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ジョブローテーションのメリットとデメリットをわかりやすく解説!

ジョブローテーションのメリットとデメリット

企業の業績を長期的に維持・向上し続けるには、人材の育成や適材適所の人材配置が不可欠です。

そんな人材配置・育成に役立つ制度の一つが「ジョブローテーション」です。

日本でも多くの企業が取り入れているジョブローテーション制度ですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

そこで今回は、ジョブローテーション制度のメリットとデメリットをそれぞれお伝えしようと思います。

従業員の教育に悩んでいる方や今後人を雇ってビジネスを行いたい方は必見です!

ジョブローテーションのメリット

ジョブローテーションの制度には、主に下記5つのメリットがあります。

従業員の得意不得意を発見できる

一つ目のメリットは、従業員の得意不得意を発見できる点です。

まだ仕事の経験がない新入社員って、どの業務が得意なのか?逆に不得意なのか分かりませんよね。

ジョブローテーション制度で何個もの仕事を新入社員に経験させることで、仕事の得意不得意を発見できるのです。

従業員の得意不得意を発見し、それぞれの長所を活かした人員配置を実現できる点はジョブローテーションのもっとも大きなメリットでしょう。

また従業員の側から見ると、何個もの仕事を経験することで、自身のキャリアパスを考えやすくなるメリットもあります。

部門・部署間での連携が取りやすくなる

二つ目にご紹介するメリットは、部門や部署間で連携を取りやすくなる点です。

新規事業立ち上げなどのプロジェクトでは、製造や営業、マーケティングなど複数の部門が連携してプロジェクトに取り組む必要があります。

入社当初から一つの部署でしか仕事をしない会社の場合、普段関わった経験がない人たちと突然プロジェクトを行うことになるので、いきなりスムーズに連携を図るのは難しいです。

一方でジョブローテーション制度を取り入れていると、部門間で人材が活発に異動するので、「どの部署や部門にも1人は知り合いがいる」という状況になります。

つまり最初から関係構築が済んでいる状態でプロジェクトに取り組めるので、部門間での連携が取りやすくなるのです。

新規事業を活発に取り組む企業にとっても、ジョブローテションはメリットの大きい制度であると言えます。 

経営的な考えを持つ人材を育てられる

ジョブローテーションには、経営的な考えを持った人材を育てられるメリットもあります。

事業部長や経営陣・役員クラスの人材には、一つの仕事に特化した能力よりも、全体を見渡して最適な戦略や施策を考えられる能力が求められます。

ジョブローテーション制度で何個もの仕事を経験させれば、この全体的な視点を自然に養わせることができるのです。

ジョブローテーションの制度は、経営企画といった会社全体にとって重要な人材を育てたい企業にとっても大きなメリットをもたらすのです。

急な人員不足や欠員に対応しやすくなる

急な人員不足や欠員に対応しやすくなる点も、ジョブローテーションの大きなメリットです。

ジョブローテーション制度を取り入れている企業の従業員は、社内のあらゆる仕事を最低限それなりにはできるようになります。

そのためある部署で急に人員不足や欠員が生じた際に、臨時的に他の部署から人員を助っ人として移動できます。

人員不足に柔軟に対応できるので、介護休暇や育児休暇といった制度を導入しやすくなるメリットも得られます。

ジョブローテーションのデメリット

メリットの多いジョブローテーションですが、下記3つのようなデメリットもあります。

業務のスペシャリストを育成しにくい

一つ目に紹介するデメリットは、業務のスペシャリストを育てにくい点です。

たとえばエンジニアのようなある業務のスペシャリストを育てるには、当たり前ですがその仕事をよりたくさん経験させる必要があります。

しかしジョブローテション制度では、何個もの仕事を経験させるので、その分専門性の高いスペシャリストは育ちにくくなります。

高い技術力を持つ人材が不可欠な会社にとっては、このデメリットはとても痛手となります。

社員のモチベーション低下や離職につながる恐れがある

ジョブローテーションを実施すると、社員のモチベーション低下や離職といったデメリットが生じるおそれもあります。

ある仕事に関する専門性を高めたいと考えている従業員や、ある仕事に対して苦手意識を感じる従業員も存在します。

そのような従業員に対して無理やりいくつもの仕事をさせると、モチベーションの低下や離職につながるおそれがあります。

 

自分の体験談ですが、数年前にとある企業でジョブローテション的にいろいろな仕事を経験させてもらいました。

当時の自分は、経営学やマーケティング、財務会計の知識を活かせる(関連性が高い)仕事をして、自分の専門性を高めたいと思っていました。

また人と話すのがあまり得意ではないため、営業はしたくないというのが本音でした・・・笑

なので営業を任せられた時は本当にストレスが溜まり、あらゆることに対するモチベーションが下がって、精神的にもかなり病みました苦笑

結果的に色んな業務を経験して得手不得手や好き嫌いを知れたのは良かったですし、嫌な仕事をやる事で忍耐力をつけられた点では、収穫はあったと言えます(嫌な仕事を経験したおかげで、けっこう忍耐力はつきました笑)。

しかし長期的に苦手な仕事を任せられて、一時的にモチベーションが低下して精神的に病んだのも事実です(^_^;)

 

「ろくに経験もない若者が偉そうに仕事を選ぶな!苦労も大事なんだよ怒」と思う方も世の中にはいるでしょうし、その考えを否定はしません。しかし人材不足の昨今、無理に苦手な仕事をやらせて生産性(モチベーション)が下がったり、離職されては元も子もないですよね。

少しだけ経験させて無理そうであれば、比較的本人が好きな仕事や得意な仕事をやらせる方が、かえって会社にとってメリットが大きいと思います。

「中小企業は選択と集中により得意な業務に特化した方が良い」と経営学の理論が示しているのと同様に、個々の労働者も得意な分野に集中した方が良いと自分的には思っています。

一時的に生産性が低下する場合がある

一時的に生産性が低下する可能性がある点も、ジョブローテーションで無視できないデメリットです。

ジョブローテーションは、これまで経験がない仕事にチャレンジする制度です。

全く未経験の状態から仕事に取り組むため、最初はその仕事に熟練した人と比べて生産性は低くなる可能性が高いです。

長期的に見ると人事配置の柔軟性が高まるなどのメリットもありますが、短期的に見るとこのようなデメリットがある点には留意しておく必要があります。

メリットとデメリットを知った上でジョブローテーションを活用しましょう!

今回の記事では、ジョブローテーションのメリットとデメリットをご紹介しました。

ジェネラリストを育成できたり、柔軟な人員配置が可能となる点など、ジョブローテーションには企業にとって大きなメリットをもたらします。

しかし一方で、スペシャリストを育てにくい点をはじめとしたデメリットも存在します。

ジョブローテーションを実施する際には、メリットばかりでなくデメリットもしっかり理解した上で実施するのが好ましいでしょう。

「とにかくスペシャリストを育てたい!」といった場合には、ジョブローテーション制度を導入しないのも一つの手です。