付加価値額とは?中小企業庁が用いている計算式をわかりやすく解説!

経営の戦略論やマーケティングでは、商品・サービスに付加価値をつけることが重要であると言われています。

何となく「付加価値」という用語を理解していても、具体的に付加価値を金額で見積もる方法を知っている方は少ないでしょう。

付加価値を計算する方法を知っていれば、自社がどれほどの優位性を持っているかを客観的に判断できるようになります。

そこで今回は、付加価値額を計算する方法をわかりやすく解説します。

付加価値とは

付加価値額の具体的な計算式を学ぶ前に、まずは「付加価値」と「付加価値額」がどのようなものかを理解しておきましょう。

付加価値の定義

デジタル大辞泉という辞書によると、付加価値とは「商品・サービスなどに付け加えられた、他にはない独自の価値」を意味します。

言い換えると、外部から購入した原材料やサービスに対して、新しく付け加えた価値を指します。

たとえば他社から仕入れた原材料をそのまま横流しで販売するだけでは、付加価値はゼロに等しいです。

一方で仕入れた原材料を加工し自社の商品として販売すれば、加工に費やした技術やスキルなどの分だけ付加価値が生み出されたといえます。

付加価値をつけた分だけ、企業は高い値段で販売し、より大きな利益を得られます。

また付加価値の独自性が高いほど、顧客にとって魅力的な商品・サービスとなり、競合他社に対して競争優位性を確立できます。

つまり付加価値は、会社にとって利益や優位性を生み出す源泉というわけです。

いかに独自性が高い付加価値を生み出せるかが、長期的に多くの利益を得られるかどうかを左右すると言っても過言ではないでしょう。

付加価値額の意味

付加価値額とは、付加価値を金額で表したものです。

つまり、商品・サービスから得られた収益のうち、自社が生み出した価値に相当する部分を金銭的に表したのが付加価値額というわけです。

付加価値額は、企業の生産性(どのくらい効率的に利益を得られているかを表す指標)を分析する際に活用します。

付加価値額の計算式

付加価値額の計算式には、控除法と加算法の2種類があります。

この章では、控除法と加算法それぞれの計算式や付加価値額を算出するやり方をご説明します。

控除法

控除法とは、自社の売上高から他社が生み出した価値の部分を控除する方法です。

具体的には、売上高から外部購入価値を差し引く形で付加価値額を計算します。

・付加価値額 = 売上高 − 外部購入価値

外部購入価値とは、材料費や運送費、外注加工費、部品費などが該当します。

たとえば売上高が1億円、外部購入価値の合計額が6,000万円の場合、付加価値額は以下のとおり計算できます。

  • 付加価値額 = 1億円 − 6,000万円 = 4,000万円

見てわかる通り、簡単に計算できる点が控除法のメリットです。

ただし印刷用紙や文具といった消耗品費など、本来付加価値には含まれないはずの項目を差し引いていないため、算出される付加価値額は厳密な定義と異なってしまいます。

加算法

加算法とは、自社で創出した付加価値を1つずつ加算する方法です。

財務省が公表している「キーワードで見る法人企業統計」では、加算法による付加価値額の計算式を次のように定義しています。

※福利厚生費を足し合わせたり、営業利益の部分を経常利益にしていたりと、やや異なる計算式が用いられている場合もあります。

・付加価値額 = 営業利益 + 人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課

たとえば営業利益が3,000万円、人件費が1,200万円、支払利息等が100万円、動産・不動産賃借料が700万円、租税公課が100万円の場合、付加価値額は以下の通り算出されます。

  • 付加価値額 = 3,000万円 + 1,200万円 + 100万円 + 700万円 + 100万円 = 5,100万円

見てもらうとわかる通り、控除法と比べると計算は非常に複雑です。

ただし、販管費のうち「消耗品費」や「宣伝広告費」などの直接的に付加価値を生み出していない部分を控除した式となっています。

そのため、より定義に沿った形で付加価値の金額を求めることができます。

正確性の高さから、加算法に基づいた付加価値額の計算は日銀や中小企業庁をはじめとした多くの機関で用いられています。

参考:キーワードで見る法人企業統計 財務省

付加価値額に関連する用語

付加価値額に関連する用語に「純付加価値・粗付加価値」と「付加価値率」があります。

こちらも付加価値額の計算と同じくらい重要なので、この機会に理解しておきましょう。

純付加価値と粗付加価値

純付加価値とは、加算法において減価償却費を含めずに算出した付加価値額を意味します。先ほどご紹介した付加価値額の計算式では、純付加価値を求めていることになります。

「外部から購入した資産から生じた費用であるため、自社で創出した付加価値には含めない」というのが純付加価値を計算する考え方の根拠です。

一方で粗付加価値とは、加算法において減価償却費を含めて算出した付加価値額を意味します。

先ほどの式で算出した付加価値額に減価償却費を足せば、粗付加価値が算出されます。

どちらが良いかは考え方次第なので、ご自身の判断で付加価値額を計算すれば問題ありません。

付加価値率

付加価値率とは、売上高に占める付加価値額の割合を表します。

・付加価値率(%) = 付加価値額 ÷ 売上高 × 100

たとえば売上高が8,000万円、付加価値額が2,000万円の場合、付加価値率は以下のように計算できます。

  • 付加価値率 = 2,000万円 ÷ 8,000万円 × 100 = 25%

付加価値率は、企業内における加工度の高さを表します。

付加価値が高いほど、高付加価値のビジネスモデルを実現していると判断できます。

事業の規模が異なる企業間で付加価値の割合を比較できる点が、付加価値率を活用する大きなメリットです。

付加価値額を用いて労働生産性を計算する方法

先ほどご説明したように、付加価値額を用いれば労働生産性を計算することができます。

労働生産性(付加価値生産性)とは、1人ひとりの従業員がどのくらいの付加価値を生み出しているかを表す指標です。

労働生産性が高いほど、より効率的に付加価値を生み出していると言えます。

労働生産性の計算式

労働生産性は、付加価値額を従業員数で割ることで計算できます。

・労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数

たとえば付加価値額が4,000万円、従業員数が50人の場合、労働生産性は以下のとおり計算できます。

  • 労働生産性 = 4,000万円 ÷ 50人 = 80万円

つまりこのケースでは、従業員一人当たり80万円の付加価値を生み出していると判断できるわけです。

労働生産性を高めるには

労働生産性を高める方法は、大きく以下の2種類に大別できます。

・従業員1人ひとりの技術力やノウハウを高める(OJTやセミナーの活用)

・資本生産性を高める(設備の稼働率向上や生産性の高い設備の導入など)

どちらかの方法に偏るのではなく、なるべくどちらも満遍なく実行したほうが、より労働生産性を大きく高められるでしょう。

付加価値額のまとめ

付加価値額を計算すれば、自社がどのくらいの競争優位性を持っているかを判断できます。

計算自体は決して難しくないので、ぜひ一度自社の付加価値額を計算してみてはいかがでしょうか?

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