新しい商品やサービスを作っても、それを広く市場で受け入れてもらうのは困難です。
しかしオピニオンリーダーの存在を活用すれば、商品やサービスを市場で普及させやすくなります。
今回の記事では、そんなオピニオンリーダーの意味やインフルエンサーとの違い、マーケティングでの活用方法を分かりやすくお伝えします。
オピニオンリーダーとは?
まず最初に、オピニオンリーダーの意味や具体例を簡単に確認しておきましょう。
オピニオンリーダーの意味
オピニオンリーダーとは、新しい製品やサービスについて、人々の購買意思決定に影響を与える存在を意味します。
オピニオンリーダーの最たる特徴は、ある商品・サービス領域に豊富な知識を持っており、商品やサービスの最新知識に関して常にアンテナを張っている点です。
特定の分野について深い知見を持っている点で、オピニオンリーダーはまさに「マニア」や「オタク」と呼べる存在でしょう。
オピニオンリーダーの具体例
オピニオンリーダーと聞いて真っ先に思い浮かぶのがファッションモデルです。
ファッションモデルは、ファッションの分野に関して豊富な知識を持っている上に、常に業界内の最新情報にアンテナを張っています。
有名なファッションモデルがオススメしたり実際に着用している衣服は、あっという間におしゃれに興味を持つ人たちによって購入されるに至ります。
ファッションモデル以外にも、下記のようにオピニオンリーダーと呼べる存在は世の中に多数存在します。
- ビジネス:著名な経営者
- IT:エンジニアやプログラマー
- 音楽:ミュージシャンやアイドル
また最近は、インターネットの普及に伴い、Web上に寄せられる口コミや評判もオピニオンリーダーとしての機能を果たすようになっています。
オピニオンリーダーとインフルエンサーとの違い
オピニオンリーダーの類語に、近年マーケティング業界で注目されている「インフルエンサー」というものがあります。
では、オピニオンリーダーとインフルエンサーには一体どのような違いがあるのでしょうか?
この章では、オピニオンリーダーとインフルエンサーの違いをくわしく解説します。
インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、自身が所属するコミュニティ内において大きな影響力を持つ存在です。
例えばテレビの視聴者に大きな影響を与える芸能人や、SNSのフォロワーに大きな影響を与えるインスタグラマー、ブログの読者に影響を与えるブロガーなどがインフルエンサーに該当します。
オピニオンリーダーとインフルエンサーはどのように違うのか?
オピニオンリーダーとインフルエンサーの大きな違いは、影響力を持つ範囲です。
前述した通り、オピニオンリーダーは「ある特定のカテゴリー」について大きな影響を与える存在です。一方でインフルエンサーは、「自分のフォロワー(ファン)」に対して大きな影響を及ぼします。
インフルエンサーはあくまで個人の持つ人柄や魅力によって影響を与える存在であるため、オピニオンリーダーとは違い、特定のカテゴリーにこだわらず幅広く商品やサービスを紹介し、影響を与えます。
ただしインフルエンサーの影響力は「人気」によって左右されるため、影響力の安定性は低いと考えられます。
オピニオンリーダーの存在をマーケティングで最大限活用する方法
オピニオンリーダーの意味を知っただけでは、実務では何の役にも立ちません。
実務で役立てて新規顧客を増やしたり業績を伸ばすには、オピニオンリーダーの存在をどのように活用するかを知っておくことが大切です。
そこでこの章では、オピニオンリーダーの存在を最大限活用する方法を解説します。
イノベーター理論におけるオピニオンリーダー
オピニオンリーダーの存在をマーケティングで活用するには、イノベーター理論について知っておく必要があります。
イノベーター理論とは、新しい製品が市場に出てから普及するまでの過程を、消費者が購入するタイミングの観点から表した理論です。
イノベーター理論では、新製品を購入するタイミングに応じて、消費者を下記5つに分類しました(%は全体に占める割合です)。
- 革新者(イノベーター):2.5%
- 早期採用者(アーリーアダプター):13.5%
- 前期多数採用者(アーリーマジョリティ):34%
- 後期多数採用者(レイトマジョリティ):34%
- 採用遅滞者(ラガード):16%
オピニオンリーダーは、上記のうち「早期採用者(アーリーアダプター)」に存在すると言われています。
新商品・サービスの成功を阻む「キャズム」
上記の割合を見るとわかるように、新製品が市場で広く普及するには、アーリーマジョリティ以降の顧客に商品が受け入れられることが必要です。
しかしイノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる層と、アーリーマジョリティ以降の層とでは、商品やサービスに求める価値は大きく異なると言われています。
そのためビジネスの現場では、アーリーマジョリティに商品やサービスが受け入れられずに、事業が失敗するケースは多々生じています。
「アーリーマジョリティ」に商品やサービスが受け入れられにくいことは、「キャズム」と呼ばれています。
キャズムを超えるには、市場の大多数(アーリーマジョリティ以降の顧客)に受け入れられるように、商品やサービスを改良することが重要となります。
オピニオンリーダーに商品やサービスの魅力を広めてもらうのが効果的
前述した通り、キャズムを越えるには商品やサービスの改良が鍵となります。
しかし商品やサービスをアーリーマジョリティに受け入れられる形で改良しても、アーリーマジョリティ以降の顧客に知ってもらえなければ普及しません。
また、市場の大多数の層は保守的な考えを持つため、よくわからない商品やサービスの利用には懐疑的な考えを持っています。
そこで有効となるのが、オピニオンリーダーの活用です。
製品やサービスを熟知しているオピニオンリーダーに商品を宣伝してもらえれば、その他大勢の消費者に商品を広く認知してもらえる上に、安心して商品を利用してもらえます。
例えばよくわからないビジネス書でも、実績豊富な経営者が絶賛していれば安心して購入できるのが分かりやすい例でしょう。
具体的には、オピニオンリーダーに商品を使用した感想をSNSや自身のブログ等で宣伝してもらう方法などが考えられます。
つまり新しい商品やサービスを広く普及させるには、下記2つの施策が効果的と言えます。
- 市場の大多数(アーリーマジョリティ以降)のニーズに合う商品やサービスに改良する
- 改良した商品・サービスをオピニオンリーダーに広く普及してもらう
新規事業を新しく始めるに際して、是非とも知ってもらいたい理論の一つに「キャズム理論」があります。キャズム理論を学ぶと、新規事業を進めるうちに直面する「壁」をどのように乗り越えれば良いのかのヒントを得られます。今回はキャズム理論の概要[…]
オピニオンリーダーのまとめ
ある分野について専門的な知見や影響力を持つオピニオンリーダーは、商品やサービスを幅広く普及させる上でとても重宝する存在です。
特に専門的な知識を要するカテゴリーやBtoBの色合いが強い商品・サービスについては、インフルエンサーよりもオピニオンリーダーの活用が好ましいと考えられます。
何か新しいビジネスを立ち上げた際には、ぜひオピニオンリーダーを有効的に活用してみてください。