棚卸資産回転率とは?計算式や目安を徹底解説

在庫品や原材料、仕掛品など、最終的に販売する目的で一時的に保有している資産のことを「棚卸資産」と呼びます。

そんな棚卸資産をどのくらい消費できているかを表す指標に、「棚卸資産回転率」と呼ばれるものがあります。

今回の記事では、棚卸資産回転率の計算式や目安などをくわしくご説明します。

棚卸資産回転率とは

棚卸資産回転率とは、棚卸資産を使ってどのくらい効率的に売上高を得られたかを表す指標です。

「在庫回転率」とも呼ばれており、単位には「回」が使われます。

たとえば棚卸資産回転率が10回ならば、棚卸資産の10倍に及ぶ売上高を稼いだと言えます。

棚卸資産回転率の計算式

棚卸資産回転率は、売上高を棚卸資産で割ることで計算します。

つまり棚卸資産回転率は、下記の計算式で表します。

棚卸資産回転率(回) = 売上高 ÷ 棚卸資産

たとえば売上高が1億円、棚卸資産が2,000万円のケースでは、以下の計算式で棚卸資産回転率は求まります。

  • 棚卸資産回転率 = 1億円 ÷ 2,000万円 = 5回

棚卸資産回転率は高いほど良いのか?

棚卸資産回転率は、仕掛品や在庫品、原材料などの消化・販売速度を示しています。

在庫品や原材料などの消化速度が遅いと、商品の販売ペースが落ちるため、売り上げは増えにくいです。

一方で在庫品や原材料の保管コストは増えるため、利益は少なくなります。

以上より、基本的には棚卸資産回転率は高い方が好ましいと言えます。

棚卸資産回転率が高いほど、在庫品や原材料の消化ペースが速いため、一定期間でよりたくさんの売上高を稼ぎつつ、保管に要する費用を減らせるからです。

ただし、単純に「棚卸資産回転率は高いほど良い」というわけではありません。

棚卸資産回転率は、収益獲得に必須な棚卸資産を減らすことでも上昇するからでです。

在庫や原材料を十分に持っていないと、顧客の需要があるにもかかわらず商品を販売できない状態となります。

棚卸資産回転率が高くても、十分な売上高を得られなければ意味がないので、売り上げの獲得に必要な在庫や原材料などは減らさないようにしましょう。

棚卸資産回転率の目安となる業界平均

棚卸資産回転率の良し悪しを測る際には、同業界の平均数値が目安となります。

なぜなら、業界によって棚卸資産回転率の平均が大きく変わってくるからです。

たとえば不動産業の場合、商品(住宅など)は頻繁に売れるものではないため、売上高が大きい割に棚卸資産回転率は低くなる傾向があります。

一方で飲食業は、頻繁にお客さんが入れ替わるため、棚卸資産回転率は高い傾向があります。

経理COMPASSさんのサイトによると、2017年度における棚卸資産回転率の業界別平均は以下のとおりです。

業種棚卸資産回転率
運輸業・郵便業164.28回
サービス業(その他)57.62回
宿泊業、飲食サービス業27.07回
情報通信業25.86回
学術研究、専門・技術サービス業21.22回
生活関連サービス業、娯楽業20.29回
卸売業14.83回
建設業9.41回
製造業6.97回
小売業6.60回
不動産業、物品賃貸業2.91回

まずは自身の業界平均を確認し、それよりも高いか低いかを確認します。

高い場合にはその水準を維持し、低ければ改善が必要となります。

棚卸資産回転期間も同時に確認しよう

棚卸資産活用の効率性を分析する際には、回転率と同時に回転期間も確認するのがオススメです。

棚卸資産回転期間とは、棚卸資産が企業の内部に留まっている期間(日数または月数)を意味します。単位には、「〇〇日」や「〇〇月」が用いられます。

簡単に言うと在庫が売れずに残っている期間なので、当然短い方が望ましいです。

棚卸資産回転期間の計算式

棚卸資産回転期間は、下記の計算式で求めることができます。

・棚卸資産回転期間(月) = 棚卸資産 ÷ 1ヶ月あたり平均売上高

・棚卸資産回転期間(月) = 棚卸資産 ÷ (年間売上高 ÷ 12)

日数ベースで棚卸資産回転期間を計算する場合には、以下の計算式を用います。

・棚卸資産回転期間(日) = 棚卸資産 ÷ 1日あたり平均売上高

・棚卸資産回転期間(日) = 棚卸資産 ÷ (年間売上高 ÷ 365)

たとえば、棚卸資産が2,000万円、1ヶ月あたり平均売上高が1,000万円の場合、棚卸資産回転期間は以下のとおり計算できます。

  • 棚卸資産回転期間 = 2,000万円 ÷ 1,000万円 = 2月

つまりこのケースでは、棚卸資産(在庫)を売り捌くまでに2ヶ月かかっているわけです。

棚卸資産回転率の改善方法

同業他社と比べて棚卸資産回転率に問題がある場合には、改善策を講じなくてはいけません。

この章では、棚卸資産回転率が低すぎるケースと高すぎるケースに分けて、数値を改善する方法を解説します。

低すぎる棚卸資産回転率を改善する方法

低すぎる棚卸資産回転率を改善するには、商品ラインナップの見直しが有効です。

売れ行きが悪い商品は、在庫として長期間会社内に滞留しやすく、棚卸資産回転率の悪化を招きます。

商品の売れ行きを1つ1つ調べて、売れ行きが悪い商品の取り扱いをやめて、顧客からの需要が多い人気商品を取り扱うようにしましょう。

そうすれば棚卸資産回転率が向上し、業績の改善につながります。

高すぎる棚卸資産回転率を改善する方法

高すぎる棚卸資産回転率を改善する際には、在庫が慢性的に不足していないかを最優先で確認しましょう。

在庫が慢性的に不足していると、本来は得られるはずの収益を得られていない可能性が高いです。

慢性的な在庫不足を解消できれば、棚卸資産回転率が適正水準まで下がると同時に、商品の販売量増加により売り上げがアップします。

棚卸資産回転率のまとめ

小売業や製造業など、実物の商品を取り扱うビジネスでは、棚卸資産回転率の良し悪しが非常に重要となります。

棚卸資産回転率が適正数値でないと、在庫保管のコストで業績が悪化したり、本来得られるはずの収益を得られなくなる恐れがあります。

そうした事態を避けるためにも、業界平均を目安にして、自社の棚卸資産回転率を常に適正な水準に保っておきましょう。

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