企業が行うビジネスは、製造や営業などの利益を生み出すライン部門と、人事や総務といった事業のサポートを行うスタッフ部門によって支えられています。
そこで今回は、企業におけるラインとスタッフの違いや、ラインアンドスタッフ組織について詳しく解説します。
ラインとスタッフの違い
そもそも、ラインとスタッフにはどのような違いがあるのでしょうか?
ラインとは
ラインとは、企業が掲げる目的達成を直接担う業務や部門を意味します。
たとえば製造や営業、購買、販売などの部門がラインに該当します。
直接手足を動かして収益を生み出すのがライン部門の特徴です。
スタッフとは
一方でスタッフは、企業の目的達成を間接的にサポートする業務や部門です。
たとえば人事や経営企画、総務、経理などの部門がスタッフに該当します。
ライン部門の業務をサポートするのがスタッフ部門の特徴です。
ラインの役割は実務、スタッフの役割はサポート
基本的にビジネスは、ライン部門のみ存在すれば成立します。
飲料水を例にすると、原材料の仕入れ(購買)、仕入れた原材料をもとに商品を製造(製造)、製造した商品を販売(営業・販売)の業務があれば収益をあげることは可能です。
しかし実際にビジネスを進める上では、利益にならない業務も必要となります。
たとえば人材を各部門に効率的に割り振ったり、日々の取引を帳簿に記録するなどの業務も必要となります。
こうしたライン部門の業務に付随して発生する仕事を担うのがスタッフです。
ライン部門が効率的に業務を行う上で、スタッフ部門は会社にとって不可欠なのです。
ラインアンドスタッフ組織
ラインとスタッフは、どちらも会社にとって必要な業務であり欠かすことができません。
そんなラインとスタッフを共存させたのが「ラインアンドスタッフ組織」です。
ラインアンドスタッフ組織では、製造や営業などのライン部門を人事や経営企画などのスタッフ部門がサポートする形でビジネスが行われます。
日本に存在する多くの企業では、ラインアンドスタッフ組織の形態をとっています。
ラインアンドスタッフ組織のメリット
最大のメリットは、経営陣の負担を大きく軽減できる点です。
設立したばかりの小さい会社では、ライン部門のみ設置し、スタッフに該当する業務(経営企画や人事)は経営者自らが行っているケースが多いです。
しかし事業がある程度大きくなると、経営者の負担が大きくなってきます。
たとえば人事に関しては、膨大な数の従業員を評価したり面接を行う必要が出てきます。
そこでスタッフ部門を設置してラインアンドスタッフ組織に変えれば、人事や経営企画などの業務を各部門に任せることができます。
結果的に経営陣の仕事が減り、浮いた労力をクリエイティブな仕事に費やせるようになります。
ラインとスタッフの対立に注意
ラインアンドスタッフ組織の仕組みを敷く上で、注意したいのがライン部門とスタッフ部門の対立です。
本来スタッフ部門は、ライン部門のサポートを行う役割であり、直接指示や命令を行う権限は持っていません。
しかし実務の現場では、上から目線で淡々と指示を出すスタッフ部門も少なくありません。
特に厄介なのが、スタッフ部門は理論やデータのみを基に指示を出しがちである点です。
ライン部門は日々の業務に直接携わり、日々理想と現実のギャップを痛感しながら働いています。
そのため、スタッフ部門が現場を知らずに無理難題を押し付けてくることに不満を感じ、対立に発展するケースがあるのです。
このような事態を回避するには、ライン部門とスタッフ部門が密に連携を取り、相互理解を深める必要があります。
ラインとスタッフに関するまとめ
ラインとスタッフは、どちらも企業にとって欠かせない存在です。
ラインとスタッフがお互いに連携すれば、経営陣の負担を軽減しつつ、互いの強みを存分に発揮してビジネスの生産性を高めることができます。
しかしお互いの役割に違いがあるため、時にはラインとスタッフの間で対立が生じる場合もあります。
組織を円滑に回すには、ラインとスタッフ部門がお互いの理解を深め、お互いが強みを最大限発揮できるような仕組みを作るのが重要です。