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多角化とは?多角化戦略の意味や事例をご紹介!

多角化

経営戦略の中でも特に有名なものに「多角化」という戦略があります。

大企業のみならず中小企業でも行われている多角化とは、一体どのような戦略なのでしょうか?

この記事では、多角化の意味や種類、多角化を実践している企業の事例などを解説します。

多角化とは?多角化戦略の意味

多角化とは、これまで対象としてこなかった新しい市場で、新しい製品を販売する経営戦略を意味します。

多角化戦略は、有名なフレームワーク「成長マトリクス」に含まれる経営戦略です。

多角化戦略は、主に「主力ビジネスの停滞」や「収益源などのリスクの分散」、「シナジー効果の追求」などを理由に行われます。

多角化にはたくさんの利点があるものの、マトリクスの中の4つの戦略の中で最も難易度が高い戦略だと言われています。

実際これまでとは大きく異なる事業を行うため、不確実性が高い上に多大なコストがかかります。

そのため、経営資源に乏しい中小企業や設立したばかりのベンチャー企業は、多角化よりもまずは単一事業に集中するのが良いという意見もあります。

もちろん中小企業やベンチャー企業であっても、多角化経営が上手くいく可能性はあります。

とはいえリスクもコストも高い点は事実なので、中小・ベンチャーはまずは単一事業をある程度成功させてから、多角化経営に切り替えた方が良いと個人的にも思います。 

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多角化の種類

多角化と一口に言っても、切り口や視点から様々な種類に分けられます。

今回はその中でも、主要な二種類の多角化を説明します。

種類その1:水平型多角化

水平型多角化とは、自社がすでに対象としている市場(商品)と類似する市場や分野に進出する手法です。

たとえばPCを製造している企業であれば、スマートフォンやタブレットの製造事業を始めるケースが水平型多角化となります。

水平型多角化には、すでに行なっているビジネスで培った技術などを活用しやすかったり、既存事業とのシナジー効果を得やすいなどのメリットがあります。

種類その2:垂直型多角化

垂直型多角化とは、製品やサービスを提供するサプライチェーンにおいて、上流や下流で新しいビジネスを始める方法です。

たとえばPCを製造している企業であれば、流通や販売といったサプライチェーンの下流に事業を拡大するケースが垂直型多角化となります。

垂直型多角化により、コストの削減や新規顧客の獲得による収益の増加といったメリットを得られます。

なお下記の記事では、種類に関係なく多角化全体で得られるメリットとデメリットについて解説しています。

多角化のメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!

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多角化を成功させるには

多角化経営は成功すれば大きなメリットを得られるものの、難易度はとても高いです。

この項では、多角化が上手くいく可能性を1%でも上げるために意識すべきポイントや施策をお伝えします。

本業との関連性が高い分野で多角化するのがベスト

既存事業で培った技術やノウハウを活かせるビジネスを行う方が、全くもって新しい分野で多角化するよりも上手くいく可能性は高いと言われています。

たとえばビジネス用ソフトウェアを製造している企業であれば、プログラミングやネットワークに関するスキルが蓄積されています。

そのため、突然ノウハウも技術もない飲食店を始めるよりも、培ってきた技術を活用できるゲームの開発などのビジネスで多角化する方が上手くいく可能性は高いです。

また既存事業で得た経営資源を活用できる方が、コストや時間をかけずに事業を成長させやすいです。

主力事業を重視する

多角化により複数の事業を運営するとなっても、あくまで主力事業を第一に考えた方が良いと思います。

そもそも多角化を成功させるには、事業を軌道に乗せるための資金がたくさん必要となります。

その資金を得るには、融資や出資を受けるのもありですが、何より自己資金が必要です。

現時点で十分な利益を生み出す本業を重点的に行い、そこで得た利益を新規事業に回すのがベストです。

また多角化した事業に集中しすぎるあまり本業がおろそかになると、本業の業績が低下し全社的な経営状態が悪化するリスクが高くなります。

不確実性が高い新規事業よりも、確実性の高い主力事業を最優先にする方が合理的だと言えます。

M&Aの活用も一つの選択肢

自社のみの力で一から多角化を行うとなると、事業を軌道に乗せるまでに多大な費用や時間がかかります。

成功するか分からない事業に費用や時間をかけるのは、それ自体がハイリスクです。

そこでオススメなのが、M&Aにより多角化する方法です。 

多角化したいビジネスですでに上手くいっている企業を買収すれば、設備や販路など必要なものが全て揃った状態で多角化を始められます。

確かに買収には多額の費用を要するものの、どっちみち自社のみで多角化を進める場合にも多額の費用がかかります。

どうせ多額の費用が発生するのであれば、失敗するリスクが小さい方法を選ぶのが合理的という考え方もできます。

またスピーデイーに多角化を実行できる点も利点の一つです。

M&Aには他にも様々な利点があるので、興味がある方は下記の記事を読んでみてください!

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多角化経営を行う企業の事例

大企業の多くは、多角化経営により事業を拡大しています。

今回は数ある多角化経営を行う企業の中でも、特に参考となる事例を2つご紹介します。

事例1:ソニーの多角化

日本を牽引する企業の一つ「ソニー」は、実は多角化経営により大きな成長を遂げてきました。

1946年に設立されて以来、「電気製品の分野にとどまらず、新しい分野に積極的に挑戦し、世界的な企業になっていく」という創業者の意思に基づき、様々な事業分野に進出しています。

ソニーと聞くとテレビやスマートフォンといった電気製品ばかりが注目されますが、実は音楽や金融、映画といった事業も行なっています。

そんなソニーには、外資系企業との合弁により多角化を進めてきたという特徴があります。

1965年の米テクトロニクス社との合弁を皮切りに、アメリカの化学メーカーであるUCC社や生命保険会社プルデンシャル社など、実力のある外資系企業との合弁を実施することで、着実に会社の規模を成長させてきました。

事業間でのシナジー効果もさることながら、海外企業との協調を積極的に行なってきたからこそ、ソニーはグローバル企業としての確固たる地位を築けたと考えられます。

事例2:オリックスの多角化

野球の球団を持っていることで有名なオリックスも、多角化経営により大成功した企業の一つです。

オリックスの多角化の特徴は、本業で培ったノウハウを活かしてきた点です。

今現在では金融分野の事業が主力となっていますが、設立当初は機械設備のリース事業を行なっていました。

設立後しばらくして同社は、機械設備のリース事業のノウハウを転用し、船舶や航空機のリース事業に乗り出しました。

その後リース事業で十分な実績を得た同社は、リースで得た与信審査やファイナンスのノウハウを活かし、法人向け融資や生命保険事業への多角化を果たしています。

本業であるリースで培った強み(与信審査やファイナンスのノウハウ)があったからこそ、オリックスは金融分野への多角化に成功したのだと考えられます。

多角化のまとめ

この記事では、多角化の意味や種類、企業の事例などをお伝えしました。

多角化はハイリスクな経営戦略ではあるものの、成功すれば事業規模の拡大をはじめとして様々なメリットを享受できます。

多角化が成功する可能性を1%でも高めたいのであれば、ソニーのように他社との提携を図ったり、オリックスのように自社の強みを活かした多角化を実践するのが良いでしょう。