よくスポーツや勉強では、上手な人の真似をすることが上達への近道と言いますが、これはビジネスにも当てはまります。
ビジネスにおいて、優れている事例の良いところを真似して自社の業務プロセスや経営などを改善する手法は「ベンチマーキング 」と呼ばれています。
今回の記事では、そんなベンチマーキングの意味ややり方を分かりやすくお伝えします。
ベンチマーキングとは
ベンチマーキングは、自社の経営や業務プロセスをより良いものとする上で必須の経営管理手法です。
そんなベンチマーキングの意味や事例について、くわしくご説明します。
ベンチマーキングの意味
ベンチマーキングとは、他社の優れた事例をお手本にして、自社の経営戦略や業務プロセスなどを改善する手法です。
さらに噛み砕いていうと、「上手くいっている会社の良いところを取り入れる手法」がベンチマーキングです。
お手本とする企業やその事例は「ベンチマーク」といいます。
例えば、同じ商品を取り扱っている競合他社が、インターネット販売で大きく売り上げを伸ばしていたとしましょう。
この場合、競合他社のインターネット活用をベンチマークとすることで、より自社の業績を伸ばせる可能性があります。
ベンチマーキングの事例
ベンチマーキングを積極的に行った企業として有名なのが、アメリカの印刷機器製造会社「ゼロックス」です。
同社は、アメリカン・エキスプレスの請求回収業務をベンチマーキングすることで、事務費用の削減や顧客満足度の向上を実現しました。
本来ベンチマーキングは、同業他社を対象とするのが一般的です。
ですがゼロックスのように、たとえ他業種でも参考にできる例があれば、積極的にお手本とすることが、ベンチマーキングを成功させる上では重要となります。
ベンチマーキングを行うメリット
ベンチマーキングにより得られるメリットは下記の2つです。
自社のみでは気づけない問題点や改善方法を発見できる
自社内には同じ環境・同じ方法で働いている人が集まっているため、どうしても考え方は一辺倒になりやすいです。
考え方が一辺倒になることで、問題点や課題の解決方法をみつけられない場合が多いです。
そこでベンチマーキングを実施すれば、異なる考え方や業務のやり方を目の当たりにし、自社のみでは気づけなかった問題点や改善施策を発見できます。
成功事例を参考に効率的に業務や経営を改善できる
自社のみで業務や経営戦略を改善する場合、一から問題点を洗い出していく必要があり手間がかかります。
一方でベンチマーキングでは、すでに上手くいっている事例を自社に最適な形でアレンジするだけで、比較的容易に業務や経営を改善できます。
ベンチマーキングのやり方
ベンチマーキングのやり方について、4つの手順に分けて解説します。
手順1:改善したい項目を決定
はじめに、ベンチマーキングにより改善したい項目を決定します。
改善対象となる項目は、経営戦略や事業ドメインといった規模の大きな事柄から、集客方法や業務プロセスといった細かなものまで様々です。
競合他社と比べて自社が改善すべき項目をベンチマーキングの範囲としましょう。
手順2:ベンチマーキングの対象を決定
改善したい項目を決めたら、次にベンチマーキングの対象となる企業を決定します。
ベンチマーキングの対象は、改善したい項目について上手に行っている企業が最適です。
例えば集客方法を改善したいならば、集客に成功している企業をベンチマーキングするのが鉄則です。
前述したとおり、ベンチマーキングの対象は同じ業種内に限る必要はありません。
業種に関係なく幅広く見渡して、お手本とすべき企業を探し出しましょう。
手順3:ベンチマークの観察と分析
比較すべき対象(ベンチマーク)が決まったら、その対象企業を具体的に観察しましょう。
実際に対象業務を行っているところを見るのはもちろん、財務諸表や顧客満足度のデータなど、客観的な情報も活用しましょう。
観察が終わったら、得られた情報を詳細に分析します。
自社と比較して優れている部分を見つけ出し、その要因を特定することが重要です。
また、例えば集客方法ならば「コスト」や「集客数」など、具体的な数字を使って比較分析すると、より明確にベンチマークの優れている点や自社の改善すべき点を特定できます。
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手順4:改善計画の策定と実行
最後に、分析して得られた情報をもとに、具体的な改善計画を策定します。
改善計画では、改善するための方法と改善により達成したい目標を明確化することが重要です。
例えば集客施策の改善ならば、「新しくSNSでの集客を行い、月間の新規顧客を10%増やす」という感じで、具体的に計画を策定しましょう。
改善計画が完成したら、あとはそれを実行に移すのみです。
ベンチマーキングのまとめ
ベンチマーキングを実施すれば、他社の優れている手法や考え方を自社に取り入れ、より一層業績を伸ばせる可能性があります。
現時点で自社のみでは解決できない問題があれば、ベンチマーキングの手法を取り入れてみてはいかがでしょうか?