社内カンパニー制度とは?長所や事例を徹底解説

  • 2020年10月6日
  • 2020年10月6日
  • 組織論
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一般的に企業といえば、経営陣の意思決定に従って事業が運営されるイメージが強いです。

しかし世の中には、各部門の責任者が投資の意思決定や人事権を行使する会社も実在します。

このように、ほとんどの権限を各部門に移譲する仕組みを「社内カンパニー制度」と呼びます。

今回の記事では、そんな社内カンパニー制度の概要やメリット・デメリット、企業の導入事例をご紹介します。

社内カンパニー制度とは

社内カンパニー制度とは、社内にある各事業を一つの会社としてみなし、それぞれが独立して事業活動を行う制度です。

各事業部門は「社内カンパニー(会社)」として、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の活用を自分たちの裁量で行います。

また、収支計算や事業への投資などの経営的な活動も、すべて自分たちの判断で遂行します。

事業部制組織との違い

社内カンパニー制度と似た形態に、事業部制組織があります。

社内カンパニー制度と事業部制組織の違いは、独立性の度合いにあります。

そもそも事業部制組織とは、製品・サービスや地域ごとに事業部を構成する組織です。

各事業部には、予算や業績の管理などに関する権限が付与されます。ただし、人事や財産、事業への投資など、事業部の活動に直結しない経営活動に関する権限までは与えられません。

一方で社内カンパニー制度では、人事や財産の運用、事業への投資など、経営活動に関する権限も付与されます。

つまり社内カンパニーは、事業部制組織よりも行使できる権限の範囲が広いと言えます。

言い換えると、事業部制組織よりも独立性の度合いが高いわけです。

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持株会社との違い

持株会社とは、他の会社の株式を所有し、支配するために設立する会社です。

親会社は事業の運営に携わらずに、グループ全体の戦略策定や企画立案の実施に特化する点が特徴です。

一見すると似ていますが、社内カンパニー制度と持株会社には法的な観点で見ると明らかな違いがあります。

社内カンパニー制度は、あくまで各事業部を会社とみなして、それぞれに意思決定の権限を与える制度です。

一方で持株会社は、実際に法人格を持つ会社が複数に実在する組織形態です。

運営の目的や得られるメリットに大きな違いは無いものの、根本的に仕組み自体は異なるので理解しておきましょう。

社内カンパニー制度の長所

社内カンパニー制度には、下記4つの長所があります。

スピーディーに意思決定や行動を行える

社内カンパニー制度における最大の長所は、スピーディーな意思決定や行動が可能となる点です。

一般的な会社では、重要な意思決定や人事権の行使、新規事業への投資などを行う際に、本社や経営陣の承認が必要となります。

そのため、承認を得て行動に移すまでに多大な時間を要する可能性があります。

実際のビジネスでは、ちょっとタイミングが遅れると成功から遠のくケースが多々あるため、この点は非常に致命的なデメリットです。

一方で社内カンパニーには、投資や意思決定、人事権、投資など、経営に必要な権利がほぼすべて移譲されています。

本社や経営陣から承認を得る必要がないため、スピーディーな意思決定や行動が可能となります。

スピードの向上により事業の成功確率も高まるため、実務的な観点から見ても大きな長所と言えます。

将来の経営を担う人材を育成できる

将来の経営を担う人材の育成につながる点も、社内カンパニー制度における大きな長所です。

社内カンパニーには、各カンパニーの責任者に事業の経営に関する権利が丸ごと移譲されます。

責任者は実質的に小さな会社を経営することになるため、経営者としての経験やノウハウを着実に積み上げていくことが可能です。

経営を担う人材を育成しながら事業を行えるため、長期的な視点で見てもメリットをもたらします。

責任の所在や収益性を明らかにできる

社内カンパニー制度には、責任の所在や各分野の収益性を明らかにできる長所もあります。

社内カンパニー制度では、各カンパニーが自分たちが行う事業の業績にすべての責任を持ちます。

各分野の事業がそれぞれのカンパニーで完結するため、どの事業部門に責任があるかが明らかとなります。

また、会計業務も各カンパニーごとに行うため、それぞれのカンパニーがどのくらいの収益を得ているかも明らかになります。

責任の所在や収益性を明らかにすることで、事業の「撤退」や「選択と集中」も行いやすくなるでしょう。

企業内での競争が活発化する

利益や責任の所在が明らかにすることで、企業内での競争が活発化する長所も期待できます。

仮に業績が悪化したり目標を達成できないと、その責任はすベて各カンパニーにあることとなります。

カンパニーごとの優劣が明らかになるため、カンパニー同士がライバル企業となります。

その結果、カンパニー間で競争意識が芽生え、結果的に全社的に収益性が底上げされる効果が期待できるのです。

社内カンパニー制度の短所

社内カンパニー制度には、下記3つの短所もあります。

事業間での連携やシナジーを追求しにくい

一般的な企業では、会社全体の売り上げを伸ばすために、各事業部が連携したり、それぞれの良さを組み合わせてシナジーを追求します。

一方で社内カンパニー制度では、各部門はライバル同士となるため、連携が図られにくくなります。

連携が図られにくいことで、新規事業や全社的なプロジェクトが成功しにくくなるデメリットが生じます。

また、お互いが連携しないことで、お互いの良さがシナジー効果を生み出すことも期待できません。

変化の激しい現代において、会社全体が一丸となりにくい点は致命的な短所と言えます。

事業の重複によりコストが増えるリスクがある

社内カンパニー制度では、各カンパニーごとに人事や購買といった機能を持つことになります。

会社にとっては、本来は一つだけで済む機能を複数持つことになるため、結果的にコストが増加する可能性があります。

ただし、人事や経理などの機能をアウトソーシングすることで、コストの削減を実現できた企業も実在します。

不正が生じやすい

ほとんどの権限を各部門に移譲する社内カンパニー制度では、本社による監視や統制が効きにくくなります。

その結果、不正会計や問題の隠蔽といったトラブルが生じやすい環境となります。

たとえ社内では別々に事業が運営されていても、第三者からすると一つのカンパニーで生じた問題は全社的な問題だとみなされます。

全社的な業績にも悪影響を及ぼすリスクがあるため、社外取締役などを導入することで不正の防止に努めましょう。

社内カンパニー制度の導入事例

現在に至るまで、社内カンパニー制度は数多くの企業で導入されてきました。

この章では、社内カンパニー制度を採用してきた企業としてソニーとトヨタの2社をご紹介します。

ソニー

日本を代表する電気機器メーカーのソニーは、日本で初めて社内カンパニー制度を導入した企業として有名です。

バブル崩壊によるマイナス成長を打破する目的で、1994年4年に社内カンパニー制度が導入されました。

既存の機能別組織や事業部制組織とは全く異なる組織体系として、社員はもちろん株主や取引先から大きな注目を集めました。

現在では廃止されているものの、社内カンパニー制度導入の先駆けとして知っておいて損はないでしょう。

トヨタ

グローバルな規模で自動車事業を展開するトヨタは、2016年に社内カンパニー制度を導入しました。

トヨタでは、製品群ごとに7つのカンパニーを新設し、それぞれに中短期の商品計画や製品企画の権限を与えました。

製品別にカンパニーを作ったことで、意思決定の迅速化はもちろん、各商品力の向上にもつながったと考えられます。

参考:トヨタ自動車、新体制を公表-仕事の進め方変革を通じて「もっといいクルマづくり」「人材育成」を促進 トヨタ自動車

社内カンパニーのまとめ

社内カンパニーは、事業部制組織の持つ独立性をさらに高めた組織形態であるといえます。

独立性の高さから、意思決定の迅速化や責任の所在の明確化といったメリットを得られる制度となっています。

しかし一方で、コストの増大やカンパニー間におけるシナジーの追求が困難といったデメリットもあります。

こうしたデメリットがあるため、社内カンパニー制度を導入した企業の中にはかえって業績の悪化などの弊害が生じたところも少なくありません。

社内カンパニー制度は一長一短の仕組みなので、自社に適しているかを慎重に検討した上で導入する必要があるでしょう。

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