や組織の一体感といった面でもっとも優れているという結論に至りました。

とはいえ、どちらかの能力が不足している人材は少なくありませんよね。

そこで不足する能力を教育で補ったり、複数の人材を登用することでリーダーシップのバランスをとる動きが見られるようになりました。

状況適合論

先ほどご紹介した行動類型論は、すぐれたリーダーシップを紐解く上ではとても有用な理論であり、現代でも活用されています。

しかし行動類型論で良いとされる行動を真似しても、すぐれたリーダーシップは身につかないという課題が見つかりました。

そんな行動類型論の課題を解決するために生まれたのが状況適合論です。

状況適合論とは、組織が置かれている状況によって、効果的なリーダーシップは変わるとする理論です。

要するに、場面によって適切なリーダーシップは決まるという訳です。

代表的な理論には、「フィードラー理論」と「パスゴール理論」の2種類があります。

フィードラー理論

「部下と接する際のスタイル」と「リーダーが置かれている状況」が適合するのが重要だとするリーダーシップ理論です。

フィードラー理論では、「仕事内容のクリアさ」や「リーダーの権限の強さ」、「リーダーと従業員の人間関係の良好さの程度」によって、「仕事を重視するリーダーシップ」と「従業員との関係を重視するリーダーシップ」のどちらが優れているかは異なるとしています。

それぞれのリーダーシップは、下記のケースに適しているという結論に至りました。

  • 仕事を重視するリーダーシップ

→3つの要素が極端に良いor悪い場合

例1)人間関係がよく、仕事内容も明確、リーダーの権限が強いケース

例2)人間関係が悪く仕事内容も不明瞭、リーダーの権限が弱いケース

  • 従業員との関係を重視するリーダーシップ 

→3つの要素が中程度の場合

例)人間関係は普通、仕事内容は適度に明確、リーダーの権限もそれなりにあるケース

パス・ゴール理論

従業員に必要な道筋(パス)を示して、業務目標(ゴール)の達成を助けることが、有能なリーダーシップであるとする理論です。

具体的には、「部下の特徴」と「仕事環境の特徴」という2つの要因の組み合わせによって、取るべきリーダーシップは変わるとしています。

パス・ゴール理論の結論は、「リーダーはあくまでチームを補完するスタイルを取るべき」というものです。

従業員の能力が高かったりタスクが明白である場合には、過度なフォローはむしろ好ましくないとしているのが特徴的です。

コンセプト理論

過去の研究を踏まえ、近年もっとも主流となっているリーダーシップ論が「コンセプト理論」です。

コンセプト理論とは、ビジネスシーンで起こり得る状況などを考慮した上で、各場面に応じたリーダーシップを考える理論です。

今回は、その中でも代表的なリーダーシップ論を2つお伝えします。

カリスマ的リーダーシップ論

「通常では取らない行動」 や「リスクを取ること」など、周囲に対して圧倒的な影響を及ぼすリーダーの個人的な資質をリーダーシップとする理論です。

たとえば画期的な商品を世の中に輩出し続け、Appleを世界的な大企業に押し上げたスティーブ・ジョブズ氏などのリーダーシップはこの理論で説明できます。

カリスマ的リーダーシップは、従業員のモチベーションや満足度を高めたい場合や、事業を大きく発展させる場合に効果を発揮するとされています。

変革型リーダーシップ論

組織に変革をもたらすリーダーシップに着目した理論です。 

具体的には、従業員全体に危機感を持たせるように働きかけたり、大きなビジョンを掲げてそこに向けて小さい成功を短時間で積み重ねるといった行動が、変革型リーダーシップの特徴です。

経営危機に陥っている企業が回復を果たす上では、変革型リーダーシップを取り入れるのが有用だと推察されます。

自社に合ったリーダーシップの理論を見つけるのがポイント

これまでご紹介してきたように、リーダーシップの理論は時代によって移り変わっており、100%正しいと言えるリーダーシップは見つかっていません。

確固たる正解がない以上、様々な理論を知った上で、状況に応じて適したリーダーシップを選択するのが大切だと思います。

たとえば一般的な中小企業であれば、行動類型論に基づいて従業員との関係や従業員の意思や能力を重視しつつ、自身はサポートや調整役に徹するリーダーシップが良いでしょう。

一方で事業の大きな成長を目指すスタートアップであれば、カリスマ的なリーダーシップも必要となってくるでしょう。

リーダーシップの理論をただ勉強するだけでなく、自社の状況に落とし込めて有効活用するのが大事です。

リーダーシップの理論まとめ

一口にリーダーシップといっても、理論によって「どの様なリーダーシップが良いのか」は変わってきます。

一概に100%正しいリーダーシップはないため、自社の状況や達成したい目標などに応じてリーダーシップの理論を適切に使い分けるのが大事です。

今回ご紹介した内容を踏まえて、一度リーダーシップのあり方について考えてみても良いのかなと思います。

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参入障壁とは?参入障壁の具体例や作り方を解説!

参入障壁

経営学の中でも有名な用語の一つに「参入障壁」というものがあります。

聞いたことはあっても、参入障壁がどんな意味なのか、それを知って何に役に立つのかまでは意外と知られていないと思います。

そこで今回の記事では、参入障壁の具体例や作り方などについて自分なりにお伝えしようと思います。 

  • 参入障壁とは
  • 参入障壁が生じる要因の具体例
    • 規模の経済性が働きやすい
    • 差別化が進んでいる
    • 巨額の投資が必要
    • 流通チャネルの確保が困難
    • 技術力が特許などにより守られている
    • 経験曲線効果が働きやすい
    • 政府の政策により参入が制限されている
  • 参入障壁が高い業界・低い業界
    • 参入障壁が高い業界
    • 参入障壁が低い業界
  • スモールビジネスにおける参入障壁の作り方
  • 参入障壁のまとめ

参入障壁とは

参入障壁とは、ある業界で新しくビジネスを始める際に妨げとなる要因です。

参入障壁が高いほど新規参入がしにくい業界であるため、新しくビジネスを始める上では不利となります。

逆に既存業者の側から見ると、参入障壁が高いほど新規参入による脅威が小さいため、より安定的に事業を行いやすいといえます。

参入障壁の考え方は、アメリカのかの有名な経営学者マイケル・ポーター教授が提唱した「ファイブフォース」の一つ「新規参入の脅威」を考える上で有用です。

ファイブフォース分析について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参考にしてください!

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参入障壁が生じる要因の具体例

参入障壁は、以下7つの要因で生じると言われています。

規模の経済性が働きやすい

規模の経済性とは、事業規模や生産量の増大に伴い、製品1つあたりの生産コストが逓減していく現象です。

たとえば大量に製品を製造する際には、原材料の大量仕入れにより生産コストを減らすことができます。

規模の経済性が働きやすい業界ほど、参入障壁は高くなります。

なぜなら、規模の経済性により低コストで生産できる既存業者と比べて、新規参入企業は高いコストで生産する必要があるからです。 

差別化が進んでいる

品質やデザイン、ブランドなどの面で製品の差別化が進んでいる業界ほど、参入障壁は高くなります。

製品の差別化が進んでいる業界では、既存企業のPR活動や製品戦略により、顧客の間で確固たるブランドロイヤリティが形成されています。

つまり顧客の間で好きなブランドが確立しているので、新規参入企業が勝つには既存企業を上回る差別化が必要となります。

広告宣伝費やブランディング、製品開発などに多額の費用がかかり、これが新規参入企業にとっては大きな参入障壁となります。

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巨額の投資が必要

研究開発や設備投資に多額の費用がかかる業界ほど、参入障壁は高いです。

費用をかけずに始められるビジネスは比較的誰でも参入できますが、最初に数千万円とか数億円かかるビジネスには参入しにくいですよね。

流通チャネルの確保が困難

既存企業が優れた取引先や流通網を確保している場合、新規参入の企業が新しく同等レベルの質の取引先や流通網を確保するのは難しいです。

流通チャネルを確保できないと商売できないので、コストや労力を割いて流通チャネルを確保する必要が出てきます。

流通チャネルの確保に多大なコストや労力がかかる点は、大きな参入障壁になります。

技術力が特許などにより守られている

ある製品を製造する上で欠かせない技術が特許により守られている場合、参入障壁はとても高くなります。

特許が設定されている技術を使うには、使用料を既存企業に支払う必要が出てくるからです。

経験曲線効果が働きやすい

経験曲線効果とは、累積生産量が増加するに伴い、製品1単位あたりの生産コストが一定割合で減少する効果を意味します。

経験曲線効果が働きやすい業界では、累積生産量が多い既存業者ほど低コストで生産できます。

新規参入企業はコスト面で不利な状況で事業を行う必要があるため、とても参入障壁が高くなるのです。

政府の政策により参入が制限されている

政府の政策によりその業界への参入が制限されると、コストや差別化面とは無関係に参入障壁ができます。

たとえばある業界で事業を始める際に許認可や資格が必要な場合、条件を満たさない限り気軽には参入できませんよね。

参入障壁が高い業界・低い業界

世の中には様々な業界がありますが、業界によって参入障壁の高さは異なります。

参入障壁が高い業界と低い業界をご紹介するので、新しくビジネスを始めたり転職する際の参考としてみてください。

参入障壁が高い業界

参入障壁が圧倒的に高い業界といえば、何と言っても携帯通信事業です。

携帯通信事業を始めるには、北海道から沖縄まで全国各地に通信に必要な設備を作り必要があります。

時間がかかるのはもちろん、数兆円以上もの莫大な費用がかかります。

それに加えてソフトバンクやKDDIなど、圧倒的な知名度やブランド力を持った企業がすでに存在するため、資金力が仮にあったとしても後発企業が勝つのは難しいです。

費用も時間もかかる上に既存企業との差別化も難しいため、参入障壁は極めて高いと言えるでしょう。

参入障壁が低い業界

参入障壁が低い業界として考えられるのが、ネットビジネス全般です。

インターネットを使うビジネスは、多額の資金や資格がなくても始められるので参入障壁はかなり低いです。

例えばブログを開設して広告やアフィリエイトで稼いだり、youtubeやSNSで情報発信して稼ぐのは、今すぐ始めようと思えば誰でもできます。

確かに有名なインフルエンサーやブロガーの方は、稼いでるだけあって独自の強みを持っているのは事実です。

しかし厳しい条件を満たしたり圧倒的な資金力が必要な業界と比べると、圧倒的に参入しやすいです。 

スモールビジネスにおける参入障壁の作り方

結論から言うと、「大手企業に真似されにくい強みを作る」ことがスモールビジネスにおける参入障壁の最も効果的な作り方です。

確かに巨額の投資や生産量の増大、規模の経済性によって参入障壁を築くのは可能です。

しかし自身よりもはるかに資金面や労働量の面で優れいている大手企業が参入した場合、簡単に参入障壁を崩されてしまいます。

スモールビジネスを新しく始める際、資金面や労働量の多さといった面で参入障壁を築こうとしても、大手企業に対しては効果がないのです。

スモールビジネスにおいては、大手企業に真似されにくい強みを作ることが、もっとも効果の大きい参入障壁となります。

たとえば独自の技術力をいち早く確立し、それを特許により自社だけのものにする戦略が最たる例です。

もしくは大手企業がアプローチしにくい取引先を確保したり、大手企業が参入してくる前に確固たるブランドを確立する戦略も考えられるでしょう。

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参入障壁のまとめ

今回の記事では、参入障壁の具体例や作り方について解説しました。

新規事業立ち上げの実行可否を判断する際や、逆に新規参入の脅威を抑える方法を考える際など、参入障壁の考え方は様々な場面で応用が利きます。

この記事でお伝えした内容を事業の運営に役立ててもらえると嬉しいです!

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新製品開発のプロセスをわかりやすく解説してみる

新製品開発のプロセス

「新製品開発」は、停滞している現状を打破したり、さらなるビジネスチャンスを獲得する手段としてとても効果的です。

そんな新製品開発ですが、一体何から始めれば良いのでしょうか?

新製品開発を成功させるには、一つ一つのプロセスを戦略的に行う必要があります。

そこで今回の記事では、新製品開発のプロセスをわかりやすくお伝えします。

結論から言うと、新製品開発のプロセスは、目次でお伝えしている8つのステップを経ます。

  • 新製品開発のプロセスその1:新製品アイデアの発案
  • 新製品開発のプロセスその2:アイデアのスクリーニング
  • 新製品開発のプロセスその3:製品コンセプトの明確化
  • 新製品開発のプロセスその4:マーケティング戦略の構築
  • 新製品開発のプロセスその5:経済性の評価
  • 新製品開発のプロセスその6:試作モデルの開発
  • 新製品開発のプロセスその7:テストマーケティングの実施
  • 新製品開発のプロセスその8:市場への新製品導入
  • 新製品開発のプロセスまとめ

新製品開発のプロセスその1:新製品アイデアの発案

まず初めに、新製品のアイデアを考えます。

新製品のアイデアを考える方法は、「シーズ発想」と「ニーズ発想」の二種類に分けられます。

シーズ発想は自社の強み(経営資源)を活かせる方向で新製品のアイデアを発案、ニーズ発想は市場のニーズに応える方向で新製品のアイデアを発案する方法です。

当然ですが理想なのは、自社の強みを活かせてかつ市場のニーズに合う新製品です。

とはいえ、シーズとニーズの両方を満たす新製品開発は簡単ではありません。

そんな難しい新製品のアイデアを発想する上で役立つのが「ジョブ理論」です。

ジョブ理論とは、お客さんの購買行動を注意深く観察することで、顧客自身も気づいていない真のニーズを見出そうとする考え方です。

新製品開発でも役立つ考え方なので、興味のある方は下記の記事をご覧になってみてください!

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新製品開発のプロセスその2:アイデアのスクリーニング

開発したい新製品のアイデアを見つけ出したら、そのアイデアを様々な観点からふるいにかけます。

このプロセスは「スクリーニング」といい、経営理念や事業戦略、収益性、実現可能性、自社の経営資源などの項目で分析します。

どの項目を重視するのかは自身の判断によります。

たとえば経営理念や全社的な経営戦略との整合性を重視する場合は、「その商品が自社のイメージや戦略に沿っているか」と言う基準で判断すれば良いでしょう。

少しでも成功可能性が高い新製品開発を行いたいのであれば、自社の経営資源(強み)を活かせて、かつ収益性や実現可能性もなるべく高いアイデアを採用すれば良いでしょう。

条件が甘すぎるのがダメなのはもちろんですが、あまりにも条件を厳しくしすぎるのも良くありません。

なぜなら、潜在性の高いアイデアを棄却してしまう可能性があるためです。

ある程度妥協できる部分とそうでない部分を明確にしておくのが、このプロセスではポイントになります。

新製品開発のプロセスその3:製品コンセプトの明確化

新製品開発における次のプロセスは、製品コンセプトの明確化です。

このプロセスでは、顧客が得られるベネフィットや商品の具体的な特徴を明らかにします。

たとえば「健康食品の販売」というアイデアであれば、「どんな味や見た目で、どんな成分が入っていて、それを食べるとどのような健康上のメリットを得られるのか?」を明確にするのが製品コンセプトの明確化です。 

このプロセスを成功させるには、どのような特徴を持つお客さんに商品を提供したいのかをあらかじめ考えるのが大切です。

何故なら、商品を販売するお客さんが明確に定まっていないと、顧客にとって価値のある新製品を開発できないからです。

たとえば健康食品と一口に言っても、「美容効果の高い食品」や「美味しいけど低カロリーの食品」、「記憶力の維持に効果的な食品」など、様々な種類があります。

「健康食品」というアイデア止まりでは、具体的な商品を作り出すのは難しいのです。

製品コンセプトを考える際には、市場の選定やターゲティングを行い、新製品の販売対象となる顧客を明確にするのがポイントです。

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新製品開発のプロセスその4:マーケティング戦略の構築

製品コンセプトを明確にしたら、本格的にマーケティング戦略を構築するプロセスに入ります。

このプロセスでは、「ターゲットである顧客に、新製品をどうやって販売するのか」を決めます。

具体的には、価格やパッケージの見た目、流通チャネル、プロモーションの方法などを考えます。

なおマーケティング戦略を立てるには、より深く顧客や市場についての理解を深める必要があります。

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新製品開発のプロセスその5:経済性の評価

新製品開発が成功するには、当然ですが十分な利益を獲得できるのが絶対条件になります。

そこでマーケティング戦略の構築プロセスが終わったら、新製品の経済性を評価します。

具体的には、予想される売上高や費用から利益を算出し、十分採算がとれるのかを見極めます。

仮に採算性がない場合には、製品コンセプト明確化のプロセスから見直しを図る必要があります。

もしくは、新製品のアイデア発案からやり直す必要が出てくる場合もあります。

採算性が取れない新製品開発を行っても、自社にとっては何のメリットもありません。

やり直ししたくない気持ちはわかります。

ですが無理して新製品開発を進めた結果、資金繰りが悪化するなどの事態に陥るよりはマシだと思います。

新製品開発のプロセスその6:試作モデルの開発

マーケティング戦略を立て採算性がとれると判断できたら、いよいよ製品開発に取り掛かります。

とはいえ最初から大量生産を始めると、万が一商品が思うように売れなかった場合に大きな損失を被ります。

100%新製品がヒットするとは限らないので、まずは少数の試作モデルを開発し、それを試験的に販売するのがセオリーです。

このプロセスでは、マーケティング部門と開発(製造)部門が一体となって試作モデルの開発に着手するのが大事です。

マーケティング戦略に基づいて、使用する素材や見た目、質感といったものを決めましょう。

なお新製品開発には、商品のアイデアを模倣されるリスクがあります。

本格的に商品を製造・販売する前にアイデアを模倣されると、本来であれば得られたはずの利益を得られなくなる可能性があります。

そのようなリスクを軽減するために、状況に応じて特許や商標といった知的財産関係の申請を行うのも大事です。

新製品開発のプロセスその7:テストマーケティングの実施

試作モデルを開発したら、実際にお客さんに販売してみましょう。

ただし最初から本格的に販売した場合、失敗した際に大損失を被ります。

まずはテストマーケティングを行う(地域や販売数を限定した上で少ないコストで商品を販売する)のが無難です。

なおテストマーケティングでは、顧客の反応に積極的に耳を傾け、それを実際の商品に反映するのがポイントになります。

どれほど緻密なマーケティング戦略を立てても、実際に販売してみると改善点がいくつも見つかるケースが多々あります。

顧客から得た改善点を踏まえ、より優れた商品に改良するのが新製品開発の成功には欠かせません。

新製品開発のプロセスその8:市場への新製品導入

テストマーケティングで得た反応を基に戦略や製品に微調整を加え、「これで十分準備が整った!」と思ったら、本格的に新製品を販売し始めます。

なお市場や顧客のニーズは絶えず変わるので、状況に応じて商品を改良したり戦略を再構築する必要があります。

ずっと同じ製品が売れ続けるのは難しいので、柔軟に対応していきましょう。

新製品開発のプロセスは以上になります。

新製品開発のプロセスまとめ

新製品開発のプロセスについて、8つのステップに分けてご紹介しました。

見てきたように、新製品開発は一朝一夕で実行できるものではありません。

アイデアの発案やマーケティング戦略の立案など、手間のかかるプロセスばかりです。

しかし一つ一つのプロセスを丁寧に行えば、新製品開発の成功可能性はグッと高まります。

今後ビジネスで新製品開発を行う際は、今回ご紹介した内容を参考にしてくれると嬉しいです!

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正味現在価値法(NPV法)とは?事業投資の意思決定に役立てよう!

正味現在価値法(NPV法)

企業にとって、新規事業の立ち上げや新しく機械設備を購入する行為は大きな投資です。

「投資を行うべきか行わないべきか」とか「複数の投資案のうちどれが最も優れているか」を決定するのはとても難しいです。

そんな難しい投資の意思決定に役立つ手法に、「正味現在価値法(NPV法)」と呼ばれるものがあります。

今回の記事では、正味現在価値法の意味やNPVの計算方法をわかりやすくお伝えしようと思います。 

  • 正味現在価値法(NPV法)とは?どんな場面で役立つのか
  • 正味現在価値法(NPV法)の計算式と計算方法
    • Step1:毎期の正味キャッシュフローを計算する
    • Step2:割引率を設定する
    • Step3:毎期の正味CFを現在価値に割り引く(PVの算出)
    • Step4:正味CFの現在価値から設備投資額を差し引く(NPVの算出)
  • 正味現在価値法(NPV法)を使って投資の意思決定を行う具体例
  • 正味現在価値法(NPV法)のまとめ

正味現在価値法(NPV法)とは?どんな場面で役立つのか

正味現在価値法とは、事業への投資で得られる「キャッシュフロー(CF)の現在価値」から「初期投資の金額」を差し引いた金額をベースに、投資の意思決定を行う手法です。

「CFの現在価値(Present Value)」から「初期投資額」を差し引いてNet(正味)の現在価値(PV)を求めることから、NPV(Net Present Value)法とも呼ばれます。

NPV法では、NPVの値がプラスである場合に投資を実行するという基準を採用しています。逆にNPVがマイナスであれば、その投資は実施しません。

つまり初期投資の金額よりも投資で得られる金額の方が大きければ、その投資案を実行しても良いとするのがNPV法なのです。

なおNPV法を活用すれば、複数の投資案の中から最も優れている(CFを多く得られる)投資案を選ぶこともできます。

具体的にNPV法では、NPVの値が最も大きい投資案を採用します。 

このように正味現在価値法は、ビジネスにおける様々な意思決定の場面で役立ちます。

正味現在価値法(NPV法)の計算式と計算方法

正味現在価値法によりNPVを計算するのは、一見すると難しく感じるかもしれません。

しかし実は、多少の計算テクニックや知識は必要なものの計算過程はとても単純です。

結論から言うと、今後得られる正味CFを計算し、それを現在価値に割り引き、最後に設備投資に費やした金額を差し引くだけです。

つまりNPV法自体は、下記の計算式で簡単に表せます。

  • NPV = {1期目のCF ÷ (1+割引率) } + {2期目のCF ÷ (1 + 割引率)^2}+・・・− 設備投資額

もっと簡単に表すと

  • NPV = PVの現在価値合計 − 設備投資額

この計算式だけで理解できれば良いですが、難しいと思う方もいると思います。

そこでここでは、正味現在価値法(NPV法)の計算過程について順を追ってご説明します。

Step1:毎期の正味キャッシュフローを計算する

まず初めに、投資を行って以降得られる正味キャッシュフロー(CF)を数年分計算します。

何年分計算するかは、その状況に応じて決定します。

たとえば設備投資であれば、その設備の耐用年数分だけの正味CFを算出するのが一般的です。

正味CFを簡単に言うと「手元に純粋に残るキャッシュ」であり、下記の計算式で求められます。

  • 正味CF = (CIF - COF - 減価償却費) × (1 - 税率) + 減価償却費 ± 運転資本増減額

CIF(キャッシュインフロー)は現金で得た収益、COF(キャッシュアウトフロー)は材料費や人件費といった現金の支出であると言う認識で基本的に問題ありません。

「この計算式じゃ難しくて訳がわからない!」と言う方は、下記の計算式を使っても問題ないと思います。

  • 正味CF= 税引き後営業利益 + 減価償却費 ± 運転資本増減額

ちなみに上記の計算式から、期間内に行った設備投資額をさらに差し引いた金額(FCF)を使用する場合もあります。

Step2:割引率を設定する

正味キャッシュフローを算出したら、次に割引率を設定します。

割引率については、WACC(加重平均資本コスト)を用いたり、CF予測の不確実度を考慮し自分で設定するのも可能です。

割引率の設定方法については、下記の記事で説明しているのでもしよければご覧になってください!

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Step3:毎期の正味CFを現在価値に割り引く(PVの算出)

割引率を設定したら、Step1で算出した正味CFを現在価値に割り引きます。

正味CFを現在価値に割り引く際には、下記の計算式を用います。

  • 正味CFの現在価値 = 将来得られる正味CF ÷ (1 + 割引率) ^ n

※「^」の記号は、◯乗を意味します。

なおnの部分には、現在から数えたCFを得られる年度を使います。

たとえば5年後の正味CFを現在価値に割り引く場合はnに5を入れて、(1 + 割引率)を5乗します。

この計算式を使って、毎期のキャッシュフローを現在価値に割り引きましょう。 

Step4:正味CFの現在価値から設備投資額を差し引く(NPVの算出)

最後に、現在価値に割り引いたキャッシュフローの合計から、設備投資額を差し引いてNPVを算出します。

NPV法による計算は以上で完了となります。

正味現在価値法(NPV法)を使って投資の意思決定を行う具体例

正味現在価値法の計算式・計算方法について理解を深めるために、具体的な計算例でNPV法の使い方をマスターしましょう!

例)X社は以下3つの設備投資案を持っている(単位は万円)。

投資案 初期投資額(現在) 1年目CF 2年目CF 3年目CF
A案 -4,000 1,500 1,500 2,000
B案 -3,000 1,000 1,500 1,500
C案 -5,000 1,200 1,500 3,500

X社は3つある投資案のうち、どの投資案を採用すべきか?なお割引率は各投資案とも10%とする。

今回の例ではすでに割引率とCFが示されているため、Step3(CFを現在価値に割り引く)から始めます。

各投資案について、3年分のCFを現在価値に割り引くと以下のようになります(小数点以下は切り捨て)。

投資案 初期投資額 1年目CF(現在価値) 2年目CF(現在価値) 3年目CF(現在価値)
A案 -4,000 1,363 1,239 1,502
B案 -3,000 909 1,239 1,126
C案 -5,000 1,090 1,239 2,629

では次に3つの投資案それぞれについて、CFの合計から初期投資額を差し引いてNPVを求めてみましょう。

  • A案NPV=1,363+1,239+1,502-4,000 = 104万円
  • B案NPV=909+1,239+1,126-3,000 = 274万円
  • C案NPV=1,090+1,239+2,629-5,000 = -42万円

3つの投資案それぞれのNPVを計算したので、最後にどの投資案を採用するかを決めます。

まずNPVがマイナスとなっているC案は真っ先に不採用となります。

そして残ったA案とB案を比較すると、A案のNPVが104万円である一方で、B案のNPVは274万円となりました。

よって今回の例では、NPVが最も大きいB案を採択することになります。

 

見てもらえるとわかりますが、3年間のCFを単純に合計した金額から初期投資額を差し引いた金額が最も大きいのはC案です。

しかし現在価値に直すと、何と一見するとパッとしないB案がこの中でも最も優れている投資案だという結論に至ります。

むしろC案はNPVがマイナスとなるため、この中で最も良くない(採用すべきではない)投資案となりました。

なぜこうなるかを簡単にお伝えすると、いつキャッシュフローを得るかによって現時点での価値が変わってくるためです。

ファイナンスの理論的には、キャッシュフローを得られるタイミングに応じてCFの価値を適切に修正したものを用いる方が、より正確に投資の意思決定を行えます。

より精度の高い意思決定を行える点は、NPV法の大きなメリットです。

正味現在価値法(NPV法)のまとめ

今回の記事では、正味現在価値法の計算式や具体的な計算例をお伝えしました。

NPV法の計算式は一見すると難解ですが、一度慣れれば比較的簡単に使えるようになります。

ビジネスで行う投資の意思決定に悩んだら、ぜひ正味現在価値法を使用してみてください!

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経営資源とは?〜中小企業が活用すべき7つの経営資源〜

経営資源

ビジネスに携わる方や経営学を勉強している方であれば、「経営資源」という用語を一度は耳にした経験があると思います。

経営資源が会社経営にとって重要だというのは、多くの人が知っています。

しかし「具体的にどんなものが経営資源なのか」とか「経営資源はどのように活用すれば良いのか」といったことは意外と知られていません。

そこで今回の記事では、経営資源の意味やその種類7つ、経営資源の活用ポイント、そして経営資源の分析フレームワーク2つをご紹介します。

  • 経営資源とは?経営資源の意味
  • 経営資源の種類7つとその具体例
    • 経営資源①:ヒト
    • 経営資源②:モノ
    • 経営資源③:カネ
    • 経営資源④:情報
    • 経営資源⑤:スキル・ブランド
    • 経営資源⑥:戦略
    • 経営資源⑦:組織
  • 経営資源を活用するポイント
    • 競争優位性を確立するために「量」ではなく「質」を意識する
    • 「選択と集中」により経営資源を最適配分しよう
  • 経営資源の分析に役立つフレームワーク
    • VRIO分析〜経営資源の持つ競争優位性を確認しよう!〜
    • PPM分析〜経営資源の最適配分を考えてみよう!〜
  • 経営資源のまとめ

経営資源とは?経営資源の意味

経営資源とは、会社の経営を営む上で必要となる要素の総称です。

会社を経営するためには、機械設備や運転資金、労働力など様々なものが必要です。

このビジネスを営む上で必要となるのが「経営資源」であり、基本的には多ければ多いほど、質が良ければ良いほど事業の運営を有利に進めることができます。

経営資源の種類7つとその具体例

経営資源の種類といっても、厳密に何種類か決まっている訳ではありません。

学説や提唱者によって4種類だったり7種類だったりと、その数が異なってきます。

また種類数は同じでも、含まれるものが微妙に異なっていたりもします。

今回は様々な学説や現代の環境を踏まえ、特に大事だと思われる7つの経営資源をご紹介します。

経営資源①:ヒト

「ヒト」とは、会社のビジネスを遂行する人材(労働力)を意味します。

ビジネスを遂行するには、商品を企画する人やそれを製造する人、出来上がったものを販売する人など、様々な場面で「ヒト」が必要となります。

必要不可欠であるという意味で、「ヒト」は最優先で確保すべき経営資源であると言えます。

従業員のみならず、外注先のフリーランスや契約社員なども重要な経営資源となります。

経営資源②:モノ

 「モノ」とは、商品・サービスやそれを製造する機械設備を意味します。

商品を製造する上で欠かせない機械設備はもちろん、サービスの企画・運営を行う際に使うパソコンも立派な経営資源であり、ヒトと同様にビジネスでは不可欠です。

ただし多くのモノを持っていれば良いという訳ではありません。

商品の製造やサービスの企画など、価値の創出に貢献しない「モノ」は、保有していても意味がありません。

むしろ価値の創出に貢献しない経営資源は、費用を無駄に発生させる要因となります。

価値の創出に寄与するモノのみを保有するのが、会社経営では重要です。

経営資源③:カネ

カネとは、その名の通り「お金」のことです。

会社経営を続けるには、従業員の人件費や商品の製造費用など、ほぼ必ずお金が必要です。

会社経営においては、カネの管理(資金繰り)がとても重要です。

負債と自己資本の比率を適正水準で維持したり、事業を成長させるために資金調達を最適なタイミングで行ったりなど、カネをいかに有効活用できるかがビジネスの成功を左右します。

カネを多く持っているほど良いのは当然として、カネを上手に活用するスキルもビジネスではとても重要となります。

経営資源④:情報

情報とは、顧客の購買履歴や市場の動向などのビジネスで役に立つデータ全般を意味します。

従来は経営資源といったら「ヒト・モノ・カネ」の三つを指していましたが、IT技術の進歩に伴い「情報」の重要性がとても高くなりました。

たとえば顧客の過去の購買履歴があれば、顧客のニーズに沿った商品を販売できます。

他に最新の市場動向を知っていれば、他社に先駆けて新しいビジネスを展開できます。

このように質の良い情報をキャッチしてそれを活用すれば、ビジネスを有利に進められるようになります。

日頃から顧客や市場にアンテナを向け、質の良い情報を把握・有効活用するのがこれからの会社経営では重要になります。

経営資源⑤:スキル・ブランド

会社やその従業員が持つスキルやノウハウ、ブランド力といったものも重要な経営資源です。

どれだけお金を持っていても、エンジニアのスキルやマーケティングのノウハウといったものがなければお客さんに認められる商品やサービスを作り出すことはできません。

また商品やサービスをより長期的に使用してもらうには、会社や商品自体にブランド力が必要となるでしょう。

経営資源⑥:戦略

経営資源とは分けて考えることが多いですが、戦略も会社経営では大事です。

優れた商品やサービスを持っていても、それを適切なお客さんに適切な方法で売り出さなければ収益を生み出せません。

たとえば優れた技術力は持っているもののブランド力や知名度がないベンチャー企業は、大手企業がターゲットとしていないニッチ市場をターゲットにするなどの戦略を考える必要があります。

商品やサービスの収益を最大化するために、経営やマーケティングは戦略的に行うのが大事です。

経営資源⑦:組織

ヒトやカネといった経営資源は、それを有効活用できる組織があって初めて最大限の効果を発揮します。

たとえば現場では何も判断できない会社の場合、意思決定が遅くなるため、変化の早いビジネスには対応できません。

経営資源を最大限に活用してビジネスチャンスを掴むには、その市場や事業の特性に適した組織を構築する必要があります。

経営資源を活用するポイント

会社の経営が成功する可能性を1%でも高めるには、経営資源を有効活用する必要があります。

経営資源を活用するに際しては、「競争優位性の確立」と「選択と集中による経営資源の最適配分」がポイントとなります。

競争優位性を確立するために「量」ではなく「質」を意識する

会社経営を維持・成長させるには、他社よりも優れている要素(競争優位性)が必要です。

たとえばディズニーであれば優れたブランド力、トヨタ自動車であれば技術力や製造のノウハウなどが競争優位性として考えられます。

ただ単に経営資源をより多く持てば良いという考え方では、競争優位性を確立できません。

なぜなら名の知れた大手企業の方が絶対的に量の面では優れているからです。

大手企業のように、何十万人といった労働力や何千億円といったカネを持つのは難しいですよね。

中小企業やベンチャー企業がビジネスで勝つには、経営資源の質を意識しなくてはいけません。

たとえば「大手企業との競争を回避できるニッチ市場で優位に立つ戦略」や「大手企業にも勝るスキル・技術力」といったことです。

ビジネスを営む上では、常に「競争優位性を確立するにはなにが必要なのか?」という視点で経営資源を確保・強化するのが大事です。

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「選択と集中」により経営資源を最適配分しよう

ほとんどの中小・ベンチャー企業では、保有する経営資源に限りがあります。

無駄なく経営資源を活用して結果を出すには、「選択と集中」を常に意識して経営資源を配分するのがとても大事です。 

どういう意味かというと、 収益を生み出している(もしくは将来的に生み出す)事業や部門には経営資源を重点的に配分し、収益性が低い(もしくは今後衰退する)事業や部門にはあまり経営資源を配分しないという戦略が大事ということです。

すごく単純な例ですが、1億円をA事業に振り分けた場合は5億円、B事業に振り分けた場合は2億円の収益をそれぞれ生み出せるとします。

この場合、より多くの収益を生み出せるA事業に1億円を配分するのが最適な選択であると言えます(ただし各事業の将来性次第で意思決定は変わってきます)。

現時点の収益性や将来的な成長性を総合的に考えて、もっとも効率的に収益を生み出すような経営資源の配分を考えるのが大切です。

経営資源の分析に役立つフレームワーク

経営資源を最大限活用する上では、「経営資源の持つ競争優位性」や「最適な配分」を分析するのが有効です。

この項では、経営資源の分析に役立つフレームワークを2種類ご紹介します。

VRIO分析〜経営資源の持つ競争優位性を確認しよう!〜

VRIO分析とは、「Value(価値)」、「Rarity(希少性)」、「Imitability(模倣困難性)」、「Organization(組織)」という4つの要素で、経営資源が持つ競争優位性を分析するフレームワークです。

V→R→I→Oの順でその要素を持つかを分析し、競争優位性の有無や競争優位性の持続性を見極める事が可能です。

VRIO分析の使い方を詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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PPM分析〜経営資源の最適配分を考えてみよう!〜

PPM分析とは、「市場成長率」と「相対シェア(自社の持つシェアの割合)」という二つの要素から、経営資源の最適配分を分析するフレームワークです。 

自社の行う事業を「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」の 4つに分類し、どこに重点的に経営資源を配分すべきかを可視化できます。

PPM分析の使い方を詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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経営資源のまとめ

今回の記事では、経営資源の意味や種類、活用のポイント、分析に役立つフレームワークをご紹介しました。

中小・ベンチャー企業や個人事業主は、保有する経営資源に限りがあります。

限られた経営資源を最大限活用して結果を残すために、戦略的に経営資源を育成・活用していきましょう! 

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インストアマーチャンダイジング(ISM)とは?得られる効果や種類を徹底解説!

インストアマーチャンダイジング

「少ない費用でもっと収益を伸ばしたい」

小売店の経営やマーケティングに携わる多くの方は、このように考えた経験が一度はあるかもしれません。

広告や営業は売上高の増加に貢献はするものの、ある程度費用や労力がかかってしまいます。

そんな「少ない費用で収益を伸ばす」という難題を解決する救世主となり得るのが、「インストアマーチャンダイジング」という考え方です。

この記事では、インストアマーチャンダイジングの意味や効果、種類などについて徹底解説します。

小売業の経営・マーケティングに携わる方は必見です!

  • インストアマーチャンダイジング(ISM)とは
    • ISMの意味
    • ISMのポイント
  • インストアマーチャンダイジングの効果
  • インストアマーチャンダイジングの種類
    • インストアプロモーション
    • スペースマネジメント
  • インストアマーチャンダイジングを勉強できる本
  • インストアマーチャンダイジングのまとめ

インストアマーチャンダイジング(ISM)とは

まず初めに、インストアマーチャンダイジングの基本的な部分についてご紹介します。

ISMの意味

インストアマーチャンダイジング(In-Store-Merchandising)とは、マーチャンダイジングの計画と戦略を店頭で実現しようとする活動です。

マーチャンダイジングとは、消費者のニーズを満たす商品を適切なタイミングで適切な量を適切な方法で販売する行為であり、マーケティング戦略の一環として行われます。

つまりインストアマーチャンダイジングは、広告宣伝によってではなく、店舗で実施できる施策により売上高を増やそうとする活動だと言えます。

ISMのポイント

インストアマーチャンダイジングを実施する上では、「客単価の向上」と「非計画購買の促進」がポイントになります。

そもそも売上高は、「客単価」×「来店客数」によって決まります。

広告を用いたマーケティングでは、主に「来店客数の増加」により売上高を増やします。

一方でISMでは、少ない費用で実現可能な「客単価の向上」により売上高を増やします。

客単価を増加させるためには、「商品単価の増加」と「買い上げ点数の増加」を実現しなくてはいけません。

つまりインストアマーチャンダイジングを実施する際には、「単価の高い商品」を「より多く買ってもらう」のを念頭に置くのがポイントとなるのです。

また大学や研究所の調査によると、最初から購入するものを決めて来店するケース(計画購買)と店内で購買決定するケース(非計画購買)を比較した場合、非計画購買が約8〜9割にも上ると言われています。

効率的に売り上げを増やすために、顧客の非計画購買を促すような売り場作りを心がけるのもISMのポイントです。

なお顧客の非計画購買を促す手法には、関連商品をあわせて陳列する「クロスマーチャンダイジング」があります。

たとえば焼き肉用の牛肉の近くに焼き肉のタレを置いたり、野菜の隣にドレッシングを陳列するといった施策が考えられます。

インストアマーチャンダイジングの効果

インストアマーチャンダイジングを実施すると、広告を用いた活動と比べて低コストで売上高を増加させる効果が期待できます。

リスティング広告にしろマスメディア(CMや新聞など)にしろ、広告を用いたマーケティング活動では前述した通り多額の費用がかかります。

一方でインストアマーチャンダイジングでは、棚割りや販売方法の工夫といったあまりお金をかけない方法で売上高の増加を目指せます。

資金力に限りがある中小企業にとって、少ない費用でマーケティング効果を高める上でISMは非常に重要な取り組みなのです。

インストアマーチャンダイジングの種類

インストアマーチャンダイジングには、インストアプロモーションとスペースマネジメントの二種類があります。

インストアプロモーション

インストアプロモーション(ISP)とは、店舗において単純な情報提供に留まらず、ライフスタイルに関する積極的な提案を実施し、お客さんの購買に関する意思決定に影響を与えようとする活動です。

つまりISPは、お客さんのニーズに沿った形で商品を販売し、より多くの売り上げを得ようとする活動であると言えます。

インストアプロモーションには、価格を変えて行う「価格主導型」と価格を変えずに行う「非価格主導型」の二種類があります。

価格主導型ISPの具体的な手法としては、特売や値引き、会員価格販売、増量パック販売などがあります。

一方で非価格主導型ISPの手法には、サンプリングや先ほどご紹介したクロスマーチャンダイジングなどがあります。

価格主導型ISPは消費者の需要を喚起できる一方で、参照価格の低下を招く可能性があります。

参照価格とはある商品を消費者が過去に購入した時の価格を意味し、値引きなどにより参照価格が低下すると、それよりも安くないと購入されにくくなると言われています。

そのためインストアプロモーションを実施する際には、価格主導型に依存するのではなく、非価格主導型の手法もバランスよく取り入れる必要があります。

インストアプロモーションについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!

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スペースマネジメント

スペースマネジメントとは、売り場スペースを最大限に活用し、客単価を上げる形で売り場の生産性を高めるインストアマーチャンダイジングの手法です。 

つまりスペースマネジメントは、客単価(お客さん1人あたりの買い上げ金額)の向上を目指す活動と言えます。

スペースマネジメントは、スペースアロケーションとプラノグラムから構成されます。

スペースアロケーションとは、取り扱っている商品を一定基準によりグループ化し、適正な構成比率や売り場面積の配分を考えて、客単価を高める売り場レイアウトを設計する行為です。

プラノグラムとは、商品の売れ行きや包装容器の種類などを考慮した上で、売上高を最大化する棚割りを決定する仕組みです。

インストアマーチャンダイジングを勉強できる本

インストアマーチャンダイジングを本格的に実践しようと思ったら、やはり本を一冊持って置くと安心です。

ISMを実践する上で是非とも一読してもらいたいのが、こちらの「インストア・マーチャンダイジング〈第2版〉」という本です。

こちらの本では、スーパーやコンビニなどの小売店で使えるISMのノウハウや考え方がわかりやすく解説されています。

また、近年増えているネットスーパーで活用できる販促手法も紹介されているため、時代に即した内容となっています。

お客さん目線で売り場を作って収益を増やしたい小売業の方にとって、この本には必見の内容が盛り沢山となっています。

インストアマーチャンダイジングのまとめ

今回の記事では、インストアマーチャンダイジングの意味や効果、種類などをご紹介しました。

インターネット広告や地道な営業は、どうしてもコストや労力を多く費やす必要が出てきます。

一方でインストアマーチャンダイジングであれば、比較的低コストで効果を実感できます。

小売業を経営している方は、一度インストアマーチャンダイジングを実践してみてはいかがでしょうか?

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PEST分析とは?PEST分析の意味とやり方をわかりやすく解説!

PEST分析

経営戦略を考える上では、自社の強みや弱みだけでなく、外部の環境についても考慮するのが大事です。

なぜなら、どれほど自社の強みを活かせるビジネスでも、外部環境の現状や将来的な変化により、業績が大きく左右される可能性があるためです。

そんな外部環境の分析にとても有用なフレームワークが「PEST分析」です。

今回の記事では、PEST分析の意味や分析のやり方をお伝えします!

  • PEST分析とは何の目的で用いるフレームワークなのか?
  • PESTの各項目の意味と具体例
    • Politics(政治的要因)
    • Economy(経済的要因)
    • Society(社会的要因)
    • Technology(技術的要因)
  • PEST分析のやり方
    • ステップ①:PESTの各項目に関する情報を収集・整理する
    • ステップ②:PESTの各項目を「機会」と「脅威」に分ける
    • ステップ③:PESTの各項目が将来にわたってどう変化するかを考える
    • ステップ④:機会の活用や脅威の克服に対する具体的な戦略を立てる
  • PEST分析のまとめ

PEST分析とは何の目的で用いるフレームワークなのか?

 PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の計4つの観点から、自社を取り巻く外部のマクロ環境を分析するフレームワークです。

PEST分析は、自社を取り巻く外部の状況が事業運営にどの程度の影響を与えるかを把握し、適切な経営戦略を構築する目的で用いられます。

PEST分析により、事業に悪影響をもたらす原因や突然訪れるチャンスを見極めることで、環境の変化に柔軟に対処した経営が可能となります。

逆に自社の経営資源にのみ着目して経営戦略を立てると、経済危機や技術力の発展といった環境変化に対処できずに、突然業績が悪化するリスクが高くなります。

中長期的に安定した経営を行う上で、PEST分析は非常に有用なフレームワークだと言えます。

ただしPEST分析の結果のみ重視するのも良くありません。

なぜなら会社の経営は、マクロ視点での外部環境だけでなく、競合他社との競争関係(ミクロ環境)や自社の強み・弱み(内部環境)などにも影響されるためです。

PEST分析は、3C分析やファイブフォース分析、SWOT分析といった他のフレームワークと併用するのがポイントです。

ミクロな外部環境や内部環境の分析結果も考慮して初めて、効果的な経営戦略を立てることができます。

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PESTの各項目の意味と具体例

次に、PESTの各項目の意味と具体例をご紹介します。

Politics(政治的要因)

Politicsとは、自社の事業に大きなインパクトをもたらす国の政策や法律、条例の変化を意味します。

PEST分析では、税制の変化や法改正・規制緩和、補助金制度の新設・廃止といった内容を分析します。

Economy(経済的要因)

Economyとは、自社のビジネスに影響をもたらす経済の変化を意味します。

PEST分析では、景気動向や経済成長率、物価、株価などを分析対象とします。

Society(社会的要因)

Societyとは、自社事業にインパクトをもたらす消費者の生活環境の変化を意味します。 

PEST分析では、人口動態や社会での流行、世論、事件、教育などを分析します。

Technology(技術的要因)

Technologyとは、自社のビジネスにインパクトをもたらすテクノロジーの変化を意味します。

PEST分析では、 近年急成長を遂げている技術(AI技術など)を分析対象とします。

PEST分析のやり方

PEST分析の意味を理解しても、実際に使いこなせるようにならなくては意味がありません。

この項では、PEST分析のやり方を4つのステップでわかりやすくお伝えします。

ステップ①:PESTの各項目に関する情報を収集・整理する

まず初めに、PESTの各要素について情報を収集し、それを表などに整理します。

情報を集める際は、国の公的機関や業界他社が出しているデータを参照すると良いでしょう。

なおPESTの各項目の情報を集めるに際しては、自社の事業運営にインパクトをもたらしそうな変化のみを洗い出すのがポイントです。

なぜなら、マクロ環境は常に絶え間なく変化しており、その全てを洗い出そうとすると手間がかかるからです。

無駄な労力を割かないためにも、業界にインパクトをもたらす政治や社会、経済、技術の変化にフォーカスしてPEST分析を進めましょう。

ステップ②:PESTの各項目を「機会」と「脅威」に分ける

ただ単に、自社にインパクトを与える可能性があるマクロ環境の変化を察知するだけでは不十分です。

PEST分析を実務に役立てるには、把握した外部環境の変化が自社にとってチャンス(機会)となるのか、もしくは脅威となるのかを区別しなくてはいけません。

例えば高齢化による人口減少は、国内の人向けの旅行会社にとってはお客さんの絶対数が減少するため、大きな脅威であると言えます。

何が機会で何が脅威であるかは、各業界や会社ごとのビジネスモデルによって変わります。

自社や業界の特性に照らし合わせつつ、PESTの各項目を分類するのが大事です。

ステップ③:PESTの各項目が将来にわたってどう変化するかを考える

PEST分析の精度を高めるには、PESTの各項目がその後どんな感じで変容するかを考えなくてはいけません。

具体的には、下記2つの観点でPESTの各項目を分析すると良いでしょう。

  • その項目は長期的に変化するのか、短期的に変容するのか
  • その事象はどのくらいの確率で発生するのか

変化する確率や変化のスパンが異なれば、対処の優先順位や対策の内容は変わってきます。

たとえば10年後に10%の確率で発生する脅威よりも、1年後にほぼ確実に発生する脅威の方を優先的に対処すべきでしょう。

いつまでにどのくらいの確率で環境変化が生じるのかを細分化しておくと、具体的な戦略を構築しやすくなります。

ステップ④:機会の活用や脅威の克服に対する具体的な戦略を立てる

PEST分析の結果を基に、機会をうまく活用する戦略や脅威を克服する戦略を具体的に立てていきます。

機会の活用や脅威の克服に関しては、自社の強みを活用した戦略立案がおすすめです。

例えばプログラミングのスキルを強みとするエンジニアであれば、「小学校でのプログラミング必修化」や「AI技術に対するビジネスマンの興味関心の高まり」といった機会を活かし、プログラミング教室やセミナーを開催する戦略が効果的かもしれません。

もしくは発想を転換し、「脅威」を「機会」に変える方向性で経営戦略を立てるのも一つの手です。

例えば「景気悪化」は、消費需要が減少する点で多くの業界にとって脅威です。

しかし一方で、新品と同程度の品質を持つ商品を安く買える「リサイクルショップ」の需要は高くなる可能性が高いです。

このように見方を変えれば、脅威は機会に生まれ変わる可能性があります。

自社業界にとって脅威に感じる現象を察知したら、その脅威を機会に変える方向性で戦略を練るのもアリでしょう。

PEST分析のまとめ

企業の経営状態は、景気の悪化や技術の進歩など、その会社ではコントロールできない要因によっても左右されます。

PEST分析を活用すれば、そのような外部のマクロ環境の変化を考慮に入れた上で、経営戦略を立てることができます。

自分でビジネスをやる方や会社内で経営企画やマーケティングに携わる方は、自社の強みや弱みだけでなくマクロ環境にも目を向けてみましょう!

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