会社を設立して以降事業規模が大きくなるにつれて、事業を円滑に行うために組織構造を設計する重要性が増してきます。
機能別組織や事業部制組織、マトリックス組織など、会社の組織形態には様々あります。
それぞれの組織形態によって、メリットやデメリットは異なるため、最終的には経営者の判断によってどの組織形態が良いかを決める必要があります。
今回の記事では、機能別組織のメリットとデメリットをメインにご紹介します。
機能別組織のメリットとデメリットを知りたい方や会社の組織構造をどうするか悩んでいる方に必見の内容です!
事業部制組織のメリットに関しては、下記の記事をご参照ください!
ある程度会社が大きくなってくると、組織の形態をどのようにするかを考える必要があります。会社の組織形態には、機能別組織や事業部制組織、マトリックス組織などがあり、その中から自社に適した形態を選ぶのが大事です。今回の記事では、事業部制組[…]
機能別組織の簡単なおさらい
機能別組織とは、 業務内容に応じて編成する組織形態です。
具体的には、「製造」や「営業」、「財務」などの機能ごとに組織を細分化します。
機能別組織は、単一事業を狭い範囲で行う中小企業の多くで採用されています。
製品や地域別に部門を編成し、各部門で製造や営業の機能を持つ事業部制組織とは、ある意味正反対の組織形態であるといえます。
機能別組織のメリット
機能別組織を編成すると、主に下記3つのメリットを得られます。
メリット①:専門性を発揮しやすい
機能別組織最大のメリットは、何と言っても「専門性」を発揮しやすい点です。
機能別組織では、営業なら営業、製造なら製造という形で、各々の部署が自分たちの業務内容のみを行います。
一つの業務に特化して仕事を行うため、その分その仕事内容に対するスキルや知識が熟練しやすいです。
一つの業務に熟練したスペシャリストが育ちやすいため、各部門で専門性を発揮しやすくなります。
たとえば町の小さな工場には、大手企業の人材顔負けの優れた技能を持った方が少なくありません。
そのような優れた技能を持てるようになるのは、日々自身の業務に集中して取り組める機能別組織の環境があるからこそなのです。
専門性の発揮により生産性の向上や独自の強みを確立しやすい点は、機能別組織の大きなメリットです。
ただし人数が不足している中小企業の場合、専門性の高い技術やノウハウを持つ人材が、新規顧客を獲得するために営業やマーケティングを担う必要が出る可能性があります。
そうなると、せっかく機能別組織を導入しても、専門性の発揮というメリットは得られにくくなります。
メリット②:規模の経済性が働きやすい
機能別組織における二つ目のメリットは、規模の経済性が働きやすい点です。
規模の経済性とは、生産量や事業規模が拡大するに伴い、製品一個あたりの生産コストが減ってくる現象です。
機能別組織では、製造部門が全社的に必要となる原材料などをまとめて大量発注し、それを基に部門全体で一気に製品を製造することができます。
それにより、事業を拡大するにつれて規模の経済性を発揮できるようになるのです。
メリット③:経営陣は大局的な意思決定を行いやすい
機能別組織における三つ目のメリットは、経営陣が大局的な意思決定を行いやすい点です。
事業部制組織が各事業部に権限を移譲する特徴を持つ一方で、機能別組織では経営陣に権限が集中するという特徴を持っています。
そのため経営陣は、製造や財務、営業、マーケティングといったあらゆる部門の状況を考慮した上で、全体最適を実現できるような意思決定を行えます。
機能別組織のデメリット
機能別組織には以上のようなメリットがある一方で、以下3つのデメリットもあります。
デメリット①:経営陣にかかる負担が大きい
機能別組織の1つ目のデメリットは、経営陣にかかる負担が大きい点です。
事業部制組織では権限を各事業部に分散するため、経営陣への負担は比較的軽いです。
一方で機能別組織では経営陣に権限が集中するため、各機能の調整などに要する負担が重くなります。
経営陣は日頃の業務への対応に追われるあまり、全社的な意思決定にあまり時間を割きにくくなります。
その結果重大なチャンスやピンチを見逃してしまうリスクがあります。
デメリット②:責任の所在が不明瞭となりやすい
二つ目のデメリットは、責任の所在が不明瞭となりやすい点です。
事業部制組織では各事業部ごとに業績が明確になるため、どこに問題があるかが明確となりやすいです。
しかし機能別組織の場合、全社的に業績を管理するため、業績が落ち込んだ際にどの機能に責任があるのかが分かりにくいです。
デメリット③:専門化しすぎて経営視点で考えられる人材が育ちにくい
機能別組織における3つ目のデメリットは、専門家に注力しすぎるあまり、経営視点で考えられる人材が育ちにくい点です。
機能別組織では、各従業員は基本的に自分の職務に特化して働きます。
これは各機能を統括するマネージャークラスでも例外ではなく、「自分の統括する機能がうまくいっているかどうか?」という観点で仕事を行います。
そのためあらゆる財務や営業などあらゆる機能を包括的に考える事業部制組織の人材と比べると、どうしても経営的な視点で考えるということに疎くなる傾向があります。
仕事のスキルに関しては素晴らしいものを持っているものの、どうしてもコスト面を考えるのが苦手という技術者の方などが最たる例です。
機能別組織のメリットとデメリットに関するまとめ
今回の記事では、機能別組織のメリットとデメリットについてお伝えしました。
事業部制組織と同様に、機能別組織にはメリットもあればデメリットもあります。
会社の組織形態を考える際には、メリットだけでなくデメリットも考慮しましょう。
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下記記事にてどんなサービスか解説しているので、こちらもぜひご参照ください。
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