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チェリーピッカーとは?小売・飲食店の赤字を招く難敵には対策を講じよう!

チェリーピッカー

「たくさん商品は売れているのになぜか赤字になる」

「たくさんお客さんは来てくれるのになぜか利益がほとんど残らない」

飲食店や小売店などの経営者や店長の方で、このような悩みを抱える方は少なからず存在するでしょう。

さまざまな理由が考えられますが、もしかしたら「チェリーピッカー」が原因かもしれません。

チェリーピッカーは、一見ただのお客さんですが飲食店や小売店にとっては「難敵」とも言える厄介な客です。

今回の記事では、チェリーピッカーの意味やチェリーピッカーがもたらすデメリット、チェリーピッカーへの対策などをくわしく解説します。

小売店や飲食店などの経営や運営に携わっている方は必見です!

チェリーピッカーの意味とは?

チェリーピッカーとは、特売品だけを購入する顧客を意味するマーケティング用語です。

おそらくですが、「美味しそうなさくらんぼ(Cherry)だけを摘んでいく人(Picker)」というのがこの用語の語源になっています。

特売品(バーゲン商品)だけを狙い撃ちして購入することから、バーゲンハンターとも呼ばれています。

特売で利益を儲ける仕組み

チェリーピッカーの危険性を理解するために、まずは特売で利益を儲ける仕組みをカンタンにご説明します。 

そもそも特売とは、通常よりも安い価格で商品を販売する手法です。

基本的には、仕入れ値と同じかそれ以下の値段で販売するケースが多いです。

「仕入れ値以下で販売したら赤字になってしまうのでは?」と思う方もいるでしょう。

ですが特売は、利益の獲得ではなく「集客」を目的に行われます。

チラシやHP上で通常よりも安い価格で販売することを宣伝すれば、普段よりも多くのお客さんが来店してくれます。

そして不思議なことに、ほとんどの顧客は店舗内を回るうちに、特売品以外の商品もついで買いしてくれます。

たとえば、特売価格で販売される焼肉のたれをスーパーに買いに行ったとしましょう。

実際にスーパーに入ったら、「せっかくだし日頃の生活用品や他の食料品もこの機会に買っていこう」と思いますよね。

そうして日用品などの商品も購入した結果、店舗側にとっては商品全体で見た場合の利益はプラスとなるのです。

以上のように、ついで買いも含めた全体でプラスの利益を得ようとするのが、特売の仕組みなのです。  

つまり特売で利益を儲けるには、特売品以外の商品も買ってもらう必要があるのです。

チェリーピッカーを野放しにするとどうなるのか

結論から言いましょう。

チェリーピッカーを野放しにすると、「商品は売れてるのに赤字」という事態に陥る可能性があります。

この章では、チェリーピッカーを野放しにする危険性をくわしくご説明します。

チェリーピッカーはついで買いを殆どしなければロイヤリティも持たない

先ほどお伝えしたように、特売で利益を得るには、特売品以外の商品も買ってもらう必要があります。

しかしチェリーピッカーと呼ばれるお客さんは、特売品だけを購入して帰ってしまいます。

中には多少他の商品を購入する場合もありますが、特売品で積み重なったマイナス分を相殺することはできません。

仕入れ値と同等かそれ以下の商品ばかり買って帰るので、チェリーピッカー単体で見ると赤字となります。

ではチェリーピッカーが多数にのぼるとどうなるでしょうか?

赤字をもたらす客が何人もいることで、店舗全体で赤字となってしまうのです。

またチェリーピッカーは、店舗に対するロイヤルティ(その店舗への愛着心や忠誠心)を持ちません。

特売品が販売された時だけやってきて、特売品を売らない限り基本的には来店してくれません。

つまりチェリーピッカーは、利益をほとんど与えてはくれず、むしろ損失を与える存在なのです。

たしかにお客さんの側から見たら、節約のために特売品を狙い撃ちして購入する行為は悪いことではありません。

かなり悪者のように書いてしまいましたが、否定する気は全くありません。

しかし会社経営や店舗の運営では、少しでも多くの利益を手元に残すのが最重要課題となります。

赤字が続けば、自身やその家族はもちろん、従業員や取引先の人の生活も苦しくなってしまいます。

会社を支えてくれる人たちの幸せのためにも、自社にとってマイナスとなるチェリーピッカーには対策を講じなくてはいけないのです。

チェリーピッカーを放置すると優良顧客を手放すリスクも・・・

「別に利益をもたらしてくれるお客さんもいるし、わざわざチェリーピッカーの対策なんてしなくても良いのでは?」と思う方もいるでしょう。

しかしチェリーピッカーを放置すると、優良顧客を手放すリスクもあるので要注意です。

例えば大規模に特売を開催すれば、普段はまったく来店しないチェリーピッカーが大勢押し寄せます。

そうなると店舗内は騒がしくなったり混雑してしまい、普段のように快適にサービスを受けることや買い物を行うのが困難となります。

その結果自社に利益をもたらしてくれる優良顧客の満足度が低下し、それ以降自社の商品やサービスを利用してくれなくなる恐れがあります。

当然チェリーピッカーは特売しない限りは来ないので、優良顧客を失った分だけ業績は急降下するでしょう。

何となく客集めのために特売を行なった結果、一番大事にすべき顧客を手放すこともあるので注意が必要です。

チェリーピッカーの対策方法

ここまでお伝えしたように、チェリーピッカーは企業にとって好ましくない存在です。

野放しにすると、とてつもないダメージを負うかもしれません。

上記でご紹介したリスクを1%でも減らすためにも、チェリーピッカー対策は不可欠です。

今回は、チェリーピッカーへの対策として有効だと考えられる方法を3つご紹介します。

そもそも特売(値下げ)を行わない

一番手っ取り早く効果が高い対策は、特売や値下げを行わないことです。

チェリーピッカーは圧倒的な安さ目当てに来店するので、安くしなければ寄せ付けずにすみます。

そもそも価格を下げるという行為は、他社との価格競争に発展するリスクがあります。

一度価格競争に巻き込まれると、勝とうが負けようが最終的にはどれだけ商品を販売しても利益を得られない状態に陥ってしまいます。

チェリーピッカー対策に限らず、特売や値下げは基本的に行わないのが得策です。

ただし不要な在庫品を処分したい場合など、限られた状況下では特売も効果的だと考えられます。

とはいえ大手スーパーなどを除いて、基本的に特売は安易に行うべきではありません。

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価格で釣るのではなく「既存顧客」を重視したマーケティング戦略に移行する

「価格で訴求しないと顧客を集めることができないでしょ?」と思う方もいるでしょう。

ですが価格で勝負しなくても、一部の優良顧客に寄り添ったマーケティング戦略を行えば、十分な利益を獲得できます。

手っ取り早くいえば、”利益をもたらしてくれる優良顧客のニーズに応じて、品揃えやメニュー、販売促進策を考えましょう”ということです。

そのためにまずは、数多くいる顧客の中から、普段から自社の商品やサービスを継続的に購入し、多くの利益を生み出してくれるお客さん(優良顧客)を絞り込む必要があります。

そして優良顧客の過去の購買履歴を分析し、どのような商品やサービスにニーズを持っているかを分析します。

その結果を踏まえて、重点的にニーズに合う商品を陳列したりすれば、少ない労力で大きな効果を得られる可能性が高いです。

こうした考え方は、マーケティングの世界では「CRM」とか「リレーションシップマーケティング」と呼ばれています。

下記の記事でCRMについてくわしく解説しているので、よかったら参考にしてみてください! 

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チェリーピッカーに広告塔となってもらう

これは博打的な方法ですが、チェリーピッカーに広告塔となってもらうことで、普通に商品やサービスを購入してくれる顧客を増やすのも一つの手です。

つまり口コミやSNSで自社や自社の商品・サービスについて広めてもらい、顧客の絶対数を増やす作戦です。

上手くいけばチェリーピッカーのおかげで、より多くの顧客を獲得できるでしょう。

しかし一歩間違えると、チェリーピッカーばかりをかき集めてしまい、さらに利益が減る可能性もあります。

価格の安さ目的でやって来たチェリーピッカーに対して、いかにして価格以外の良さを広めてもらうかが成功の鍵となるでしょう。

チェリーピッカーのまとめ

節約のために特売の日に買い物をしたり、遠出までして特売品を購入するのは賢い生活の術です。

しかしそうした賢い消費者(チェリーピッカー)は、お店側から見ると損失をもたらす厄介な難敵に他なりません。

利益や優良顧客を失わないためにも、小さなことからでも良いのでチェリーピッカー対策を講じてみてはいかがでしょうか?