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経営分析の指標〜特に重要なものを一覧でご紹介!〜

経営分析の指標

経営分析とは、財務諸表に記載された情報を基に、収益性や安全性などの度合いを分析することを意味します。
自社の現在置かれている状態を捉えて、いち早く経営で生じ得るリスクや弱みを回避・克服できる上で、経営分析は非常に有用です。

今回の記事では、いくつかある経営分析の指標から、特に有用だと自分が思うものを一覧形式でご紹介します。

なお経営分析のやり方は、下記の記事で詳しく解説しているので、よければご参照ください。

business-kurage.hatenablog.com

収益性分析の経営分析指標

収益性分析とは、資本や売上高のうち利益をどの位得られているか(会社の稼ぐ力)に着目した経営分析です。

収益性分析に関しては、下記三つの指標を用いるとその会社の稼ぐ力を多面的に見れるでしょう。

ROE(自己資本利益率)

  • 自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100

自己資本利益率(ROE)とは、自己資本に対して当期純利益をどの位得られたかを意味する経営分析の指標です。

ROEは株主が投資した自己資本によって、どの程度配当金を獲得できたかを意味しているので、株主(投資家)から見た収益性の指標として役立ちます。

自己資本利益率(ROE)が高いほど、自己資本によりより大きな利益を獲得できていると捉えられます。

例)自己資本1億円、当期純利益1000万円

ROE=(1,000万円÷1億円)×100=10%

ROEが10%ということは、単純にいうと100万円投資したら10%に当たる10万円をリターンとして得られるのを意味します。 

ROA(総資本事業利益率)

  • 総資本事業利益率(ROA)=(事業利益÷総資本)×100

総資本事業利益率(ROA)とは、その会社が持っている全ての資本を使って、経営活動による収益(事業利益)をどの位獲得しているかを意味する経営分析の指標です。

なお事業利益は、本業によって得られる利益(営業利益)に、受取利息や受取配当金を合算した金額になります。

なお分子に事業利益ではなく、経常利益を用いて計算した指標をROAとするケースもあります。

総資本事業利益率(ROA)が高いほど、全ての資本を使い、事業活動でより沢山の利益を上げることが可能であると捉えられます。

例)自己資本1億円、当期純利益1000万円

ROE=(1,000万円÷1億円)×100=10%

ROEが10%ということは、単純にいうと100万円投資したら10%に当たる10万円をリターンとして得られるのを意味します。

売上高営業利益率

  • 売上高営業利益率=(営業利益÷売上高)×100 

売上高営業利益率とは、売上高(収益)のうち本業による利益(営業利益)をどの位稼いでいるかを意味する経営分析の指標です。

営業利益は売上高から売上原価や人件費などの販管費を差し引いた利益であり、「本業の営業活動の収益力」を意味します。

売上高営業利益率が高いほど、営業活動でより沢山の利益を獲得できていると分析できるでしょう。

例)A社:売上高10億円、営業利益1,000万円

    B社:売上高40億円、営業利益2,000万円

A社売上高営業利益率=(1,000万円÷10億円)×100=1%

B社売上高営業利益率=(2,000万円÷40億円)×100=0.5%

売上高と営業利益共にB社の方が多いため、一見するとB社の方が業績が良いように見えるかもしれません。

しかし売上高営業利益率を見てみると、A社の方がより利益の占める割合が多い(収益力が高い)のがわかります。

以上のように売上高営業利益率は、単純な数字では分からない収益力を測る上で有用な指標です。 

安全性分析の経営分析指標

安全性分析とは、その企業を財務的視点で見たときに、どのくらい安全なのかに着目した経営分析です。

会社に対して資金を融資する側から見ると、「その会社が持つ資金を返す能力」を分析できます。

安全性分析の指標に関しては、短期的な安全性(流動比率)、長期的な安全性(固定比率)、そして資本構成から見た安全性(負債比率)が特に大事です。

流動比率

  • 流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

流動比率とは、1年以内に返済する必要がある流動負債に対して、1年以内にお金に換えられる流動資産がどのくらいあるのかを意味する経営分析の指標です。

流動負債は短期借入金や買掛金、支払手形の合計、流動資産は現預金や受取手形、売掛金、棚卸資産の合計です。

「すぐに返済すべき負債」を「すぐにお金に換えられる資産」でどのくらい埋め合わせられているかを表すため、短期的な安全性を測る上で便利な指標です。

流動比率は高い方が好ましい指標であり、最低でも100%、理想は200%以上と言われています。

例)流動資産200万円、流動負債100万円

流動比率=(200万円÷100万円)×100=200%

流動比率が200%であるため、この会社は短期的には安全であるといえます。

固定比率

  • 固定比率=(固定資産÷自己資本)×100

固定比率とは、自己資本のうちすぐにはお金に換えることが出来ない固定資産がどの程度占めているかを意味する経営分析の指標です。

固定資産はすぐにお金には出来ないので、資金繰りが苦しくなった際には大きな足かせになる可能性があります。

固定比率は、どのくらい第三者に返す義務のない自己資本が固定資産をカバーしているかを表す指標なので、低い方が好ましいです。

100%以下が望ましい数値であり、100%を超えると長期的な安全性が低下するので好ましくないです。

例)固定資産500万円、自己資本400万円

固定比率=(500万円÷400万円)×100=125%

固定比率が125%であるため、長期的にみると若干不安が残ると捉えられます。

負債比率

  • 負債比率=(負債÷自己資本)×100 

負債比率とは、自己資本のうちに占める負債の割合です。

負債がたくさんあるほど、利子や元本の支払いにより資金繰りが悪化するリスクは上昇します。一方で自己資本は第三者に返す必要が無いので、多く持っていてもリスクがありません。

つまり負債比率が低い(負債<自己資本である)ほど、ファイナンス的には安全です。

業種により若干異なるものの、負債比率は100%以下が理想であると言われています。

例)負債1,000万円、自己資本2,000万円

負債比率=(1,000万円÷2,000万円)×100=50%

負債比率が50%であるため、ファイナンス視点から見た安全性は高いといえます。

効率性分析の経営分析指標

効率性分析とは、保有している資産をどのくらい有効に使えているかに着目した経営分析です。

効率性分析は、経営がどのくらい効率的に遂行されているかを捉える目的で使用します。

効率性分析に関しては、主に「総資本」か「棚卸資産」のいずれかの資本に着目した指標を活用するのが無難です。

総資本回転率

  • 総資本回転率(回)=売上高÷総資本

総資本回転率とは、全ての資本を用いて、収益をどの位獲得できたのかを意味する経営分析の指標です。

そもそも資本の回転とは、資金が固定資産や棚卸資産に変化し、それが販売されることで再度資金に戻るまでの流れを意味します。

この回転が多いほど、同じ資本量でより多くの売上高を獲得できると言えます。

つまり総資本回転率が多いほど、同じ資本量でより沢山の売上高を獲得できる(効率的に収益を得られる)という訳です。

例)A社:売上高2,000万円、総資本200万円

     B社:売上高5,000万円、総資本2,500万円

A社総資本回転率=2,000万円÷200万円=10回

B社総資本回転率=5,000万円÷2,500万円=2回

B社の方が売上高は多いものの、回転率の多さからB社の方が効率的に収益を獲得していると見て取れます。

棚卸資産回転率

  • 棚卸資本回転率(回)=売上高÷棚卸資本

棚卸資産回転率とは、棚卸資産を用いて、売上高をどのくらい獲得できたのかを意味する経営分析の指標です。

棚卸資産とは、販売する目的で保有している商品や原材料の総称であり、一般的には在庫と呼ばれているものが該当します。

つまり棚卸資産回転率は、効率的に棚卸資産を利用できたかどうかを意味します。

棚卸資産回転率が高いほど、棚卸資産を上手く活用して売上高を獲得していると言えるのです。ただし棚卸資産回転率が高すぎると、逆に在庫が需要と比べて不足している可能性も考えられます。

ただしこの指標が低い水準だと、棚卸資産が多すぎる現状を表すと言われています。

例)A社:売上高2,000万円、棚卸資産500万円

    B社:売上高4,000万円、棚卸資産2,000万円

A社棚卸資産回転率=2,000万円÷500万円=4回

B社棚卸資産回転率=4,000万円÷2,000万円=2回

この例の場合、A社の方が棚卸資産を上手く利用できていると見て取れます。

A社は在庫不足の恐れがないか確認する必要があり、B社は在庫過多に陥っている可能性がないかをそれぞれ確認する必要があるでしょう。

経営分析の指標に関するまとめ

今回の記事では、経営分析の指標を9つご紹介しました。

経営分析で何を測りたいかによって、算出すべき指標は異なります。

自社の経営資源や業種、事業モデルなどに応じて、適切な指標を用いるのが経営分析を実施する上では重要です。