中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

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経験曲線効果とは?発生要因や経営戦略での役立て方を解説

経験曲線効果

「最初は苦手で思うようにいかなかったけど、やっていくうちに効率的にできるようになった」

誰しも一度は、このような経験をしたことがあるのではないでしょうか?

例えば英会話や自転車の運転など、私たちの身近な生活には、最初は全くできなくてもやっていくうちに段々と上達する事柄がたくさんあります。

このような効果は、実はビジネスでもしばしば発生します。

このような効果をビジネスでは「経験曲線効果」と呼び、この効果を有効活用できれば経営戦略の幅が広がります。

今回は、そんな経験曲線効果の意味や発生要因、経営戦略での役立て方をわかりやすくお伝えします。

経験曲線効果とは

経験曲線効果とは、製品の累積生産量が増加するに伴って、製品一個あたりの生産コストが減少する効果を意味します。

下記のグラフのように、累積生産量の増加に伴い(一個あたり)生産コストが曲線状に減少することから、「経験曲線効果」と呼ばれています。

経験曲線効果

経験曲線効果は、1960年代に世界的な経営コンサルファーム「BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)」の創業者の一人ブルース・ヘンダーソン氏が実際に企業を研究することで発見した理論です。

一般的には、累積生産量が倍増するたびに1個あたりの生産コストが10%〜30%前後減少すると言われています。

なお生産コストの減少という点で経験曲線効果と規模の経済は混同されがちですが、両者の意味は大きく異なります。

規模の経済性とは、「生産規模の拡大」に伴って一つあたりの平均生産コストが減少する効果です。

一方で経験曲線効果は、「累積生産量の増加」に伴い、一つあたり生産コストが減少する効果です。

規模の経済性とは異なり、工場の増設や人員増加を行ってすぐには経験曲線効果は得られないので注意が必要です。

たとえ生産規模が小さくても、累積生産量が増えれば経験曲線効果を得ることができます。

経験曲線効果が生じる要因

経験曲線効果は主に下記2つの要因により発生します。

作業者が仕事に慣れる

経験曲線効果が生じる最たる要因は、作業者が仕事に慣れることです。

同じ製品を作り続けることで、コツを覚えて短時間で効率的に作業を進められるようになります。

例えば初めてパソコンを使った時を思い出してみてください。1つの文章を打つのにも時間がかかりましたよね。

ですが何回もパソコンを使い続けるうちに、キーボードを見なくてもタイピングできるようになり、短時間で多くの文字を打ち込めるようになります。

短時間で作業できるようになれば、その分だけ人件費などの費用を削減できます。

作業方法が標準化される 

同じものを作り続けるうちに、効率的に作業を行うマニュアルが確立されます。

標準化により当初よりも短時間での生産が可能になることも、経験曲線効果の発生につながります。 

経験曲線効果を経営戦略でどのように役立てるか?

経験曲線効果の説明は以上になります。

ですがただ経験曲線効果の意味や要因を知っているだけでは、ビジネスには何も立たないです。

経験曲線効果を経営戦略の策定に役立ててはじめて、実践的な知識としての意義があると言えます。

この章では、経験曲線効果を経営戦略で役立てる方向性を2つご提示します。

経験曲線効果が生じやすい市場で参入障壁を築く

経験曲線効果が生じやすい市場では、先に市場に参入した企業ほど低コストで生産することが可能になります。

低コストでの生産が可能になれば、より多くの利益を得たり、価格競争の面で有利となります。

新規参入を検討する企業にとっては、価格競争や利益の面で最初から不利な状況で事業を行わざるを得なくなります。

つまり経験曲線効果が生じやすい市場でいち早く事業を行えば、参入障壁を築いて無益な競争を避けることができるのです。

コストリーダーシップ戦略により競争優位性を確立する

経験曲線効果は、すでに同種の事業を行う他社との競争でも有利に働きます。

競争優位性を獲得する経営戦略の一つに「コストリーダーシップ戦略」があります。

コストリーダーシップ戦略とは、低コストでの生産により競争優位性を確立する戦略です。

低コストで生産することで、競合他社よりも低価格で販売して市場シェアを奪ったり、同価格で販売してより多くの利益を得るなどのメリットを得られます。

散々ご説明したように、経験曲線効果を発揮すれば低コストでの生産が可能になります。

経験曲線効果を実感したら、コストリーダーシップ戦略に取り組んではいかがでしょうか? 

経験曲線効果のまとめ

この記事では、経験曲線効果の意味や発生要因、経営戦略に役立てる方向性をお伝えしました。

同じ製品の生産を続けると、習熟化やマニュアル化により低コストでの生産が可能になります。

低コストでの生産が可能となれば、参入障壁を築いて新規参入を防いだり、コストリーダーシップ戦略により競争優位性を確立できたりと、有利な形で経営できるようになります。

今現在ビジネスを行なっている方も、これから新規事業を行う方も、経験曲線効果を意識して経営戦略を考えてはどうでしょうか?