中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

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M&Aのデメリット〜買収・売却の際に知っておきたい落とし穴〜

M&Aのデメリット

事業承継問題の解決や経営のスピーディー化などを理由に、M&A(合併と買収)は非常に魅力的でメリットの大きな経営施策です。

とはいえM&Aには、メリットのみならずデメリットも存在します。

デメリットをあらかじめ認識しないと、後々大きく後悔する事態に陥る可能性があります。

今回の記事では、M&Aのデメリットを極力分かりやすくお伝えしようと思います。

今後M&Aを行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください!

なおM&Aのメリットについては、以前の記事でご紹介していますのでこちらもご参照ください!

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M&Aが売り手にもたらすデメリット

まず初めに、売り手側におけるM&Aのデメリットを4つお伝えします。

※今回お伝えするデメリットが100%発生するとは限らない点だけご留意ください(買い手側のデメリットも同様)。

デメリット①:望み通りのM&Aとならない・売却相手が現れない

必ずしも望み通りのM&Aとなるとは限らないのが、一つ目のデメリットです。

買い手にとって魅力的な会社であれば、希望以上の条件で事業や会社を譲渡できるケースはあります。

しかし収益性が低いといったマイナス要素が多いと、その分だけ売却価格等の条件面で不利となる可能性は高くなります。

最悪の場合は買い手すら見つからないケースもあるため、あまりM&Aに期待しすぎるのは禁物です。 

デメリット②:売却後に社員の意欲が下がる

基本的にM&Aを行うと、それに伴って社員との契約も譲渡先の企業に移転します。

慣れない環境で従来とは異なる仕事を行うようになるため、従業員はストレスがたまりやすくなります。

ストレスが溜まった結果、働く意欲が下がるケースも少なくありません。

また最悪の場合、M&A以前と比べて待遇(給料など)が悪化するリスクもあります。

そうなると従業員の労働意欲は急低下し、最悪離職せざるを得なくなります。

デメリット③:取引先や顧客から反感を買い、企業価値が下落する

M&Aにより事業の運営会社が変わると、取引先や顧客にとっては契約条件も変わる危険があります。

そのためM&Aが事前に取引先や顧客に周知されると、大きな反感を買うかもしれません。

反感を持った相手に契約を破棄されてしまうと、その分だけ企業(事業)の価値が下落する恐れがあります。

その結果売り手にとっては、満足できない条件でのM&Aとなったり、M&Aの話がなかった事となる場合もあります。

デメリット④:M&Aが直前で白紙になる

3つ目のデメリットと関連しますが、M&Aが直前で白紙になり交渉や準備に使った労力等が水の泡になるデメリットもあります。

中小企業がM&Aを実施する際には、基本的に「仲介会社」と呼ばれるM&Aの売り手と買い手を繋ぐ業者にM&Aの相手探しなどをサポートしてもらいます。 

仲介会社にM&Aのサポートを依頼すると多大なコストが発生するため、M&Aの交渉が失敗してしまうと、全てが無駄になってしまいます。

加えて費用だけでなく、交渉に費やした数ヶ月程度の時間も水の泡となる点も無視できません。

M&Aが買い手にもたらすデメリット

買い手側に生じ得るM&Aのデメリットは下記の4つです。

デメリット①:「見えないリスク」を受け継ぐ

買い手の会社がM&Aでもっとも注意すべきデメリットは、簿外債務や偶発債務などの「見えないリスク」を受け継ぐリスクがある点です。

簿外債務は貸借対照表に載っていない債務を意味し、従業員への給与未払いなどが該当します。

一方で偶発債務とは、環境汚染による訴訟リスクといった、後々債務になり得る要因を意味します。

上記のような見えないリスクは、買収側に後々大きな損失を与える恐れがあります。

ですので、M&Aの際には極力引き継がないのがベストです。

数千万円〜数億円もの損失を生じさせる場合もあるので、M&Aの際には相手企業の財務諸表や取引関係などを慎重に確認するのが大事だと思います。

デメリット②:M&Aの効果が得られない

二つ目のデメリットは、M&Aの効果が得られないリスクです。

M&Aを実施する際には、相手企業の将来的な収益性も加味した上で買収価格を決定するのが一般的です。

将来の予測が正しければ期待通りの収益を得られますが、中には想定に反して収益を得られなかったり相乗効果を発揮できないケースもあります。

そのような事態に陥ると、買収した当時につけた価格が高すぎたという事態になり、買い手側は損失を被ります。

M&Aの際には、あらかじめ相乗効果や収益性を慎重に分析し、実力に見合わない高値で買収しないように気をつける必要があります。

また想定する相乗効果を着実に得るためにも、M&A後しばらくは業務システムや従業員の統合(PMI)を計画的に行なっていく必要があります。

デメリット③:従業員同士でトラブルが生じる

先ほどもお伝えしましたが、M&A後に自社社員と譲渡先企業の社員との間でトラブルが生じるのはデメリットとなり得ます。

なぜならトラブルが生じて組織の一体感が薄れたり、従業員の労働意欲が減退することで、M&Aによる相乗効果を十分発揮できなくなるからです。

社員同士でのトラブルはM&Aの失敗要因に直結し得るので、十分な対処を施す必要があります。

具体的には、スムーズに自社の環境に馴染めるように交流会を設けたり、従業員の労働意欲を下げないような待遇を心がけるのが有効です。 

デメリット④:「のれん」の減損処理

受け継いだビジネスの業績が想定と比べてあまりにも悪いと、のれんの減損処理が必要となります。

のれんの減損処理を簡単に説明すると、当初の想定よりも収益性が低い場合に、買収時に上乗せしたのれん代をまとめて損失として処理する手続きです。

つまり買収価格があまりにも高すぎた場合には、あるタイミングで高すぎた分の金額をまとめて費用として計上する訳です。

M&Aが失敗し「のれんの減損」が必要となると、買い手企業には莫大な損失が及びます。

一昔前に話題となった東芝はM&Aで創出されたのれんの減損処理により、およそ7,200億円もの損失を計上しています。

M&Aで事業を引き継ぐ際には、減損処理のリスクを大きなデメリットとして認識しておくべきです。

M&Aのデメリットに関するまとめ

今回の記事では、売却する側と買収する側の観点から、M&Aのデメリットお伝えしました。

メリットばかりが取り上げられるM&Aですが、今回お伝えしたデメリットが発生する可能性もあります。

M&Aは会社の今後を左右する行為なので、デメリットも踏まえて慎重に実行するかどうかを決定するのが良いと思います。