KPIによる経営(業務)管理は、多くの企業や職場で活用されています。
この記事を読んでいる方の中にも、自分が携わっている業務にKPIを導入しようと考えている方がいると思います。
ですがKPIと一口にいっても、実は業種や職種によって最適な指標は異なります。
KPIを設定する際は、業種や職種に応じて最適な指標を用いるのが大事です。
そこで今回は、KPIで活用する指標を業界や職種別にご紹介します。
営業やWebマーケティング、飲食業、製造業などの業種の方には、特に必見の内容です!
営業で用いるKPI指標の例
KPIといえば、営業部門で活用されるのが最も一般的です。
この章では、そんな営業部門で役立つKPIの指標を3つご紹介します。
新規顧客の獲得数
営業といえば、新しい顧客を1人でも多く獲得して売上高を伸ばすのが仕事です。
なのでKPIの指標には、一ヶ月あたり新規顧客の獲得数を設定するケースが多いです。
ただし新規顧客の獲得数をKPIの指標に設定する際には、現実的な実現可能性を考慮するのが大事です。
新規顧客の獲得は簡単ではなく、数をこなせばより多く獲得できるとは一概に言えないためです。
あまりにも難しいKPIを設定すると、従業員のモチベーション低下や、無理に契約を取ろうとして都合の悪い情報を顧客に伝えなくなる、などの事態が生じる恐れがあります。
アポイント・訪問件数
新規顧客の獲得にはノウハウやスキルが必要ですが、アポイントや訪問の件数は基本的に数をこなせば増えやすいです。
差がつきにくく実行しやすいため、アポイントや訪問の件数をKPIとして設定する場合も多いです。
ただしアポイントや訪問の件数をKPIの指標に使う場合も、現実的な実現可能性を考慮しなくてはいけません。
就労時間内に達成するのが不可能な数を設定しても、KPIとしての機能を果たさないので注意しましょう。
既存顧客のリピート率
営業と聞くと新規顧客の獲得をイメージする方が多いですが、既存顧客のリピートも非常に重要です。
むしろ既存顧客からの支持を得られれば、新規顧客を獲得するよりも低コストで売り上げを伸ばしやすいです。
効率的に業績を伸ばすには、既存顧客への継続的な営業も大切となります。
既存顧客を重視した営業を行う際は、リピート率をKPIの指標として活用するのが良いでしょう。
Webマーケティングで用いるKPI指標の例
自社サイトの運営などをはじめとして、近年はWebマーケティングに取り組む企業が増加しています。
この章では、Webマーケティングで効果的なKPIの指標を3種類ご紹介します。
PV(ページビュー)数
PV(ページビュー)数とは、自社の保有するサイトのページ(コンテンツ)が読まれた数です。
PV数が多いほど、より多くの見込み客や顧客に自社のサイトを見てもらえていると判断できます。
自社商品を販売するWebサイトや情報メディアサイトの運営を始める方は、まず最優先にPV数の増加を目標に事業を行うのがオススメです。
平均セッション時間
Webサイトやブログを運営する際には、ただ単にPV数を増やせば良い訳ではありません。
どれほどPV数を増やしても、魅力のないコンテンツばかりだと、商品の購入などにはつながらず、得られる収益の額は少なくなります。
Webサイトの魅力度を高めるのを目標にする場合、平均セッション時間をKPI指標として活用するのが一般的です。
平均セッション時間とは、ユーザー1人あたりがサイトを訪れてから離脱するまでの平均滞在時間です。
平均セッション時間が長いほど、それだけWebサイトの魅力が高いと判断できます。
自社と似ているサイトや同業他社の平均セッション時間、過去の平均セッション時間などと比較するのがポイントです。
コンバージョン率
Webマーケティングにおける究極のゴールは、基本的に収益を多く得ることです。
どれだけPV数や平均セッション時間などの指標が優れていても、それが売り上げに結びつかなければ意味がありません。
ある程度PV数や平均セッション時間の指標が伸びてきたら、コンバージョン率という指標をKPIとして重視しなくてはいけません。
コンバージョン率とは、Webサイトへのアクセス総数のうち、コンバージョン(サービスの申し込みや商品の購入といった売り上げを生み出すアクション)に結びついた数の割合を意味します。
極端な話PV数や平均セッション時間の指標が悪くても、コンバージョン率が極端に高ければ売り上げは得られます。
収益の獲得を重視する方は、コンバージョン率をKPIに設定した上で対策を講じましょう。
飲食業で用いるKPI指標の例
飲食業では、昔からKPIが自然に活用されてきました。
数ある中から、今回は飲食業で特に役立つ2つの指標をご紹介します。
来店客数
飲食店が最も重視すべきである指標は、やはり来店客数でしょう。
どれほど顧客単価が高くても、来店客数がほぼ0に等しければ売り上げはほとんど得られません。
飲食店を経営する際は、目標売上高(利益)や客単価から逆算し、一ヶ月あたりの目標来店客数をKPIとして設定しましょう。
そしてKPIとして定めた数を下回ったら、宣伝広告の強化や外に立てかける看板の変更などの施策を行い、来店客数の増加に努める必要があります。
一回あたりの顧客単価
来店客数が最重要指標であるのはもちろんですが、一回あたりの顧客単価があまりにも少ないのも問題です。
例えば毎回200円のコーヒーだけ頼んでランチやディナーを頼んでもらえなかったら、来店客数がある程度確保できても売り上げは思ったほど伸びません。
飲食店を経営する際は、来店客数と同時に「一回あたりの顧客単価」をKPIの指標として設定するのが重要です。
一回あたりの顧客単価は、目標の売上高や想定している来店客数から逆算して設定しましょう。
事前に定めた顧客単価を下回ったら、メニューや値段を変更したり、店内の内装を変更するなどして、より一回あたりの来店で多くのお金を使ってもらえるように工夫する必要があります。
ここまで読んできて、KPIの設定方法をそもそも知りたいと思った方もいると思います。
KPIの設定方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください!
ビジネスに携わる方であれば、一度はKPIという用語を耳にした経験があるかと思います。「KPIってなんか意識高い系の人たちが使ってそうだなあ・・・」と思う方もいると思いますが、KPIの活用は経営管理においてとても効果的な手法です。KP[…]
製造業で用いるKPI指標の例
最後に、日本の経済を支える製造業で用いるKPIの指標をお伝えします。
製造業の性質上、他の業種とは異なる視点でKPIの指標を設定する場合もあるので注意してご確認ください。
生産個数
製造業では、あらかじめ定められた納期内に指定の個数を生産することが求められます。
また自社で製造から販売まで行う際にも、需用量に応じた量だけ製品を製造する必要があります。
指定期間内に必要な量を生産することが第一目標であれば、生産個数をKPIに活用するのが良いでしょう。
不良品数・不良率
ただ多く生産するだけでなく、なるべく不良品を出さないことも製造業では重要です。
不良品を出してしまうと手直しが必要になり、余分なコストや労力がかかってしまいます。
また不良品をそのまま納品してしまうと、後々顧客や取引先と大きなトラブルになり、事業の継続が危ぶまれるリスクもあります。
そのため製造業では、不良品数や不良率をKPIとして設定し、なるべくこれらの指標が小さくなるように努力しなくてはいけません。
事故発生件数
製造業を経営する上で忘れてはいけないのが、事故のリスクです。
何を製造するかにもよりますが、事故で大怪我を負ったり、最悪の場合後遺症を負ったり命を失うリスクもあります。
製造現場の安全性を高める目的で、KPIの指標に事故発生件数を設定する企業は少なくありません。
製造業で人を雇っている方は、大事な従業員を守るためにも事故発生件数の減少(もちろんゼロが理想です)を目指しましょう。
KPI指標のまとめ
今回の記事では、業種や職種別に最適なKPIの指標をご説明しました。
自身が携わっている仕事の内容によって最適なKPIの指標は異なります。
KPIを活用する際は、自身の業務に直結する指標をKPIとして設定するように努めましょう。
今回の記事が、KPIの活用を検討している方の助けになっていれば幸いです!