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精緻化見込みモデル〜顧客は論理と感情どちらを優先するのか?〜

精緻化見込みモデル

突然ですが、お客さんはどのようにして最終的に商品やサービスの購買決定を行うと思いますか?

経済学的には、製品・サービスの利用で得られるメリットが、購入に支払う費用を上回れば購買に至ると言われています。

しかし現実的には、必ずしも顧客は合理的に購買の意思決定を行うとは限りません。

状況次第では、感情的に購買の意思決定を行うケースもあります。

消費者によって意思決定のプロセスが異なることを意識しないと、間違った売り込み方により機会損失を招く恐れがあります。

購買の意思決定プロセスを的確に示す理論に「精緻化見込みモデル」というものがあります。

精緻化見込みモデルを理解できれば、一人一人に適したマーケティング施策(売り込み方法)を見いだすことができます。

そこで今回は、精緻化見込みモデルの意味や具体例、マーケティングでの活かし方をお伝えします。

精緻化見込みモデルとは?事例を使って解説!

精緻化見込みモデルとは、消費者の購買行動は「論理的な判断」と「感情的な判断」により実行されるとするモデルです。

論理的な判断で購買決定する心理過程は「中心ルート」、感情的な判断で購買決定する心理過程は「周辺ルート」といいます。

精緻化見込みモデルは、1980年代にアメリカの心理学者ペティ氏と社会神経科学者のジョン氏が提唱した理論です。

商品に対する消費者の意識により、適切な売り込み方(マーケティング施策)は変わってきます。論理的な判断により購買を決定する人もいれば、感情的な判断により商品を購入する者もいます。

精緻化見込みモデルの活用により、消費者にとって最適なマーケティングを行えるようになります。

そのため小売店からBtoBの商談に至るまで、あらゆる場面で精緻化見込みモデルの考え方は応用できるでしょう。

「中心ルート」と「周辺ルート」を決定する要因と具体例

顧客が商品に対して持つ意識によって、中心ルートと周辺ルートのどちらで購買の意思決定を行うかは異なります。

この章では、精緻化見込みモデルに基づいた購買判断の決定要因とその具体例を分かりやすくご紹介します。

中心ルートと周辺ルートのどちらを辿るかを決める要因

商品に対して高い関与や知識を持つ消費者は中心ルート、関与や知識の度合いが小さい人は周辺ルートにより購買の意思決定を行います。

分かりやすく言うと、製品に対して興味やこだわりを持っていたり、深い知識や使用経験を持っている顧客は、論理的に購入するかどうかを考えます。

一方で、あまり興味やこだわりを持っておらず、知識や経験もない消費者は、感情的にその時の気分やノリで購入を決定します。

精緻化見込みモデルにおける「中心ルート」の具体例

中心ルートで購入される商品の具体例としては、車や不動産といった高級で一生モノの商品が該当します。

不動産などの高級で今後の人生を左右する商品に対しては、多くの人が強いこだわりや知識を持っています。

ですので値段や品質、付随するサービス内容、安全性など、あらゆる要素を比較検討して慎重に購買の意思決定を行う人が多いです。

一方で値段が高く失敗した時のリスクが大きいため、その場の気分やノリなどの感情で購入するお客さんはほとんどいません。

また高級で一生モノの商品はもちろん、その人自身がこだわりを持つ製品やサービスも中心ルートで購買決定が行われます。

例えばパソコンは使えれば良いと考える人は、口コミなどを参考に何となく購入します。一方でパソコンにこだわりのある人は、OSやCPUなどの技術的な情報を参考にして、論理的に購買を決定します。

精緻化見込みモデルにおける「周辺ルート」の具体例

周辺ルートで購入される商品の具体例としては、お菓子や飲料水などの日用品、こだわりや知識を持たない商品が該当するでしょう。

一部の人を除いて、多くの人はお菓子や飲料水を飲み食いするものと認識しており、味や見た目に強いこだわりを持っていないでしょう。加えて、原材料や製造場所などについての知識も持たない消費者が大半です。

そのため中心ルートによる慎重な検討ではなく、感情的な判断が行われます。

例えば飲料水を購入する際、いちいち原材料を調べたりしませんよね?

こだわりも知識もない商品は、周りの意見や広告のキャッチコピーを参考にしつつ、最終的には合理的な根拠なしに購入することになります。

精緻化見込みモデルをマーケティングに応用しよう!

精緻化見込みモデルを応用すれば、マーケティングの効果を高めることができます。

どうすれば良いかというと、消費者の関与や知識の度合いに応じて、中心ルートに向けたマーケティングと周辺ルートに向けたマーケティングを使い分ける必要があります。

具体的には、こだわりと知識の度合いが高い相手には中心ルート、こだわりや知識の度合いが低い相手には周辺ルートを重視したマーケティング施策が有効です。

この章では精緻化見込みモデルの理論をもとに、中心ルートに向けたマーケティングと周辺ルートに向けたマーケティングについて、それぞれ具体的なやり方をお伝えします。

中心ルートで判断する消費者へのマーケティング施策

商品に対して強いこだわりや豊富な知識を持つ(中心ルートで意思決定を行う)相手に対しては、客観的な事実や統計的なデータなどを伝えるのが有効です。

例えば家を購入する際は、利便性や間取りなど、変えようがない事実を重視して意思決定を行うと思います。一方で、口コミやオシャレさだけで、何千万円もの買い物をしようとは思わないでしょう。

中心ルートをたどる消費者は、その商品やサービスの購入を真剣に考えています。

ですので、オシャレさや周囲の口コミなどを聞いても購買には至りません。

デメリットや性能など、変えようがない事実やマイナス面も伝えることで、購買に前向きになってもらえます。

周辺ルートで判断する消費者へのマーケティング施策

製品に対して知識やこだわりをあまり持たない相手(周辺ルートで意思決定を行う)消費者に対しては、口コミやオシャレさなどを伝えて、感情的にその商品を良いと思ってもらうことが効果的です。

もしくは、実際に商品を使用してもらったり、サービスを体験してもらう施策も有効でしょう。

例えば会社や学校に強制され、仕方なく購入するもの(パソコンやスーツなど)で考えてみましょう。

特にこだわりもなく詳しい性能などは分からないので、友達や同僚の口コミや、見た目のオシャレさなどを基準に意思決定を行うと思います。スーツの材質やパソコンの性能を淡々と説明されても、購入しようとは思わないでしょう。

製品に対して興味や知識がない相手には、周囲の評判やオシャレさなどを訴えて、直感的に良いと思わせる必要があるのです。

精緻化見込みモデルのまとめ

今回の記事では、精緻化見込みモデルを解説しました。

精緻化見込みモデルで重要なのは、論理的な理由で購入するお客さんもいれば、感情的に購入を決定するお客さんもいるということです。

お客さんが商品に対して持つこだわりや知識の度合いに応じて、マーケティングの方法を選ぶと、より売上を増やせるでしょう。

精緻化見込みモデルを使って、ぜひ適切なマーケティング施策を考えてみてください!