移動障壁とは?参入障壁との違いや具体例【徹底解説】

「移動障壁」は、経営戦略論の中でも特に重要な考え方の一つです。

なぜなら、移動障壁の高さによって、企業の収益性や事業内容を変更した際の成功率などが変わってくるためです。

今回の記事では、そんな「移動障壁」の意味や具体例などをわかりやすく解説します。

移動障壁とは?

移動障壁とは、一体どのようなものでしょうか?

移動障壁の意味

移動障壁とは、ある戦略グループから、別の戦略グループに移動するのを困難とする要因を意味します。

戦略グループとは、同一または類似する経営・マーケティング戦略を取り入れている企業の集合です。

たとえば「価格」を軸とした場合、「高価格戦略を採用する戦略グループ」、「中価格戦略を採用する戦略グループ」、「低価格戦略を採用する戦略グループ」の三つに分けることができます。

つまり移動障壁は、これまでとは異なる戦略によって事業を行う場合に、その企業が直面する困難さを意味するわけです。

移動障壁と参入障壁の違い

移動障壁とよく似た用語に「参入障壁」がありますが、意味はまったく異なるので注意が必要です。

参入障壁とは、ある業界に新規参入することを困難とする要因です。

つまり、同一分野内で別の戦略を採る困難さを意味する移動障壁とは違い、参入障壁は別の分野に参入する際の困難さを意味します。

参入障壁は、新規事業の成功を左右する要因であり、新しく事業を始める際には必ず考慮すべき事柄です。

そんな参入障壁について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

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参入障壁

移動障壁の具体例

移動障壁の意味はわかりましたが、具体的にはどのような要素が移動障壁となるのでしょうか?

この章では、移動障壁の具体例を3つご紹介します。

多額の初期投資が必要

異なる戦略グループに移動するために多額の初期投資が必要な場合、移動障壁はとても高いものとなります。

例えば飲食業界を例に取った場合、低価格のファミレスから高価格帯の高級レストランを始めるには、高級なテーブルなどの購入や一等地の物件を購入などで多額の初期投資が必要となります。

資金力に余裕がない限り、多額の初期費用を支払えずに、別の戦略グループへの移動を諦めざるを得ません。

高い技術力や専門性

高い技術力や専門性も、移動障壁の要因となり得ます。

先ほどの例でいうと、高価格帯のレストランを始めるには、料理の腕がより一層求められる上に、料理やマーケティング、内装などに対する専門性や知見がより一層必要となるでしょう。

規模の経済性や経験曲線効果が大きい

3つ目にご紹介する移動障壁は、規模の経済性や経験曲線効果です。

規模の経済性は「事業規模の拡大に伴い製品一個あたりの生産コストが逓減する現象」、経験曲線効果は「累積生産量の増加に伴い製品一個あたりの生産コストが逓減する現象」をそれぞれ意味します。

これらの効果が大きい戦略グループほど、既存企業や事業規模の大きい企業は低コストで製品を製造できる一方で、新規で移動する企業や事業規模の小さい企業は比較的製品の製造にコストがかかります。

つまりコスト面で最初から不利となるため、必然的に移動障壁が高いわけです。

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移動障壁を高めて収益性を高める方法

移動障壁が高い戦略グループにいるほど、その戦略グループに参入する企業は少なくなります。

参入企業が少なくなれば企業間の競争度合いも小さくなり、結果的に収益性も高くなります。

よって自社の収益性を高めるには、自社の戦略面のみならず、高い移動障壁を築き上げることも大事になります。

移動障壁を高める方法としては、下記3つの方法が考えられます。

ブランド力の向上

まず一つ目の方法は、ブランド力の向上です。

ある戦略グループに属する企業それぞれが強いブランド力を持っている場合、そのグループへの移動障壁は高くなります。

なぜかというと、すでに各企業が根強い固定客を抱えているために、新規で参入しても顧客の支持を集めることが難しいからです。

例えば、安価なカバンを売っている企業が、突然ヴィトンやエルメスなどが属する高級革製品の販売に着手しても、こうした強力なブランドから顧客を奪うのは困難でしょう。

各企業がブランド力の向上を図ることで、強力な移動障壁を構築できるわけです。

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流通経路や業務プロセス面(事業のやり方)での差別化

流通経路や業務プロセス面など、事業のやり方で差別化を図ることも、移動障壁の構築につながります。

例えばある戦略グループに参入する場合、現在とは商品の販路や原材料の仕入れルートが全く異なると、販路や仕入れルートの構築からやり始める必要があります。

戦略グループの移動に初期コストや労力がかかるため、この時点で移動を諦めざるを得なくなります。

少々話が小難しくなりましたが、要は「新しいことを行うとなると時間やお金、労力がかかるから、始めない方が得策だよね」ってなるわけです。

移動障壁を高めたいならば、他の戦略グループとの差別化を図るのも一つの選択肢です。

専門性や技術力の強化

最後にご紹介する移動障壁を高める方法は、専門性や技術力の強化です。

ある戦略グループ全体で専門性や技術力を強化すれば、そのグループ内で事業を行うためには高い専門性・技術力が必要となります。

その結果、そうした能力を持たない企業の参入を阻止することができます。

移動障壁のまとめ

移動障壁は、参入障壁と同じくらい企業の収益性を左右する要素です。

移動障壁が高い戦略グループに属しているほど、他社との競争が激化するリスクが小さく、得られる収益も多くなる傾向があります。

よって収益性を高めたい場合には、移動障壁を高めることも大事になります。

一方で他の戦略グループへの移行を図る場合には、移動障壁の高さを見極めなくてはいけません。

移動障壁の高い分野に移行すると、「コストや労力がかかる割に収益を得られない」という事態になりかねません。

事業の内容を変更する際には、移動のしやすさを視野に入れることが成功のカギとなるのです。

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