中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

中小企業診断士の資格や新規事業の経験を持つクラゲが、経営学やマーケティングをゆる〜く分かりやすく伝えるブログです。

マーケットインとプロダクトアウトの融合が革新的でヒットするサービス・商品を生み出す!

マーケットインとプロダクトアウト
「マーケットインって100%正しいとは言い切れないのでは?」

いろんな企業の事例やビジネス本を読むにつれて、自分の中でこんな疑問が生じてきました。

ビジネスに携わる方の多くは、「マーケットインの思考に立って商品やサービスを作るのが大事で、プロダクトアウトではダメ!」という意見を耳にしたり、もしくは自身がそう考えた経験があるかと思います。

自分自身も、経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」の勉強をした際に、テキストに「マーケットインの考え方が必要になる」と書いてあったので、この間まではマーケットインが絶対的に正しいと思っていました。

しかし最近は、「マーケットインとプロダクトアウトの融合が大事なのでは?」と思うようになりました。

そこで今回の記事では、マーケットインとプロダクトアウトの意味やメリットについてそれぞれ解説しつつ、自分の考え(マーケットインとプロダクトアウトの融合)について理由付けてお伝えしようと思います。

マーケットインとは

マーケットインとは、消費者の視点に立って、お客さんが欲しいと思うものを提供するという考え方です。 

要するに「顧客志向」に基づいた考え方であり、消費者が欲しいと思うもの(ニーズ)に沿って商品開発や販売を行います。

戦後の日本では、好景気などを理由に良いものを大量生産すれば十分儲かる状態でした。

しかしバブルが崩壊した1990年代からは、消費者のニーズ多様化などの要因も相まって、それでは通用しなくなりました。

そこで「お客さんが欲しいものを売る」というマーケットインの考え方が根付くようになり現在に至ります。

マーケットインでは顧客の欲しいものを販売するため、ニーズを的確に捉えられれば安定的に売り上げを得られるメリットがあります。

マーケットインの考え方に基づいて商品・サービスを展開する際には、マーケティングリサーチにより顧客のニーズを把握し、ターゲットマーケティングによってそのニーズに適した商品やサービスを展開するのが一般的です。

マーケティングリサーチについては以下の記事で詳しく解説しています。

business-kurage.hatenablog.com

ターゲットマーケティングについては以下の記事で詳しく解説しています。

business-kurage.hatenablog.com

マーケティングリサーチやターゲットマーケティングについて詳しく知りたい方は、参考にしてみてください!

プロダクトアウトとは

プロダクトアウトとは、会社側の視点に立って、自分たちが良いと思ったものを売るという考え方です。

自社の技術力や経営資源の量や種類などを考慮し、自社が売りたいものを顧客に提供していく考え方であり、「製品志向」や「販売志向」などとも呼ばれます。

あくまで自分たちが良いと思ったものを販売するため、必ずしも顧客のニーズに合うかは分かりません。

しかし一方で、顧客が自分でも気づかなかった潜在的なニーズを呼び起こす製品やサービスを提供できれば、大きなイノベーションを起こせる可能性もあります。 

マーケットインorプロダクトアウトのどちらかに偏るのがダメな理由

ビジネス書しかり実際の会社しかり、多くの場面でマーケットインに徹することの重要性が説かれていますが、マーケットインの考え方に偏るのは好ましくないと思っています。

マーケットインに徹するのがダメだと思う理由は、主に次の2つです。

まず一つ目は、「実は消費者自身が本当のニーズに気づいていないケースが多いから」という理由です。

お客さんは誰しも、「〜という機能があったほうが良い」とか「こんなサービスがあれば良い」という願望を持っていますが、実は必ずしもその要求に答えたからといって、お客さんが100%満足するとは限りません。

「こんなサービスや商品があれば良いと思っていたけど、実際に使ってみたらそんなに良くなかった」というケースは往々にしてあります。望んでいたものを使ってみては満足できなかったという経験をした方は実際いるかと思います。

二つ目は、「マーケットインに徹すると革新的なサービスや商品を生み出せない」という理由です。

マーケットインでは、今お客さんが欲しいとか満たしたいと思っているニーズに基づいて、商品やサービスを提供します。

しかしそれでは、既存製品・サービスの一部分を改良したものしか作れません。

ですが世の中では、定期的に既存製品とは抜本的に異なるイノベーティブな商品やサービス(iPhoneやAmazonなど)が大ヒットします。

既存顧客は既存商品の延長線にあるニーズしか持っていないため、革新的なサービスや商品を作ろうと思ったら、顧客の意見ばかりに耳を傾けてはいけないのです。

例えばスマホがなかった当時、誰しもがガラケーの延長線上の商品が欲しいとばかり思い、万能な機能がついたスマホが欲しいとは思ってもいなかったでしょう。

一方で当たり前ですが、プロダクトアウトの考え方に偏るのも良くないです。

自社の技術力を活かせるものを作って、それがどんなに高性能であっても、顧客が欲しいと思わなければ売れません。

企業を存続させるには商品やサービスが売れてナンボなので、自社中心の考え方は控えるのが賢明でしょう。

今の時代には「マーケットインとプロダクトアウトの融合」が必要!

マーケットインに偏ると必ずしも顧客に受け入れられるとは限らなかったり、革新的なサービス・商品を作り出せないデメリットがあります。

かといってプロダクトアウトに偏ると、独りよがりなサービス・商品となってしまい、ほとんど売れずに終わる危険があります。

そこで自分は、「マーケットインとプロダクトアウトの両方の視点を持ち合わせる」のが今の時代では必要だと思います。

どういう意味かというと、「顧客自身のニーズを満たす」といったマーケットインの視点を持ちつつ、「より顧客に満足してもらうには、こんなサービスや商品があった方が良いだろう。そのためには自社の技術力が活かせる」といったプロダクトアウトの視点も持つという意味です。

文面だけでは抽象的すぎるて分かりにくいと思うので、「カフェ」と「勉強・仕事」を例にして説明します。

スタバやタリーズなどのカフェに頻繁に行く方は分かるかと思いますが、カフェの中で仕事をしているフリーランス・サラリーマンの方や勉強している学生って意外と多いです(実際自分もカフェで良く作業します)。

ですがカフェで作業している方の全員が、その現状に100%満足しているとは限りません。

もしかしたら「もう少し静かな方が良い(でも適度に会話や音楽が聞こえて欲しい)」とか「もっとおしゃれな空間が良い」といった感じで、自分では気づいていない潜在的なニーズを持っているかもしれません。

マーケットインに偏ると「ただ勉強する人向けに既存の店舗と同じようなカフェを展開するだけ」になるでしょうし、プロダクトアウトに偏ると「独創的すぎて顧客に受け入れられないカフェを展開する」ようになる可能性があります。

一方でマーケットインとプロダクトアウトの視点を融合させれば、おしゃれで適度に会話や音楽が聞こえるような、仕事や勉強をする人専門のカフェ(コワーキングスペース的な)を展開するという考え方ができます。

 

例えが雑で分かりにくいかもしれませんが、要は顧客の潜在的なニーズを見極め、そのニーズを満たすために自社が良いと思うものを作るのが大切なのです。

表面的にお客さんが出しているニーズに一方的に従うのではなく、かといって自分たちの良いと思うものを一方的に押し付けるのではなく、相手(顧客)のニーズをベースに、より良いものを作り出すのが今の時代には必要だと思います。 

なお「マーケットインとプロダクトアウトの融合」 という考え方は、ハーバードビジネススクールの教授クリステンセン教授が提唱している「ジョブ理論」の本を読んで着想を得ました。

ジョブ理論では、顧客の行動を徹底的に観察し、顧客の持つ潜在的なニーズを見極めた上で解決策を提示するのを重視しています。

ジョブ理論について詳しく知りたい方は、下記の記事で分かりやすく説明しているので、もしよければご参照ください。

business-kurage.hatenablog.com

マーケットインとプロダクトアウトに関するまとめ

今回の記事では、マーケットインとプロダクトアウトについて、自分なりの考えをお伝えしました。

マーケットインとプロダクトアウトにはどちらにもメリットとデメリットがあるので、いずれかに偏りすぎるのは好ましくないです。

消費者のニーズが複雑化している今の時代においては、柔軟にマーケットインとプロダクトアウトを融合させるのが大事だと思います。