中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

中小企業診断士の資格や新規事業の経験を持つクラゲが、経営学やマーケティングをゆる〜く分かりやすく伝えるブログです。

心理的価格設定4選!〜顧客の心理を理解した上で価格を設定しよう〜

心理的価格設定

新しい商品やサービスを売り出す際、価格をいくらにすべきかは非常に悩ましい部分です。

高くすれば利益率は良くなるものの、買ってもらえる確率が下がります。一方で安くしすぎると、利益率やブランド力の低下につながります。

商品の価格設定方法は様々ありますが、今回の記事では「心理的価格設定」について取り上げます。

心理的価格設定とは、消費者の心理的な要因に基づいて価格を決定する方法です。

心理的価格設定では顧客の心理に基づいて価格を設定するので、ハマれば大きく利益や売り上げを伸ばせる可能性があります。

今回は特に有名な心理的価格設定の方法を4つご紹介します。

商品やサービスの価格設定にお悩みの方はぜひ参考にしてください!

  • 端数価格
    • 端数価格の意味と例
    • 端数価格の実証研究
  • 名声価格(威光価格)
    • 名声価格(威光価格)の意味と例
    • わざと高い価格をつける理由
  • 慣習価格
    • 慣習価格の意味と例
    • 慣習価格が存在する商品ではどのように価格を設定すべきか?
  • 段階価格(松竹梅の法則)
    • 段階価格(松竹梅の法則)の意味と例
    • 段階価格(松竹梅の法則)を活用するポイント
  • 心理的価格設定のまとめ

端数価格

まず最初に、心理的価格設定の手法の中でも特に有名な「端数価格」をご紹介します。

端数価格の意味と例

端数価格とは、300円や5,000円といった区切りの良い価格ではなく、298円や4,999円といった中途半端な価格を設定する心理的価格設定の方法です。

スーパーや通販などあらゆる場面で活用されており、数ある心理的価格設定の方法の中でも特に目にする手法だと言えます。

端数価格は価格差以上に割安感を消費者に与えるため、売上高が増える効果を期待できます。

端数価格の実証研究

端数価格の効果を実証するために、フランスの心理学者ニコラス・ゲガンは以下の実験を行いました。

  • 実験内容

学生を二つのグループに分けて、片方には2フランのパンケーキ、もう片方には1.99フランのパンケーキを近所の住民に売りに行かせた。

  • 実験結果

2フランのパンケーキは約45%の家庭に売れた一方で、1.99フランのパンケーキは約60%の家庭に売れた。

 

価格差はわずか0.01フラン(日本円では1円)と、実質的にはほとんど値段は同じです。にも関わらず1.99フランにしただけで、約15%も売り上げが増加したのです。

このように商品に中途半端な価格を設定すると、売り上げを大きく増やせる可能性があります。

ただしこの心理的価格設定の手法は、スーパーやコンビニなどで多用されています。普段から見慣れているため、割安感をアピールできない場合もあるので注意が必要です。

参考:

「ジャパネットたかた」から学んだ事:「端数効果」 | Dr.Hisacchi:誰もがわかりやすく健康・予防・医療を理解する事ができるブログ

名声価格(威光価格)

次に、高級品への価格設定に有効な「名声価格(威光価格)」の説明を行います。

名声価格(威光価格)の意味と例

名声価格(威光価格)とは、高級品の持つ高いステータスや品質を訴求するために、わざと高い価格を設定する心理的価格設定の方法です。

名声価格は、高級ブランド品や宝石、美術品といった高級で希少な商品に用いられるのが一般的です。

名声価格には、高級品としてのブランド力を高める効果や、高い価格を付すことで顧客に「良い商品だろう」と思わせる効果があります。

わざと高い価格をつける理由

ブランド品や宝飾品にわざと高い価格を設定する理由は、価格自体が商品の良し悪しを左右する一因となるためです。

多くの消費者は、程度の差はあれど価格により商品の品質を判断する傾向があります。

 

そのため、高級ブランドの商品に対して安い価格を付けてしまうと、「品質が他のブランドよりも低いのでは?」と思われて、ブランド力が下がる恐れがあります。

ブランド力を維持するために、高級品には高い価格を設定する必要があるのです。

また高い価格を設定することで、顧客に品質が優れていると判断してもらいやすくなります。

言い換えると、品質に自信があったりブランド力の高い商品については、価格を下げるのは好ましくありません。

慣習価格

次に、心理的価格設定を行う上で重要となる「慣習価格」についてお伝えします。

慣習価格の意味と例

慣習価格とは、消費者の間で広く浸透している価格帯を意味します。

例えばペットボトル飲料の場合は、100円〜150円くらいが慣習価格となります。

長期間同じ価格が慣習的に用いられることで、消費者の間で慣習価格が定着していきます。

慣習価格が存在する商品ではどのように価格を設定すべきか?

慣習価格が存在する、つまり消費者の間で一定の価格帯がある程度定着している商品については、基本的に慣習価格に沿って商品を販売するのがセオリーです。 

例えばペットボトル飲料であれば、100円〜150円くらいの価格を設定します。消費者にとってはイメージ通りの価格となるため、十分数の需要を取り込める可能性があります。

一方で慣習価格が存在する商品については、広く受け入れられている価格よりも高くしてはいけません。

慣習価格よりも高い値段を設定すると、消費者からは「割高」とか「ぼったくり」などと思われます。

その結果、同じ商品であっても大きく需要量(売り上げ)が減少してしまいます。普通のペットボトル飲料が500円で売っていても、買おうとは思いませんよね。

慣習価格のある商品をより高額で販売したいのであれば、商品に付加価値をつける必要があるでしょう。

段階価格(松竹梅の法則)

最後に、段階価格(松竹梅の法則)をご紹介します。

今回ご紹介する心理的価格設定の中でも、特に即効性のある手法なのでぜひ参考にしていただければ嬉しいです。

段階価格(松竹梅の法則)の意味と例

段階価格とは、ある商品・サービスについて、中身(品質や容量など)が少しずつ異なる三種類の商品(サービス)を用意し、それぞれの値段を段階的に設定する手法です。

日本では値段の高い順番に「松・竹・梅」の三種類が多用されるため、松竹梅の法則とも呼ばれます。ただし必ずしも「松・竹・梅」の三種類である必要はなく、「ゴールド・シルバー・ブロンズ」などのようにランクが分かる名前であれば問題ありません。

段階価格は、「異なる値段が設定された三種類の商品が存在する場合、人は高くも安くもない真ん中の価格帯の商品を購入する」という心理学の理論に基づいています。

詳しい説明は省略しますが、行動経済学や心理学の書籍などを参考にすると、段階価格の有効性を理論的に理解できます。興味のある方は各自で調べてみてください。

段階価格(松竹梅の法則)を活用するポイント

段階価格を活用する際には、もっとも顧客に販売したい商品を真ん中の価格帯に設定するのがポイントです。 

先ほどお伝えしたように、人間には「高くも安くもない商品を購入する」という心理的な傾向があります。

そのため、真ん中の価格帯を売りたい商品に設定すれば、その商品を単独で販売する場合よりも売れ行きが良くなる可能性があります。

また段階価格を導入することで、高い商品を買ってもらいやすくもなります。高価格の商品を単独で販売すると、強固なブランド力や他社よりも圧倒的に優れている部分がなければ中々購入してもらえません。

一方で、この商品よりも高価格の商品と低価格の商品を同時に販売すれば、「高くも安くもない商品を選択する」という心理が働くため、価格が真ん中の商品(≒買ってもらいたい商品)を購入してもらいやすくなります。 

心理的価格設定のまとめ

今回は、心理的価格設定の方法を4つご紹介しました。

行動経済学や心理学の分野で実証されている通り、私たち消費者は必ずしも合理的に商品を購入するかどうかを決定できるとは限りません。

むしろその日の気分や値段への印象など、心理的な部分で購買を決定するケースも少なくありません。

商品の価格を決定する際には、こうした消費者の心理的な部分も考慮すると、より売れ行きが良くなるかもしれません。

なお価格設定の方法には、他にも様々なものがあります。

より詳しく価格設定の方法について知りたい方は、下記の記事を参照してください!

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買回品とは?具体例や効果的に販売する方法を解説

買回品

私たち消費者が購入・使用する商品は消費財と呼ばれます。

消費財と一括りにしましたが、トイレットペーパーなどの日用品から高級ブランドの腕時計に至るまで、あらゆるものが消費財に含まれます。

そんな範囲が非常に広い消費財ですが、顧客の購買態度から「最寄品」「買回品」「専門品」「非探索品」の4つに分けて考えることが可能です。

それぞれの持つ特徴は大きく異なるため、商品の分類に応じて適切な方法で販売する必要があります。

この記事では、買回品の意味や特徴、最適な販売方法を具体例を交えながらお伝えします。

製品を仕入れて販売するビジネスを行う方に役立つ内容なので、ぜひ一読してください!

  • 買回品とは?〜どのような意味や特徴を持つのか〜
    • 買回品の意味
    • 買回品の特徴
  • 買回品の具体例
    • 大型家電
    • 衣料品
    • スマホ・パソコン
  • 買回品を効果的に販売する方法
    • 広告や人的販売に力を入れる
    • 品質に釣り合う価格を設定する
  • 買回品のまとめ

買回品とは?〜どのような意味や特徴を持つのか〜

まず最初に、買回品の意味と特徴を簡単にご説明します。

買回品の意味

買回品とは、消費者が購買に際して品質や価格などの比較に時間をかける製品を意味します。

さまざまな店舗を見て回って価格や品質を比べた上で購入することから、「買回品」と呼ばれます。

買回品の特徴

買回品には、以下に示す3つの特徴があります。

  • 購買頻度が低い
  • 計画的に購入される傾向が強い
  • 最寄品(日用品)よりも価格が高い

上記3つの特徴を満たしていれば、買回品と呼べます。

上記の特徴を持つため、買回品はスーパーやコンビニではなく、百貨店や郊外にある大型店舗などで販売されるケースが多いです。

買回品の具体例

買回品とは、先ほどお伝えした3つの特徴を持ち、品質や価格の比較に時間をかける製品を指します。

では具体的には、どのような商品が買回品に該当するのでしょうか?

大型家電

買回品の最たる例といえば、テレビや冷蔵庫などの大型家電です。

私たちは家電を購入するとき、基本的にはブランド間の値段や品質を慎重に比較して購入します。場合によっては、複数店舗の間で値段を比較する人もいたりします。

また家電の多くは数万円以上する高価格の商品であり、引越しなどのために計画的に購買されます。

衣料品

人によるかもしれませんが、衣料品も買回品の一例に含まれます。

例えば洋服を購入する際、多くの人はデザインや着心地を慎重に比較した上で購入します。水や洗剤を買うときのように、ほとんど何も考えずに購入することはないでしょう。

また数万円以上にのぼる衣料品もあり、この点も買回品の特徴を満たしています。

スマホ・パソコン

私たちの生活に欠かせないスマホやパソコンも、買回品の特徴を満たしています。

比較的高価である上に、デザインや品質を比較した上で購入しますよね。

特にこだわりがある方は、複数のブランド間で慎重に性能を比較するでしょう。 

買回品を効果的に販売する方法

買回品を販売する際には、商品の特性を踏まえた上で販売するのがポイントとなります。最寄品や専門品と同じように販売しては、売れるものも売れなくなる恐れがあります。

この章では、買回品を効果的に販売する方法を2つお伝えします。

広告や人的販売に力を入れる

お伝えしてきたように買回品は、価格や品質を慎重に比較検討された上で購買される商品です。

そのため広告や人的販売により、販売する商品の特徴や使用して得られるメリットなどを詳しく明確に伝える必要があります。

特に人的販売は、顧客からの質問に答えながら双方向的に商品の良さをアピールできる手段です。購入率を上げたいのであれば、優秀な販売員を活用して買回品を販売する施策が求められるでしょう。

品質に釣り合う価格を設定する

買回品は、品質や価格を総合的に比較検討した上で購買に至ります。

つまり消費者は、その商品から得られるメリットと費用を天秤にかけた上で購買の判断を行うわけです。

商品の価格が品質に見合わない(割高である)と判断すれば購買に至りませんし、その逆であれば購買に至ります。

買回品を販売する際は、品質(使用して得られるメリットなど)に見合う価格を設定しましょう。

買回品のまとめ

今回の記事では、買回品の意味や特徴、具体例、販売のポイントを解説しました。

大型家電やスマートフォンなどに代表される買回品は、計画的かつ慎重に購買されるという特徴を持ちます。

つまり消費者はノリやその場の突発的な感情よりも、商品の品質を慎重に比較検討した上で購買に至ります。

よって買回品を販売する際には、広告や人的販売により商品のメリット・デメリットや使い方などを詳細にわかりやすく伝える工夫がとても大事となります。

また価格設定を行うときは、品質に見合う妥当な価格をつける必要があります。

買回品に該当する商品を販売する際は、今回お伝えした内容を参考にしてくれると嬉しいです!

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経営管理とは?経営企画との違いや実務の範囲などを解説!

経営管理とは

これまで仕事をしてきて、「経営管理」という用語を耳にした経験はないでしょうか?

一度は耳にしたことがあるだろう「経営管理」ですが、具体的にどのような仕事を行うのかいまいちピンと来ない方も多いと思います。

この記事では、そんな経営管理とは何なのかを極力わかりやすくお伝えします。

経営管理の意味や経営企画との違い、経営管理を行う上で意識したいポイントなどを知りたい方は必見です。

  • 経営管理とは?経営管理の意味
  • 経営管理と経営企画・経営戦略の違い
    • 経営企画・経営戦略とは?
    • 経営企画や経営戦略を具体的に遂行するプロセスが「経営管理」
  • 経営管理の実務で扱う範囲
    • 生産管理
    • 販売管理
    • 人事・労務管理
    • 財務管理
  • より良い経営管理を行うには
    • PDCAサイクルやKPIによる管理を徹底する
    • 経営管理システムを活用する 
  • 経営管理のまとめ

経営管理とは?経営管理の意味

経営管理とは、経営目標の達成や経営戦略の遂行を目指して、生産や販売、人事、財務といった企業経営に必要な要素を総合的に統制・調整する活動を意味します。

「経営管理」という考え方は、20世紀初頭に「経営学の父」と呼ばれたフレデリック・テイラーが提唱したことが始まりと言われています。

その後フランスの経営学者アンリ・ファヨールが本格的に研究したことで、「経営管理論」という学問として広く知られることになりました。 

経営管理と経営企画・経営戦略の違い

経営管理と混同されがちな用語に、「経営企画」や「経営戦略」と呼ばれるものがあります。

一見すると同じように思えますが、経営管理と経営企画や経営戦略は異なる概念です。

経営企画・経営戦略とは?

経営企画とは、経営ビジョンや目標に基づいて、市場の調査を行ったり計画や戦略を策定する業務、または業務を行う部署を意味します。

そして市場や自社の状況に基づいて、目標達成の手段として策定されるのが「経営戦略」です。

経営企画や経営戦略を具体的に遂行するプロセスが「経営管理」

経営企画や経営戦略の業務は、あくまで計画や戦略を立てるに過ぎません。企業経営で利益を得るには、計画や戦略を実際に行動に移す必要があります。

経営企画や経営戦略を行動に移していくプロセスが「経営管理」です。

経営管理の実務では、計画(戦略)に基づいてヒトやカネといった経営資源を実際に運用していきます。

また、実際に計画通り事業が進捗しているかを確認するのも経営管理の大事な仕事です。計画に基づいてKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に進捗状況を確認します。

計画通りに進捗していない場合は、原因を究明した上で対策を講じる必要もあります。

つまり経営管理とは、PDCAサイクルを回すことで経営企画や経営戦略の達成を目指す活動であると言えます。

PDCAサイクルについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください!

www.bizkurage.com

経営管理の実務で扱う範囲

一口に経営管理といっても、経営管理には「生産管理」、「販売管理」、「人事・労務管理」、「財務管理」といった範囲に分けられます。

この章では、経営管理の実務で扱う範囲を詳しくお伝えします。

生産管理

生産管理とは、適正な品質や納期、数量で製品を生産できるように、生産プロセスを管理する業務全般を意味します。

具体的には、納期や在庫の管理、生産計画の策定、工程の進捗や製品品質の管理、原価管理などの業務を担います。

製造業で特に重視される生産管理を実施することで、品質の向上や製造コストの削減、納期の短縮化などを実現できます。 

販売管理

販売管理とは、文字通り商品・サービスの販売に関する経営管理です。

具体的には、顧客からの受注や出荷、代金の請求、顧客データなどの管理業務を行います。

販売管理を実施することで、「だれに・何を・どのくらい」販売しているかを可視化でき、過剰在庫の削減や作業の自動化などを実現できます。

また顧客の購買データを管理することで、売れ筋商品や顧客のニーズを把握でき、新製品の販売などによる売り上げの増加効果も期待できます。

参考:https://www.daikodenshi.jp/daiko-plus/production-control/what-is-sales-management/

人事・労務管理

人事・労務管理とは、 労働力(就業者)に関する経営管理の活動であり、労働力を最大限活用することを目指す「人事管理」と、労働者と会社との間の利害関係の調整を目指す「労務管理」の総称となります。

具体的には、採用や人事考課、賃金、異動、社会保険、福利厚生、労働組合などに関する運用や管理を行います。

賃金管理や採用など、人事・労務管理では会社経営に不可欠な部分を取り扱います。特に賃金や福利厚生は、従業員のモチベーションを左右するので慎重に施策を運用する必要があります。

会社の長期的な業績を左右する可能性があるため、経営管理の担当者は人事・労務の分野を軽視してはいけません。

参考:人事業務で労務担当者の役割とされる具体的な仕事内容とは? | HR NOTE

財務管理

財務管理とは、財務(ファイナンス)面から企業経営をアシストする経営管理の業務です。

具体的には、「資金調達の計画策定や実行」、「資産運用」、「M&Aの計画と実行」、「資本政策」などを行います。

業務の内容は多岐にわたりますが、資金の調達・運用により企業価値の向上を目指すことが財務管理の目的と言えます。

どれほど優れたビジネスプランや経営戦略があっても、キャッシュが存在し、それを適切に増やせなければ会社は存続しません。

その点で言うと、企業の規模や設立年数に関係なく、財務管理は経営管理の中でも欠かせない活動です。

より良い経営管理を行うには

外部環境の変化が著しい昨今、経営管理が必ずしも上手くいくとは限りません。

多角化や海外進出の影響で経営管理が複雑となり、思うように管理の成果が表れなくなる場合もあります。

この章では、そんな課題が生じやすい経営管理で、より良い結果を出す上で役に立つポイントを2つご紹介します。 

PDCAサイクルやKPIによる管理を徹底する

PDCAサイクルとは、計画・行動・評価・修正のサイクルにより業務の質向上を目指す経営管理の手法です。

PDCAサイクルを活用することで、現段階ですべきことを明確にしたり、ある計画で失敗しても失敗で得られた知見を次に活かせます。

一方でKPIとは、目標達成の上でとくに重要となる指標(数字)を意味します。

従業員に対して適切なKPIを設定することで、目標を明確にした上で的確な行動を行ってもらえるようになります。

KPIやPDCAサイクルなどの手法を徹底して活用することで、複雑な状況下でも適切な経営管理を行えるでしょう。

経営管理で役立つフレームワークや手法を詳しく知りたい方は、下記のリンク先を参考にしてみてください。

www.bizkurage.com

経営管理システムを活用する 

事業規模や事業の範囲が拡大する伴い、経営管理で行う業務量の増加や業務の複雑に直面します。

データの入力量が膨大となる上に、情報の管理・分析にも多大な労力や時間がかかるようになるため、人の力のみで業務を遂行していくことは難しくなります。

そこでおすすめなのが、経営管理を自動化できるツールの導入です。

顧客のデータを一元的に管理できるERPなどのシステムを導入することで、経営管理に費やす労力や時間を削減する効果を期待できます。

近年は人工知能技術の進歩などに伴い、より経営管理システムの性能が高まっており、より少ない時間で複雑な業務を行えるようになっています。

多角化や海外進出などにより事業構造が複雑化してきたら、経営管理のシステムを導入してみてはいかがでしょうか? 

経営管理のまとめ

今回の記事では経営管理とは何なのかを、経営企画・戦略との違いを交えつつご説明しました。

策定した計画や戦略を成功させるには、生産工程や販売データを適切に管理し、悪い部分は日々改善し続ける必要があります。

ただし経営管理の実務は、多角化や経済のグローバル化などの影響により、日々複雑化しています。

ERPなどの経営管理システムの導入やKPIの徹底などにより、複雑化した経営管理を少しでも行いやすくする工夫が求められます。

今回ご紹介した内容が、経営管理の業務に少しでもお役に立てば幸いです!

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定量発注方式とは?計算方法を具体例を使って解説します!

定量発注方式

飲食や小売、製造などあらゆる業種で必要となるのが「発注」です。

一見すると大して重要に思えないものの、発注量が適正かどうかは利益の額を左右するため注意して実施する必要があります。

発注方式にはさまざまありますが、今回は「定量発注方式」のメリット・デメリット、計算方法をお伝えします。

発注業務があるビジネスに携わる方はぜひ参考にしてください! 

  • 定量発注方式とはどのような発注方式なのか?
  • 定量発注方式のメリットとデメリット
    • 定量発注方式のメリット
    • 定量発注方式のデメリット
  • 定量発注方式で重要な「安全在庫」「発注点」「経済的発注量」の計算式
    • 安全在庫の計算式
    • 発注点の計算式
    • 経済的発注量の計算式
  • 定量発注方式による計算の具体例
    • STEP1:発注点を求める
    • STEP2:経済的発注量を求める
  • 定量発注方式のまとめ

定量発注方式とはどのような発注方式なのか?

定量発注方式とは、在庫量が一定量(発注点)まで減ったタイミングで、あらかじめ定めた量(経済的発注量)を発注する方式です。

毎度の発注量は異なるが発注間隔は同じ定期発注方式とは違い、定量発注方式では発注量は一定であるものの発注のタイミングは不規則です。

定量発注方式は、後述するメリット・デメリットから「需要変動の小さい商品」や「単価の安いもの」、「安定的に入手できるもの」の在庫管理で導入します。

一方で定期発注方式は、「需要変動の大きい商品」や「値段の高いもの」の在庫管理に適しています。

定量発注方式と定期発注方式は、利点や導入が適している場面が異なるので注意が必要です。

定量発注方式のメリットとデメリット

定量発注方式を活用すると、どのようなメリットやデメリットが想定されるのでしょうか?

この章では、定量発注方式のメリットとデメリットをお伝えします。

定量発注方式のメリット

定量発注方式には二つのメリットがあります。

一つ目のメリットは運用や管理を行いやすい点です。

定期発注方式の場合、発注するたびに需要予測のために面倒な計算を実施する必要があります。一方で定量発注方式では、最初に発注量を決定してしまえば、面倒くさい計算を実施する必要がありません。

二つ目のメリットは事務処理の効率化や自動化を図りやすい点です。

定期発注方式では毎回需要予測に基づいた発注を実施する必要があるので、事務処理も面倒になります。一方で定量発注方式の場合、発注量を決めた後は特段面倒な手続きを実施せずに済むので、事務処理を効率化したり自動化を図りやすいです。

定量発注方式のデメリット

定量発注方式を導入する際には、在庫量の過不足が生じやすいデメリットを忘れてはいけません。

定量発注方式では毎回発注する量が同じなので、需要が突発的に増加すれば在庫切れ、減った場合は過剰在庫となる恐れがあります。

この理由から、定量発注方式では需要が安定している商品や原材料に適用するのがセオリーとなっているのです。

定量発注方式で重要な「安全在庫」「発注点」「経済的発注量」の計算式

定量発注方式では、安全在庫、発注点、経済的発注量の計算が必要となります。

この章では、それぞれの計算方法をわかりやすくお伝えします。

安全在庫の計算式

安全在庫とは、事前予測が困難な在庫消費量の変動に備える目的で、多めに保有する在庫を意味します。

安全在庫は次の計算式で算出します。

  • 安全在庫 = 品切れ許容率に基づく係数 × √調達リードタイム × 需要量の標準偏差

調達リードタイムとは、発注してから納入されるまでの期間を意味します。なお需要量の標準偏差を算出する際は、一定期間の需要量を用います。

安全在庫の計算方法は、この記事の最後にある定期発注方式の記事で解説しています。

詳しく説明すると本筋からズレるため今回は割愛しますが、詳しく知りたい方は下記の記事が参考になります。

shikumika.com

発注点の計算式

発注点とは、定量発注方式において発注を行う水準となる点です。

つまり定量発注方式では、在庫量が発注点まで減ったタイミングで発注を行います。

発注点は以下の計算式で算出します。

  • 発注点 = L × α +  安全在庫

L:調達リードタイム

α:調達リードタイム中の1日あたりの平均需要量

経済的発注量の計算式

経済的発注量とは、ある一定期間における発注費用と在庫費用の合計を最も小さくする発注量です。

 

結論から言うと、経済的発注量は「年間在庫費用」と「年間発注費用」が同じとなる時の発注量になります。

なぜそうなるかは定量発注方式の本筋からズレるため、今回は割愛します。

この前提を踏まえると、経済的発注量は下記の通り計算できます。

  • 経済的発注量 = √ (2SR ÷Pi)

S:1回あたりの発注費用

R:年間需要量

P:在庫品の単価

i:在庫費用率(保管する在庫の価格のうち、在庫の保管費用が占める割合)

定量発注方式による計算の具体例

定量発注方式の計算式が分かっても、実際に使いこなせなければ意味がないですよね。

より定量発注方式の理解を深めるために、定量発注方式による計算の具体例をお伝えします。

例)下記の条件の時の発注点と経済的発注量を求める

  • A原材料の調達リードタイム:10日
  • A原材料の1日あたり使用量:30個
  • 安全在庫:400個
  • 1回あたり発注費用:200円
  • 在庫品の単価:4,000円
  • 年間需要量:11,000個
  • 在庫費用率:10%

STEP1:発注点を求める

まず初めに発注点を求めます。

前述した計算式に当てはめると、発注点は下記のとおり算出されます。

  • 発注点 = 10 × 30個 + 400個 = 700個

つまり定量発注方式に基づくと、在庫が700個になったタイミングで発注を行えば良いとなります。

STEP2:経済的発注量を求める

つぎは経済的発注量を求めます。

前述した計算式に当てはめると、経済的発注量は下記のとおり算出されます。

  • 経済的発注量 = √ {(2 × 200 × 11,000) ÷ (4,000 × 0.1)} ≒ 105個

つまり定量発注方式に基づくと、毎回105個だけ発注することが最適であるとなります。

定量発注方式のまとめ

今回の記事では、定量発注方式の意味やメリット・デメリット、計算方法などを解説しました。

需要変動に弱いと言うデメリットこそ持つものの、事務処理や管理が簡単と言うメリットもあります。

そのため、需要量が安定していたり、値段が安い商品や原材料とは相性が非常に良いです。

飲食店や小売店など、在庫を抱えるビジネスを実施する際にはぜひ定量発注方式を活用してみてください。 

なお下記の記事では、定期発注方式のメリット・デメリットや計算方法を解説しています。

定期発注方式を詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてくれると嬉しいです。

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選択と集中〜最小の経営資源で最大の結果を出す上で不可欠な戦略〜

選択と集中

外部環境の変化の激しい昨今、多角化により経営のリスクを分散すべきという考えが広まっています。

しかし他方で、あえて自信のある事業ドメインに経営資源を集める「選択と集中」という経営戦略により成功をおさめた企業も実在します。

特に経営資源の量が少ない中小企業にとっては、「選択と集中」はものすごく合理的な行動です。

そんな「選択と集中」とは、いったいどのような経営戦略なのでしょうか?

この記事では、選択と集中の意味や成功・失敗事例、成功させるポイントなどをわかりやすくお伝えします。

なお中小企業に「選択と集中」をオススメする理由は最後の章でお伝えするので、ぜひご参考にしてくれると嬉しいです!

  • 選択と集中とは?
    • 「選択と集中」の意味
    • 「選択と集中」を実践する手段
  • 「選択と集中」を意識した経営戦略のメリットとデメリット
    • 選択と集中のメリット
      • メリット①:効率的に収益を増やせる
      • メリット②:コストカットにつながる
    • 選択と集中のデメリット
      • デメリット①:経営上のリスクが上がる
      • デメリット②:後々大きく伸びる分野を切り捨てるおそれがある
  • 選択と集中の成功事例・失敗事例
    • 選択と集中の成功事例:日立製作所
    • 選択と集中の失敗事例:シャープ
  • 選択と集中を成功させるポイント
    • 多面的な視点から集中する事業を見さだめる
    • 長期的な目線で選択と集中を実践する
    • 利害関係者からの理解を獲得する
  • 中小・零細企業にとって「選択と集中」と「多角化」のどちらが良いか?
  • 選択と集中のまとめ

選択と集中とは?

まずはじめに、選択と集中の意味や実践手段をお伝えします。

「選択と集中」の意味

選択と集中とは、自社が強みとする事業を見さだめた上で、その事業に経営資源を集める経営戦略であり、多角化している企業に有効です。

簡単にいうと、苦手なビジネスは辞めてしまって、自信のあるビジネスに特化して取り組む経営戦略です。

「選択と集中」はピーター・ドラッカー氏が主張した考え方であり、ドラッカー氏からコンサルティングを受けたウェルチ氏が世間に広めたことで知られています。

ウェルチ氏はドラッカー氏の助言通り、自社がいちばん自信を有する事業のみに特化する経営戦略を遂行しました。その結果、ウェルチ氏が経営する会社は大成功をおさめました。

ウェルチ氏の実績もあいまって、現在に至るまで「選択と集中」はおおくの多角化企業で実際に実践されています。

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「選択と集中」を実践する手段

選択と集中の実践に際しては、主力事業以外をどうするのかが気になると思います。

基本的には、事業規模を縮小もしくは完全にそのビジネスから退きます。

ただし状況次第では、M&Aにより事業を売却する手段も活用できます。

単純に事業を縮小・退く場合とは違い、事業売却すれば売却利益を獲得できます。売却した利益を「特化する事業」に投入すれば、より選択と集中の効用を増やせるでしょう。

ただし事業を売却すると、取引先や従業員から反感を買うおそれがあるため、実践に際しては慎重な行動が求められます。

「選択と集中」を意識した経営戦略のメリットとデメリット

選択と集中を意識した経営戦略には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

この章では、選択と集中のメリットとデメリットをそれぞれわかりやすくお伝えします。

選択と集中のメリット

選択と集中を実践すると、下記2つのメリットを得られます。

メリット①:効率的に収益を増やせる

同種・同量の経営資源を使うと仮定すると、苦手なところよりも自信がある事業ドメインの方がよりおおくの収益を得られます。

選択と集中により自信があるドメインに特化することで、より効率的に収益を増やせます。

例えば苦手な仕事では1時間働くことで1万円、得意な仕事では1時間働くことで2万円得られるとしましょう。

それぞれの仕事を1時間ずつ行うと、1+2=3万円の収入になります。

他方で選択と集中により、苦手な仕事に費やす時間を得意な仕事に費やすとどうなるでしょうか?2+2=4万円稼げるようになり、苦手な仕事に時間を費やした場合よりもおおく稼げます。

多角化している企業でもこの例と同様に、強みを活かせる主力事業に特化することで、よりおおくの収益を得られるメリットを得られるのです。

メリット②:コストカットにつながる

選択と集中の有する二つ目のメリットは、コストカットの効用を得られる点です。

自信がある事業ドメインに特化すれば、多角化している企業と比べて、一つの事業における作業の標準化や習熟化が進みやすくなります。

標準化や習熟化により、労働時間の圧縮や原材料のカットにつながり、結果的にコストを減らせるようになります。

コストのカットに伴いおおくの利益を手元に残せるようになる点は、選択と集中による著しいメリットと言えます。

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選択と集中のデメリット

著しいメリットを見込める経営戦略ですが、選択と集中には以下のようなデメリットがあります。 

デメリット①:経営上のリスクが上がる

選択と集中を実践する上で、外部環境の変化に対応しにくくなるデメリットは絶対忘れてはいけません。

複数のビジネスを実践する企業であれば、 ある事業の業績が急降下しても、他の事業で収益を獲得することで経営を存続できます。

 他方で選択と集中を実践すると、仮に技術力の進歩や市場ニーズの変化により業績が急降下した場合に、他の事業でカバーできないため、倒産するリスクが増えます。

特に近年は、技術力の進歩や消費ニーズの多様化に伴い、一つのビジネスで安定的に利益を得つづけることが難しくなっています。

変化の激しい現代においては、選択と集中はハイリスクな経営戦略である点に注意しておきましょう。

デメリット②:後々大きく伸びる分野を切り捨てるおそれがある

選択と集中では、採算性が高い事業のみを残し、それ以外の事業を全て切り捨てます。

たしかに選択と集中を実践すれば収益性は上がるものの、長期的に見ると甚大な機会損失を招くおそれがあります。

今現在収益性が低くても、後々大化けして「金のなる木」になる可能性は十分あります。

このような潜在性の大きいビジネスを切り捨ててしまうと、長期的に見るとかえって損失となるかもしれません。

選択と集中の成功事例・失敗事例

選択と集中により華々しい成功をおさめた企業が実在する中で、失敗して大損失をこうむった企業も実在します。

この章では、選択と集中で成功した事例と失敗した事例をそれぞれご紹介します。

選択と集中の成功事例:日立製作所

国内企業の中で、選択と集中により成功した最たる例が日立製作所です。

2000年代後半まで同社は、バブル崩壊やリーマンショックにより業績が著しく低迷していました。

そこで経営改善に向けて同社では、自社の強みである技術力に着目し、選択と集中を実践しました。

具体的には、採算性が取れていなかった家電事業から退いて、「社会インフラ事業」や「情報通信事業」に経営資源を集めました。

選択と集中により同社は、その後に過去最高の当期純利益を記録するなど、見事なV字回復を遂げました。

選択と集中の失敗事例:シャープ

他方で選択と集中に失敗した事例として知られているのがシャープです。

2000年代初頭から同社は、従来の家電事業などに加えて、液晶事業も始めました。そんな液晶事業は大成功をおさめ、同社は急速に業績を伸ばしました。

そこで同社は選択と集中により、好業績をおさる液晶事業へ経営資源を集める戦略をとりました。 

しかし中国や韓国が低価格で液晶製品を販売し始めた影響などにより、液晶事業の業績は悪化し、やがてその悪影響は会社全体に及びました。

液晶事業への選択と集中の失敗もあいまって、同社は鴻海精密工業の傘下に入らざるを得なくなりました。

※参考

事業における「選択と集中」とは?メリット、成功・失敗事例をご紹介 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア

選択と集中を成功させるポイント

デメリットの項でお伝えしたように、選択と集中はハイリスクで難易度の高い経営戦略です。

そんな選択と集中を成功させるには、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

この章では、選択と集中を成功させる上で絶対おさえるべきポイントを3つお伝えします。

多面的な視点から集中する事業を見さだめる

選択と集中を実践する際は、自社の経営資源だけでなく、消費者のニーズや技術力の進歩など、外部の環境も考慮した上で特化する事業を見さだめましょう。

たとえ自社の強みを活かせる事業であっても、代替品や強力な競合他社が出現することで、選択と集中による収益性の向上効果を得られない場合もあります。

SWOT分析やファイブフォース分析などのフレームワークを用いて、多面的な視点から集中すべき事業を見さだめるのが大事です。

選択と集中を実行する際に役立つフレームワークについては、下記の記事で詳しくお伝えしています。

ぜひご参照ください!

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長期的な目線で選択と集中を実践する

選択と集中を実践する際には、今後数十年のことも考慮する必要があります。

先ほどお伝えしたように、のちのち大きくグロースする事業をむやみに切り捨てるのは、長期的に見ると損失です。

今現在はダメでも後からグロースしそうな新規事業などがあれば、規模を縮小してでも存続させる戦略も一つの手です。

利害関係者からの理解を獲得する

選択と集中により不採算事業を切り捨てると、その事業に従事していた従業員から反感を買うおそれがあります。

これまでの頑張りが無駄だったと従業員に思われてしまうと、モチベーションが低下してしまい他の事業にも悪影響が及ぶおそれがあります。

また企業に出資してくれている株主からも、「なぜこの事業を辞めてしまうのか?」と反感を買い、出資してもらえなくなるおそれがあります。

企業経営にとって、利害関係者となる従業員や株主は欠かせません。

選択と集中が必要な理由を根拠立ててしっかりと伝えて、従業員や株主から理解をしっかり得ておくのが大切です。

中小・零細企業にとって「選択と集中」と「多角化」のどちらが良いか?

中小・零細企業(ベンチャー含む)にとっては、「選択と集中」により一つの事業ドメインに特化する戦略と、多角化により複数のビジネスを戦略のどちらが良いのでしょうか?

結論から言うと大半の中小・零細企業にとっては、選択と集中の方が適していると考えています。

企業経営を継続するには、人件費や宣伝広告費などを十分賄えるほどの収益を得つづけなくてはいけません。

中小企業や個人事業主は、保有する経営資源の量が少ないです。

そのため多角化を実践すると、ただでさえ少ない経営資源が分散してしまい、どの事業も中途半端となってしまいます。

その結果、人件費や宣伝広告費をまかなえるだけの収益を得られず、企業経営を存続できなくなるおそれがあります。

この点を踏まえると、限りある経営資源で最大限の収益を生み出せる「選択と集中」の方が、保有する経営資源が少ない中小企業に適した経営戦略といえます。

 

確かに選択と集中には、リスクを分散できないデメリットがあります。

ですが経営資源に限りがある中小企業の場合は、そのリスクに目をつぶってでも、まずは一つの事業で十分な収益を得つづける方が良いです。

他の事業に資金を回せるほど一つの事業が成功した段階で、多角化に取り組んだ方が低リスクで確実です。

一つの事業ドメインで成功しないまま多角化に取り組んだ結果、全てが中途半端にならないように注意しましょう。

選択と集中のまとめ

自信がある事業ドメインに特化する「選択と集中」は、限られた経営資源で沢山の収益を得られる経営戦略です。

しかし他方で、収益分散の効用が得られない点や潜在性の大きい事業を切り捨てるおそれがある点など、無視できないデメリットもあります。

選択と集中を実践する際は、多面的な視点や長期的な視点から、事業の選択と集中を実践していく必要があります。

ハイリスクではあるものの、まだ十分成功している事業ドメインがない限り、中小企業は「選択と集中」を意識した経営を実践するのがおう好ましいです。

 まずは「選択と集中」の考え方に基づいて強みを活かせる主力事業に特化し、十分成功してから多角化に取り組むのをオススメします!

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最寄品とは?商品の例や売るポイントを徹底解説!

最寄品

「トイレットペーパー」や「お水」を一切購入(利用)したことがない方はいるでしょうか?

おそらく99.9%の方は、人生で一度以上はトイレットペーパーやお水を購入した経験があると思います。

このように私たちの生活には、ほぼ必ず高い頻度で購入する商品が存在します。

そのような製品をマーケティングの専門用語では「最寄品」と呼びます。

最寄品を販売する際には、高級ブランド品(専門品)や家電(買回品)とは違った方法で販売する必要があります。

この記事では、最寄品の特徴や具体例、最適な販売方法をわかりやすくお伝えします。

  • 最寄品の意味とは?〜最寄品の持つ特徴〜
    • 最寄品の意味
    • 最寄品の持つ特徴
  • 最寄品に該当する商品の例
    • 生活必需品(トイレットペーパーや水など)
    • ファーストフード
    • 日用雑貨
  • 最寄品を売る際のポイント 
    • 幅広い場所(多くの店舗)で販売
    • 便利な立地で販売
    • 大々的にプロモーションを行う
  • 最寄品のまとめ

最寄品の意味とは?〜最寄品の持つ特徴〜

まず初めに、最寄品がどのようなものかを簡単にお伝えします。

最寄品の意味

最寄品とは、消費者の購買頻度が高く、購入する際にあまり意思決定に労力や時間を割かない商品を意味します。

簡単に言うと、日常的にしょっちゅう購入している安い生活必需品が最寄品です。

「あまり労力を割かずに最寄りのお店で買うから最寄品」とイメージすれば覚えやすいかと思います。 

最寄品の持つ特徴

最寄品には、上記でお伝えした以外にも下記のような特徴があります。

  • 購買頻度が高い(日常的に購入する)
  • 計画的に購入されることは少ない
  • 低価格

上記の特徴を持つ最寄品は、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される場合が多いです。

最寄品に該当する商品の例

具体的には、どのような商品が最寄品に該当するのでしょうか?

最寄品に該当する商品例を3つご紹介します。

生活必需品(トイレットペーパーや水など)

冒頭でもお伝えしたように、トイレットペーパーや水といった私たちの生活に欠かせない製品は最寄品に該当します。

トイレットペーパーや水を購入する際、わざわざ原材料を詳しく調べたり、複数の店舗を回って比較したりしませんよね?

また生活必需品は、備蓄が無くなった時やセールの時といった突発的なタイミングで購入されるケースがほとんどであり、この点も最寄品の特徴に当てはまります。

ファーストフード

マクドナルドや吉野家などのファーストフードって、突然食べたくなりませんか?

突発的に食べたくなるファーストフードも、計画性の低さや価格の安さといった面から最寄品に含まれます。

日用雑貨

セロハンテープやのり(くっつける方)など、日用的に使う雑貨も最寄品の一種です。

こういった日用雑貨は、基本的に無くなった時や必要となったタイミングで突発的に購入されます。

また低価格である点や購入に労力を割かない点でも、最寄品としての特徴を兼ね備えています。

最寄品を売る際のポイント 

日用雑貨や生活必需品などは、一体どのように販売するのが最適なのでしょうか?

この章では、最寄品を売る際に意識すべきポイントを3つご紹介します。

幅広い場所(多くの店舗)で販売

最寄品のほとんどは、消費者の生活に広く浸透している製品でありながら、かなり低価格で販売されます。

そのため、幅広い場所やより多くの店舗で販売することで利益を確保する必要があります。

少ない店舗数では、多くの利益を確保するのは難しいかもしれません。

便利な立地で販売

消費者は最寄品の購入に関して、あまり労力や時間を割きたくないと考えています。

そのため、お客さんが購入しやすい立地で販売することが必須となります。

利便性の悪い場所で販売すると、駅前などの好立地で販売する他社に勝てません。

最寄品を販売する際は、住宅街や駅前など、利便性の高い場所に店舗を構えるのが重要です。

大々的にプロモーションを行う

くどいようですが、消費者は最寄品の購入に際してあまり労力を使いません。

つまり消費者が進んでブランド間の比較を行い、指名買いするようなケースはないのです。

よって大々的にプロモーションを実施し、企業の方から商品をアピールする必要があります。

製品を作って売るだけでは、消費者に認知してもらえず収益を得るのは困難でしょう。

最寄品のまとめ

最寄品の説明は以上になります。

私たちの身近な生活に欠かせない最寄品は、あまり意思決定に労力を割かずに購入されます。ですので、とにかく認知度を高めつつ、幅広い場所で販売する施策が求められます。

このような特徴があるため、最寄品の販売ではどうしても大手企業の方が有利となる傾向があります。

最寄品を販売する個人商店が、大手企業の進出を契機に潰れてしまうケースは少なくありません。

これから何か商品を販売する事業を行いたい方は、難易度が高いことをあらかじめ認識しておきましょう。

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経験曲線効果とは?発生要因や経営戦略での役立て方を解説

経験曲線効果

「最初は苦手で思うようにいかなかったけど、やっていくうちに効率的にできるようになった」

誰しも一度は、このような経験をしたことがあるのではないでしょうか?

例えば英会話や自転車の運転など、私たちの身近な生活には、最初は全くできなくてもやっていくうちに段々と上達する事柄がたくさんあります。

このような効果は、実はビジネスでもしばしば発生します。

このような効果をビジネスでは「経験曲線効果」と呼び、この効果を有効活用できれば経営戦略の幅が広がります。

今回は、そんな経験曲線効果の意味や発生要因、経営戦略での役立て方をわかりやすくお伝えします。

  • 経験曲線効果とは
  • 経験曲線効果が生じる要因
    • 作業者が仕事に慣れる
    • 作業方法が標準化される 
  • 経験曲線効果を経営戦略でどのように役立てるか?
    • 経験曲線効果が生じやすい市場で参入障壁を築く
    • コストリーダーシップ戦略により競争優位性を確立する
  • 経験曲線効果のまとめ

経験曲線効果とは

経験曲線効果とは、製品の累積生産量が増加するに伴って、製品一個あたりの生産コストが減少する効果を意味します。

下記のグラフのように、累積生産量の増加に伴い(一個あたり)生産コストが曲線状に減少することから、「経験曲線効果」と呼ばれています。

経験曲線効果

経験曲線効果は、1960年代に世界的な経営コンサルファーム「BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)」の創業者の一人ブルース・ヘンダーソン氏が実際に企業を研究することで発見した理論です。

一般的には、累積生産量が倍増するたびに1個あたりの生産コストが10%〜30%前後減少すると言われています。

なお生産コストの減少という点で経験曲線効果と規模の経済は混同されがちですが、両者の意味は大きく異なります。

規模の経済性とは、「生産規模の拡大」に伴って一つあたりの平均生産コストが減少する効果です。

一方で経験曲線効果は、「累積生産量の増加」に伴い、一つあたり生産コストが減少する効果です。

規模の経済性とは異なり、工場の増設や人員増加を行ってすぐには経験曲線効果は得られないので注意が必要です。

たとえ生産規模が小さくても、累積生産量が増えれば経験曲線効果を得ることができます。

経験曲線効果が生じる要因

経験曲線効果は主に下記2つの要因により発生します。

作業者が仕事に慣れる

経験曲線効果が生じる最たる要因は、作業者が仕事に慣れることです。

同じ製品を作り続けることで、コツを覚えて短時間で効率的に作業を進められるようになります。

例えば初めてパソコンを使った時を思い出してみてください。1つの文章を打つのにも時間がかかりましたよね。

ですが何回もパソコンを使い続けるうちに、キーボードを見なくてもタイピングできるようになり、短時間で多くの文字を打ち込めるようになります。

短時間で作業できるようになれば、その分だけ人件費などの費用を削減できます。

作業方法が標準化される 

同じものを作り続けるうちに、効率的に作業を行うマニュアルが確立されます。

標準化により当初よりも短時間での生産が可能になることも、経験曲線効果の発生につながります。 

経験曲線効果を経営戦略でどのように役立てるか?

経験曲線効果の説明は以上になります。

ですがただ経験曲線効果の意味や要因を知っているだけでは、ビジネスには何も立たないです。

経験曲線効果を経営戦略の策定に役立ててはじめて、実践的な知識としての意義があると言えます。

この章では、経験曲線効果を経営戦略で役立てる方向性を2つご提示します。

経験曲線効果が生じやすい市場で参入障壁を築く

経験曲線効果が生じやすい市場では、先に市場に参入した企業ほど低コストで生産することが可能になります。

低コストでの生産が可能になれば、より多くの利益を得たり、価格競争の面で有利となります。

新規参入を検討する企業にとっては、価格競争や利益の面で最初から不利な状況で事業を行わざるを得なくなります。

つまり経験曲線効果が生じやすい市場でいち早く事業を行えば、参入障壁を築いて無益な競争を避けることができるのです。

コストリーダーシップ戦略により競争優位性を確立する

経験曲線効果は、すでに同種の事業を行う他社との競争でも有利に働きます。

競争優位性を獲得する経営戦略の一つに「コストリーダーシップ戦略」があります。

コストリーダーシップ戦略とは、低コストでの生産により競争優位性を確立する戦略です。

低コストで生産することで、競合他社よりも低価格で販売して市場シェアを奪ったり、同価格で販売してより多くの利益を得るなどのメリットを得られます。

散々ご説明したように、経験曲線効果を発揮すれば低コストでの生産が可能になります。

経験曲線効果を実感したら、コストリーダーシップ戦略に取り組んではいかがでしょうか? 

経験曲線効果のまとめ

この記事では、経験曲線効果の意味や発生要因、経営戦略に役立てる方向性をお伝えしました。

同じ製品の生産を続けると、習熟化やマニュアル化により低コストでの生産が可能になります。

低コストでの生産が可能となれば、参入障壁を築いて新規参入を防いだり、コストリーダーシップ戦略により競争優位性を確立できたりと、有利な形で経営できるようになります。

今現在ビジネスを行なっている方も、これから新規事業を行う方も、経験曲線効果を意識して経営戦略を考えてはどうでしょうか?

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バランススコアカードではKPIをどう設定すべき?

バランススコアカード KPI

経営管理で用いられるツールの一つに「バランススコアカード」というものがあります。

多面的に業績を評価できるバランススコアカードを活用する際には、評価指標としてKPIを用います。

では一体、どのような指標をバランススコアカードのKPIに設定すれば良いのでしょうか?

この記事では、バランススコアカードで用いるKPIを具体例を交えつつご紹介します。

  • バランススコアカードについてカンタンなおさらい
  • バランススコアカードで用いるKPIの例
    • 財務視点で用いるKPIの例 
    • 顧客視点で用いるKPIの例
    • 業務プロセス視点で用いるKPIの例
    • 学習・成長の視点で用いるKPIの例
  • バランススコアカードのKPIを設定するポイント
    • 現実的に達成できるKPIにする
    • KPIは具体的に!
    • 設定したKPIを全社に周知させる
  • バランススコアカードのKPIまとめ

バランススコアカードについてカンタンなおさらい

まず最初に、バランススコアカードについてカンタンにおさらいしておきましょう。

「バランススコアカードの意味や目的なんて知っているよ」という方は、この章をスキップしてもらって構いません!

バランススコアカードとは、経営管理で用いるフレームワーク(ツール)の一つです。

バランススコアカードでは、「財務」、「顧客」、「業務プロセス」、「学習・成長(教育や社員の能力向上など)」という4つの視点で業績を評価します。

経営戦略(計画)を適切に遂行できたかを測る際には、一般的に売上高や利益が用いられます。

しかし長期的な目線で見ると、顧客満足度や新規事業の立ち上げ数、従業員の能力向上といった財務以外の要素も重要となります。

バランススコアカードを用いれば、多面的に会社の経営を評価・管理できるようになるのです。

バランススコアカードで用いるKPIの例

バランススコアカードでは、あらかじめ定めた経営戦略・計画を予定通り実行できたかどうかを測るために、KPI(重要業績評価指標)を用います。

どのようなKPIを活用するかは、「財務視点」「顧客視点」「業務プロセス視点」「学習・成長視点」それぞれで異なります。

この章では、バランススコアカードの各視点の評価で用いるKPI指標の例をお伝えします。

財務視点で用いるKPIの例 

財務視点では、従業員や株主といった利害関係者の期待に応えるには、どのようなKPIを設定すべきかを考えます。

つまり、従業員や株主により魅力的な報酬や配当金を渡すには、どのような目標を達成すべきかどうかを考えます。

具体的には、下記の指標をKPIに設定するケースが多いです。

  • 売上高
  • 利益
  • 労働生産性
  • ROE
  • ROA
  • キャッシュフロー

顧客視点で用いるKPIの例

顧客視点では、自社の商品やサービスを利用してくれるお客さんに対して、どのような行動を行うべきかという視点でKPIを設定します。

簡単にいうと、お客さんに満足してもらえているかを測定できるKPIが必要です。

具体的には、下記の指標をKPIとして設定します。

  • 顧客満足度
  • リピート率
  • ライフタイムバリュー(LTV)

業務プロセス視点で用いるKPIの例

業務プロセスの視点では、業績や顧客満足度の向上のために、どのような業務プロセスが必要かどうかを考えてKPIを設定しまし。

単純な作業プロセスはもちろん、新しいことにどれだけ挑戦しているかなど、全社的な視点でもKPIを設定するのが良いでしょう。

業務プロセスの視点では、例えば以下の指標をKPIとして設定します。

  • トラブル対応に要する時間
  • 新規事業の立ち上げ数
  • 生産リードタイム

学習・成長の視点で用いるKPIの例

学習・成長の視点では、従業員や会社全体としての成長度合いを測定するためのKPIを設定します。

長期的に会社経営を続けるには、現時点の業績や顧客満足度のみならず、今後に向けて一人一人がレベルアップする必要があります。

バランススコアカードの中で最も定量化しにくい部分ですが、おろそかにせずKPIをしっかり設定しましょう。

具体的なKPIとしては、以下の指標を活用します。

  • 従業員のチャレンジ精神
  • 特許や意匠、商標の出願件数

バランススコアカードのKPIを設定するポイント

バランススコアカードで用いるKPIを設定する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、KPI設定で意識すべきポイントを2つご紹介します。

現実的に達成できるKPIにする

会社を経営する以上、どうしても高い目標を掲げたくなると思います。

ですがあまりにも高い目標を定めてしまうと、全く達成できないので経営戦略や計画が無意味となってしまいます。

バランススコアカードを活用する際は、現実的に達成できるKPIを定めることがポイントとなります。

KPIは具体的に!

バランススコアカードのKPIにおいて、現実性と同じくらい重要なのが具体性です。

「売上高をもっと増やす」といった抽象的なKPIでは、何をすべきかが明確にならない上に、計画や戦略通りに行動できたかを評価できなくなります。

「1年以内に売上高20%アップ」といった感じで、具体的な目標を設定することが大切です。

設定したKPIを全社に周知させる

バランススコアカードは、会社全体(もしくは一部署内)の経営管理で用いるフレームワークです。

そのため、バランススコアカードで定めたKPIは全社的に周知させる必要があります。

いつまでに何を達成すべきかを周知して初めて、従業員は明確に行動できるようになります。

※KPIの設定方法やコツについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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バランススコアカードのKPIまとめ

この記事では、経営管理で役立つバランススコアカードについて、どのようなKPIを設定すべきかを解説しました。

バランススコアカードでKPIを設定する際には、4つの視点ごとに適したKPIを定めることが大切です。

また、具体性や現実性を重視するのも欠かせません。

今回ご紹介した内容が、バランススコアカードの導入に役立てば幸いです!

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サイコグラフィックとは〜消費者の心理をマーケティングに役立てよう〜

サイコグラフィック

マーケティングの仕事に携わる方が知っておくべき用語の一つに「サイコグラフィック」というものがあります。

サイコグラフィックとは、消費者を一定の大きさに切り分ける上で役立つ手段の一つであり、消費者の考え方が多様化する近年は特に重要な切り口となっています。

今回の記事では、そんなサイコグラフィックの意味や具体例、マーケティングでの活用方法をお伝えします。

マーケティング担当者はもちろん、今後自分で事業を行いたいと思っている肩も必見です!

  • サイコグラフィックとは?サイコグラフィック変数の具体例
  • サイコグラフィックとデモグラフィックの違い
    • デモグラフィックとは?サイコグラフィックとの違い
    • デモグラフィックとサイコグラフィックは併用するのがベスト
  • サイコグラフィックの情報収集方法
    • アンケート
    • インタビュー
  • サイコグラフィックの情報をマーケティングで活用する方法
  • サイコグラフィックのまとめ

サイコグラフィックとは?サイコグラフィック変数の具体例

サイコグラフィックとは、消費者の心理的な要因を変数とする市場細分化(セグメンテーション)の物差しです。

具体例なサイコグラフィック変数としては、ライフスタイルや価値観、趣味・嗜好が該当します。

理解を深めるために、サイコグラフィック変数を使ったセグメンテーションの例を下に示します。

  • 「健康的なライフスタイルを重んじる」
  • 「安さより品質の良さを重んじる」
  • 「週末は家でのんびり過ごす」

サイコグラフィックの変数により市場を細分化したら、その細分化したデータをもとにターゲティングやポジショニングを行なっていきます。

ターゲットマーケティングの一連の流れやポイントを知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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サイコグラフィックとデモグラフィックの違い

セグメンテーションの変数には、サイコグラフィックのみならずデモグラフィックも用いられます。

この章では、サイコグラフィックとデモグラフィックの違いをお伝えします。

デモグラフィックとは?サイコグラフィックとの違い

デモグラフィックとは、人口統計学の観点からセグメンテーションを行なった際の変数を意味します。

具体的なデモグラフィック変数には、性別、年齢、年収、職業などが該当します。

つまり消費者の内面に着目するサイコグラフィックとは違い、定量的なデータに基づいて消費者を分析するのがデモグラフィックとなります。

デモグラフィックとサイコグラフィックは併用するのがベスト

一昔前までは、年齢や性別といったデモグラフィック変数でセグメンテーションを実施することで、消費者をある程度明確に分けることができました。

しかし生活様式や消費の多様化に伴い、同じ年齢や性別でも購入する商品やサービスが異なる傾向が強くなり、消費者を単純には分けられなくなりました。

たとえば大人でもゲームをしますし、美容に関心を持つ男の人もいますよね。年齢や性別だけで分けてしまうと、このような多様性に対応できなくなります。

そこで近年は、消費者の価値観や趣味嗜好といった心理的な側面からマーケティングを実施するサイコグラフィックの考え方が重視されるようになりました。

とはいえサイコグラフィックだけを重視すると、かえってターゲットが漠然とします。

実際にターゲットマーケティングを実施する際は、サイコグラフィック変数とデモグラフィック変数(もしくはジオグラフィック変数)を併用します。

サイコグラフィックとデモグラフィックを同時に活用することで、よりマーケティングに役立つ粒度でセグメンテーションを行えます。

例えば健康食品の販売事業でセグメンテーションを実施する場合、サイコグラフィックとデモグラフィックそれぞれを単独で使うと下記のようになります。

  • サイコグラフィック→しわやたるみに悩みを抱えている、安さよりも効き目を重んじる
  • デモグラフィック→女性、40代、世帯年収1,200万円

サイコグラフィック変数だけではターゲットの範囲が広すぎますし、かといってデモグラフィック変数だけでは多様にある消費者のニーズに対応できません。

そこで下記のように、サイコグラフィックとデモグラフィックを併用します。

「40代女性。世帯年収1,200万円なので比較的経済的な余裕がある。しわやたるみに悩みを抱えており、多少高くても良いから的確にしわやたるみに効果のある美容用品が欲しいと考えている。」

サイコグラフィック変数とデモグラフィック変数の両面から市場セグメンテーションを実施することで、より的確にターゲットとすべき消費者が明確になります。

サイコグラフィックの情報収集方法

サイコグラフィックの変数として使える情報は、主に「アンケート」と「インタビュー」により収集することができます。

この章では、それぞれの情報収集方法のポイントをわかりやすくお伝えします。

アンケート

まず一つ目の方法としてご紹介するのは、消費者にアンケートをとる方法です。

例えば店舗を訪れたお客さんにアンケートをとることで、顧客のライフスタイルや価値観を把握できます。

また、自社のWebサイトやSNSを活用してアンケートを取るのも一つの手です。費用や手間をあまりかけなくても、消費者の生の声を聞ける点が魅力的です。

ただし手軽に情報を収集できる反面、得られた回答が必ず正確とは限らない上に、複雑な質問は投げかけにくいのて注意が必要です。

アンケートでデータを集める際には、一つの質問に聞きたい内容を盛り込み過ぎないようにしましょう。

インタビュー

サイコグラフィックの情報を得るもう一つの手段はインタビューです。

直接消費者と対話することで、心理的な側面を知れる点が魅力です。

またアンケートと比べると、複雑な質問を投げかけやすい点が大きなメリットです。

より質の高いサイコグラフィックデータを得やすい一方で、データの母数を増やしにくいという難点があります。

質に重きをおくならインタビュー、量に重きをおくならアンケートがおすすめです。

サイコグラフィックの情報収集に限らず、マーケティングに役立つデータを集める行為は「マーケティングリサーチ」といいます。

マーケティングリサーチについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。 

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サイコグラフィックの情報をマーケティングで活用する方法

サイコグラフィックの情報を収集したとしても、その情報を有効活用しなければマーケティング的には無意味です。

この章では、サイコグラフィックのデータをマーケティングで活用する具体的な方法をお伝えします。

結論からいうと、サイコグラフィックで細分化した消費者に対して、的確なマーケティング施策を考案・実行することが不可欠です。

商品の品質はもちろん、広告や販促でのアピール内容や価格、キャッチコピーや商品名など、あらゆるものセグメンテーションにより絞り込んだ消費者に適した形で展開しましょう。

例えば価格よりも品質を重視する消費者に対しては、品質の良さを化学的なデータや実績を基にアピールする広告を作ると良いでしょう。

このように、ターゲットとする市場に刺さる形でマーケティング施策を考えていく必要があります。

サイコグラフィックやデモグラフィックは、あくまで市場細分化の手段にすぎません。

セグメンテーションした上で、その市場の消費者に的確な形で商品やサービスを提供できて初めて、効果が出るマーケティングとなります。

サイコグラフィックのまとめ

消費者の消費が多様化している近年、ライフスタイルや価値観といったサイコグラフィック基準でセグメンテーションすることはとても効果的だといえます。

デモグラフィックやジオグラフィック変数と組み合わせれば、商品・サービスを売りたい相手の人物像をより明確にできるでしょう。

アンケートやインタビューにより市場細分化に必要な情報を集めたら、その情報を基に商品開発や広告運用を進めていくことが求められます。 

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リソースベースドビューとは?自社の強みを活かした経営戦略で優位性を確立しよう!

リソースベースドビュー

緻密な経営戦略や高品質の商品は、ビジネスを成功させる上で欠かせない要素です。

確かに重要ではあるものの、それだけで十分とは言い切れません。

長期的にビジネスを続けるには、「リソースベースドビュー」の考え方が求められます。

この記事では、リソースベースドビューの意味や具体例、批判的な意見などを分かりやすくお伝えします。 

  • リソースベースドビューとは?意味や具体例、メリット
  • リソースベースドビューとポジショニングビューとの違い
    • リソースベースドビューとポジショニングビューの違いとは 
    • リソースベースドビューVSポジショニングビュー 〜どちらが優れているのか?〜
  • リソースベースドビューには批判的な意見や問題点も
  • リソースベースドビューの実践に役立つVRIO分析とは
  • リソースベースドビューに基づいた経営を成功させるポイント
    • ポジショニングビューの視点も持つ(外部の状況にも着目する)
    • 顧客に価値を与えることを重視する
    • 競争優位性のある経営資源を確立する
    • 経営資源の持つ優位性は永続的ではない点を意識する
  • リソースベースドビューのまとめ

リソースベースドビューとは?意味や具体例、メリット

リソースベースドビュー(Resource Based View)とは、企業の内部資源を重視する経営戦略の考え方であり、アメリカの経営学者バーニー氏が提唱しました。

リソースベースドビューでは、企業内部に蓄積された経営資源を競争優位性の源泉とします。

リソースベースドビューで重視する経営資源の具体例は下記になります。

  • ブランド
  • 特許
  • 専門的なノウハウや技術力
  • 組織文化
  • 製造プロセス

企業内部に蓄積される経営資源は、資金や設備といった経営資源と比べて、模倣することが難しいです。

リソースベースドビューに重視した経営を行うことで、価格競争を回避したり模倣による優位性の喪失を回避できるなどのメリットを得られます。

持続的な競争優位性を確立しやすい点は、変化の激しい現代において大きなメリットとなるでしょう。

リソースベースドビューの考え方は、コアコンピタンスやケイパビリティを重視する経営戦略に通じる部分があります。

コアコンピタンスは企業経営で最重要とも言える概念なので、興味がある方はぜひ下記の記事をご参照ください。

www.bizkurage.com

リソースベースドビューとポジショニングビューとの違い

リソースベースドビューと似た用語に「ポジショニングビュー」と呼ばれるものがあります。語感こそ似ているものの、両者の目指す経営戦略は180度違います。

この章では、双方の違いとどちらの考え方が優れているのかを説明します。

リソースベースドビューとポジショニングビューの違いとは 

リソースベースドビューとポジショニングビューの違いは、「どこに着目して経営戦略を展開するか」にあります。

リソースベースドビューでは企業内部の経営資源を重視する一方で、ポジショニングビューでは企業を取り巻く外部要因を重視して経営戦略を策定・実践します。

ポジショニングビューでは、ファイブフォース(既存他社、新規参入、売り手、買い手、代替品)を分析し、その結果をもとに自社にとって優位な立ち位置を見いだします。

リソースベースドビューVSポジショニングビュー 〜どちらが優れているのか?〜

結論から言うと、どちらが優れているとは断定できず、状況に応じて二つの理論を使い分けることが大事です。

市場が安定している状況ではポジショニングビュー、市場の変化が激しい状況ではリソースベースドビューがそれぞれ適しているという評価もあります。

確かにそれは事実ですが、どちらかに傾倒して経営戦略を策定するのは好ましくありません。

自社の立ち位置のみ重視して内部の経営資源をおろそかにすれば、より経営資源を多く持つ企業に模倣されることで競争優位性を失うリスクがあります。

ニッチ市場を獲得した新興企業が、大手企業に飲み込まれるケースはよくありますよね。

逆に内部の経営資源ばかり重視して外部要因を軽視すると、外部環境の変化に対応できずに競争優位性を失うかもしれません。

優れた技術力を持っていた日本のエレクトロニクス産業が、市場ニーズの変化に対応できずに衰退したのが最たる例です。

経営戦略を策定・実践する際には、リソースベースドビューとポジショニングビュー双方の視点を持つことが重要です。

自社事業にとって優位なポジションを模索しつつ、内部資源の獲得・強化にも努めることで、長期的な競争優位性を得られるようになるのです。

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リソースベースドビューには批判的な意見や問題点も

リソースベースドビューは一見万能な経営理論ですが、批判的な意見(問題点)もあります。

一世を風靡したリソースベースドビューでしたが、2001年にテキサス大学のリチャード教授と香港理工大学のバトラー教授により批判的な意見が出されました。

バーニー教授は、企業の持つ内部経営資源を競争優位性の源泉と述べました。

しかし両者は、「企業の経営資源が優位性の源泉となるかは、資源単体では決定しない」と批判しました。

例えば、あるブランドが競争優位性の源泉となっている(価値を持つ)のは、そのブランド名を冠した商品が売れているからと考えられます。全く顧客に価値のない商品にそのブランド名をつけた場合、思うように売れない可能性があります。

そうなるとブランド自体に価値があるのではなく、顧客にとって価値のある商品やマーケティングの戦略が競争優位性の源泉であるとなり、リソースベースドビューの考え方は間違っているとなります。

つまり、「競争優位性は経営資源ではなく製品やサービス、経営・マーケティング戦略次第で決まる」というのがリソースベースドビューに対する批判的意見です。

バーニー氏はなんと、この批判的な意見を認めてしまいました。その上でバーニー氏は、「リソースベースドビューはあくまで経営資源に着目した理論であり、経営戦略や製品(サービス)は考慮していない」と反論しました。

 

では、リソースベースドビューは批判された通り全く役に立たない意見なのでしょうか?

個人的には、リソースベースドビューは完全な経営理論ではないものの、十分実務でも役に立つ考え方だと思います。

なぜなら100%ではないにしろ、ノウハウやブランド力といった経営資源は、少なからず競争優位性の源泉となっているからです。

例えばAppleの製品は、品質やデザインはさることながら、ジョブズのカリスマ性や圧倒的なブランド力といった要因もあいまって、世界的な人気を得ていると考えられますよね。

ヴィトンやシャネルの製品も、ブランド力の高さがあるからこそ高額でも売れるのです。

以上の理由から、経営戦略や製品の品質のみならず、その裏側にある経営資源も競争優位性の確立に不可欠であると考えられます。

※参考

business.nikkei.com

リソースベースドビューの実践に役立つVRIO分析とは

これまでの説明で、企業内部の経営資源が競争優位性の確立に一役買うことは分かりました。

では、「自社が持つ経営資源がどの程度競争優位性に寄与するか」はどうやって判断するのでしょうか?

ノウハウやブランド力と一口に言っても、大いに役立つものもあれば全く競争優位性の確立に寄与しないものもあります。

そんな経営資源の価値を測る際には、「VRIO分析」というフレームワークが役立ちます。

VRIO分析とは、「価値(Value)」・「希少性(Rarity)」・「模倣困難性(Imitability)」・「組織(Organization)」という4つの要素から、経営資源の持つ競争優位性を測るフレームワークです。

V→R→I→Oの順番で各要素があるかどうかを分析し、より多くの要素を持つ経営資源ほど価値がある(競争優位性の源泉となる)と判断します。

VRIO分析の詳しいやり方については、下記の記事で分かりやすく説明しています。

興味がある方はぜひ参考にしてもらえると幸いです!

www.bizkurage.com

リソースベースドビューに基づいた経営を成功させるポイント

リソースベースドビューに基づいた経営戦略を成功させるには、下記4つのポイントを押さえておく必要があります。

ポジショニングビューの視点も持つ(外部の状況にも着目する)

前述しました通り、持続的な競争優位性を確立するには、内部資源のみならず外部の経営状況にも着目する必要があります。

外部の状況を認識しておかないと、例えば大企業と真っ向から勝負するなど、間違った経営戦略を遂行してしまう恐れがあります。

ノウハウや技術力の強化と同時に、競合他社や代替品などを意識した上で経営戦略を策定・実践するのが成功のポイントです。

顧客に価値を与えることを重視する

どれほど優れた経営資源を持っていても、顧客に価値をもたらさなければ意味がありません。

企業経営の最終目的とは、より多くの利益を生み出すことです。利益を得るには、顧客にとって明確な価値を提供しなくてはいけません。

リソースベースドビューを実践する際には、自社の持つ経営資源が「どの顧客にどのような価値を与えているか」を常に確認することが大切です。

競争優位性のある経営資源を確立する

リソースベースドビューが成功するには、「競争優位性のある」経営資源を確立する必要があります。

顧客に価値を与えられても、希少性がなかったり他社に簡単に模倣される経営資源では持続的な競争優位性は確立できません。

リソースベースドビューを実施する際は、「誰にも真似できない経営資源」を確立するのを心がけましょう。

そのためには、VRIO分析のフレームワークを使って、経営資源の持つ価値を測定することが欠かせません。

経営資源の持つ優位性は永続的ではない点を意識する

たとえ現時点で競争優位性を保つ経営資源であっても、それが永続的に続くとは限りません。

特に近年は、IT技術の進歩や経済のグローバル化などの影響で、以前よりも経営資源を模倣もしくは代替しやすくなっています。

常に外部の状況にアンテナを張り、自社の経営資源の持つ優位性が失われていないかを確認する必要があります。

場合によっては、新たな経営資源を確立することも必要となるでしょう。 

リソースベースドビューのまとめ

内部の経営資源に着目するリソースベースドビューは、持続的な競争優位性を確立する上でとても役立つ考え方です。

とはいえ、顧客に価値を届けるという意識や外部の環境にも目を向けることも大切です。

リソースベースドビューに傾倒するのではなく、あくまで「企業内部の経営資源も重要なんだな」ということを意識することが大切です。

今回お伝えしたリソースベースドビューの説明が、この記事を読んでいる方のビジネスに役立てば幸いです! 

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