経営やマーケティングの場面では、「ライフタイムバリュー」という用語が頻繁に出てきます。
ライフタイムバリューは、より大きな利益を長期的に得る上ではぜひ知っておくべき概念です。
この記事では、ライフタイムバリューの意味や計算方法、高める方法などを分かりやすくお伝えします!
ライフタイムバリュー(LTV)について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライフタイムバリュー(LTV)とは
ライフタイムバリュー(LTV)とは、顧客がある企業の商品を初めて購入してから、一定の年数を通じてその企業にもたらす総利益であり、顧客生涯価値とも呼ばれます。
つまりライフタイムバリューは、ある顧客が一定年数(生涯)を通じて企業にもたらす利益を意味します。
製品ライフサイクルの短縮化や市場の成熟化などの要因により、新規顧客を獲得するコストや難易度が高まっていることを理由に、顧客一人一人のライフタイムバリューを高める重要性が増しています。
つまり新しい顧客を獲得するのはお金がかかるし難しいから、一人一人のお客さんにより継続的かつ多くの収益をもたらしてもらおうというわけです。
ライフタイムバリューは、リレーションシップマーケティングやCRMの効果を測定する指標としても重要な意味を持ち、LTVが高いほど既存顧客に対するマーケティング施策が有効であると判断できます。
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ライフタイムバリューの計算方法
ライフタイムバリュー(LTV)の計算方法には、売上高実に様々な方法があります。
今回はその中でも、比較的実用的なLTVの計算方法をご紹介します。
簡単なLTVの計算方法(売上高ベース)
売上高ベースでのLTVは、一回あたりの購買で顧客が支出する金額(平均購買単価)に、購買頻度と購買を継続する期間(購買継続期間)を掛け合わせると算出できます。
- LTV=平均購買単価×購買頻度×購買継続期間
例えばAさんが一回あたり平均で30,000円の買い物を年間5回、それを7年間続けた場合のライフタイムバリューは下記の通り計算されます。
- LTV=30,000×5×7=1,050,000円
つまりAさんのLTVは105万円、言い換えると7年間で105万円の売上高をもたらしたと言えます。
ただし商品やサービスを販売するには、顧客に買ってもらうために宣伝広告費をはじめとして、様々な費用をかけます。
そのため正確にLTVを計算したい場合は、利益ベースでのLTVを算出しなくてはいけません。
正確なLTVの計算方法(利益ベース)
正確なライフタイムバリューを計算する際には、売上ベースのLTVから既存顧客の維持や新規顧客の獲得に要した費用を差し引く必要があります。
つまりライフタイムバリューは、次の計算方法で算出します。
- LTV=(平均購買単価×購買頻度×購買継続期間) − (新規顧客の獲得費用+既存顧客の維持費用)
先ほどの例で新規顧客の獲得費用に10万円、既存顧客の獲得費用に5万円かかっているとすると、AさんのLTVは下記の通り算出されます。
- LTV=(30,000×5×7) − (100,000+50,000)=900,000円
つまり利益ベースでのLTVは、90万円となる訳です。
ライフタイムバリューを極限まで高めるマーケティングの方法
顧客一人一人のライフタイムバリューを高めると、企業全体として長期的に得られる利益が大きく増加します。
事業を拡大し成功させるには、ライフタイムバリューを極限まで高めるのが大事だと断言できます。
この項では、ライフタイムバリューを極限まで高めるマーケティングの方法を厳選してご紹介します。
結論ライフタイムバリューを高めるには、LTVの式を構成する「平均顧客単価」「購買頻度」「継続購買期間」の数字を大きくするか、もしくは「新規顧客の獲得費用」や「既存顧客の維持費用」を下げるマーケティング施策が有効です。
これ以降、それぞれ具体的な方法をご紹介します。
平均顧客単価を高める方法
平均顧客単価を高めるには、商品自体の価格を上げるか、購入点数を増やすのが有効です。
商品の値上げを行う
商品の値上げを行うと、理論上顧客の平均顧客単価が上昇します。
ただし単純に価格を上げるだけでは、かえって購入してもらえなくなり逆効果です。
商品の値上げを行うのであれば、アフターサービスを充実させるなど、商品やサービスに付加価値をつけるのが大事です。
もしくはより値段の高い商品を販売するのも、結果的に平均顧客単価の上昇に繋がります。
アップセル
アップセルとは、ある商品を過去に購入した(もしくは購入を検討している)顧客に対して、同種類でより高価な商品をオススメして購入につなげるマーケティング施策です。
ただし自社が売りたい製品を押し売りすると、かえって顧客満足度が低下し、ライフタイムバリューの低下に繋がります。
アップセルを実施する際には、顧客の過去データを参照し、その顧客のニーズに合致する商品やサービスをオススメするのが大事です。
クロスセル
クロスセルとは、ある商品を過去に購入した(もしくは購入を検討している)顧客に対して、その商品と関連する商品をオススメして購入につなげるマーケティング施策です。
アップセルと同様に、顧客ニーズを無視した押し売りを行うと、逆にライフタイムバリューが低下するので注意が必要です。
アップセルとクロスセルについては下記記事で詳しく説明しているので、よければ参考にしてみてください!
過去記事でお伝えしているように、少ない費用で売上高を増やす上では、新規顧客よりも既存顧客にフォーカスするのが得策です。今回の記事では、既存顧客にフォーカスしたマーケティング施策として、「アップセル」と「クロスセル」の意味やメリットなどを[…]
購買頻度を増やす方法
平均購買単価を上げなくても、購買頻度を増やしてもらえれば、ライフタイムバリューの向上につながります。
リマインドメールやチラシの活用
定期的に買う必要がある商品を販売しているのであれば、リマインドメールやチラシの活用が有効です。
購入が必要となるタイミングで購買を喚起するリマインドメールやチラシを顧客に送ることで、自社の商品を購買してもらえる頻度を増やしてもらえます。
キャペーンやセール・イベントの実施
キャンペーンやセール、イベントなどの実施も、購買頻度の増加に役立ちます。
例えばスーパーでは、定期的に特売日などを設けて、顧客の購買頻度を増やすことに成功しています。
継続購買期間を伸ばす方法
平均購買単価や購買頻度が高くても、それが長く続かなければライフタイムバリューは高くなりません。
長く自社製品やサービスを利用してもらうためには、下記のような施策を講じるのがオススメです。
メルマガの配信
メルマガで自社で発売している商品やサービスを定期的に紹介すれば、自社を利用してもらえる期間を延ばす効果が期待できます。
商品・サービスだけでなく、商品の使い方などの顧客が知りたい情報をメルマガで配信すると、より顧客からの支持を得られてLTVが高まると思います。
新商品・サービスを定期的に開発・販売する
同じものばかり使っていると、飽きて他社の商品に乗り換える顧客も少なくありません。
顧客に飽きられてしまう事態を防ぐ目的で、新商品やサービスを定期的に販売するのも一つの手です。
ただし新商品やサービスを開発するとなると費用がかかるので、期待されるリターンを考慮した上で実行に移すのが無難です。
定期購入やポイントカードの導入
定期的に商品やサービスを利用するシステムを導入すれば、引き続き利用しようと顧客に思ってもらいやすくなります。
またポイントカードを導入すれば、ポイントを貯めるために長期的に自社の商品を購入しようというインセンティブが働きやすくなります。
新規顧客の獲得費用を下げる方法
新規顧客の獲得費用を下げると、手元に残る利益(LTV)が増加します。
既存顧客の維持に要する費用と比べて、新規顧客の獲得には多額の費用がかかります。
多額の費用がかかる割に中々新規顧客は獲得しにくいため、コストカットを行うのであれば、まずはここから削るのが無難だと思います。
既存顧客の維持費用を下げる方法
既存顧客の維持費用を下げると、理論上はライフタイムバリューは高くなります。
ただし既存顧客の維持に要する費用を減らすことで、既存顧客の購買頻度が少なくなったり、継続購買期間が短くなるリスクが考えられます。
仮にそうなってしまうと、結果的にライフタイムバリューは変わらない、もしくは下がる可能性があります。
無駄な費用でなければ、あまり既存顧客の維持費用をカットするのはオススメできません。
ライフタイムバリュー(LTV)に関するまとめ
今回の記事では、ライフタイムバリュー(LTV)の意味や計算方法、ライフタイムバリューを高める方法をご紹介しました。
ビジネスで長期的に利益を得続ける上では、ライフタイムバリューの向上は不可欠です。
今回お伝えした情報を基に、ライフタイムバリューの向上に成功してもらえれば嬉しいです!