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グループシンク(集団浅慮)の恐ろしさ〜会社の意思決定に潜む罠〜

グループシンク

突然ですが皆さんは、「メンバー全員で話し合って決めたにも関わらず、予想に反してプロジェクトが大失敗に終わった」といった経験があるでしょうか?

複数人で意思決定した方が、一人で意思決定する時と比べて、多様な観点から検討できる点で優れていると一般的には言われています。

確かに多様な価値観やスキルを持った人たちが集まれば、多面的に物事を考えられて、一人では思いつかないようなアイデアなどを導き出せるケースも多いです。

しかし集団での意思決定には、一歩間違えればかえって間違った結論を導き出してしまう恐れもあります。

そのような現象は「グループシンク(集団浅慮)」と呼ばれており、会社などの集団ではしばしば発生します。

グループシンクにより間違った意思決定を行うと、結果的に大きな損を被る危険があります。

今回の記事では、グループシンク(集団浅慮)の原因や症状、グループシンクに陥らないための対策について分かりやすく解説しようと思います。

グループシンク(集団浅慮)とは?

グループシンクとは、集団で意思決定を行う結果、かえって短絡的で間違った意思決定を下してしまう現象であり、集団浅慮とか集団思考とも呼ばれています。

グループシンクに陥っている集団では、極端にリスクの高い結論を導き出してしまう(リスキーシフト)傾向があります。

すごく分かりやすい例で言えば、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という表現が適切にグループシンクを表しています。

一人でいるときは、警察にバレることや事故に遭うリスクを考えられるため赤信号を渡ろうとはしません。

ですが仲間同士でいるときは、変に強くなった気分になってしまい、「みんなで渡れば何とかなる」という誤った結論を下してしまう人がいる訳です(もちろん自分はそんなことしませんが汗)。

このようにグループシンクは身近な生活でも発生し得る現象であるため、日頃の生活から注意しておく必要があります。 

グループシンク(集団浅慮)に陥る原因

集団で意思決定するからといって、必ずしもグループシンクが発生するとは限りません。

集団浅慮に陥らなければ、多様な観点から物事を考えられるため、かえって良い結論を導くことができます。

つまり会社などの組織で意思決定を行う際は、グループシンクの原因を把握し、あらかじめ対策しておくのが大切となります。

この理論を提唱した学者(ジャニス)は、以下3つの原因に合致すると集団浅慮に陥ると述べています。

原因①集団の凝集性が高い

集団の凝集性とは、集団内のメンバーが互いに引き合う程度(簡単に言えば団結力の度合い)を意味します。

集団の凝集性が高い(メンバー間の団結度合いが高い)ほど、グループシンクに陥りやすくなります。

原因②外部の環境と隔絶されている

例えば他社で働いている人や外部のコンサルタントなど、組織の構成員が会社外部の人と関わる機会があまりない場合には、グループシンクに陥りやすいです。 

原因③:ストレスをもたらす要素がある 

ここで言うストレスをとは、外部からもたらされる強い脅威を意味します。

例えば自社の市場シェアを大きく奪うような競合他社が現れた場合、集団で冷静に意思決定を行うのが難しくなります(グループシフトに陥りやすい)。

グループシンク(集団浅慮)の症状

グループシンク(集団浅慮)には以下8つの症状があると言われています。

下記の症状が集団内に見られる場合、グループシンクに陥っている可能性が高いので早急の対策が必要だと考えられます。

症状①:過度な楽観主義

集団浅慮の最たる症状は、「自分たちは大企業で信用や実績があるから大丈夫」などと、根拠に乏しい過度な楽観主義をメンバーが持っている状況です。

症状②:自分たちは正しいと思い込み、道徳や倫理を無視する

自分たちのやり方の方が、世間一般的な道徳や倫理感よりも正しいと思い込むのもグループシンクの症状です。 

症状③:外部からの意見や警告を無視する

外部から「このままだと良くない」などと意見や警告を受けた場合、普通であれば意見を参考にして改善に向けて行動します。

しかしグループシンクに陥っている集団は、外部からの意見や警告を意に介しません。 

症状④:外部の集団の能力を軽視する

外部の集団の能力を軽視するのも、グループシンクの典型的な症状です。

例えば競合相手を、「取るに足らないベンチャー企業だろう」と甘く見ていたら、いつの間にか顧客をごっそり奪われるケースはしばしば発生します。

症状⑤:異議を唱える事に対する圧力がかかる

正常な会社であれば、例え大多数の意見と異なっていても、果敢に自身の意見を述べることができます。

ですがグループシンクに陥っていると、異議を唱える事に対して他のメンバーから圧力がかかっています。

「これを言うとプロジェクトメンバーから外される」などと思う社員がいれば、それはもう立派なグループシンクの症状です。 

症状⑥:疑問を持たないように自己抑制を行う

グループシンクが根付いてしまっている組織では、そもそも疑問を持ってはいけないと、各メンバー自身が心の中で自然に抑制をかけてしまいます。 

症状⑦:全員の意見が一致していると思う

直接確かめたわけではないにも関わらず、メンバー同士で意見が一致していると思い込んでしまうのも集団浅慮の症状です。

症状⑧:都合の悪い情報から目をそらす

例えば顧客からもたらされるネガティブな意見など、自社の意思決定にとって都合の悪い情報から目をそらす傾向があると、グループシンクに陥る可能性が高いです。  

グループシンク(集団浅慮)の対策

グループシンクは会社に甚大な損害をもたらし得るため、可能な限り対策を施す必要があります。

具体的には、以下2つの対策により集団浅慮を回避しやすくなります。

対策①:外部の意見を積極的に受け入れる

先ほどお伝えした通り、閉鎖的な組織ではグループシンクに陥りやすいです。

ですので、外部の専門家や顧客などの意見を積極的に取り入れて、その内容を意思決定の際に反映させることが大切です。

第三者からの公平な視点を取り入れれば、グループシンクによる間違った意思決定を回避しやすくなります。 

対策②:多様な意見を認める体制を作る

言いたい事を言えない組織環境では、やはり極端な意思決定が導き出されやすくなってしまいます。

一人一人が批判的な視点を持ち、それぞれが異なる意見を述べ合うのがグループシンクを回避する対策となります。

グループシンクの対策を2つご紹介しましたが、結局のところ「多様な価値観を受け入れる組織作り」が重要だと思います。

都合の悪い情報から目をそらさず、多面的な視野で物事を考えるのは、会社経営を長期的に継続するためには不可欠です。

以下の記事では、必要に応じて組織を変革する重要性について考察していますので、興味のある方はぜひお読みになってください。

business-kurage.hatenablog.com

グループシンク(集団浅慮)に関するまとめ

今回は意思決定の落とし穴「グループシンク(集団浅慮)」の恐ろしさや対策、症状についてご紹介しました。

今回は会社での意思決定にスポットを当てましたが、グループシンクは日常生活でも起こり得る現象です。

グループシンクについてさらに身近な例で知りたい方には、「規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす」という本がおすすめです。

あの震災後に生じた原発事故を例にとり、グループシンクの恐ろしさが分かりやすく紹介されています。

ご興味のある方は是非読んでみてください。