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損益分岐点比率・安全余裕率とは【CVP分析をわかりやすく解説シリーズ:第4回】

損益分岐点比率

全4回にわたってお伝えしてきた「CVP分析をわかりやすく解説シリーズ」もいよいよ最後となりました。

最終回となる今回は、損益分岐点比率と安全余裕率の意味や計算方法(求め方)などについて解説します。

損益分岐点比率や安全余裕率を活用すれば、自分の会社(事業)が売上高の減少に対してどの程度の耐性を持っているのかを判断できます。

これまでお伝えした知識(変動費・固定費や損益分岐点など)を踏まえ、 損益分岐点比率についてわかりやすくお伝えするので参考にしてくれると嬉しいです。 

損益分岐点比率とは

損益分岐点比率とは、実際に得た売上高のうち損益分岐点売上高はどの程度あるのかを表す指標です。

冒頭でもお伝えしましたが、損益分岐点比率は「売上高の減少に対する耐性がどの程度のあるのか」を測る上で有用な指標です。

損益分岐点比率が低いほど、売上高が減少しても赤字になりにくい(つまり低い方が良い)と判断できます。

会社の業績は必ずしもその企業自体の強みやビジネスモデルによって決まるわけではありません。

どれだけ良い事業内容でも、国全体が不況となってしまうと意図せず売上高は減少してしまいます。

「万が一不況になった際に、自分の会社や事業がどの程度持ちこたえられるのか?」を予測できる上で、損益分岐点比率はとても役立ちます。

損益分岐点比率の計算方法(求め方)

損益分岐点比率は"%"で表すことができ、以下の計算式で算出します。

  • 損益分岐点比率(%) = (損益分岐点売上高 ÷ 実際に得られた売上高) × 100 

例えばA社が昨年得た売上高が1億円、A社の損益分岐点売上高が3,500万円の場合は、損益分岐点売上高は以下の求め方で計算できます。

  • 損益分岐点比率 = (3,500万円 ÷ 1億円) × 100 = 35% 

なお損益分岐点売上高の求め方については、前回の記事(下記リンク先)で解説しているので興味のある方はご覧になってみてください! 

business-kurage.hatenablog.com

損益分岐点比率の目安

損益分岐点比率は低い方が良いとお伝えしましたが、具体的には何%くらいが良いのでしょうか?

一般的には損益分岐点比率の数値に応じて、下記のような状態にあると言われています。

100%超

損益分岐点比率が100%を超えているとは、実際の売上高が損益分岐点売上高を下回っている状態です。

つまり赤字であるため、最優先で改善する必要があります。

90%〜100%

現時点では赤字になっているわけではないものの、対処しないとすぐに赤字に陥る可能性があります。

危険な状態には変わりないので、早急の対策が求められます。

80%〜89%

日本の平均的な企業の損益分岐点比率が80%と言われています。

特に優れているわけでも悪いわけでもない状態でありますが、自社を取り巻く事業環境が悪化すると赤字に陥る可能性があります。

少しでも安定的な経営をしたいのであれば、もう少し損益分岐点比率を下げる努力をするのが得策です。

60%〜79%

損益分岐点比率が60%〜70%の企業は、安定的に経営を行えていると言えます。

急激な景気悪化などの事態が生じたとしても、ある程度は耐えられるでしょう。

60%未満

ほとんどの企業よりも損益分岐点比率が低い状態であり、安全性には全く問題ありません。

ここまでくると十分な利益を得られるため、非常に優秀な状態であると言えます。

損益分岐点比率の目安に関する説明は以上になります。

損益分岐点比率が100%未満であるのは必須であり、6〜7割かそれ以下だと理想的な状態であると判断できます。

安全余裕率とは?安全余裕率の意味や求め方

安全余裕率の意味

損益分岐点比率と似た指標に「安全余裕率」と呼ばれるものがあります。

安全余裕率とは、実際に得た売上高と損益分岐点売上高の間にどのくらいの差(余裕)があるのかを測る指標です。

損益分岐点比率が売上高減少のリスクを測る一方で、安全余裕率は黒字企業があとどのくらい売上高が減少すると損益分岐点に達してしまうのかを測る際に使用します。

いわば経営の余裕度合いを測る指標であり、安全余裕率は高ければ高いほど良いとされています。

安全余裕率の求め方(計算方法)

安全余裕率は、下記の計算式により求めることができます。

  • 安全余裕率(%) = {(実際の売上高 − 損益分岐点売上高)÷実際の売上高}×100

たとえば実際の売上高が1億円、損益分岐点売上高が6,000万円の場合は、安全余裕率は下記のように計算されます。

  • 安全余裕率 = {(1億円 − 6,000万円) ÷ 1億円} × 100 = 40%

この式を見て勘付いた方もいるかと思いますが、損益分岐点比率と安全余裕率を足し合わせると必ず100%になります。

  • 損益分岐点比率 = (6,000万円 ÷ 1億円) × 100 = 60%
  • 安全余裕率 + 損益分岐点比率 = 40% + 60% = 100%

式の計算式に関連性がある通り、実は損益分岐点比率も安全余裕率も、分析する角度が違うだけで経営の安全性を測るという点では同じなのです。

自社の安全性を純粋に測りたい際には「損益分岐点比率」、黒字企業が自社の余裕度を測りたい際には「安全余裕率」を使うと良いでしょう。

損益分岐点比率を低くする(改善する)には

損益分岐点比率は低い方が良いため、状況が良くないのであれば必要に応じて「損益分岐点比率を下げる」必要があります。

損益分岐点比率を下げる方法は、基本的に以下の3つしかありません。

  • 固定費を下げる
  • 変動費を下げる
  • 商品やサービスの販売単価を上げる(費用を増やさずに)

費用をほとんど増やさずに販売単価を上げるのは現実的には難しいので、固定費か変動費を下げるのが一般的です。

無駄な固定費や売上に直結しない変動費を減らせれば、損益分岐点比率を下げて売上高減少のリスクに強くなるでしょう。

変動費と固定費については、下記の記事でわかりやすく解説しているので、もしよかったらご覧ください!

business-kurage.hatenablog.com

損益分岐点比率・安全余裕率のまとめ

今回の記事では、損益分岐点比率と安全余裕率の意味や計算方法(求め方)などについて説明しました。

今回ご紹介した情報を使って、より安定的な経営を実行してもらえると嬉しいです。

長かったCVP分析の説明も、この記事で終わりになります。

初学の方にとっては難しいCVP分析ですが、一つ一つ基礎から勉強すれば必ず理解できる分野です。

そして一度理解してしまえば、自身の事業運営にもとても役立ちます。

大変だと思いますが、是非ともCVP分析を勉強してみてください!