中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

中小企業診断士の資格や新規事業の経験を持つクラゲが、経営学やマーケティングをゆる〜く分かりやすく伝えるブログです。

新規事業立ち上げのプロセス・フレームワークを自らの経験も交えて解説

新規事業の立ち上げ

新しく何かの事業(商売)を始める行為を、一般的には「新規事業の立ち上げ」と言います。

新規事業の立ち上げは一見するとカッコ良く見えますが、立ち上がった新規事業の8〜9割は失敗してしまうと言われています。

今現在成功している起業家の方でも、実は過去に新規事業をいくつも失敗させた経験を持っていたりします。

自己紹介ページでもお伝えしていますが、自分も実は新規事業の立ち上げに携わった経験があります。

大きなトラブルに巻き込まれて自分は利益を得られませんでしたが、幸い立ち上げた新規事業自体は事業売却により一応は成功に終わりました。 

そこで今回の記事では、「自分が新規事業の立ち上げに携わった経験で気づいたこと」や「一般論・学問的な観点」等を基に、新規事業立ち上げのプロセスや新規事業立ち上げ時に役立つフレームワーク、新規事業立ち上げの際に注意したいポイントなどをご紹介します。

これから新規事業を立ち上げたいと考えている方は、参考にしてくれると嬉しいです!

新規事業立ち上げはプロセス(手順)が重要!

新規事業の立ち上げを成功させるには、何と言ってもしっかりとしたプロセス(手順)を経るのが大事です。

基本的には、新規事業の立ち上げは次のプロセスで進めるのが良いでしょう。

プロセス①:経営ビジョン・全社戦略の構築(再確認)

「新規事業を立ち上げたい!」と考えたら、まずは経営ビジョンや全社戦略を構築したり再確認するところから始めるのがオススメです。

事業を長期的に継続し成長するには、「従業員や経営陣が明確なビジョンや事業に対する誇り」を持っていて、「そのビジョンや誇りに対して顧客が理解を示す」のが大事になってきます。

具体的には、「何のために会社(事業)を行うのか?」というビジョンを明確にし、そのビジョンと一貫性のある経営戦略を構築する必要があります。

このビジョンや戦略がないと、新規事業が軌道に乗るまでに「何のためにこんなことやらなくてはいけないのか?」という不満が生じ、途中でギブアップしやすくなってしまいます。

一方でビジョン(誇り)や戦略を明確に持っていれば、立ち上げから軌道に乗るまでの長い道のりも、方向性を見失わずに頑張ることができるのです。

また会社を長期的に経営するとなると、複数の事業を行う必要性が出てきます。

その際に経営戦略や自社のビジョンがなければ、事業の間に一貫性がなく、何をやっている会社か分からなくなってしまいます。

何をやっているか分からない会社は、あまり顧客からの支持を得られなくなります。

例えば楽天株式会社は、「常識を覆すイノベーションを生み出し続ける」というビジョンを持っています。

このビジョンがあるからこそ、楽天はどの事業でも一貫して新しい価値を消費者に提供できているのです。 

現に革新的なサービスを数多く世に出している「アトラエ」の代表取締役である新居氏も、新規事業を立ち上げる際には「誇りを持ってその事業を運営したいと思うか」を最優先に考えていると仰っています。

※詳しくは下記のサイトに書いています(外部サイト)

forbesjapan.com

すでに大成功を収めている起業家を見習う意味でも、新規事業を立ち上げる際には、まず経営ビジョンや全社戦略を起点にして考えるのがオススメです。

プロセス②:事業ドメインの検討

全社戦略や経営ビジョンを考えたら、次は事業ドメイン(どんな種類の事業を行うのか)を検討します。

事業ドメインを考える際には、「何を提供するのか(物理的定義)」ではなく「顧客のどのようなニーズや不満に応えるのか(機能的定義)」で考えるのがオススメです。

たとえば「子供用のゲームを販売する新規事業を立ち上げる」とするのが物理的定義であり、「子供にワクワクするような楽しさを届けるような新規事業を立ち上げる」とするのが機能的定義です。

物理的定義は事業内容が明確であるものの、最初に定義した事業内容から発展させにくいデメリットがあります。

子供用のゲームを販売すると定義してしまうと、ゲームを販売する以外の発想が出てこなくなります。

しかし一方で機能的定義には、事業内容に将来性が出てくるメリットがあります。

先ほどの例では、ゲームから派生してイベントを開いたりアニメ化するなど、子供に楽しさを届ける方法がいくつも考えられます。

曖昧さが出るというデメリットはあるものの、機能的定義により事業ドメインを決定し、将来的な発展可能性を残すのがオススメです。

プロセス③:事業プランの策定

事業ドメインが決定したら、次は立ち上げる新規事業の具体的なビジネスプランを考えていきます。

具体的には、「どのような顧客にどのような商品をどうやって提供して利益を得るのか」を計画します。

事業プランを策定する際は、「事業の収益性」と「市場の成長性(成長率は高い方が基本良い)」を検討しつつ、自社の強みを活かせるプランを策定するのが大事です。

プロセス④:具体的な行動計画・目標の決定

立ち上げる新規事業のプランを決定したら、最後にそのプランを実現するために必要な具体的な行動計画や目標を立てます。

事業プランを細分化し、「誰がいつまでに何をどのくらい達成すべきか」を細かく決定するのが大事です。

ただし現実的に達成できない目標では意味がないので、現状から考えて達成可能な目標や計画を立てる必要があります。

新規事業立ち上げのプロセスは以上になります。なお上記のプロセスを実行する際には、一貫して全社的な観点から計画などを立てるのが重要です。

「どうやって利益を上げるのか」というマーケティング視点だけでなく、「人員や資金をどのように有効活用するのか」という経営視点も持っておくのが大切です。

www.bizkurage.com

新規事業立ち上げに役立つフレームワーク5選

新規事業の立ち上げは、いかに的確な経営戦略やマーケティング戦略を考えられるかによって成否が左右されます。

この項では、新規事業で重要な経営戦略やマーケティング戦略を考える上で役立つフレームワークを5つ簡単にご紹介します。 

フレームワーク①:SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強みと弱み、外部の機会と脅威という4つの観点から経営戦略を策定するフレームワークです。

このフレームワークは、自社の強みと外部のチャンスを活かした新規事業のプランを考えるのに役立ちます。 

www.bizkurage.com 

フレームワーク②:3C分析

3C分析とは、「顧客」「競合他社」「自社」という3つの観点から、業界自体の競争度合い(収益性)を分析するフレームワークです。

このフレームワークは、顧客や競合他社などを多面的に分析し、利益を得やすい新規事業を立ち上げるのに役立ちます。 

www.bizkurage.com

フレームワーク③:VRIO分析

VRIO分析とは、「価値」、「希少性」、「模倣困難性」、「組織」の4つの観点から、新規事業で用いる経営資源がどの程度の競争優位性を持つかを分析するフレームワークです。

このフレームワークを使って競争優位性の高い経営資源を見極めることで、持続的に利益を得られる新規事業を立ち上げやすくなります。 

www.bizkurage.com

フレームワーク④:ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、新規事業を立ち上げる際の自社のポジションを決める目的で用いるフレームワークです。

「縦軸と横軸からなる図表」と「価格やサービスの性能・商品のデザイン等の指標」を用いて、自社のポジションを決定します。

このフレームワークの活用により、新規事業を立ち上げる際に、他社との競争を回避できる効果を期待できます。

www.bizkurage.com

フレームワーク⑤:ジョブ理論

ジョブ理論とは、「顧客があるサービスや商品をなぜ購入するのか?」という観点から、顧客の抱える潜在的なニーズを見極めるフレームワークです。

顧客が商品を購入する前後の状況を詳細に分析する事で、お客さん自身が気づいていないニーズや不満を洗い出せる可能性があります。

顧客に受け入れられる商品・サービスのアイデアの着想を得られる点で、ジョブ理論は新規事業の立ち上げにとても有用なフレームワークです。 

www.bizkurage.com

新規事業立ち上げの課題・ポイント

最後に、新規事業の立ち上げに携わって気づいたポイントや課題を3つご紹介します。

市場選定やマネタイズプランの構築を見誤らないように

どれほどやる気があって多くの時間や労力を新規事業に費やしたところで、市場選定を間違えたりマネタイズプランがズレていると十分な利益を得られません。

新規事業の立ち上げは、十分事業を維持もしくは拡大できるだけの利益を得て初めて成功していると言えます。

よって新規事業を立ち上げる際には、市場(ターゲット顧客)選定とマネタイズプランを構築するプロセスは特に重視して取り組むのが大事です。 

軌道に乗るまでの資金繰り計画は入念に練ろう

ほとんどの新規事業では、立ち上げてから軌道に乗るまで(黒字化するまで)には長い時間を要します。

事業プランにもよりますが、早くて3ヶ月遅くて2〜3年してようやく黒字化するケースがほとんどです。

黒字化するまでの期間で資金が底をついてしまうと、どれほど優れたビジネスプランがあっても、新規事業は失敗に終わってしまいます。

そんな勿体無い事態を回避するためにも、新規事業を立ち上げる際には資金繰り計画をあらかじめ入念に練っておくのが大事です。

具体的には、新規事業を立ち上げる前に下記の項目を最低限決めておくのがベストです。

  • 安定的に黒字化するまではどのくらいの時間がかかるか
  • 軌道に乗るまでの間の資金はどうやって賄うか(融資や投資、自己資金のどれをどのくらい使うのか)
  • 新規事業が黒字化するまでの運転資金は他の仕事や事業で稼げるのか

全ての項目が重要ですが、スモールビジネスを行う方は特に3つ目の点は意識しておいて欲しいです。

新規事業を立ち上げて軌道に乗せるまでに、安定的に資金を得られる仕事や事業があると、資金繰りが悪化するリスクを低減できます。

新規事業に100%のリソースを注ぎ込むよりは、他の仕事を受注したりして最低限の生活資金や新規事業の運転資金を同時進行で稼ぐのがベストだと思います。

立ち上げメンバー間でのトラブルに要注意

友達や会社の同僚など、場合によっては誰かと一緒に新規事業を立ち上げるケースも少なくありません。

ですが複数人で新規事業を立ち上げる際には、メンバー間でのトラブルに十分注意した方が良いです。

特に注意すべきなのは、「利益(株式)の配分」です。

黒字化して利益が出た時や事業を売却して利益が出た際、あらかじめ何も決めておかないと貰えるはずの利益をもらえなくなる恐れがあります。

実際自分が新規事業を知り合いの方と共同で行った際には、あらかじめ何も決めていなかったが故に、事業売却した際に1円も貰えませんでした。

めちゃくちゃ働いて事業の成長に貢献したにもかかわらず、相応の利益をもらえないのは非常に悔しい事ですし、何としても避けなくてはいけません。

この記事を読んでいる方は自分みたいにならないためにも、誰かと新規事業を立ち上げる際には必ず契約書で利益や株式の配分などを事細かに定めておくのを強く勧めます。

www.bizkurage.com

新規事業立ち上げに関するまとめ

今回の記事では、新規事業立ち上げのプロセスやフレームワーク、課題などをお伝えしました。

新規事業の立ち上げは簡単ではないですし根気が必要ですが、成功すれば大きなリターンが返ってきます。

1%でも新規事業立ち上げの成功確率を上げるためにも、この記事でご紹介した内容を実践していただけると嬉しいです!