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年俸制のメリットとデメリット【会社側・従業員側それぞれの目線で解説!】

年俸制のメリット

年俸制とは、1年単位で年間の収入額を決める制度です。

年俸制はプロ野球選手の給料体系として採用されていることもあり、ご存知の方は多いのではないでしょうか?

そんな年俸制ですが、実は一般的な会社でも採用することができます。

前年度の業績への貢献度や次年度への期待度などを基に収入額が設定されるため、年俸制は成果主義的な意味合いの強い制度と言えます。

では一体、年俸制を取り入れるとどのようなメリットを得られるのでしょうか?また、年俸制を取り入れる際には、どのようなデメリットに注意すべきなのでしょうか?

今回の記事では、年俸制のメリットとデメリットを、取り入れる会社側と従業員側それぞれの目線でご説明します。

年俸制のメリット(会社側)

年俸制を採用すると、会社にとって下記2つのメリットがもたらされます。 

メリット①:従業員のモチベーション向上につながる

年俸制のもっとも大きなメリットは、従業員のモチベーション向上につながる点です。

冒頭でもお伝えしたように、年俸制では前年度の実績でその年の収入が決まります。

つまり従業員にとっては、頑張って実績を出せば「年収増加」という結果を得られることを意味します。

頑張りが収入に結びつくため、とくに優秀な人ほどやる気の向上につながるのです。

なぜ報酬の増加がモチベーションにつながるかくわしく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください!

www.bizkurage.com

メリット②:人件費の総額を抑えることができる

年功序列を基準に給料を設定する場合、ベテラン従業員に対しては、たとえ若手よりも結果を出していなくても、公平にたくさん給与を支払わなくてはいけません。

従業員の平均年齢が高いほど、人件費がかさんでしまいます。

別に優秀で結果を出してくれるのであれば、年齢に関係なくたくさん給料を与えても問題ないでしょう。

しかし「自分は年配だから、あまり仕事しなくても給料を多めにもらって当たり前」という考え方を持つ従業員に対して、多めに給料を払うのは人件費のムダに他なりません。

一方で年俸制は、前年度に結果を残した人にはたくさん給料を与え、あまり残せなかった人の給料は少なめに設定する制度です。

優秀な従業員にのみ多く報酬を支払うため、年功序列の場合と比べて従業員に支払う人件費の総額を抑えられる可能性があるのです。

また実力主義で設定されるため、従業員全員の気持ちを引き締める効果も期待できます。 

年俸制のデメリット(会社側)

メリットばかりが注目される年俸制ですが、年俸制を採用する場合、下記2つのデメリットもあるので注意しなくてはいけません。 

デメリット①:途中で給料を減額できない

年俸制ではあらかじめ設定した1年間の収入を、12回に分けて支払います。

あらかじめ年収額が決まっているので、途中で給料の額を減額することは基本的に認められません。

極端な話ですが、仕事でミスしまくって会社に大きな損失を与える従業員がいた場合でも、原則あらかじめ定めた給料額を支払う必要があります。

また、よっぽど悪化した場合を除いて、多少業績が下がって資金繰りが苦しくなっても、給料の減額はできません。

こうした危険性はゼロにできないので、年俸制を取り入れる際には留意しましょう。

デメリット②:制度設計次第ではかえって従業員のモチベーションが低下する可能性もある

結果オンリーで評価するため、一見すると年俸制(成果主義)はメリットこそあれどデメリットは無いように思えるかもしれません。

しかし年俸制の制度設計次第では、かえって従業員の意欲を下げる可能性があります。

たとえば本来であればとても優秀な従業員が、ある年度は家庭の事情や体調を理由にパフォーマンスが下がったとしましょう。

仮に前年度の業績を基準に年収額を決める場合、この従業員は前年度と比べてはるかに収入が減少することとなります。

そうなると、優秀な従業員のやる気が下がってしまい、パフォーマンスがさらに下がったり、最悪の場合転職してしまうかもしれません。

また、仕事内容によっては定量的な評価を行いにくいものもあります。

実績の評価が難しい仕事で年俸制を取り入れてしまうと、打診した年俸が本人の自己評価と比べて著しく低いものとなり、やる気が低下してしまいます。

上記のデメリットを防ぐためにも、年俸制を取り入れる際には、各従業員の事情や仕事内容、努力過程なども考慮した上で、年間の収入額を決めるのが大事になります。

年俸制のメリット(従業員側)

一方で年俸制は、会社のみならず従業員にとってもメリットの大きい制度です。ここでは従業員が得られる年俸制のメリットを2つご紹介します。

メリット①:頑張り次第で次年度の収入が大幅に増加する

従業員にとって最大のメリットは、頑張り次第で次年度の収入が大幅に増加する点でしょう。

年功序列制の場合、たとえ優秀で結果を残しても、年齢が若いと満足いく収入を得られません。

しかし年俸制の場合は結果で設定されるケースが多いため、頑張って結果を残せば若くても年収を増やすことが可能です。

年俸制は、高度なスキルを持っていたり優秀な方にメリットのある制度と言えます。

メリット②:ほぼ確実に打診された給料を得られる

二つ目のメリットは、ほぼ確実に打診された給料を得られる点です。

よほどの例外的なケースを除いて、基本的には最初に打診された給料を1年間もらえます。

そのためローンの返済や車の購入などといった、今後1年間の資金計画を立てやすくなります。

年俸制のデメリット(従業員側)

会社側と同様に、従業員側にも年俸制のデメリットは存在します。この章では、従業員が注意すべき年俸制のデメリットを2点お伝えします。

デメリット①:結果を出せないと年収が大幅に下落する

成果主義の一環として取り入れるため、結果を出せないと次年度の年収が大幅に下落する可能性が高いです。

仕事以外でも言えますが、頑張って努力しても思うように結果が出ないことは多々あります。

どれほど優秀な人でも、結果を残せない時期は多少なりともあるでしょう。

これを踏まえると、100%結果で評価されることは危険性が大きいと言えます。

デメリット②:ボーナスカットにより実際の収入が減るおそれがある

年俸制を取り入れる企業の中には、ボーナス込みの年収を打診するところもあります。

ボーナス込みで年収を打診してきた場合、ボーナスカットにより最初に打診された収入よりも実際の収入が少なくなるおそれがあります。 

なぜなら法律上、ボーナスは払っても払わなくても問題無いからです。

優秀な人を集めるためにボーナス込みの年俸を打診し、実際にはボーナスをカットして人件費を削減する悪質な企業もいるので十分注意しなくてはいけません。

※下記記事を参考にしました。

hataraquest.com

年俸制のメリット・デメリットまとめ

今回は会社側と従業員側の両面から、年俸制のメリットとデメリットをご紹介しました。

モチベーションの向上をはじめとして、しばしば年俸制はメリットの大きい制度と言われます。

しかし成果主義の色合いを強くしすぎると、かえってやる気の低下などのデメリットが生じるので注意が必要です。

少しでもデメリットを小さく抑えるには、前年度の結果のみならず努力の過程や過去数年の実績なども考慮した上で、年俸制を取り入れるのがベストでしょう。