ランチェスター戦略とは?中小企業に最適な経営戦略を簡単に解説

中小企業は大手企業と比較して、経営資源の質や知名度、ブランド力などあらゆる要素で負けています。

そのため、真正面から大手企業と市場シェアを奪い合うと、ほぼ100%勝てません。

しかしランチェスター戦略の一つである「弱者の戦略」を実践すれば、大手企業に勝てる可能性があります。

今回の記事では、そんなランチェスター戦略について詳しく解説します。

市場シェアの大半を占める大手企業と中小企業、それぞれに最適な経営戦略を知りたい方は必見です。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは、戦争での勝敗を決める要素を数学的に表す「ランチェスターの法則」を基に確立された経営戦略です。

ランチェスター戦略は、ビジネスで他社に勝つための経営戦略として、日本人のコンサルタントである田岡氏が提唱しました。

この章では、基となったランチェスターの法則と、そこから導き出されたランチェスター戦略について簡単に解説します。

ランチェスターの法則

ランチェスターの法則とは、軍隊の戦闘力を「一人当たりの強さ(武器性能)」と「兵力数」に分解した上で、戦争での勝敗を数学的に表した法則です。

ランチェスターの法則は、一対一での戦闘を想定した「第一法則」と、一人で複数の相手と戦うことを想定した「第二法則」の2種類に分けられます。

第一法則

第一法則とは、一人の兵士が一人の兵士と一騎討ちで戦うケースを想定した法則です。

刀を持って兵士同士が戦っていた戦国時代のイメージです。

第一法則では、互いの軍隊の人数が同じである場合は、個々の強さ(武器性能)が強い軍隊の方が最終的には勝つとしています。

もしくは、個々の強さが同じであれば、人数が多い軍隊の方が勝ちます。

第一法則を指揮で表すと以下になります。

戦闘力 = 一人当たりの強さ(武器の性能) × 兵力数
各兵士が一騎討ちで勝敗を決める戦争の場合、人数と一人当たりの強さは同じくらい重要という点が第一法則の重要なポイントです。

第二法則

第二法則とは、一人で複数の兵隊と戦うケースを想定した法則です。

戦車や銃器を持っている兵士が、一人で複数の兵隊と戦う近代的な戦争を想定しています。

第二法則では、軍隊の戦闘力は一人当たりの強さに兵力数の2乗をかけることで求められます。

戦闘力 = 一人当たりの強さ(武器の性能) × 兵力数の2乗

一騎討ちの場合と比べると、一人当たりの強さよりも兵力数が勝敗を分ける上で重要になるわけです。

たとえ強力な武器を持っている兵士が数人いても、相手軍の数が圧倒的だと勝ち目がないわけです。

ランチェスター戦略の概要

ランチェスター戦略は、上記で説明したランチェスターの法則をビジネスに応用したものです。

ランチェスター戦略では、ランチェスターの第一法則と第二法則を基に、市場シェア1位の企業とそれ以外の企業がとるべき経営戦略を示唆しています。

具体的には、市場シェア1位の企業は第二法則から導き出される「強者の戦略」、それ以外の企業は第一法則から導き出される「弱者の戦略」と採用すべきであるとしています。

ランチェスター戦略から導き出される「弱者の戦略」と「強者の戦略」

では、ランチェスター戦略を基に考えると、弱者(中小企業)と強者(シェア1位の企業)はそれぞれどのような経営戦略を採用すべきなのでしょうか?

この章では、ランチェスター戦略が示唆する「弱者の戦略」と「強者の戦略」について簡単にご説明します。

弱者の戦略(中小企業がとるべき経営戦略)

結論から言うと、弱者の戦略は「特定市場への一点特化」と「大手企業との差別化」です。

市場規模が大きい領域では、強者(大手企業)が持っている経営資源をすべて投入して利益の獲得を目指しています。

そのため、弱者である中小企業が大きい市場に参入すると、強者と真正面から対決することになるため勝ち目がありません。

ランチェスター戦略的に言うと、第二法則が働いてしまうため、数の面で圧倒的不利な状況になります。

そこで弱者である中小企業が勝つには、大手企業が本格的に参入していない小さい市場に狙いを定める必要があります。

具体的には、特定の地域やニッチ商品の販売に特化します。地域や商品を限定すれば、大手企業と一対一で戦う状況(第一法則が働く状況)に持ち込めます。

加えて強者である大手企業は、ニーズの少ない商品や限られた地域に対して持っているすべてのリソースを投入しません(採算性が取れないため)。

ここで弱者である中小企業がすべてのリソースを小さい市場に集中投入すれば、第一法則が働く状況下で勝負できる上に、数(兵力数)の面で強者に勝てる可能性が出てきます。

強者に勝つ上で、もう一つ重要となるのが「大手企業との差別化」です。

たとえば商品の品質やデザイン、アフターフォローなどの面で差別化を図れば、相対的に大手企業の商品よりも顧客にとって魅力度の高い商品にできます。

もしくは営業人材の質を高めるのも有効でしょう。

ランチェスター戦略的に言うと、一人当たりの強さ(武器の性能)を高めることができるわけです。

特定市場への一点特化と差別化を同時に図ることで、その市場に限っては「武器の性能」と「兵力数」で強者に勝てるのです。

過去の記事では、「中小企業はニッチャー戦略や差別化戦略を採用すべき」と都度お伝えしてきました。

というのも、特定分野への集中と差別化こそが、戦闘力で強者(大手企業)に勝てる唯一無二の経営戦略だからです。

市場で十分なシェアを獲得していないうちは、ランチェスター戦略にしたがって、特定の市場に経営資源を集中させ、差別化された商品やサービスを提供するのがオススメです。

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強者の戦略(市場シェア1位の企業がとるべき経営戦略)

市場シェア1位(もしくは1位と大差ない大手企業)を誇る強者は、ランチェスターの第二法則が働く状況に持ち込むことが重要です。

つまり、人数(経営資源)の多さが勝負を大きく左右する状況に持ち込むのです。

具体的には、「ミート戦略」こそが強者のとるべき経営戦略です。

ミート戦略とは、弱者が展開している差別化を真似することで、差別化の優位性を失わせる(≒武器性能を下げる)経営戦略です。

武器性能が変わらなければ、あとはリソースの数で勝負が決まります。

たとえば弱者がアフターフォローを展開していたならば、強者も同様にアフターフォローを始めます。

そうすれば兵力数次第で勝負が決まるため、知名度や人員の数で勝っている強者が簡単に市場シェアを奪えてしまいます。

もしくは、大規模に宣伝広告を行うなどして、ニッチ市場をニッチ市場でなくさせる(市場規模を拡大させる)戦略も有効です。

たとえば弱者が地域限定で販売している商品を、全国展開してしまえば第二法則が働く状況に持ち込めます。

その結果、リソースの量で勝っている強者が圧倒的有利な状況となります。

ランチェスター戦略の理解におすすめの本

ランチェスター戦略について説明しましたが、あくまで今回お伝えしたのは基本的な部分のみです。

具体的なランチェスター戦略の立案方法を知るには、本で実践的な知識を身に付ける必要があります。

ランチェスター戦略に関する本はたくさんありますが、網羅的に実践知識を得たいならば「【新版】ランチェスター戦略 「弱者逆転」の法則」での勉強が必須です。

こちらの本では、網羅的にランチェスター戦略について説明されているのはもちろん、実際に活用している企業の事例も解説されています。

そのため、深くランチェスター戦略について理解する上ではもってこいの本です。

【新版】ランチェスター戦略 「弱者逆転」の法則 [ 福永雅文 ]
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ランチェスター戦略のまとめ

ランチェスター戦略とは、市場シェア1位を誇る強者が実践すべき経営戦略と、それ以外(中小企業)が実践すべき経営戦略を体系的に整理した理論です。

最後に、強者と弱者の戦略について図表でまとめたので、参考にしていただければと思います。

強者(市場シェア1位・大手企業)の戦略弱者(中小企業)の戦略
最適な経営戦略弱者の模倣、市場の拡大化特定市場への集中、差別化
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