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事業部制組織のメリットとデメリットとは?

事業部制組織 メリット

ある程度会社が大きくなってくると、組織の形態をどのようにするかを考える必要があります。

会社の組織形態には、機能別組織や事業部制組織、マトリックス組織などがあり、その中から自社に適した形態を選ぶのが大事です。

今回の記事では、事業部制組織にフォーカスし、メリットとデメリットをわかりやすく解説しようと思います。

事業部制組織のメリットとデメリットを知りたい方は、ぜひ参考にしてください!

事業部制組織に関する簡単なおさらい

事業部制組織とは、事業部という単位で構成されている組織形態です。

「電化製品事業部」、「通信機器事業部」といった形で製品別に事業部が構成されている会社もあれば、「関東地方」、「九州地方」という形で地域別に事業部が構成されている会社もあります。

「製造」や「研究開発」、「営業」などの機能を事業部ごとに保有している点が事業部制組織の特徴的なポイントです。

また、各事業部ごとに事業を行う上で必須となる能力を持っているため、事業部の運営権限のほとんどは事業部長が担っています。

上記のような特性を持つため、事業部制組織は「権利が分散している組織」とも表現できます。

機能別に構成されており、権限が経営陣に集約されている「機能別組織」とは、ある意味正反対の組織形態なのです。

※機能別組織の説明はこちら!

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事業部制組織のメリット

事業部制組織には、以下4つのメリットがあります。

メリット①:経営陣が全社的な経営に集中しやすい

一つ目のメリットは、経営陣が経営的な意思決定に集中しやすい点です。

事業部制組織では、各事業部に事業運営の権限が移譲されており、それぞれの事業部が自己完結的に事業を行なっています。

そのため上層部に意思決定の権限が集中する機能別組織と比較して、経営陣にかかる負担が相対的に軽くなるメリットが出てきます。

経営陣は日常的な意思決定を行わずに済むため、新規事業への進出や事業撤退など、全社的な意思決定に集中しやすくなります。

メリット②:現場での意思決定がスピーディーかつ柔軟になる

二つ目のメリットは、現場での意思決定がスピーディーかつ柔軟になる点です。

事業部制組織では、環境の変化に対する対応などの意思決定を、事業部内で完結させることができます。

経営陣などに一々確認する時間や手間を省けるため、機能別組織と比べて迅速に意思決定を行えます。

また、事業部ごとに購買や営業などの職能を持っているため、現場の状況や環境変化に応じて柔軟に意思決定を行えるメリットもあります。

メリット③:経営的な視点を持った人材を育成しやすい

三つ目のメリットは、経営的な視点を持った人材を育成しやすい点です。

機能別組織の場合、営業なら営業、製造なら製造といった形で、各機能に特化した人材は育ちやすい代わりに、複数の機能を総合的に考えられる人材が育ちにくいです。

他方で事業部制組織では、一つの事業を管理するために、製造や営業、経理など、あらゆる機能を考慮した上で意思決定を行わなくてはいけません。

事業部制組織では、全体最適の視点で事業を管理する経験を積ませることができるため、経営的な視点を持った人材を育成しやすいのです。

この点は、長期的に見ると会社にとって大きなメリットとなります。

メリット④:責任の所在が明確となる

事業部制組織では、 事業部ごとに権限を持っており、一つの事業部で一つの事業が完結します。

また事業部長は、与えられる権限が大きい代わりにその事業部に対する責任を明確に負う必要があります。

つまり事業部ごとに業績が数字で出てくるため、事業部一つ一つの責任が明らかとなります。

会社全体の業績が下がった際、責任のありか(どの事業部の業績が低迷しているのか)が明確になるので、改善策も打ち出しやすいです。

事業部制組織のデメリット

事業部制組織には様々なメリットがありますが、一方で下記のようなデメリットもあります。

デメリット①:事業部間で職能が重なってしまう

事業部制組織の最たるデメリットは、各事業部が製造や営業などの機能を重複して保有する点です。

たとえば複数の事業部それぞれで製造の機能を持っている場合、それぞれの事業部で土地や工場を持つ必要が出るため、余分にコストがかかります。

デメリット②:全社的に協調して行動しにくい

事業部制組織では各事業部の責務がクリアとなるので、自分が所属する事業部の業績向上を優先させる傾向があります。

たとえば複数の事業部が協力することで、全社的な業績が向上するプランがあるとしましょう。

経営陣的には複数の事業部に手を取り合って協力してもらいたいところですが、各事業部は自分たちの業績を伸ばすことが最優先です。

そのため、中々協力して頑張ろうという方向に向かわない可能性があります。

全社最適ではなく部分最適になってしまいがちな点は、事業部制組織の大きなデメリットです。

デメリット③:短期的な利益思考に陥りやすい

事業部制組織の最後のデメリットは、短期的な利益思考に陥りやすい点です。

事業部制組織では、一ヶ月(もしくは一年)ごとに、各事業部の業績がクリアになります。

業績が低迷したり他の事業部と比べて業績が悪いと、その事業部自体の責任が浮き彫りとなってしまいます。

そのため、各事業部は長期的には必要である人材育成や設備投資の実行に躊躇し、短期的に利益を得られる施策ばかり行なってしまう可能性があります。 

事業部制組織のメリットとデメリットに関するまとめ

今回の記事では、事業部制組織のメリットとデメリットをお伝えしました。

権限を分散できる点ではメリットの大きい事業部制組織ですが、一方で部門間での非効率性や短期的な利益思考などのデメリットもあります。

機能別組織と同様に一長一短の組織形態なので、メリットばかりではなくデメリットも踏まえた上で事業部制組織の形態を選ぶのが大事です。 

なお組織の形態には、「マトリックス組織」というものもあります。

下記の記事でマトリックス組織のメリットとデメリットをご紹介しているので、興味があれば読んでみてください!

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