企業経営を有利に進める手段として、ブランドの活用はとても有用です。
ブランドを活用するマーケティング戦略の一つに、「ブランド拡張」があります。
ブランド拡張を実施すると、多角化(新規事業)を有利に進められる見込みがあります。
この記事では、ブランド拡張の意味やメリット、注意点などを成功事例を交えつつお話しします。
ブランドを活かした戦略や多角化に興味がある方は必見です!
ブランド拡張とは
ブランド拡張とは、うまくいっているブランド名を用いて、新しいフィールドで商品を販売する行為です。
要するに、既存ブランドの名前を新しい商品フィールドでも使うブランド戦略です。
ブランド拡張は、ブランド力の強化ではなく、より売上高や利益を伸ばす目的で実施されます。
そのためブランド拡張を実施するときは、すでに広く知られているブランドの名前を活用する方が高い効果を得られます。
またブランド拡張については、既存ブランドが新しい商品に適しているかを考えることも大事なポイントです。
もっと簡潔に言うと、既存ブランドを新しい商品に適用したときに、プラスの効果がもたらされなくてはいみがありません。
極端な例ですが、カップラーメンのブランド名を香水につけても逆に売れなくなることが容易に想像できるでしょう。
既存ブランドの印象が新しい商品に適していることは、ブランド拡張の成功においてとても大事です。
なおブランド拡張とは逆に、既存の商品で複数のブランドを展開するブランド戦略は「マルチブランド」と呼ばれます。
マルチブランドについて下記の記事で詳しく解説しているので、良かったら参考にしてください!
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ブランド拡張のメリット
ブランド拡張には、次に挙げる2つのメリットがあります。
メリットその1:売り上げや利益を大幅に増やせる見込みがある
ブランド拡張における一つ目のメリットは、売上や利益を大幅に増やせる見込みがある点です。
どんな市場であれ、商品やサービスを利用する顧客数には限りがあります。
そのため、事業を立ち上げてしばらくは売上高や利益が大きく伸びても、ある程度軌道に乗ってくると、売上高や利益の伸びは鈍化していきます。
つまり、同じ商品やサービスだけを販売していても、大きく売上高や利益を伸ばすのは難しいのです。
一方でブランド拡張により新規事業を始めれば、他の収益源を確保することができます。
ブランド拡張がうまくいって新規事業が軌道に乗ってくれば、大きくキャッシュフローを増やせるでしょう。
メリットその2:新規事業を有利に進めやすい
ブランド拡張の有する二つ目のメリットは、新しいブランドを用いて新規事業を始める場合と比べて有利になる点です。
基本的に新規事業では、無名のブランドを使うので、消費者に認識されるまでに長い時間やコストを要します。
一方でブランド拡張により新規事業を始める場合、ブランドの認知に要する費用や時間を削減できます。
また、 既存ブランドが消費者から抱かれている好ましい印象を活かせる点も大きなメリットです。
例えば高級財布のブランド名を使ってブランド拡張を実施すれば、新しく販売する商品に高級な印象を持ってもらいやすくなります。
好ましいブランドの印象を有効活用できる点も、状況次第では大きなメリットとなるでしょう。
新規事業について下記の記事で詳しく解説しているので、もしよかったら参考にしていただければ嬉しいです。
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ブランド拡張のデメリット(注意点)
ブランド拡張はメリットの多いマーケティング戦略であるものの、下記2つのデメリットや注意点があります。
新しい商品カテゴリーに適したブランド名でなくては効果がない
ブランド拡張を実施するときには、既存ブランドが持たれている印象(ブランド連想)が新しいカテゴリーに適しているかを考慮する必要があります。
既存ブランドが新しい商品に適していなければ、ブランド拡張による良い効果は得られません。
例えば安さを売りにするお菓子のブランドには、消費者から「安い」という印象を抱かれています。
そのため、そのブランド名を高級な腕時計の販売事業で使うと、消費者の有する印象との違いから、商品の質が良くても売れない恐れがあります。
上記は極端な例ですが、既存ブランドが新しいカテゴリーに適していることはブランド拡張においてとても大事です。
ブランド拡張を実施するときには、既存ブランドが新商品に良い影響をもたらしているかを慎重に検討しましょう。
既存ブランドの価値が低下する場合がある
ブランド拡張を実施するときには、新商品の成功のみならず既存ブランドへの影響にも注意しなくてはいけません。
既存ブランドが新商品に適さない場合、既存ブランドの有するブランド力が低下するデメリットが生じます。
例えば高級ブランドの名前を使って安価な日用品を販売したとしましょう。
その結果、既存ブランドの有する「高級」という印象が崩れて、既存ブランドの収益力が低下する恐れがあります。
ブランド拡張を実施するときには、既存ブランドの価値低下に十分注意しましょう。
既存ブランドの収益性をより強化したい場合は、ライン拡張の戦略が適しています。
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ブランド拡張に成功した企業の事例
ブランド拡張を経営に取り入れ、新事業で成功を収めた企業は多く存在します。
この章では、ブランド拡張により成功した企業の事例を3社ご紹介します。
成功事例1:ホンダ
自動車メーカーで有名なホンダは、自動車の製造・販売で確立した「ホンダ」ブランドを活用し、オートバイや船舶エンジン、芝刈り機など幅広い商品の販売に成功しています。
自動車製造で培った技術力を応用している点はもちろん、比較的関係性の高い事業でブランド拡張を実施してきた点が、同社が成功した要因の一つであると考えられます。
成功事例2:カルピス
子供から大人までに大人気の「カルピス」を販売するカルピス株式会社も、ブランド拡張により成功した企業の一つです。
同社ではカルピスの販売で培ってきたブランドを活かし、バターや生クリームの製造・販売事業に成功しています。
ホンダと同様に、カルピスの有する「乳製品」という印象をうまく活用している点が、同社のブランド拡張がうまくいった要因だと言えます。
成功事例3:富士フイルム
写真フィルムで一躍有名となった富士フイルムは、ヘルスケアや化粧品でのブランド拡張に成功しました。
ホンダやカルピスの事例のように、普通は消費者にとって関係性が高く感じられるフィールドでブランド拡張を実施するのがセオリーです。
しかし富士フイルムは、従来のブランドとは無関係のフィールドでブランド拡張を実施し、見事成功しています。
ブランド拡張がうまくいった最たる要因は、写真フィルム事業で培った技術力を活かせた点にあります。
そしてもう一つの要因は、写真フィルム事業で培った強みを消費者に最大限訴求できたことだと考えられます。
技術力の高さから質の良い化粧品・ヘルスケア商品を製造できると消費者に訴求したことで、一見関係性がないブランド拡張で大成功を収めることができました。
富士フイルムの事例から分かるように、戦略次第で関係性の薄い商品間でのブランド拡張でもうまくいく見込みがあります。
ブランド拡張のまとめ
今回の記事では、マーケティングを有利に進める戦略「ブランド拡張」についてご説明しました。
ブランド拡張には、ブランディングに要する費用やコストを削減し、より有利に新規事業を進められるメリットがあります。
また、すでに成功したブランドが持っている印象を活用できます。
このような強力なメリットがあるので、ブランド拡張を活用する大手企業は少なくありません。
一方でいくつかの注意点を意識しなければ、ブランド拡張はかえって新規事業や既存ブランドにネガティブな効果を及ぼします。
最悪の場合経営全体が傾く恐れもあるため、ブランド拡張を実施するときには十分な注意を要します。
良くも悪くも使い手自身に左右されるマーケティング戦略であるため、成功事例を参考にしつつブランド拡張を実践するのがおすすめです。
なおブランド拡張を行う際には、新しい市場での顧客開拓が必要となります。
顧客を開拓する際には、GeAIneというサービスを活用するのがオススメです。
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