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経験価値マーケティングとは?目に見えない価値を提供する戦略

経験価値マーケティング

商品やサービスをたくさん売るには、一体何を重視すれば良いのでしょうか?

このような問いを投げかけられたら、多くの人は性能の良さや利便性の高い商品・サービスを作れば良いと思うでしょう。

確かに間違ってはいませんが、もしかしたらそれだけでは足りないかもしれません。

というのも近年は、性能や便利さだけでなく、楽しさやワクワクさといった感情を理由に商品やサービスを利用する消費者が増えているからです。

今回の記事では、消費者の感情を刺激する「経験価値マーケティング」についてわかりやすく説明します。

ぜひ参考にしてみてください!

経験価値マーケティングとは?

まず最初に、経験価値マーケティングの意味や「経験価値」の種類をご説明します。

経験価値マーケティングの意味

経験価値マーケティングとは、利便性や実用性といった価値ではなく、商品やサービスを利用して得られる「経験価値」を重視するマーケティング手法です。

皆さんは商品やサービスを利用して、「楽しい」とか「満足した」、「美しくて感動した」などといった感情を抱いたことが一度はあると思います。

経験価値とは、そうした商品やサービスを利用して得られる感情・感覚を意味するのです。

つまり経験価値マーケティングとは、実際に商品やサービスを利用してもらい、お客さんに「楽しい」などの感情を持ってもらうことで、商品やサービスの購入につなげる戦略なのです。

一昔前までは、便利な商品や高性能な商品を販売すれば、顧客のニーズを満たすことができました。

しかし近年は、技術力の進歩により利便性や性能の高い商品(サービス)が巷に溢れるようになり、性能や利便性といった物質的な価値だけでは顧客のニーズを満たせなくなりました。

そこで注目されるようになったのが、経験価値マーケティングです。

例えば家電の場合、高性能なだけでなく、インテリアとしてもオシャレなものが売れるようになりました。

性能や利便性といった部分で差別化しにくい昨今は、嬉しさやワクワク感といった感情をお客さんに提供することが求められているのです。

「経験価値」の種類

経験価値マーケティングは、コロンビアのビジネススクールで教鞭をとっているシュミット教授が提唱している理論です。

※シュミット氏の執筆した経験価値マーケティングの本については後ほど紹介します。

そんなシュミット教授は、顧客が商品やサービスを利用して得られる「経験価値」には、次の5種類があると述べています。

感覚的経験価値(五感)

感覚的経験価値とは、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)で感じることのできる価値です。

感覚的経験価値の具体例としては、以下のものがあります。

  • おしゃれなデザイン
  • 綺麗な音色
  • 高級感のある味わい

経験価値マーケティングでは、商品やサービスの特徴に合わせて、五感に訴えることが大切です。

情緒的経験価値(喜怒哀楽)

情緒的経験価値とは、商品やサービスを利用して感じる喜びや怒り、悲しみ、楽しさといった感情です。

例えば商品の体験イベントを開催し、喜んでもらったり楽しんでもらうのが経験価値マーケティングとなります。

認知的・創造的経験価値(考える)

認知的・創造的経験価値とは、考えることで生み出される好奇心や創造性といった感情を意味します。

例えばサービスを利用することで、知識欲がより強く芽生えたりした場合、認知的・創造的経験価値が得られたと考えます。

行動的・肉体的経験価値(行動する)

行動的・肉体的経験価値とは、サービスや商品を利用することで得られる、行動や身体への良い影響を意味します。

例えば商品を利用して健康的な生活ができるようになった場合、経験価値がもたらされたと考えられます。

関係的経験価値(交流する)

関係的経験価値とは、同じ商品やサービスを利用する顧客同士が交流することで得られる仲間意識や共感などの感情です。

例えば同じ商品を利用していることで、全くの他人と仲良くなった場合には関係的経験価値がもたらされたと考えられます。

経験価値マーケティングを行うメリット

経験価値マーケティングを行うメリットは、主に下記2つに集約されます。

商品やサービスの差別化につながる

先ほどお伝えしたように、性能や利便性といった面で差別化を図ることは難しいです。

一方で美しさや仲間意識といった経験価値は、目に見えない上に技術力でどうにかなるものではないため、真似することが難しいです。

経験価値マーケティングにより、顧客に経験価値を提供できれば、競合他社との差別化につながります。

真似されにくい独自の強みを持てるため、価格競争にも巻き込まれずに高価格でのサービス・商品販売も可能になるでしょう。

顧客のブランドロイヤルティ向上につながる

真似されにくいということを顧客の側から見ると、「喜び」や「美しさ」といった経験価値はある特定企業の商品・サービスからしか得られません。

例えばディズニーから得られる楽しさは、他のテーマパークで遊んでも全く同じ楽しさは得られません。

また、ヴィトンやグッチといった高級ブランド物を使って得られる高揚感や優越感は、他のブランドでは中々得にくいでしょう。

全く同じ価値は他では得られないため、顧客はその企業の商品やサービスを使い続けます。

つまり経験価値マーケティングが成功すれば、自社の熱狂的なファンを増やせるのです。

熱狂的なファンは自社に対して強いブランドロイヤルティを持つため、継続的に多くの利益をもたらしてくれます。

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経験価値マーケティングの事例

経験価値マーケティングは、実際に多くの企業で実践されています。

今回は数ある成功事例の中でも、とくに経験価値マーケティングをうまく活用している事例として、「ディズニーランド」を取り上げます。

ディズニーランド以外にも、国内には数々の遊園地やテーマパークがあります。

ではなぜダントツで成功しているかというと、「日頃の生活を忘れられる非日常感」や「ディズニー映画の中に入り込んだかのような楽しさ」といった経験価値を提供しているからです。

例えば船に乗って楽しむアトラクションに乗ると、進行役のキャストさんがまるで映画の主人公のようにトークを繰り広げます。

またアトラクションのクオリティも非常に高く、映画の世界をそのまま再現したかのような楽しさを味わえます。

また極め付けなのは、パーク内からは道路や一般の建物が見えないようになっていることです。これにより、完全な非日常感を演出しています。

キャストさんからアトラクション、パークの作りに至るまで、細部にまでこだわっているからこそ、ディズニーは「非日常感や圧倒的な楽しさ」を提供するテーマパークとして確固たる地位を築いているのです。

ディズニーランドの徹底したサービス精神は、まさに経験価値マーケティングのお手本とも言える事例です。

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経験価値マーケティングを学べる本

経験価値マーケティングを学びたい方は、コロンビアのビジネススクールのシュミット教授が書いた本で勉強するのがおすすめです。

この本では、経験価値マーケティングを成功させる戦略について、スターバックスやティファニーなどの事例も交えつつ、わかりやすく解説されています。

この記事では、経験価値マーケティングの基本的なポイントのみを紹介しましたが、この本を読めばより深く・実践的に経験価値マーケティングを理解できるでしょう。

経験価値について詳しく知りたい方は、ぜひ読んでみてください! 

経験価値マーケティングのまとめ

消費者の感情を刺激する経験価値マーケティングは、商品の標準化が進んだ昨今においてとても有効なマーケティング手法です。

ブランディングや差別化にもつながるため、経験価値マーケティングによって得られる恩恵はとても大きいです。

皆さんも性能面や便利さばかりではなく、顧客の感情を揺さぶるようなサービス・商品を提供してみてはいかがでしょうか?

今回の記事の内容が、経験価値マーケティングへの理解につながれば幸いです!