中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

中小企業診断士の資格や新規事業の経験を持つクラゲが、経営学やマーケティングをゆるく分かりやすく伝えます。

マーケティングマイオピアとは?顧客志向の軽視は自滅をもたらす

マーケティングマイオピア

今回の記事では、自分でビジネスを行う方やマーケティング担当者の方にぜひ知ってほしい「マーケティングマイオピア」という学説をご紹介します。

半世紀以上も前に提唱された学説ですが、現代の企業にも当てはまる学説であるため、知っておいて損はありません。

マーケティングマイオピアの学説を知ることで、製品思考(プロダクトアウト)の危険性を知りつつ、改めて顧客志向のマーケティングの重要性を確認できます。

マーケティング担当者の方や経営者の方は、ぜひ参考にしてくれると嬉しいです!

マーケティングマイオピアとは

マーケティングマイオピアとは、マーケティングの視界が狭くなっているありさまを意味しており、日本語では「近視眼的マーケティング」といいます。

具体的には、以下のような様相を意味します。

  • 事業ドメインを狭く設定しすぎている
  • 製品志向を重視しすぎて、顧客のニーズに気づかずにいる(もしくは軽視している)

マーケティングマイオピアという言葉は、1960年当時ハーバードビジネススクールの講師をしていたレビット氏が発表した論文の題名です。

レビット氏はこの論文にて、マーケティングの視界が狭くなっている企業は、成長の機会を見逃してしまい減衰の一途を辿ると述べました。

当時のアメリカで鉄道業界や映画業界が減衰した要因を鋭く主張したマーケティングマイオピアは、瞬く間に世界中に広まりました。

半世紀以上も前の学説であるものの、顧客志向を軽視したが故に減衰する企業は現代でも少なくありません。

その点で言うと、現代のマーケティング活動においても、マーケティングマイオピアの考え方は知っておくべき学説です。

マーケティングマイオピアの事例

レビット氏は、マーケティングマイオピアの事例として「映画業界」と「鉄道業界」が減衰した要因を主張しました。

この章では、レビットが述べた二つの事例をわかりやすく解説します。

映画産業の事例

レビット氏は、マーケティングマイオピアに陥った事例として「映画産業」を挙げました。

20世紀初頭までは、ハリウッドを中心とした映画産業はとても活況を呈していました。

しかし1950年頃から一般家庭にテレビが普及し始めたことにより、映画館の数はどんどん減少していき、アメリカの映画業界は一時期苦境に立たされました。

映画業界が苦境に立たされた要因について、レビット氏は映画業界が「映画」と言う事業ドメインに固執しすぎて、エンターテイメントを提供すると言う本来の目的を忘れていたからと主張しました。

鉄道産業の事例

二つ目にご紹介する事例は、鉄道産業におけるマーケティングマイオピアです。

20世紀当初までのアメリカでは、移動や輸送の手段として鉄道産業がとても盛んでした。

しかしそれ以降は急激に鉄道産業が減衰の一途を辿りました。

この点についてレビット氏は、鉄道産業がマーケティングマイオピアに陥っていたから減衰したと主張しています。

レビット氏によると当時鉄道業を営む企業は、自らの事業ドメインを「鉄道事業」と定義していました。

輸送を行う事業と定義しなかったために、トラックや航空機などの輸送手段に顧客を奪われてしまったと主張しました。

顧客からしたら当時の鉄道は輸送手段がメインだったので、他に代替できるものがあれば移り変わるのは当然です。

その点から考えると、レビット氏の主張は正しいと考えられます。

なぜマーケティングマイオピアに陥ってしまうのか 

結論から言うと、顧客の意見を重視しなくても売れてしまう(市場や自社の業績が好調)から、マーケティングマイオピアになってしまいます。

しばしばマーケティングマイオピアは、成長性が高かったり、革新的なアイデアや技術で成り立つ市場で発生しやすいと言われています。

と言うのも、市場の成長性が高かったり技術やアイデアが革新的だと、当初は顧客を意識しなくても十分な利益を得られてしまうためです。

どんどん商品やサービスが売れると、企業は「このまま優れたサービスや製品を販売していれば売れる」という幻想を抱いてしまい、既存製品の改良や技術力の向上などに注力し、顧客の意見を聞くなどのマーケティング活動をおろそかにしてしまいます。

ですが新しい製品やサービスも、だんだんと当たり前のものになります。

当たり前になってくると、顧客はその製品やサービスに対して不満や要望を抱くようになります。

マーケティングマイオピアに陥っている企業は、製品やサービスの質が良ければ、これまで通り売れると思っているので、消費者の要望や不満に気づくことができません(もしくは軽視する)。

その結果、顧客の不満やニーズを的確に解決する新規参入の企業が現れると、たちまち市場シェアを奪われてしまいます。

もしくは市場全体がマーケティングマイオピアに陥っていると、アメリカの映画業界や鉄道業界のように市場自体が減衰してしまいます。

つまり顧客よりも製品を重視してしまうことが、マーケティングマイオピアの要因です。

マーケティングマイオピアを回避して成功する方法

マーケティングマイオピアに陥らずに経営を成功させるには、顧客目線に立って事業を行うのを意識することに尽きます。

製品が売れて市場が成長するのは、技術力やアイデアが優れている以前に、商品やサービスをお客さんが購入してくれるからです。

どれほど優れた製品やサービスであっても、お客さんが購入してくれなければ利益も出ないし市場も成長しません。

長期的に事業を継続したいのであれば、常に顧客の目線に立って事業を行わなくてはいけません。

先ほど事例で挙げた映画産業も、事業の定義を「エンターテイメントを顧客に提供する」と考えることができれば、時代に合わせて変わる顧客に好まれるエンターテイメントを提供できたでしょう。

市場や業績が好調なときほど、マーケティングマイオピアに陥らないように注意し、顧客志向を徹底することがポイントです。

真の顧客志向を実現する一つの考え方として「ジョブ理論」というものがあります。

ジョブ理論を活用すれば、顧客自身も気づいていない本当のニーズを知った上で製品やサービスを開発できます。

マーケティングマイオピアの回避に役立つ理論なので、ぜひ以下の記事を参照してみてください!

www.bizkurage.com

マーケティングマイオピアのまとめ

今回の記事では、 市場や事業の減衰をもたらし得る「マーケティングマイオピア」の意味や事例などを解説しました。

市場の成長性が高かったり業績が右肩上がりな時は、どうしても自社の事業内容や技術力などを過信してしまいます。

しかし利益を得られるのは、お客さんが製品やサービスを利用してくれるからです。

この点を意識しないと、マーケティングマイオピアに陥ってしまい、たちまち市場(事業)は減衰してしまいます。

マーケティング担当者や経営者の方には、常にマーケティングマイオピアに陥らないように意識し続けることが求められます。