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ケイパビリティとは?意味や具体例、コアコンピタンスとの違いも解説!

ケイパビリティ

昨今の経営戦略において、重要だと言われている概念に「ケイパビリティ」というものがあります。

ケイパビリティを意識した経営戦略を実践すれば、長期的に模倣困難な競争優位性を創出できる可能性があります。

とはいえ、「ケイパビリティ」という概念は抽象的すぎるため、いまいち重要性が理解されにくいです。

そこで今回の記事では、今後の経営戦略に欠かせない「ケイパビリティ」について、具体例を交えつつ解説します。

ケイパビリティとは?意味と具体例

まず初めに、ケイパビリティの意味と具体例をお伝えします。

ケイパビリティの意味

ケイパビリティとは、競争優位性を築く上で基盤となる組織(会社)の能力を意味しており、英単語の「Capability(能力、才能)」が由来となっています。

言い換えると、最先端の機械設備や資金力といった単なる強みではなく、経営資源を使いこなし、大きな利益を生み出す能力がケイパビリティです。

ケイパビリティの具体例

ケイパビリティといった場合、「事業を運営する能力」や「蓄積されたノウハウ」、「組織文化」を指す場合が一般的です。

もう少し具体的にいうと、例えば下記の能力がケイパビリティに該当します。

  • 各部門が連携してスピーディーに製品を製造できる能力
  • 優秀な人材を短期間で育成できるノウハウ
  • 新しい視点で新規事業を続々と生み出せる組織文化

上記はあくまで一例であり、他にもケイパビリティと呼べるものはたくさんあります。

経営資源の中でも、「組織全体で活用できるもの」であり「目に見えない能力」をケイパビリティと呼べるのです。

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ケイパビリティとコアコンピタンスの違いとは

ケイパビリティと似た用語に、コアコンピタンスと呼ばれるものがあります。 

どちらも競争優位性を築く上で重要な能力である点には変わりありませんが、若干意味合いに違いがあります。

結論から言うと、ケイパビリティが「組織全体で発揮する能力」を意味する一方で、コアコンピタンスは「利益を生み出す上で中核となる能力」を意味します。

例えば楽天さんは、金融や旅行などあらゆる分野で活用できるポイントカード制度(楽天経済圏)を創出することで、幅広い市場で多くの顧客を囲い込むことに成功しています。

この楽天経済圏や「楽天」というブランド力こそが、同社のコアコンピタンスです。

一方で同社は、2000年代初頭からあらゆる業種でM&Aを続々と行い、現在の楽天経済圏を構成するサービスを獲得していきました。

他社に先駆けて事業を買収していき、素早くサービスとして形にする組織的能力は「ケイパビリティ」と呼べます。

 

つまり「事業で利益を創出する上で不可欠な強み」がコアコンピタンスであり、「コアコンピタンスを創出する能力」や「コアコンピタンスを全社一丸となって活用する能力」がケイパビリティとなります。

ケイパビリティとコアコンピタンスのいずれかが大事と言う訳ではなく、競争優位性を創出するにはどちらも必要です。

優れたブランド力や技術力と、それを最大限生かせる組織的能力のどちらもあって初めて、他社の追従を許さない組織となるのです。

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ケイパビリティを高めるメリット・重要性

次に、ケリパビリティを高めるメリット(重要性)についてお伝えします。 

ケイパビリティを高めるメリットとは、ずばり「模倣困難な競争優位性を創出できる点」です。

製品寿命の短命化や標準化が進む昨今、経営資源の量だけでは持続的に競争優位性を維持するのは難しくなりました。

ただ単に資金力があったり優れた機械設備があっても、大企業が参入すれば容易に模倣されてしまいます。

 

一方でケイパビリティは、知識やノウハウなどの目に見えない能力である上に、営業や製造などの各部門が一丸となって発揮するものです。

そのため、単純に優れた経営資源を持っているだけの会社と比べて、模倣困難な競争優位性を創出できます。

例えば「優秀な人材を短期間で育成できるノウハウ」は、長年培ってきた人材育成のノウハウや若手育成に力を入れる社風など、会社内のあらゆる要素が合わさってはじめてできあがります。

他の会社が真似しようと思ったら、社風から人材育成のノウハウまで全てを模倣しなくてはいけません。

簡単には真似されない(全てを真似するのは難しいから)ので、こうしたケイパビリティを保有する会社は長期的に競争優位性を創出できる訳です。

競争優位性について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

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会社経営を長期的に続けるには「ダイナミックケイパビリティ」が大事!

ケイパビリティの重要性(メリット)について散々お伝えしましたが、実は単純にケイパビリティを創出するだけでは不十分です。

環境の移り変わりが激しい現代においては、「ダイナミックケイパビリティ」に重きをおく必要があると言われています。

この章では、ダイナミックケイパビリティについて取り上げます。

ケイパビリティが環境に合わなくなる場合もある

そもそも何故ケイパビリティの創出のみでは不十分かというと、ケイパビリティ自体が環境変化により通用しなくなる可能性があるからです。

例えば、スピーディーに製品を作るケイパビリティを持っているとしましょう。

技術革新により、より低コストで素早く製品を作れるようになった場合、従来のケイパビリティは競争優位性を失ってしまいます。

このように、ケイパビリティは技術革新や時代の変化などにより、ある日突然優位性を失ってしまう可能性があります。

近年は環境変化のスピードが早くなっており、ケイパビリティが競争優位性を失う状況が多々発生しています。

ダイナミックケイパビリティこそが長期的な競争優位性には不可欠

そんな状況で近年注目されているのが「ダイナミックケイパビリティ」です。

ダイナミックケイパビリティとは、猛スピードで移り変わる環境に対応するために、会社内外のコアコンピタンスやケイパビリティを統合・再構成する能力を意味します。 

つまり環境の変化に合わせて、競争優位性の源泉を適切に再創出する能力がダイナミックケイパビリティなのです。

ダイナミックケイパビリティを創出する方法

ダイナミックケイパビリティを創出するには、下記三つの活動に普段から取り組む必要があります。

環境変化の察知と分析

日頃からマーケティング活動を行い、常に環境変化に対してアンテナを貼っておきます。

また急な環境変化に対応するために、研究開発や新しいスキルの獲得などにも努めるのが大事です。

環境変化に対する意思決定

環境変化を察知した場合、組織全体でどのように行動するかを決定します。

例えば経営戦略や製造プロセスを変更するなど、どの範囲をどの程度までを変更するかを慎重に検討します。

変革の実行

行動内容を決定したら、具体的に変革を実行します。

変革の実行にあたっては、社内全体が一丸となって取り組む必要があります。

ケイパビリティのまとめ

今回の記事では、ケイパビリティの意味や具体例、コアコンピタンスとの違いなどを取り上げました。

ケイパビリティに重きを置いた経営戦略は、環境変化や競争が激しい現代においてとても重要です。

ケイパビリティを創出すれば、容易に真似されない強みを活かし、長い間競争優位性を保ち続けられます。

ただし環境の変化により、ケイパビリティ自体も時代遅れとなるリスクがある点には注意が必要です。

より確実に競争優位性を維持し続けるには、ダイナミックケイパビリティの構築も意識しなくてはいけないでしょう。