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ブルーオーシャン戦略とは?メリットや成功事例を交えつつわかりやすく解説!

ブルーオーシャン戦略

ビジネスマンであれば、「ブルーオーシャン戦略」という用語を一度は耳にした経験があるのではないでしょうか?

「新しいビジネスを始めることでしょ?」と思う方は多いと思いますが、実はそこまで単純な経営戦略ではありません。

ブルーオーシャン戦略は難易度が高く役に立たなそうと思われがちですが、その考え方は他の場面で十分応用が利きます。

そこで今回は、ビジネスマンであれば知っておくべき「ブルーオーシャン戦略」について、意味やメリット、成功に役立つポイントやフレームワーク、成功事例などをご紹介します。

ブルーオーシャン戦略とは

まず初めに、ブルーオーシャン戦略の基礎知識をお伝えします。

ブルーオーシャン戦略の意味

ブルーオーシャン戦略とは、競合企業がいない市場(ブルーオーシャン)を作り出し、そこでビジネスを行う経営戦略です。

つまり誰も行なっていないビジネスを始めて、利益を得ようとする戦略です。

ただし後述しますが、あくまで「顧客に価値を提供する」新しいビジネスであるのが、ブルーオーシャン戦略の重要なポイントです。

反対に、すでに競合企業が多い市場でビジネスを行う戦略は「レッドオーシャン戦略」と呼ばれます。

フランスの大学院教授"W・チャン・キム"と"レネ・モボルニュ"が提唱したブルーオーシャン戦略は、ハーバード・ビジネス・レビューの論文で発表されて以来、世界中で多くの専門家から高い評価を得ています。

ブルーオーシャン戦略とニッチャー戦略の違い

「新しいビジネスを始める」という意味では、ブルーオーシャン戦略とニッチャー戦略は混同されがちですが、似て非なる概念であり使い分けることが大切です。

ブルーオーシャン戦略は、市場に存在する多様な買い手を分析し、そこから需要量の大きい市場(ブルーオーシャン)を生み出す経営戦略です。

競争を回避する目的ではなく、既存製品(サービス)の改良や付加価値を加える事で新しい市場を創出し、より大きな利益を得る目的で行われます。

あくまで新しい市場の創造をゴールとしているため、その後に熾烈な競争に巻き込まれるリスクは無きにしも非ずです。

一方でニッチャー戦略は、既存市場を細かく細分化し、大手企業が参入しないようなニッチ市場で利益の獲得を目指す経営戦略です。

より大きな利益を得るというよりも、大手企業(リーダー企業)との競争を回避した上で、少ない経営資源でも利益を得られることを目的とします。

市場が拡大しない限り大手企業が参入してこないので、経営資源に乏しい中小企業に有利な経営戦略だと言えます。

中小企業におすすめのニッチャー戦略は下記の記事で解説しているので、ぜひご参照ください!

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ブルーオーシャン戦略を行うメリット

ブルーオーシャン戦略は、現在に至るまで多くの大手企業で実践されてきた経営戦略です。

というのも、ブルーオーシャン戦略には下記のような強力なメリットがあるからです。

高価格と低コストの両立が可能

ブルーオーシャン戦略の最たるメリットは、低コストで生産した商品やサービスを、高価格で売り出せる点です。

ブルーオーシャン(新しい市場)には競合企業がほぼ存在しないので、市場を作り出した自社で価格を自由に決定できます。

そのため、十分な利益を得られるほどの高価格で売り出すことが可能です。

また、大量生産などにより規模の経済性を発揮すれば、低コストでの商品を生産することができます。

低コストで生産した商品やサービスを高価格で売り出すことで、多大な利益を得られる点がブルーオーシャン戦略の旨味であると言えます。

競合企業が参入しない間や、競合企業との差別化を図ることができれば、価格競争に巻き込まれる事もないので、安定的に高収益・高利益を維持できるでしょう。

強力なブランドを築きやすい

ブルーオーシャン戦略を行うもう一つのメリットは、強力なブランドを築きやすい点です。

ブルーオーシャンで事業を行う場合、顧客から見るとその製品やサービスを売り出しているのは自社ブランド(もしくはごく少数の企業)のみとなります。

つまりレッドオーシャンで事業を展開するよりも、自社ブランドの名前や特徴を覚えてもらいやすい訳です。

競合企業が少ない間に強力なブランドを築ければ、後々他の企業が増えてレッドオーシャン化しても、競争優位性を維持し続けることができます。

以上がブルーオーシャン戦略のメリットです。

薄々気付いた方もいると思いますが、ブルーオーシャン戦略の実行により得られるメリットは、先発優位性と基本的には同じです。

先発優位性(新しい市場にいち早く参入した企業が得られるメリット)について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください!

※先発優位性のリンクを貼る

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ブルーオーシャン戦略への批判的な意見(デメリット)

メリットが多く実践する企業も多いブルーオーシャン戦略ですが、批判的な意見(デメリット)もあります。

この章では、ブルーオーシャン戦略を行う上で注意しておきたいポイントを2つごお伝えします。 

多大な経営資源や専門的な知識や経験が求められる

ブルーオーシャン戦略の恩恵を得るには、競合企業が参入してくる(レッドオーシャンになる)前に低コストで製品を生産できるようになる必要があります。

低コストでの生産においては、大量生産を可能とする資金力や人員、機械設備などをたくさん持っていることが必須です。

また、ブルーオーシャン戦略では「多くの顧客のニーズを満たす市場」を創出し、それを拡大する必要があります。

多様にいる顧客のニーズを満たす市場を見つけたり、その市場を成長させるには、経営やマーケティングの高度な知識や経験が必要となります。

沢山の経営資源や高度な知識や経験が必要となることから、中小企業やベンチャー企業にはブルーオーシャン戦略は不向きであるという批判もあります。

たしかに難易度の高さはデメリットとなるので、ブルーオーシャン戦略を行うかどうかは慎重に検討する必要があります。

すぐに模倣されてしまう(ブルーオーシャンの築き上げが困難)

ブルーオーシャン戦略の持つもう一つのデメリットは、市場を作りだした後の経営戦略を考えていない点です。

十分な需要量があり利益を得られるブルーオーシャンがあった場合、当然ながら他の企業が模倣しようと目論見ます。

何も対策しないとあっという間に模倣されて競争が激化し、ブルーオーシャン戦略のメリット(優位性)がなくなってしまいます。

つまり長期的にビジネスを続けるのであれば、ブルーオーシャン戦略だけでは不十分という訳です。

ブルーオーシャンのうちに圧倒的な低コスト化やブランディングなどを行い、レッドオーシャンになっても優位性を保てるように経営戦略を策定することが重要です。

とはいえ、競争優位性ってどのように築けば良いか分からない方も多いと思います。

以下の記事で、競争優位性を築き上げる方法を考察しているので、もしよかったら参考にしてくれると嬉しいです!

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ブルーオーシャン戦略の成功に欠かせない「バリュー・イノベーション」とは

ブルーオーシャン戦略の成功には、「バリュー・イノベーション」の実現が不可欠です。

バリュー・イノベーションとは、低コスト化を図りつつ、これまでの製品やサービスとは抜本的に異なる「価値」を提供することを意味します。

ブルーオーシャン戦略については、「ただ単に競合企業が存在しない新しい市場を作り出せば良い」と勘違いされがちです。

確かにブルーオーシャン戦略は新しい市場を作り出す経営戦略ですが、その市場に十分な需要が無ければ収益を得られないので、ビジネスは成り立ちません。

そもそも経営戦略とは、企業が収益(利益)を得る目的で策定するものであり、ビジネスが成り立たなければ意味がありません。

したがって、ただ単に新しい製品やサービスを売り出すのではなく、「十分数の需要がある=顧客に価値を提供する」商品やサービスを提供するのが重要です。

また、新しい価値を顧客に提供できても、これまで以上に莫大な費用がかかっては、利益が残らず意味がありません。

全く新しい「価値」を低コストで提供できて初めて、ビジネスの成功につながるブルーオーシャン戦略となる訳です。

ブルーオーシャン戦略を考える上で役立つフレームワーク

ここまでお伝えしてきたように、ブルーオーシャン戦略を考えるのは非常に難しいです。

そこでこの章では、ブルーオーシャン戦略を考える上で役立つフレームワークを2つご紹介します。

アクションマトリクス

アクションマトリクスとは、「取り除く」「減らす」「付け加える」「増やす」という4つの項目から、ブルーオーシャンを見出すフレームワークです。

使い方としては、自社製品や市場の標準製品に関して、「取り除ける部分はあるか?」「付け加える要素はあるか?」といった感じで質問に答えていきます。

先述したように、ブルーオーシャンであるには「低コスト化を図れて、顧客に新しい価値を提供する(バリューイノベーションを実現する)」必要があります。

そのために、「取り除く」「減らす」という要素で低コスト化の指針、「付け加える」「増やす」の要素で新しい価値のヒントをそれぞれ見出します。

質問の結果を整理することで、低コストで顧客に新しい価値を提供できるブルーオーシャンを見出すことができます。

例えば、旅行会社についてアクションマトリクスを整理した結果、下記の通りであるとします。

  • 取り除く:食事
  • 減らす:バスや電車による移動
  • 付け加える:オリジナリティ(現地でしか知られていない穴場スポット)
  • 増やす:自由行動の時間

この事例では、食事や移動を減らすことで低コスト化を実現しつつ、オリジナリティや自由行動の時間を増やす方向性で新しい価値を提供するのが、ブルーオーシャン戦略の創出に繋がると判断できます。

戦略キャンバス

戦略キャンバスとは、顧客がある製品・サービスに求める価値を横軸に、自社や競合他社が顧客にその価値を提供できる度合いを縦軸に置いたグラフです。

戦略キャンバスを作成することで、自社と競合他社の差別化度合いを目で把握し、どの部分で差別化を図れるかを明確にできます。

折れ線が競合他社と離れているほど、差別化を図れていると判断できます。

また、競合他社が満たしていない部分(縦軸の値が小さい価値)に注力すれば、ブルーオーシャンを創出できる可能性があります。

例えばパソコンのブランドを例にした場合、戦略キャンバスは下記のように作成できます。

この戦略キャンバスに基づくと、自社ブランドは使い勝手の面で大きな差別化を図れていると言えます。

また自社・競合二社共に「アフターフォロー」の項目が低い(顧客に十分価値を届けられていない)ので、アフターフォローに注力すれば、新たなブルーオーシャンを見つけられる可能性があります。

戦略キャンバス 

ブルーオーシャン戦略を行う企業の成功事例

みなさんが知っている大手の企業には、ブルーオーシャン戦略を実践して成功した会社が多く存在します。

この章では、ブルーオーシャン戦略を行う企業の成功事例として、「ユニクロ」と「任天堂」の二社を取り上げます。

成功事例①:ユニクロ

まず最初にご紹介するのは、アパレル大手のユニクロの成功事例です。

ユニクロといえば、SPA(製造から小売までを統合すること)の導入により、高性能の製品を低コストで生産することを強みとしている企業です。

確かにSPAのモデルをいち早く導入した点はユニクロの強みですが、「ブルーオーシャン戦略」により顧客に新たな価値を提供し続けている点も強みといえます。

従来衣服といえば、おしゃれや最低限の身だしなみのために購入するものでした。

そんな中でユニクロは、優れた保温・保湿機能を持つ「ヒートテック」や、発汗性や防臭性に優れた「シルキードライ」などの商品を発売することで、顧客に「機能性がある衣服」という新たな価値を提供しました。

SPAによる低コスト化を実現しつつ新しい需要を創出することで、ユニクロはブルーオーシャンの開拓に成功し、現在でも成長を続けています。

日本国内にある大手企業の中でも、ユニクロは特にブルーオーシャン戦略のお手本とも呼べる成功事例です。

成功事例②:任天堂

ブルーオーシャン戦略を語る上で忘れてはいけないのが、任天堂の成功事例です。

意外と知られていませんが、任天堂は設立当初は花札やトランプの製造を主な事業としていました。

 

ですが任天堂は、時代の変化に対応するために、ファミリーコンピュータやゲームボーイ、DSといった画期的なゲーム機を数々生み出してきました。

大量生産による低コスト化を図りながら、時代に適したブルーオーシャンを創出し続けているからこそ、任天堂はゲーム市場のリーダー企業として居続けていられるのです。

特に画期的だったのは「Wii」というゲーム機です。

Wiiが発売された頃は、ゲーム市場はソニーをはじめとした競合企業がひしめいており、競争に勝つことが厳しくなっていました。

そこで任天堂は、子どものみならず大人も楽しめるゲーム機を作ろうと考え、Wiiを開発・発売しました。

「大人も子供も楽しめる」という新しい価値は顧客に受け入れられ、Wiiは市場稀に見る大ヒットを記録しました。

時代に応じたブルーオーシャン戦略を実践し続ける任天堂は、ユニクロと並んで日本屈指の成功事例といえます。

※参考

www.00keiei.com

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ブルーオーシャン戦略を詳しく学習できる本

今回はブルーオーシャン戦略の意味やメリットなどをお伝えしましたが、100%ブルー・オーシャン戦略を理解したいのであれば、実際に本を読むのが一番です。

ブルーオーシャン戦略について詳しく学習する上でおすすめなのが、【新版】ブルー・オーシャン戦略という本です。

こちらは、ブルー・オーシャン戦略を提唱した学者が実際に書いた本の改訂版となります。

ブルーオーシャン戦略の基本的な概要にのみならず、「レッドオーシャンの罠を避ける方法」や「ブルーオーシャン戦略を刷新する方法」などの実践的な内容も含まれています。

読者の疑問に答えた改訂版を読めば、より一層ブルーオーシャン戦略に対する理解を深めることができるでしょう。

ブルーオーシャン戦略のまとめ

低コスト化と画期的な価値を顧客に提供するブルーオーシャン戦略は、成功すれば多大なメリットをもたらす経営戦略です。

ただしブルーオーシャン戦略を実践するには、多大な経営資源や専門的な知識などが必要となり、難易度はかなり高いです。

戦略キャンバスやアクションマトリクスなどの活用により、少しでもブルーオーシャン戦略が成功する可能性を上げるのがポイントとなるでしょう。