購買意思決定プロセスとは?具体例を交えて解説!

商品やサービスを販売する際には、お客さんがどのような行動を経て購入に至るかを知っておくことが重要です。

消費者が購買に至るまでの行動を把握しておけば、「いつ・どのようなマーケティング施策が有効か」を明確にできます。

そんな消費者が購買に至るまでの流れは、「購買意思決定プロセス」と呼ばれます。

今回は、アメリカの経営学者Pコトラーが提唱した「購買意思決定プロセス」について詳しく解説します。

購買意思決定プロセスとは

購買意思決定プロセスとは、消費者が製品の購入に至るまでの一連の流れを意味します。

コトラーは、お客さんは製品の購入までに、以下5つのステップを通過するとしています。

①問題認知(自身が抱えるニーズを認知する)

 

②情報探索(ニーズを解決する手段を探す)

③代替品評価(複数の製品を比較検討する)

④購買決定(最も評価の高いものを購入する)

⑤購買後の行動(購買自体の評価を行う)

例えば飲食店を利用するケースを想定すると、以下のような購買意思決定プロセスを辿ると考えられます。

①問題認知:空腹を感じる

②情報探索:知人から美味しい飲食店を聞いたり、インターネットで最寄りの飲食店を検索する

③代替品評価:複数の飲食店を値段や口コミなどで比較検討する

④購買決定:最も値段や口コミの面で良さそうな飲食店を利用する

⑤購買後の行動:SNSに写真付きで投稿したり、友達に口コミでオススメする

なお消費者や製品の種類によっては、途中のプロセスから購買意思決定プロセスが始まったり、前の段階に逆戻りすることもあり得ます。

次の章からは、商品・サービスを販売する上で知っておくべき各ステップの概要と、それを踏まえて行うべきマーケティング施策をお伝えします。

Step1:問題認知

購買意思決定プロセスは、消費者が自身のニーズを認知するところから始まります。

問題認知とは

消費者のニーズは、自分自身の内部から湧き上がってくるものもあれば、外部からの刺激により喚起されるものもあります。

例えば「空腹感を満たしたい」というニーズを例にとると、食事の間隔が空けば自然と湧き上がるでしょう。もしくは、外を歩いているときに美味しそうな匂いを嗅ぐことで喚起されることもあります。

マーケティングで行うべき施策

商品やサービスを販売するには、まずは消費者にニーズを認知してもらうことが重要です。

消費者の持つニーズは、消費者自体が必要性を感じている「顕在的ニーズ」と、消費者自身が必要性を感じていない「潜在的ニーズ」の2種類に大別されます。

消費者に自社プロダクトを買ってもらうには、消費者自身がその製品に対して必要性を感じる(≒顕在的ニーズを持つ)ようにしなくてはいけません。

例えば保険は、健康な若い人にとって必要性を感じない商品です。

そのため、ただプロダクトの良さを押し売りしても購入してはもらえません。

ですが、将来的に病気になったときに多額の費用がかかることを想像させれば、消費者自身に保険の必要性を感じてもらえます。

その結果、商品を強くオススメしなくても保険を購入してもらえる可能性が高まるでしょう。

つまり、商品・サービスを知らない消費者に対しては、潜在的ニーズを顕在的ニーズに変える(≒商品の必要性を認識させる)ことが重要なのです。

Step2:情報探索

ニーズを感じた消費者は、そのニーズを満たすために情報探索を行います。

購買意思決定プロセスにおける情報探索とは、インターネットや口コミなどを参考に、自身が抱えているニーズの解決手段を探すことです。

情報探索の種類

情報探索は、内部探索と外部探索の2種類に大別されます。

内部探索とは、自らの経験や知識から情報を集めることです。例えば飲食店であれば、過去に訪れた店舗から美味しかったお店を思い出すケースが該当します。

一方で外部探索とは、インターネットや知人などの外部から情報を集めることです。飲食店を例にすると、SNSの口コミを調べたり、知人から美味しいお店を聞くケースが該当するでしょう。

通常消費者は、内部探索を最初に行い、それで不十分な場合に外部探索を行うと言われています。

また、高価格または品質のばらつきが大きい商品・サービスであるほど、外部探索を行う傾向が強いです。

情報探索への注力度は製品に対する「関与」で決まる

関与とは、商品・サービスに対する関心度やこだわりを意味します。

購買意思決定プロセスでは、製品に対する関与が高いほど、積極的に情報探索を行うとしています。

例えば寿司にこだわりがある方ならば、一つ一つの寿司屋について詳細に口コミやメニューを精査するでしょう。

製品に対する関与が高まる要因としては、下記の3点が挙げられます。

・価格が高い

・購買頻度が低い

・所有することで社会的ステータスが高まる

購買時点での行動は3つのタイプに分けられる

ここまでお伝えしたとおり、情報探索の注力度合いは「関与」や「プロダクトの価格」、「購買頻度」など、あらゆる要因によって変わってきます。

そうした複雑な要因をまとめると、消費者の購買時点における行動は下記3つのタイプに大別できます。

定型的問題解決

購買意思決定プロセスにおける定型的問題解決とは、購買頻度が高く、かつ低価格の商品を購入するときの購買行動です。

商品の特性や流通するブランドなどを広く熟知しています。

かといってこだわり(関与)は低いため、情報探索には時間や労力をかけず、常に同じブランドの商品を購入する傾向があります。

例えばトイレットペーパーや洗剤などの生活必需品が、定型的問題解決により購入されるプロダクトと言えるでしょう。

定型的問題解決の特徴をまとめると以下の通りです。

・低価格

・購買頻度が高い

・低関与(こだわりが低い)

・消費者が製品を熟知している

・あまり情報探索を行わずに購入

限定的問題解決

購買意思決定プロセスにおける限定的問題解決とは、製品自体については知っているものの、流通しているブランドや詳しい性能などは知らないような場合にとられる行動です。

価格や購買頻度、関与などが、どれも中程度である点が大きな特徴です。

最低限の情報を知っているような状況であるため、見込み客は購買決定に際してある程度の時間や労力をかけて情報探索を行います。

例えば家具や家電、一般的な乗用車は、限定的問題解決により購入される傾向にあります。

限定的問題解決の特徴をまとめると以下の通りです。

・価格や購買頻度、関与はどれも中程度

・見込み客は製品に関して最低限の知識を有している

・ある程度の時間や労力をかけて情報探索を行う

拡大的問題解決

購買意思決定プロセスにおける拡大的問題解決とは、高価格で滅多に購入しないようなプロダクトに対する購買行動です。

購買頻度が低いため、見込み客はほとんど製品に関する情報を知らないケースがほとんどです。

一方で値段は高いので、関与(こだわり)は高くなる傾向があります。

したがって、複数のブランド間で値段や性能を比較するなど、情報収集に多大な時間や労力が割かれます。

具体例を挙げると、高級腕時計や不動産などが該当します。

拡大的問題解決についてまとめると以下の通りです。

・価格、購買頻度、関与はすべて高い

・消費者は製品をほとんど知らない

・十分な時間や労力をかけて情報探索が行われる

情報探索は口コミ・口コミにも影響される

消費者の情報探索は、口コミや準拠集団にも影響を受けます。

口コミとは、商品に関して消費者同士で情報を共有し合うことです。関与が高い製品ほど口コミの影響を受けやすいと言われています。

一方で準拠集団とは、お客さんの購買意思決定プロセスに影響を与える集団または個人です。

例えば家族などの身近な存在はもちろん、芸能人やスポーツ選手といった憧れの人たちが準拠集団となります。

消費者は合理的な理由だけでなく、「家族がみんな使っているから」とか「憧れの人が使っているから」といった感情的な動機でも製品の購入を決定するので注意を要します。

関連記事

みなさんは「◯◯さんが使っているから」とか「学校で流行っているから」などの理由で、何かしらの商品を購入した経験はあるでしょうか?このような理由で購買を決定する場合、あなたは「準拠集団」からの影響を少なからず受けていると考えられます。[…]

マーケティングで行うべき施策

以上を踏まえると、製品の情報を調べている見込み客に対しては、2つのマーケティング施策が有効です。

1つ目は、購買時点での行動タイプに合わせて、営業や販売促進のアプローチを変えることです。

例えば不動産などの高級で購買頻度の低い商品は、十分な時間や労力をかけて情報探索が行われます。したがって、見込み客が知りたい情報を詳しく伝えたり、何回も会って相手の納得がいくまで質問に答えるといった施策が効果的です。

2つ目は、口コミや準拠集団の効果を積極的に利用することです。

例えば関与の高いサービス(高級ホテル)については、積極的にSNSを使って口コミを広めてもらうように施策を打つと良いでしょう。

スポーツ用品であれば、そのスポーツで特に有名な選手をプロモーションで使用すると、購買につながりやすくなります。

Step3:代替品評価

購買意思決定プロセスにおける3つ目のステップは「代替品の評価」です。

代替品の評価とは

代替品の評価とは、情報探索で収集した複数の商品を比較検討し、それぞれの良し悪しを評価することです。

どのように評価するかは見込み客の重視するポイントによって異なります。

値段の安さを重視する見込み客であれば、安くない商品は対象外となるでしょう。

一方で品質重視ならば、例え高くても品質が良ければ選んでもらえる可能性は高まります。

マーケティングで重視すべきポイント

代替品の評価に勝ち抜くには、顧客が重視するポイントを見極めることが重要です。

例えば品質を重視する顧客に対しては、品質の良さを積極的にアピールする施策が効果的です。

一方で、顧客が重視する部分に弱みを持っているならば、その弱みを打ち消せるだけの強みを訴求する必要があります。

例えば価格を重視する顧客に対しては、「値段は高いものの、他の商品よりも長持ちするため、長期的に見るとコストが安くなる」などと訴求すると良いでしょう。

Step4:購買決定

購買意思決定プロセスでは、代替品のうち最も高い評価を得た商品・サービスが購入されるとしています。

購買決定のステップでは、確実にプロダクトの購入につなげることが重要です。

例えばインターネットで購入できないなど、購入するのに不便を感じると、直前で購入されなくなるリスクがあります。

このようなリスクを回避するためにも、購入する際の利便性や快適さには十分気をつけましょう。

Step5:購買後の行動

購買意思決定プロセスは、商品を購入して終わりではありません。

マーケティング活動では、商品を利用した顧客がどのような感情を抱き、どのような行動を行ったかにも注視しなくてはいけません。

満足度が高いと良い評判の共有や長期的な関係構築につながる

使用した製品に対する満足度が高いと、お客さんはSNSや口コミで製品の良さを他人に伝えようとする傾向があります。

また、固定客となりプロダクトを継続的に利用してくれる可能性もあります。

顧客は何かしらの不満を感じるケースが多い

ただし実際には、何かしらの面で不満を感じることが多いと言われています。

お客さんのニーズを100%満たすことは基本的に不可能であるため、多少の不安を抱かれるのは仕方がないでしょう。

ただし不満を感じたお客さんは、不満を減少させるような行動をとると言われています。

例えば購入した商品に欠点を見つけた場合は、購入しなかった方の商品の欠点を探したり、購入したプロダクトの良い口コミを積極的に確認する、といった行動が見られます。

こうした行動は、「自分の購買行動は間違っていない」と正当化したいと考えるために起きると言われています。

以上のように、「購入した製品に対して不満を感じた際に、お客さんはその不満を解消するように行動する」というのは認知的不協和の理論と呼ばれます。

関連記事

皆さんは商品を購入した後に、「この商品を購入したのは本当に正解だったのか?」と不安に感じた経験はあるでしょうか?このような不安を一般的に「認知的不協和」といい、この状態に陥った消費者は特定の行動を取ると言われています。実は、認知的不[…]

お客さんの購買後行動をマーケティングに活かすには

お客さんが購買後にとる行動を踏まえると、3つのマーケティング施策が効果的であると言えます。

まず1つ目は、満足度の高い顧客を広告塔として積極的に活用する施策です。

満足度の高い顧客に自社製品について宣伝して貰えば、少ないコストで効率的に新規顧客を獲得できます。

そのためにも、顧客アンケートや満足度調査を行い、どの顧客がどのくらい満足しているかを把握しなくてはいけません。

2つ目は、顧客との長期的な関係を重点的に構築する施策です。

一般論として、満足度が高い顧客は引き続き継続的に自社製品を利用してくれる可能性が高いです。

長期的に利用してくれる顧客が増えるほど、長期で安定した収益を獲得できるようになります。

したがって満足度が高い顧客については、積極的にコミュニケーションを取ったり、特別扱いするなどして、満足度をさらに高めることが重要です。

そうすれば、自社に対するブランドロイヤルティ(自社に対するファン度)が高まり、数年〜数十年に渡って愛顧してもらえるでしょう。

3つ目は、購入前に期待値を高めすぎないことです。

お客さんは、あらかじめ持っていた期待の度合いにあっていれば満足する一方で、期待値を下回ると不満を感じます。

しかし前述したように、ほとんどの顧客は何かしらの不満を抱えます。

したがって、購入につなげるために期待値を高めすぎると、かえって購入後に大きな不満を抱かれてしまうリスクが高まります。

大きな不満を抱えられると、SNSなどで悪い評判を流される恐れもあります。

したがって、過度に期待を煽るような売り方は控えるのが得策です。

仮に多少の不満を抱えられても、前述したように商品の良さを無意識に探してくれるので問題はありません。

アンケートなどで不満点を聞き出し、その点を後から改善すれば良いのです。

購買意思決定プロセスのまとめ

購買意思決定プロセスを理解すると、製品を購入するに至るまで、お客さんがどのような感情の変化を辿るのかが分かります。

顧客の感情変化を知っておけば、それに応じて最適な販売促進や広告を打ち出せるでしょう。

購買意思決定プロセスは、まさにマーケティングのヒントが詰まった理論なのです。

マーケティングや経営に携わる方は、ぜひ購買意思決定プロセスの理論を応用してみてください。

関連記事

マーケティングの仕事をしていたりマーケティングを勉強していると、「AISAS」とか「AISASモデル」という用語を見聞きすることがあります。この記事を読んでくださっている方の大半は、もしかしたら「AISASモデル」の意味を知る目的でこの記[…]

最新情報をチェックしよう!