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認知的不協和を逆手にとったマーケティングを行う方法

認知的不協和とマーケティング

皆さんは商品を購入した後に、「この商品を購入したのは本当に正解だったのか?」と不安に感じた経験はあるでしょうか?

このような不安を一般的に「認知的不協和」といい、この状態に陥った消費者は特定の行動を取ると言われています。

実は、認知的不協和に陥った消費者が取る行動を逆手に取れば、マーケティングの効果を高められるかもしれないのです。

今回の記事では、お客さんの認知的不協和を逆手にとって、より多くの売上高や利益を得る方法をご紹介しようと思います。

認知的不協和とは?

認知的不協和とは、互いに矛盾する二つの認知を同時に抱えることで不安感を持つ状態を意味します。

たとえばある喫煙家がタバコは体に害を及ぼすという事実を知った時、体に悪いものを好んで吸う自分に矛盾を感じます。

この時に感じる矛盾が認知的不協和と呼ぶわけです。

認知的不協和はアメリカの心理学者レオン・フェスティンガー氏によって提唱された理論であり、社会心理学の分野で多用されている理論(用語)です。

近年はマーケティングの分野でも広く知れ渡っており、多くの企業が顧客の抱える認知的不協和を逆手にとった施策を行なっています。

認知的不協和が起きると消費者はどんな行動を起こすのか

フェスティンガー氏によると、人は認知的不協和を感じるとそれを解消するために行動や考え方を変えるとされています。 

マーケティングの分野に限定すると、ある商品を購入する前後に認知的不協和が生じると言われています。

具体的には、「購入した商品の欠点を発見したとき」「自らの価値観に矛盾を生じさせるような情報を目にしたとき」に認知的不協和が発生します。

購入した商品の欠点を発見したとき

たとえば良いと思って購入した商品が大して使い勝手が良くなかった場合、「自分は良いと思って購入した」という認知と、「実際は大して使い勝手が良くない」という相反する二つの認知が発生し、認知的不協和の状態に陥ります。

消費者は認知的不協和を解消するために、ネットの口コミや広告などを見て商品の良さを発見するような行動を取るか、もしくは悩んで選ばなかった方の商品の粗探しを行ないます。

高評価の口コミを発見すれば「実際は使い勝手が良くない」という矛盾を軽減できますし、他の商品の欠点を見つければ「自分が購入した商品の方がよかった」と思い、自分の選択は間違っていなかったと思えます。

ただしいずれの方法でも認知的不協和を解消できない場合には、商品を販売している企業に責任があると考え、ネガティブな口コミを広げることで「自分は良いと思って購入した」という矛盾を解消しようとします。

そうなると会社側に大きな損失が生じる恐れがあるため、事前に対処する必要があります。

自らの価値観に矛盾を生じさせるような情報を目にしたとき

商品の購入前でいうと、自らの価値観に矛盾を生じさせるような広告のキャッチコピーなどを目にすると、認知的不協和に陥ると言われています。

たとえば一時期流行った「一日5分で月収1,000万円」みたいなキャッチコピーは認知的不協和を生じさせる最たる例です。

世の中のほとんどの人は、一日7〜9時間くらい働いて月収で20〜100万円前後稼げるという認識を持つと思います。

そんな認識を持つ人が「一日5分で月収1,000万円」というキャッチコピーを目にすると、自分の持つ認識との矛盾が生じて認知的不協和に陥ります。

人間の心理的には、認知的不協和を感じるとそれを解消しようと行動します。

そのため、嘘だと思っていても気になってついつい広告をクリックして詳しく見る人が一定数出てくるのです。

認知的不協和の理論をマーケティングに応用する方法

大抵の消費者は期待を持って商品を購入するため、割と認知的不協和に陥りやすいと言われています。

一見すると企業にとって厄介な認知的不協和ですが、実は上手く利用すればマーケティングの効果を高める効果が期待できます。

具体的には、下記2つの方法によりマーケティングの効果を高められる可能性があります。

マーケティング施策①:購入後のアフターフォローを行う

先ほどお伝えしたように、「実際には使い勝手が良くなかった」とか「周りから他の商品の方が優れていると言われた」などの理由で、自社商品を買ってくれたお客さんが認知的不協和を抱くケースがあります。

そのまま放置すると自社への批判などに繋がりかねないので、購入後のお客さんに対してアフターフォローを行うのがおすすめです。

商品の使用方法を直接教えるなどのアフターフォローを行えば、「やっぱりこの会社の商品を買って良かった」と思ってもらい、認知的不協和の解消に繋がります。

またお客さんの満足度も向上するため、固定客化や客単価の向上などの効果も期待できます。

マーケティング施策②:相反する二つのフレーズを用いて商品をアピールする

商品の購入率を上げたいのであれば、商品をお客さんにアピールする際に「相反する二つのフレーズを用いる」のがおすすめです。 

たとえばお砂糖控えめのヘルシーなアイスクリームを販売している会社の場合、ただ単に「砂糖控えめでヘルシーなアイスクリーム」と言うよりも、「アイスクリームなのに太りにくい」などと言った方が、商品に対する興味を持ってもらえる可能性が高くなります。

「アイスクリームは太りやすいと言われているのに、どうして太りにくいと言っているのか?」 という認知的不協和を抱かせてから具体的な理由を伝えれば、商品の購入率が高まるのです。

認知的不協和とマーケティングに関するまとめ

消費者の持つ認知的不協和を理解し逆手に取れば、マーケティングの効果を高める効果が期待できます。

この記事を読んでいる方も、お客さんの認知的不協和を利用したマーケティング施策を実施してみてはいかがでしょうか?