中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

中小企業診断士の資格や新規事業の経験を持つクラゲが、経営学やマーケティングをゆる〜く分かりやすく伝えるブログです。

キャズム理論とは?〜新規事業で直面するキャズムを超える方法〜

キャズム理論

新規事業を新しく始めるに際して、是非とも知ってもらいたい理論の一つに「キャズム理論」があります。

キャズム理論を学ぶと、新規事業を進めるうちに直面する「壁」をどのように乗り越えれば良いのかのヒントを得られます。

今回はキャズム理論の概要やキャズムを超える方法をお伝えするので、是非参考にしてみてください!

キャズム理論とは?前提となるイノベーター理論も解説

まず初めに、キャズム理論とは何なのかをお伝えします。

前提知識となるイノベーター理論を確認しよう

キャズム理論は「イノベーター理論」の知識を基にした理論であるため、まずはイノベーター理論について簡単にご紹介します。

イノベーター理論とは、ある新商品を購入する時期に応じて消費者を5つに分類した理論であり、新商品が市場に現れてから普及するまでの流れを表しています。

イノベーター理論では、商品の購入時期に応じて消費者を次のように分類しつつ、それぞれが全体のうちどのくらいを占めるかを定義しています。

  • イノベーター(新製品を真っ先に購入する消費者)→2.5%
  • アーリーアダプター(新製品を早い段階で購入する消費者)→13.5%
  • アーリーマジョリティ(新製品に若干慎重な消費者)→34%
  • レイトマジョリティ(新製品に懐疑的な消費者)→34%
  • ラガード(新製品にとても保守的な消費者)→16%

ざっくりイノベーター理論を要約すると、新商品の技術的な革新性や目新しさにより積極的に購入する人は全体の15〜16%程度であり、大多数の人は新製品の購入に消極的であると言えます。

キャズム理論の概要

イノベーター理論を見てみると、アーリーアダプターまでの割合とそれ以降(アーリーマジョリティからラガードまで)の割合に大きな差があるのが分かります。

この差を「イノベーション普及の障害」であると考えるのがキャズム理論です。

キャズム理論では、アーリーアダプターとアーリーマジョリティはそれぞれ新商品に求めるニーズが大きく異なると考えます。

アーリーアダプターは商品の革新性を求める一方で、アーリーマジョリティは商品の実用性や安心さを求めます。

アーリーアダプターに受け入れられた商品をそのまま売り出しても、簡単にはアーリーマジョリティに普及しません。

前述した通り、アーリーアダプターまでの顧客は全体の16%しかいない一方で、アーリーマジョリティは34%も存在します。

よって新規事業を軌道に乗せるには、市場のメインストリームであるアーリーマジョリティに商品を普及させるのが必要条件となるのです。

しかし大多数の新規事業は、アーリーマジョリティに商品やサービスが受け入れられずに(キャズムを超えることができずに)市場から姿を消します。

画期的なビジネスモデルを持つ新規事業を成功させるには、キャズムをいかに超えられるかが鍵となります。

キャズムを超える具体的な戦略については、後ほど詳しく解説します。 

キャズム理論と製品ライフサイクルの関連性

キャズム理論は、製品ライフサイクルとの関連性も高いです。

製品ライフサイクルとは、新しい製品が市場に現れてから衰退するまでの流れを意味します。

製品ライフサイクルは具体的に下記4つの期間に分類され、それぞれ対象となる顧客や必要な戦略が異なります。

  • 導入期→市場での認知度を高める。イノベーターが対象
  • 成長前期→競争に対処しつつ市場シェアを最大化。アーリーアダプターが対象
  • 成長後期→市場シェアに加え利益最大化を目指す。アーリーマジョリティが対象
  • 成熟期→競争優位性の確立を目指す。レイトマジョリティやラガードが対象
  • 衰退期 →市場からの衰退や市場の延命を目指す。対象顧客は成熟期と同様

つまりキャズム理論で言う「キャズム」とは、成長前期から成長後期の間にある超えるべき溝を意味します。

アーリーマジョリティに商品が普及すれば、その後の成熟期や衰退期まで事業を続けられる可能性が高まり、事業で安定的に利益を得られるようになります。

www.bizkurage.com

キャズムを超える戦略

最初に結論を言うと、キャズムを超えるには「アーリーマジョリティのニーズに適した商品・サービス作りとマーケティング戦略の実行」が必須となります。

言い方を変えると、市場の大多数を占める顧客層へのアプローチを考えた段階で、マーケティング戦略を抜本的に変える必要があります。

新製品を販売し始める当初は、高度な技術や商品の革新性をアピールしてイノベーターやアーリーアダプターに商品を販売します。

しかし市場の大多数を占める顧客層(アーリーマジョリティ以降の顧客)は、使われている技術や革新性に興味があるのではなく、「商品の実用性」や「安心さ」、「手軽さ」といった面に興味があります。

そのため、より実用性や手軽さの面で優れている商品を販売・アピールしたり、安心して使える旨を訴求するのが重要となります。

たとえば生活でどのように役立つかを広告でアピールしたり、安心して買ってもらえるように購入者数を伝えるといった施策が考えられます。

もしくは、アーリーマジョリティからの支持を得ている有名人(インフルエンサー)を使ったマーケティング戦略も、キャズムを超える上で効果を発揮します。

このようなマーケティングを行う際には、「準拠集団」の考え方を知っておくと便利です。

準拠集団について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!

www.bizkurage.com

キャズム理論を学習できる本

これまでの説明を読んで、「キャズム理論をもっと本格的に学びたい!」と思った方もいると思います。

そんな方におすすめなのが、「キャズム Ver.2」という本です。

こちらの本はキャズム理論の提唱者が実際に執筆した本であるため、キャズム理論の本質を隅から隅まで学習できます。

事例付きでキャズム理論の概要やポイントが説明されているため、実務に役立てる際にもとても役立ちます。

新規事業をこれから始めたい方はもちろん、今現在事業の拡大に苦戦している方にとっても大きなヒントを得られる一冊となっています。

 

キャズム理論のまとめ

今回の記事では、キャズム理論の意味やキャズムを超える方法などについて解説しました。

新規事業を軌道に乗せて安定的な経営を行うには、「キャズム」を超えなくてはいけません。

キャズムを超えるためには、それまで実施していた戦略を抜本的に変える必要も出てきます。

新規事業を新しく始める際には、いずれキャズムに直面し、それを超えなくてはいけない点を頭の片隅においておくのがおすすめです。