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期待収益率(リターン)とは?計算方法やリスクとの関係を解説!

期待収益率

突然ですが皆さんは、株式や不動産への投資をやっていますか?

どの資産に投資するかを判断するとき、単純な好き嫌いや経営戦略、市場の成長性など、様々な評価基準があります。

この記事では、投資の評価基準の一種「期待収益率」にフォーカスします。

期待収益率とは

期待収益率の意味

投資により予想される収益の比率です。

投資の収益率は、経済動向をはじめとした外的要因により変化します。

たとえば、好景気であれば収益率は高い一方で、不景気だと収益率は低くなります。

したがって期待収益率には、「経済動向(外的要因)に応じて変化する収益率の加重平均」を用いるのが一般的です。

様々な経済動向を加味することで、より正確な予想を行えるのです。

期待収益率はどんなシーンで役に立つの?

ビジネスの世界においてさまざまなシーンで用いられています。

最も馴染みがあるのは、株式や不動産の運用かもしれません。期待収益率を計算すれば、投資すべきかどうかをより合理的に考えられるようになります。

また、DCF法による企業価値の計算やM&A(合併と買収)の実行すべきかどうかを決定するときなどにも使用されます。

特にDCF法で用いるWACC(加重平均資本コスト)を計算するときには、株主の要求する期待収益率が不可欠です。

経営者やファイナンスに携わる職業の人でなくても、期待収益率の基本的な部分については知っておくと便利だと思います。

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期待収益率の計算(個別の資産)

各シチュエーションごとに「収益率」と「そのシチュエーションが発生する確率」を掛けた値を計算し、それを合計すれば、株式や不動産などの期待収益率を導出できます。

  •  Σ {ある事象の発生確率 × ある事象での収益率}

以下の例題を使って、期待収益率の計算式を使ってみましょう!

例題)為替次第で、次のように収益率が変化する株式を購入する

為替相場 確率 収益率
円高 0.2 10%
変化なし 0.6 8%
円安 0.2 4%

期待収益率は以下になります。

  • 0.2×10%+0.6×8%+0.2×4% = 7.6%

株式の期待収益率は7.6%であると判明しました。

期待収益率の計算(ポートフォリオ)

投資を行うときは、複数の資産を同時に運用するケースがほとんどだと思います。

複数資産の組み合わせは、「ポートフォリオ」と呼ばれています。

この章では、ポートフォリオにおける期待収益率の計算について取り上げます。

期待収益率の導出

求め方の説明

ポートフォリオの期待収益率を計算するときは、まずは各シチュエーションごとのポートフォリオ収益率を導出します。

各シチュエーションにおけるポートフォリオ収益率は、次の計算式で導出できます。

  • a証券の収益率 × a証券への資金投入割合 + b証券の収益率 × b証券への資金投入割合

各シチュエーションにおけるポートフォリオ収益率を導出したら、次の計算式でポートフォリオの期待収益率を計算します。

  • Σ {あるシチュエーションでのポートフォリオ収益率 × あるシチュエーションが生じる確率}

ケーススタディ

では、今回も例題を使ってポートフォリオの期待収益率を計算してみましょう。

この例題では次のシチュエーションを想定します。

 

a証券に30%、b証券に70%の資金を投入する。

為替相場 確率 a証券収益率 b証券収益率
円高 0.2 10% 12%
変化なし 0.6 8% 6%
円安 0.2 4% 4%

 

まず手始めに、各シチュエーションにおけるポートフォリオ収益率を計算します。

  • 円高

10%×0.3+12%×0.7 = 11.4%

  • 変化なし

8%×0.3+6%×0.7 = 6.6%

  • 円安

4%×0.3+4%×0.7 = 4.0%

 

ポートフォリオ収益率を導出できたので、いよいよポートフォリオの期待収益率を計算します。

  • 11.4%×0.2 + 6.6%×0.6 + 4.0%×0.2 = 7.04%

計算の結果、ポートフォリオの期待収益率は7.04%であると判明しました。

簡単な求め方はあるけど注意が必要!

各証券の期待収益率を導出してその加重平均を求めれば、もっと簡単に導出できます。

最終的に導出される値が同じとなるので、興味のある方は先ほどの例題を使って、計算して確かめてみてください。

ただしこの求め方を使うと、分散や標準偏差などの「リスク」が誤った値となるので注意が必要です。 

詳しくは割愛しますが、リターンのみならずリスクを導出することを踏まえると、先ほどの方法を用いるのがおすすめです。

※エクセル(Excel)を使えば、めちゃくちゃ簡単に計算できます・・笑

期待収益率とリスクの関係

ファイナンス理論における「リスク」とは

投資のリスクと聞くと資産の価格が下がることを想像すると思いますが、ファイナンスの理論では「シチュエーションに応じた収益率の変化」をリスクと呼びます。

たとえば景気や為替相場の変化に応じて収益率が大きく変化するほど、リスクが大きいと判断できます。

反対に景気や為替相場の変化によってあまり収益率が変化しないときは、リスクが小さいと言います。

リスクは収益率と期待収益率の乖離度合いを表す

今回のメインテーマである期待収益率はリスクと密接な関係があります。

ファイナンスにおけるリスクは「収益率が期待収益率からどの程度離れているか」を表していると言い換えることができます。

そしてリスクを測る尺度には、数学で習う「分散」や「標準偏差」が用いられています。

今回は期待収益率の話なので、リスク(分散や標準偏差)の詳しい求め方や概要は割愛します。

今回はリスクについて、「収益率のばらつき度合いを表し、期待収益率を用いて表せる」ことを最優先に覚えてもらえたらと思います。

CAPMに基づく個別資産の期待収益率の計算

期待収益率の計算では、CAPMというモデルを用いるときもあります。

詳しく説明すると難解な数式や理論が必要となるので、今回は簡単に概要のみをお話しします。

CAPMの簡単な概要と計算式

期待収益率を計算する手法の一つに、CAPMというものがあります。

結論から伝えると、CAPMモデルでは次の式で期待収益率を計算します。

  • リスクフリーレート + β × 市場リスクプレミアム

たとえばリスクフリーレートが1%、βが1.5、市場リスクプレミアムが3%の資産は、次のとおり期待収益率を計算できます。

  • 1% + 1.5 × 3% = 5.5%

CAPMの簡単な説明は終わりになりますが、聞きなれない用語ばかりでいまいちよくわからなかったかもしれません。

そこで次の項では、CAPMの理論で出てくる用語の意味を簡単にお話しします。

CAPMで用いられる各用語の意味

最後に、CAPMの理論で出てくる各用語の意味をお話しします。

リスクフリーレート

リスクフリーレートとは、リスクがほとんどない(リスクが最小の)資産から得られる利回りを意味します。

日本においては、国債の利回りが用いられるのが一般的です。

ベータ(β)

ベータ(β)とは、各資産が市場のリスク(為替の変化など)からどのくらい影響されるかを表す指標です。

言い換えると、市場が1%変化した場合に、投資対象の資産のリターンが何%変化するかを表す指標であり、値が大きいほどリスクが大きいと言えます。

個別資産ごとのベータは、日経新聞のサイトなどで公開されていルノで、それを参考に期待収益率を導出します。

市場リスクプレミアム

市場リスクプレミアムとは、市場全体の期待収益率からリスクフリーレートを差し引いた値です。

市場全体の期待収益率とリスクが最小の資産の収益率の差であるため、「リスクを負った対価として得られる収益のプラス分」と言えます。 

期待収益率のまとめ

今回は、株式や不動産の投資に欠かせない「期待収益率」という概念を取り上げました。

期待収益率の知見があれば、投資やビジネスなど幅広いシーンで合理的に物事を判断できます。

この記事を読んでいる方も、今後の投資やビジネスで期待収益率の考え方を応用してみてはいかがでしょうか?