大きなリスクを負わずに成功するには、成功している人の真似をするのが一番手っ取り早いです。
この経験則は、実はビジネスの世界でも言えることだったりします。
成功している企業の模倣で最低限の成功を目指す経営戦略は、一般的に「フォロワー戦略」と呼ばれます。
今回は、そんなフォロワー戦略の意味や特徴、成功させるポイントをわかりやすくご説明します!
フォロワーとはどんな企業か?フォロワー企業の意味と特徴
まず最初に、フォロワーの意味と特徴をご説明します。
フォロワーの意味
フォロワーとは、リーダー企業に挑戦することはせず、市場で生き残れるだけの最低限の利益獲得を目指す企業を意味します。
リーダーやチャレンジャーに追従して製品やサービスを販売することから、「フォロワー」と呼ばれています。
日本においては、多くの中小企業がフォロワーに分類されると考えられます。
フォロワーは企業の競争地位の一つであり、経営学者であるフィリップ・コトラー氏が提唱しました。
ちなみにフォロワー以外には、市場でトップのシェアを持つリーダー、リーダー企業に果敢に挑戦するチャレンジャー、リーダーが目をつけていないニッチな市場で独自の地位を築くニッチャー、という三つの競争地位があります。
フォロワー企業の特徴
フォロワー企業には以下2つの特徴があります。
リーダーと比べて経営資源の質は低く、量は少ない
業界でトップクラスのシェアを持つリーダーと比べると、経営資源の質は低い傾向があります。
例えばリーダーは最先端の機械設備を持っていたり、優れた経営ノウハウを持っていたりします。
一方でフォロワーは、旧型の機械設備を使っていたり、経営ノウハウが未熟だったりします。
またフォロワーは、保有する経営資源の量も少ないです。
例えばリーダー企業は数多くの人材を抱えていますが、フォロワー企業は人材不足に悩んでいたりします。
低価格志向の顧客層がターゲット
経営資源の量と質ともにリーダーに負けているため、優れた独自の商品・サービスをこう価格で販売するのは難しいです。
そのためフォロワーは、低価格志向の顧客層に最低限の機能を備えたモノを販売するケースが多いです。
フォロワー戦略の特徴
フォロワーがとる経営戦略は、「フォロワー戦略」と呼ばれます。
そんなフォロワー戦略を一言で表すと、「リーダーの模倣」です。
つまりリーダー企業が販売する商品やサービス(ビジネスモデル)を真似して、それを低価格層に提供するのがフォロワー戦略のコアとなる部分なのです。
もちろん全く同じものを販売するのは違法なので、外見や機能を多少改良したものを販売します。
例えば牛丼を販売する商売であれば、吉野家やすき家の味や店舗デザイン、メニューなどの一部を真似して、似たような商品を低価格で販売します。
フォロワー戦略のメリットとデメリット
この章では、フォロワー戦略のメリットとデメリットをご説明します。
フォロワー戦略のメリット
フォロワー戦略を行う最大のメリットは、ビジネスが失敗するリスクを抑えることができる点です。
すでに成功しているビジネスモデルや商品を真似するため、全く新しい商品・サービスを販売する場合と比べて失敗するリスクを軽減できるのです。
また、新しく商品やサービスを開発する必要がないため、マーケティングや開発費用を抑えることができる点も大きなメリットです。
新しい商品を開発するとなると、顧客の調査や研究開発などに多大な費用がかかります。
この費用をかけずに済む点は、フォロワー戦略の魅力的なメリットと言えるでしょう。
フォロワー戦略のデメリット
リスクや費用を抑えられるメリットを得られるフォロワー戦略ですが、デメリットも存在します。
もっとも大きなデメリットは、大きく利益を得られない点です。
フォロワー戦略はリーダーの販売する商品の廉価版を安く販売する意味合いが強いため、大きく利益を得て事業を成長させるのは難しいです。
また、リーダーにシェアを奪われるリスクがある点も、フォロワー戦略の致命的なデメリットです。
基本的にはリーダーと似たり寄ったりの商品を販売するため、より優れた経営資源を豊富に持つリーダーに目をつけられると、あっという間に顧客を奪われてしまいます。
フォロワー戦略を成功させるポイント
デメリットは少なくありませんが、最低限の利益を低リスク・低コストで得られる点で、フォロワー戦略は中小・零細企業に適した経営戦略です。
この章では、フォロワー戦略を成功させるポイントを2つご紹介します。
リーダー企業やチャレンジャー企業に目をつけられないように小さく事業を行う
前章でお伝えしたように、リーダーやチャレンジャーに目をつけられると、あっという間にシェアを失ってしまいます。
よってフォロワー戦略を行う際は、リーダーやチャレンジャーに目をつけられないように、小さくビジネスを行うのがベストです。
大きく利益は得られませんが、最低限の利益を長期的に確保できれば良いという方は小さい規模で商品やサービスを販売しましょう。
強みを確立してチャレンジャーやニッチャーの地位を目指すのがベスト
いくら小さくビジネスを行っても、シェアを奪われるリスクをゼロにはできません。
またフォロワー戦略を延々とつづけていては、大きく利益を獲得することは困難です。
長期的に利益を得つづけたり、大きく利益を稼ぎたいのであれば、確固たる強みを確立し、フォロワーからチャレンジャーやニッチャーに移行するのがベストです。
とくにニッチャーは、経営資源の量が少なくても利益を多く稼げる可能性があり、中小企業にはオススメの経営戦略です。
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フォロワー戦略のまとめ
今回の記事では、フォロワー戦略の特徴やポイントを解説しました。
フォロワー戦略は、経営資源の量・質に不安を持つ企業が、最低限の利益を得る上で有効な経営戦略です。
低リスクでコストをかけずに事業を行いたい起業家の方には、フォロワー戦略がオススメです。
一方で大きく稼ぐことやシェアを奪われるリスクを小さくしたい場合、フォロワー戦略は向いていません。
自社の状況や経営ビジョンなどを考慮した上で、フォロワー戦略を採用するかどうか決めると良いでしょう。