ビジネスに携わる方であれば、一度はKPIという用語を耳にした経験があるかと思います。
「KPIってなんか意識高い系の人たちが使ってそうだなあ・・・」と思う方もいると思いますが、KPIの活用は経営管理においてとても効果的な手法です。
KPI(Key Point Indicator:重要業績評価指標)とは、「売上高◯◯万円」といった目標を成し遂げる上で、特に重要となる業績評価指標です。
KPIを適切に設定・運用することで、目標を成し遂げるための道筋を明確にしつつ、経営やマーケティングで定めた計画の進捗状況を可視化することができます。
ただしKPIを経営管理に役立てるには、意味や用途だけでなく、KPIの設定方法も知っておく必要があります。
そこで今回の記事では、KPIの設定方法やコツを例を交えつつご紹介します。
KPIの設定方法(プロセス)
まず初めに、KPIの設定方法をご紹介します。
KPIの設定方法は、以下の4ステップで構成されます。
ステップ1:最終的な目標となる指標(KGI)を設定する
まず初めに、最終的な目標である指標(KGI:Key Goal Indicator)を設定します。
一般的には、今後1〜5年の間で成し遂げたい目標を設定するケースが多いです。
KGIには、売上高や営業利益といった業績面の指標のみならず、市場シェアなどの指標を用いる場合もあります。
ステップ2:KGIを成し遂げる上で大事な要素(KSF)を洗い出す
次に、KGIをクリする上で大事な要素(KSF:Key Success Factor)を洗い出します。
言い換えると、KGIをいくつかの重要な要素に細分化します。
たとえば営業で年間売上高をKGIとして設定した場合、KSFは「年間顧客数」や「年間平均購買頻度」、「年間平均客単価」などに分解できます。
ステップ3:KSFを成し遂げるための目標(KPI)を洗い出す(さらに細分化)
KGIを細分化したら、次は各KSFを成し遂げる上で必要な目標をそれぞれ洗い出します。
それぞれのKSFを細分化すると、KPIを導き出すことができます。
先ほどの例でいうと、年間顧客数というKSFは「新規顧客数」と「既存顧客数」というKPIに、年間平均客単価というKSFは「商品単価」と「買い上げ個数」というKPIにそれぞれ分解できます。
ステップ4:KPIを基に具体的に行う施策を考える
KPIの設定方法は以上となります。
ですがKPIを実際の経営管理に役立てるには、KPIを成し遂げるために具体的に行う施策を考えて、それを実行する必要があります。
例えば1年間で新規顧客数1,200人(1ヶ月100人)というKPIを設定した場合、営業人員が10人いる場合は、1人あたり新規顧客を1ヶ月で10人獲得するという施策が考えられます。
そして、新規顧客を獲得できる確率が約10%だと仮定すると、1人あたり見込み客100人にアプローチをかければ、KPIを成し遂げることが可能だと予測できます。
実際はここまで単純に施策を考えられないかもしれませんが、大体このような形で具体的な施策を考えていきます。
KPI設定のコツ
お伝えしたKPIの設定方法を有効活用するには、いくつかのコツを押さえておく必要があります。
ここでは、KPI設定のコツを3つご紹介します。
コツ1:頑張れば実現できるレベルのKPIを設定する
KPI設定の1つ目のコツは、頑張れば実現できるレベルのKPIを設定することです。
目標が高いのは素晴らしいことです。しかし到底実現できないレベルのKPIを設定してしまうと、従業員のモチベーションがかえって低下したり、無理した結果体調を崩したりする可能性があります。
KPIを設定する際は、労働時間内で身体を壊さない範囲内で、本気で集中すれば実現できるレベルを見出すように努めましょう。
細分化した結果KPIの難度が高くなりすぎたら、KGIやKSFの設定からやり直すのも検討しなくてはいけません。
コツ2:上位指標と下位指標(KGIとKSF、KSFとKPI)に一貫性がある
KPI設定における2つ目のコツは、上位指標と下位指標との間に一貫性を持たせる点です。
KPIはKSFを実現する上で必要な要素であり、そのKSFもKGIを実現する上で必要な要素です。
そのため、それぞれの指標には一貫性がなければいけません。
例えば年間顧客数というKSFを設定したにも関わらず、それを細分化したKPIとして「買い上げ点数」を設定したとしましょう。
基本的に買い上げ点数の増減と年間顧客数の増減は比例しません。そのため、買い上げ点数の増加に向けた施策を講じても、年間顧客数の増加には繋がらない可能性が高いです。
常に上位指標との関連性を意識した上でKPIを設定するのは、とても重要なコツなので覚えておきましょう。
コツ3:定期的にKPIの設定を見直す
計画通りにうまくいかないこともあれば、根本的な最終目標が変わることもあるでしょう。
事業の進捗状況や経営環境の変化に応じて、KPIの設定は定期的に見直すのがベストです。
例えば当初の計画よりも目標を成し遂げられていないのであれば、KPIの設定をもっと低くする必要があります。
KPIの設定方法まとめ
今回はKPIの設定方法をご紹介しました。
最後にもう一度、KPIの設定方法を簡単におさらいしましょう。
- step1:KGIの設定
- step2:KSFの洗い出し
- step3:KPIへの細分化
- step4:KPIに基づいた施策の決定
KPIを適切に設定できれば、目標を成し遂げるまでの道筋を明確にできます。
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