全3回にわたって【徹底解説!ジョブ理論シリーズ】と題して、ジョブ理論の有用性をご紹介しています。
※第1回はこちら
ビジネスで成功するには、顧客の持つ真のニーズを把握し、そのニーズを満たす商品やサービスを提供する必要があります。しかしアンケートやインタビューなどで得られる顧客のニーズは、実は真の意味でのニーズではないケースが大半です。というのも、[…]
第2回となる今回は、ジョブ理論のフレームワーク(実践方法)をご紹介します。
ジョブ理論のフレームワークを使えば、顧客に受け入れられる新規事業のアイデアを形にできます。
またジョブ理論のフレームワークは、既存商品やサービスをより顧客にとって好まれるものに改良する際にも役立ちます。
ジョブ理論のフレームワークは、以下6つの順番で実践します。
- 顧客の特徴を分析
- 商品・サービスを利用する前後・最中の状況を整理
- ある特定の状況で成し遂げたい進歩(ジョブ)を特定
- 提供する商品・サービスを利用してもらえない理由(障害)をあらかじめ特定
- ジョブの解決策が満たすべき条件(ジョブスペック)を考える
- ジョブの解決策(事業のアイデア)を定義
この記事では、ジョブ理論のフレームワークを上記の順番に沿ってわかりやすく解説するので、この記事を読めばジョブ理論をどうやって使えば良いか理解できます。
ジョブ理論を実務で役立てたい方、ジョブ理論のフレームワークを知りたい方は必見です!
STEP1:顧客の特徴を分析する
ジョブ理論ではまず初めに、商品やサービスを提供する対象顧客を特定・分析します。
既存顧客に対して提供する商品やサービスを改良する場合であれば、すでにサービスを利用している顧客の中から、重点的にサービスを利用している顧客を対象とすれば良いでしょう。
一方で新規事業の場合、最初にある程度顧客の属性を絞る事が有効です。顧客の属性を絞る上では自社の強みや市場ごとの成長性・競争度合いなどを基に、事業ドメイン(範囲)と対象とする顧客層(年齢や性別など)を決定すると良いでしょう。
その際には「ファイブフォース分析」や「SWOT分析」などのフレームワークを用いると、ターゲット顧客や事業ドメインを決定しやすくなるかと思います。
ターゲット顧客を特定したら、ターゲット顧客の分析を行います。
ジョブ理論による効果を最大限発揮させるためには、顧客の特性を詳しく把握する必要があります。
ですのでネット上で調べたり推測するだけでなく、インタビューしたり現地に出向いて行動観察し、顧客の生の実態をデータとして蓄積させる事がとても重要です。
新規事業であれば、競合他社の顧客を分析するのも一つの手です。
観察やインタビューによって得たデータを基に、顧客の「ペルソナ」を作るのもジョブ理論において重要なプロセスです。
ペルソナとは顧客の特性をストーリー形式で詳細に設定したものです。
「〇〇市に住んでいて職業は〇〇、家族構成は〜」という感じでペルソナを作り上げていきます。
ペルソナを作り上げる事で、顧客に対する理解が深まり、ジョブを特定しやすくなります。
STEP2:商品・サービスを利用する前後・最中の状況を整理する
対象顧客を分析したら、その顧客が商品やサービスを購入する前後最中の状況(特定の状況)を整理します。
前後最中の中でも、ジョブ理論による効果を高める為には「商品やサービスを購入した後の状況」に重点を置くのが大切です。
何故ならジョブを実現できたかどうかは、商品を購入した後でなければ分からないからです。
商品やサービスを利用した後に抱いた顧客の感情や行動こそに、商品・サービスの改良に役立つヒントや、新規事業のアイデアのヒントが隠されています。
例えば最初に述べた飲料水の例で言えば、お客さんはジョブを解決できなかったので、「次からはさっぱりした飲料水を購入しよう」という感情を持ちました。
商品を改良するのであればさっぱりした味に改良すれば良いですし、新規事業として始めるのであれば同じくさっぱりした味のものを顧客に提供すれば、顧客のジョブを達成できるでしょう。
つまり、新規事業のアイデアや既存製品の改良案を考えるに際しては、購入後に着目した方が、成功する可能性は高まる訳です。
ジョブ理論の実践に際して最も重要な部分なので、十分意識すべきだと思います。
ただし、顧客一人一人のジョブを的確に捉えるのは難しいです。
営業や製造など普段の業務で経営者は忙しいため、顧客の状況を観察する時間は中々取れないと思います。
そこでオススメなのが、「顧客のリサーチをアウトソーシングする」という考え方です。
外部の専門家に顧客のジョブを調査してもらうことで、経営者はその分の時間を他の重要な業務に回すことができます。
とはいえ外部の専門家にリサーチを本格的に依頼するとお金がかかるので、まずは経営やマーケティングのプロに無料で相談できるような機会を探すのが良いでしょう。
STEP3:ある特定の状況で成し遂げたい進歩(ジョブ)を特定する
特定の状況を整理したら、顧客が成し遂げたい進歩(真のニーズ)を特定します。
前後最中の状況をしっかり整理できていれば、自ずとお客さんが抱えているジョブは見えてくると思います。
STEP4:提供する商品・サービスを利用してもらえない理由(障害)を予め特定・対策する
ジョブが判明したら、後はジョブを解決する上で役立つサービスや商品を考えるだけですが、たとえジョブを解決するサービスであっても、顧客が必ず使用するとは限りません。
例えば他の製品を利用していて自社製品に切り替えるのに費用がかかったり、「得体の知れないものに切り替えたくない」といった心理が働くと、自社製品やサービスを利用してもらえません。
そこであらかじめ障害となり得る要素を特定し、あらかじめ対策を考えておく事が重要です。
例えば、自社製品に切り替える際に費用がかかるのであればキャッシュバック制度を設けたり、返金保証を付ける事で顧客の不安を軽減させる施策が有効です。
STEP5:ジョブの解決策が満たすべき条件(ジョブスペック)を考える
いよいよここからは、具体的にアイデアを煮詰めていきます。
いきなり具体的に施策を考えても良いですが、まずはジョブの解決策が満たすべき条件を考えるのがオススメです。
例えば「喉を潤したい」というジョブを解決したいのであれば、「さっぱりした味の飲み物を提供する」という条件が該当します。
もしくは「さっぱりした気分を味わいたい」という感情面にフォーカスした場合、「冷たくて喉ごしの良い炭酸飲料を提供する」事が条件となるかも知れません。
最初に条件設定をしっかり行えば、具体的な解決策を考えやすくなります。
STEP6:ジョブの解決策(事業のアイデア)を定義する
最後にジョブを解決できる具体的な施策(事業のアイデア)を考えていきます。
使う原材料やパッケージの見た目、温度など、細部まで設定するのが大事です。
ジョブ理論のフレームワークを用いて、新規事業のアイデアや既存事業の改良案を考える方法は以上になります。
ジョブ理論のフレームワーク(実践方法)に関するまとめ
今回の記事では、ジョブ理論のフレームワーク(実践方法)をお伝えしました。
今回ご説明したフレームワークを使えば、画期的なアイデアを考えやすくなると思うので、ぜひ機会があれば活用してみてください!
ビジネスで成功するには、顧客の持つ真のニーズを把握し、そのニーズを満たす商品やサービスを提供する必要があります。しかしアンケートやインタビューなどで得られる顧客のニーズは、実は真の意味でのニーズではないケースが大半です。というのも、[…]