配当割引モデルとは?計算式をわかりやすく解説!

本業で十分な収入を得ている経営者やマーケターの中には、副業の感覚で株式投資を行っている方は多いでしょう。

ビジネスと同様に、株式や債券などへの投資で利益を得るには、感覚だけでなく論理的な視点を持つことが重要です。

今回ご紹介する配当割引モデルは、論理的な投資を実践する上で役立つ考え方です。

また、配当割引モデルを応用すれば、企業価値の評価や事業投資の意思決定など、ビジネスにも役立てることができます。

そんな配当割引モデルの意味や計算式をわかりやすく解説するので、投資に本格的にチャレンジしたい方はぜひ参考にしてください。

配当割引モデルとは?

配当割引モデルとは、株式の理論価格を、1株あたりの配当金を投資家の期待収益率で割り引いた現在価値であると考える会計・財務の理論です。

株式投資において、企業が持つ本来の実力と比べて現時点の株価が妥当な水準かどうかを判断するのに役立ちます。

配当割引モデルで算出した理論価格よりも株価が低ければ割安、高ければ割高であると判断します。

現在価値と期待収益率の意味

配当割引モデルを理解するには、現在価値と期待収益率について理解しておく必要があります。

今回は、難しい理論を抜きにして現在価値と期待収益率の意味をご説明します。

現在価値

現在価値とは、将来得られるお金を現時点での価値に換算し直した金額を指します。

たとえば資金を1年間運用した場合の利率が10%の状況において、「1年後に受け取れる1,100万円」と「現時点で受け取れる1,000万円」の価値は同じであると言えます。

なぜならば、現時点で1,000万円を受け取ってそれを1年間運用すれば、1年後には1,100万円になる(100万円の運用益を得られる)からです。

言い換えると、1年後に1,100万円を受け取ろうが、現時点で1,000万円を受け取ろうが、最終的に得られる現金は同じというわけです。

つまり1年後に受け取れる1,100万円は、現時点において1,000万円の価値を持っている(≒現在価値は1,000万円である)のです。

現在価値の概念を使えば、株式の妥当な価格を算定できるだけでなく、時間軸が異なる複数の案の中から、もっとも利益率が高いものを選ぶことも可能となります。

期待収益率

期待収益率とは、ある事業や証券などに投資した場合に、運用によって期待できる平均的な収益率を意味します。

簡単にいうと、投資家がどのくらいのリターンを得られるか予測した数値のことです。

たとえば、株式を1年間保有することで配当金を受け取り、その後すぐに売却する事例を想定すると、期待収益率は以下の計算式で表すことができます。

・期待収益率(%) = (1年後の配当金 ÷ 現在の株価) + {(1年後の株価 − 現在の株価) ÷ 現在の株価)} × 100

500円の株式を購入し、1年後の予想株価が700円、1株あたりの配当金が40円になると仮定した場合、1年後の期待収益率は以下のとおり計算できます。

  • 期待収益率 = (40円 ÷ 500円) + {(700円 − 500円) ÷ 500円} × 100 = 48%

期待収益率については、下記の記事で詳しく解説しています。

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期待収益率

配当割引モデルの種類

配当割引モデルには、主に「ゼロ成長モデル」と「定率成長モデル」の2種類があります。

ゼロ成長モデルとは、毎年一定の配当金を受け取れるケースを想定したモデルです。

一方で定率成長モデルは、配当金の額が毎年一定の割合で成長(増加)することを想定したモデルです。

他にも二段階成長モデルなどがありますが、まずはこの2種類を覚えておけば問題ないでしょう。

ゼロ成長モデルで理論株価を計算する方法

ゼロ成長モデルは、配当金が今後一切増額されないことを前提としています。

毎年定額の配当金を配る企業はほとんどないため、実務で活用できるケースはほぼありません。

強いていうならば、成長率の低い老舗企業などの株価算出に適しています。

ゼロ成長モデルの計算式

ゼロ成長モデルでは、配当金を期待収益率で割ることで理論株価を算出します。

具体的な計算式は以下のとおりです。

・理論株価 = 配当金 ÷ 期待収益率

簡単な計算例

配当金が60円、投資家の期待収益率が5%の株式について、理論株価は以下のとおり導出できます。

  • 理論株価 = 60円 ÷ 0.05 = 1,200円

以上の計算式より、この銘柄の適正な株価は1,200円であると言えます。

定率成長モデルで理論株価を計算する方法

定率成長モデルは、配当金が年々同じ割合で増額されるケースを前提としたモデルです。

そのため、今後も成長が期待できる企業の株価算定に最適です。

定率成長モデルの計算式

定率成長モデルでは、配当金を期待収益率から配当金の成長率を引いた値で割ることで理論株価を算出します。

具体的には、以下の計算式を用います。

・理論株価 = 配当金 ÷ (期待収益率 − 成長率)

簡単な計算例

配当金が60円、投資家の期待収益率が5%、配当金の成長率が2%の株式について、理論株価は以下のとおり計算できます。

  • 理論株価 = 60円 ÷ (0.05 − 0.02) = 2,000円

以上の計算式より、この株式の適正な株価は2,000円であると判断できます。

配当金が将来的に成長するため、成長しないケースと比べて理論株価は高くなるわけです。

配当割引モデルのまとめ

今回紹介した配当割引モデルは、「配当金が変動しない、もしくは一定の割合で成長する」という実際の証券投資ではあまり見られないケースを想定した理論です。

とはいえ、簡単に株価の適正水準を判断できるため、基本として理解しておいて損はありません。

配当割引モデルを応用すれば、より実践的なシーンを想定して理論株価を計算することも可能です。

今回ご紹介した配当割引モデルを活用して、ぜひより理論的な視点で証券投資に取り組んでみてください。

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