経営戦略とは?具体例や策定プロセスを解説!

経営戦略とは、目標・ビジョンの達成や事業の成長に向けて、どのような戦い方で行動すべきかを明確にする指針です。 

近年は、少子高齢化や大不況、経済のグローバル化などの影響により、単純に商品やサービスが優れているだけでは、長期的な存続・成長は難しくなっています。 

そんな不確実性が高い環境においては、戦い方(経営戦略)を明確化した上で、少しでも失敗のリスクを軽減することが求められます。 

今回の記事では、そんな経営戦略とは何なのかを、マーケティングや戦術との違いを明確にしつつ解説します。 

また、経営戦略の具体例や策定するプロセス、成功に直結する経営戦略の立て方も解説しますので、ビジネスに携わる方はぜひ参考にしてください。 

「経営戦略」とは 

はじめに、「経営戦略」とは何なのかを確認しておきましょう。 

「経営」と「戦略」それぞれの意味 

経営戦略の意味を理解するには、「経営」と「戦略」それぞれが何を意味するかを知っておく必要があります。 

大辞林によると、経営とは下記の意味を表す用語です。 

方針を定め、組織を整えて、目的を達成するよう持続的に事を行うこと 

大辞林(コトバンク)

一方で戦略とは下記の意味を表します。 

長期的・全体的展望に立った闘争の準備・計画・運用の方法 

大辞林(コトバンク) 

つまり、経営戦略とは「競合他社との競争に打ち勝って目的を達成するために、長期的な視点を持って定めた方針」を意味します。 

ビジネスにおける目的とは、最終的には「事業を存続し、売り上げをあげること」です。 

そのためには、自社の経営資源を有効に活用しつつ、顧客のニーズに対応し、競合他社に打ち勝たなくてはいけません。 

以上より経営戦略とは、「外部環境(顧客や競合)を考慮して経営資源を有効活用し、事業の継続と成長を図るための指針」とも言い換えられるでしょう。 

参照:コトバンク 

経営戦略はなぜ重要なのか? 

経営戦略が重要である理由は、市場で生き残る難易度が高まったからです。 

一昔前までは、景気が安定して良かった上に、人口も増加傾向、海外企業の参入も少ない状況が続いていました。 

そのため、特に戦略がなくても良い商品やサービスを販売するだけで十分な売り上げを得られました。 

しかし近年は、景気の悪化や少子高齢化、海外企業の参入激化などの影響により、ただ単に良い商品・サービスを販売するだけでは通用しなくなりました。 

加えて、消費者のニーズが多様化している点や流行の移り変わりが激しくなっているため、同じ技術やノウハウが長期的に続くのは困難となっています。 

今後の厳しい経営環境を生き残るには、外部の環境(顧客のニーズや競合の動向など)を把握した上で、自身の強みを最大限発揮できる戦い方を実践するのが非常に重要です。 

経営戦略とは、厳しい経営環境下で自分たちの強みを最大限発揮し、存続・成長する上で不可欠な指針なのです。 

経営戦略と「戦術」や「マーケティング」との違い 

経営戦略と混同しがちな概念(用語)に、「戦術」や「マーケティング」があります。 

この章では、戦術やマーケティングとの違いを分かりやすくご説明します。 

戦略と戦術の違いとは 

経営戦略は、目標達成に向けた方向性や考え方を表します。 

一方で経営戦術とは、経営戦略を実現するために、具体的に行う施策の総称です。 

例えばラーメンを販売する場合、戦略は「他の会社と違う商品を販売すること(差別化)」、戦術は「他社との違いを出すためにすべきこと(高級食材を使うなど)」をそれぞれ意味します。 

経営戦略が抽象的・大局的な概念である一方で、経営戦術は具体的・部分的な施策である点に違いがあるわけです。 

経営戦略とマーケティングの違いとは 

経営戦略とマーケティングの違いは、対象とする範囲にあります。 

経営戦略は、商品・サービスのみならず、人材の雇用や役割分担、資金調達など、ビジネスに必要な要素すべてを考慮して策定・実践するものです。 

一方でマーケティングとは、「商品・サービスを多く販売するための活動」です。 

あくまで商品・サービスの販売に特化した活動であるため、人材の採用や資金調達などの分野は考慮しないのが一般的です。 

つまりマーケティングは、経営戦略の一部であると言えます。 

経営戦略に基づいて、利益を得るために実施するのがマーケティング活動です。 

経営戦略の種類 

経営戦略は、企業全体で遂行する「企業戦略」、事業単位で遂行する「事業戦略」、各機能(職務)別に遂行する「機能戦略」の3種類に大別できます。 

それぞれの経営戦略について、意味や具体例をご紹介します。 

企業戦略(成長戦略) 

企業戦略とは、経営上の目標達成に向けて、会社全体で遂行する戦略です。 

具体的に企業戦略では、下記にあげた項目を決めます。 

・事業ドメインの範囲(どの事業を運営するか)

・経営資源の配分(どの事業に、どの経営資源を、どのくらい配分するか)

・新規事業への参入、既存事業からの撤退

・経営理念・ビジョンの共有と徹底 

企業の成長に直結するため、「成長戦略」とも呼ばれます。 

事業戦略(競争戦略) 

事業戦略とは、事業ごとに策定する経営戦略です。 

例えばシステム開発事業とプログラミングスクール事業を営む会社ならば、それぞれの事業ごとに事業戦略を策定します。 

事業戦略では、主に下記の項目を決めます。 

・詳細な事業領域の決定(どのような顧客に、どのような商品を提供するか)

・各機能に対する経営資源の配分(どの機能にどのくらいの資源を配分するか)

・ビジネスプラン(どのような方法で収益を得るか) 

「競争戦略」と呼ばれることからも分かる通り、「いかに競争優位性を確立できるか」が重要となります。 

機能戦略 

機能戦略とは、事業部門内にある機能ごとに定める経営戦略です。 

「営業」や「購買」、「マーケティング」など、それぞれの機能がどのように行動するかを決定します。 

経営戦略の具体例 

著名な経営学者は、成功している企業が持つ共通点を基に、経営戦略を誰でも理解しやすいような理論にまとめてきました。 

こうした理論的な経営戦略を知っておくと、一から独力で経営戦略を策定する場合と比べて、より質の高いものを簡単に策定できます。 

今回は数ある中から代表的な経営戦略を3種類ご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 

多角化戦略 

多角化戦略とは、これまで対象としていなかった市場(顧客)に対して、新しい商品・サービスを販売する経営戦略です。 

簡単にいうと、まったく新しいビジネスを始める経営戦略です。前述した種類で言うと、「成長戦略」に該当します。 

多角化戦略は、既存市場で新しい商品を販売する戦略(新製品開発戦略)や、新規市場で既存製品を販売する戦略(新市場開拓戦略)と比べると、成功する可能性が低いです。 

しかし一方で、まったく新しいビジネスを始めるため、成功すれば業績を大幅に伸ばせる可能性がある経営戦略です。 

コストリーダーシップ戦略 

コストリーダーシップ戦略とは、他社よりも低いコストで商品・サービスを生産する経営戦略です。 

経営戦略の分類で言うと、競争戦略の範囲となります。 

低コストで生産し、他社よりも低い価格で販売することで、競合他社よりも顧客を獲得しやすくなります。 

もしくは、低コストで生産し他社と同じ価格で販売すれば、より多くの利益を手元に残せます。 

差別化戦略や集中戦略と並んで、競争優位性の確立に役立つ経営戦略です。 

ニッチャー戦略 

ニッチャー戦略とは、大手企業が参入していない小さな市場(ニッチ市場)で事業を行う企業にとって、最適な経営戦略です。 

具体例で言うと、自動車市場の「スズキ」や理容室市場の「QBカット」などがニッチャー戦略の代表例です。 

ニッチ市場で事業を行う会社には、その市場にて徹底的な差別化や低コスト化を図りつつ、その市場での圧倒的なNo.1を獲得する経営戦略が求められます。 

資本力で劣る大企業に対して、中小企業がもっとも勝ち筋を見い出せる経営戦略と言えるでしょう。 

経営戦略を策定する手順 

経営戦略を策定する手順に、厳密な正解はありません。 

この章では、スムーズに経営戦略を策定する手順を4つのステップに分けて解説します。 

ステップ1:経営環境(内部・外部)を分析する 

戦略的にビジネスを進めるには、まずは自社と外部の現状がどうなっているかを知る必要があります。 

よって、自社の経営資源が持つ強み・弱みを整理したり、外部の環境(各市場の成長性や消費者のニーズなど)を分析するのが最優先です。 

経営環境を分析し、自社および市場が抱えている課題や、自社が勝てる分野を明確にしましょう。 

ステップ2:企業戦略の策定(事業ドメインの決定) 

経営環境を分析したら、まずは全社的な経営戦略(企業戦略)を選定します。 

具体的には、事業を行う範囲(ドメイン)を決めましょう。 

結論から言うと、自社の強みを最大限発揮でき、かつ市場にあるチャンスを掴める分野で事業を行うのがベストです。 

理想論になってしまいますが、なるべく「勝ち筋」を見つけることが、その後のビジネスが成功するかどうか(致命的な失敗を回避できるか)を左右します。 

ステップ3:事業戦略の策定 

企業戦略を決めたら、それぞれの事業について経営戦略を策定します。 

前述した通り、「競合他社に勝つためにはどうすべきか」を念頭におくことが重要です。 

競合他社に勝つには、他社との差別化や商品の品質などに加えて、「顧客に価値を提供すること」が不可欠です。 

他社を出し抜いても、顧客が本当に求めるサービスや製品を提供できなければ、収益は得られないので注意しましょう。 

ステップ4:機能戦略の策定 

事業戦略を策定したら、最後に各機能(製造や営業、マーケなど)の戦略を策定します。 

機能「戦略」となっていますが、この段階では具体的な行動計画を立てるのが重要です。 

具体的には、目標の達成に向けて「いつまでに・誰が・何をすべきか」を細かく規定します。 

この計画に合わせて、あとはビジネスを進めるだけです。 

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経営戦略の策定に役立つフレームワーク

よほど慣れていない限り、経営戦略を一から策定するのは簡単ではありません。

経営戦略を策定するにあたっては、フレームワークを活用するのがベストです。

フレームワークとは、型にはめることで、経営戦略を策定する手間や労力を省けるものです。

この章では、代表的なフレームワークを3種類ご紹介します。

SWOT分析 

SWOT分析とは、「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」という4つの項目を使って、自社の内部環境と自社を取り巻く外部環境を整理できるフレームワークです。

自社の内部環境とそれを取り巻く外部環境をバランスよく考慮することで、合理的な経営戦略を策定できる点が最大のメリットです。

企業戦略や事業戦略の策定はもちろん、日々のマーケティング施策を考える際にも役立ちます。

PPM分析 

PPM分析とは、「市場の成長率」と「相対的なシェア」を基に、自社が運営する事業を「問題児」、「花形」、「金のなる木」、「負け犬」の4種類に分類するフレームワークです。

重視すべき事業や撤退すべき事業を明確化したり、長期的な視点で多角化を進めるのに役立ちます。

VRIO分析 

VRIO分析とは、「Value(価値)」、「Rarity(希少性)」、「Imitability(模倣困難性)」「Organization(組織)」の計4つの項目から、経営資源が持つ競争優位性の度合いを分析するフレームワークです。

保有する経営資源について、それぞれどのくらいの優位性があるかを客観的に分析できます。

そのため、強みを最大限に活かした経営戦略を策定する際には重宝します。

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経営戦略の策定で重視すべきポイント

経営戦略は誰でも作成できますが、実行して結果に直結するかは別の話です。

経営学の観点・実際にビジネスを行って得られた経験を基に、結果に結びつく経営戦略を策定する上で重視すべき2つのポイントをご紹介します。

長期的な視点を持つ 

前半で説明したとおり、経営戦略は「長期的な事業の存続・成長」を目的に策定するものです。

そのため経営戦略は、長期的な視点で策定する必要があります。

短期的な利益ばかり追い求めると、長期的な環境の変化に対応できなかったり、当初の目標を達成できない可能性が高まります。

短期的な変化に惑わされず、最終的なゴールを見据えて企業戦略や事業戦略、機能戦略を策定しましょう。

コアコンピタンスを最大限に活かす 

コアコンピタンスとは、「企業経営で持続的な競争優位性をもたらす源泉」や「競合と比較して圧倒的に優れている能力(強み)」です。

より詳しく言うと、下記3つの条件を満たす能力(強み)をコアコンピタンスと呼びます。

・顧客に利益(≒価値)をもたらす

・競合他社に真似されにくい

・あらゆる商品や市場に応用できる

特に重要なのは2番目の「競合他社に真似されにくい」という点です。

たとえ莫大な利益につながるスキルを持っていても、他社が簡単にそれを真似できる場合、すぐに大きな利益を得られなくなります。

長期的に利益を得るには、他社が真似しにくい能力(スキルや技術など)でなくてはいけません。

言い換えると、競合に真似されにくい能力を持っていれば、長期的に優位性を確立できる可能性が高まるわけです。

長期的な事業の存続・成長を実現したいならば、ご自身(または会社)が持っているコアコンピタンスを活かす方向性で経営戦略を策定しましょう。

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経営戦略のまとめ 

今回解説した内容をまとめると、下記の通りです。

  • 経営戦略とは、競合他社との競争に打ち勝って目的を達成するために、長期的な視点を持って定めた方針
  • 経営戦略は、難易度の高い経営環境での存続・成長を実現する上で重要
  • 経営戦略は「企業戦略」、「事業戦略」、「機能戦略」の3種類
  • 経営戦略の策定は「環境分析→企業戦略策定→事業戦略策定→機能戦略策定」の順番で行うのがオススメ
  • 経営戦略の策定では、長期的な視点を持ち「コアコンピタンス」を重視する

今後新しくビジネスを行う際には、今後の方向性を明確にするためにも、経営戦略を策定してみてはいかがでしょうか?

 

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