パスゴール理論とは?リーダーシップを使い分ける方法を解説

会社などの組織が目標を達成するには、計画の策定や戦略に加えて、リーダーシップの発揮も非常に重要です。

リーダーシップと聞くと、カリスマ性を発揮したり、積極的に部下を引っ張っていくことを想像するかもしれません。

ですが実は、リーダーが主体的に主張や行動することだけが、あらゆる場面で最適なリーダーシップとは限りません。

場合によっては、部下のサポートに徹することが最適なリーダーシップとなり得るケースもあります。

今回ご説明するパスゴール理論は、状況に応じて最適なリーダーシップのスタイルは変わってくるとする考え方です。

パスゴール理論を理解すれば、ご自身の会社や部下の状況に合わせて最適なリーダーシップを発揮できるでしょう。

パスゴール理論の概要

パスゴール理論とは、ロバート・ハウスと呼ばれる人が1970年代に提唱したリーダーシップの行動理論です。

パスゴール理論は、「目標の達成(ゴール)に必要な道筋(パス)を従業員に示すことが有能なリーダーシップである」という考え方です。

ただし職場環境や従業員の特徴によって、もっとも効果的なパスの示し方は変わってきます。

たとえば仕事内容が分かりにくく、かつ従業員の能力が低い状況では、仕事のやり方を具体的に示すことが最適なリーダーの役割となるでしょう。

ですが、単純作業で高い能力を必要としないビジネスでは、仕事のやり方を細かく伝えるよりも、楽しく働けるような環境を作ることに徹した方が良いでしょう。

このように、状況に応じて最適なリーダーシップのスタイルは変化します。

そこでパスゴール理論では、「職場環境」と「従業員の特徴」という2つの要因に対して、不足する部分を補うことがリーダーの役割と結論づけています。

要するに、状況に応じてリーダーシップのスタイルを使い分けるというわけです。

スタイルを使い分けることで、どのような場面でも従業員に対して目標達成に向けて最適なパス(道筋)を提供できるのです。

リーダーシップのスタイルを決める2つの要素

パスゴール理論を提唱したハウスは、リーダーシップのスタイルを決定する際に考慮する要素として「職場環境」と「部下の特徴」の2つを挙げました。

この章では、2つの要素をくわしく解説します。

職場環境

パスゴール理論では、職場環境として以下の項目を考慮すべきとしています。

・従業員間のチームワーク:連携して仕事に取り組めているか

・仕事の内容:業務内容が明確かどうか、作業は難しいかどうか

・指揮命令系統:指揮命令系統がはっきり構築されているか

部下の特徴

リーダーシップのスタイルを決める際に、把握すべき部下一人ひとりの特性は以下の3つです。

・認知している能力:部下が自覚している自身のスキルや技術、知識など

・経験:業務に関する経験の豊富さ

・ローカスオブコントロール(統制の所在):自分自身で行動すべきかを決定しているか

リーダーシップのスタイルは4種類。それぞれが最適な状況とは?

リーダーが使い分けるべきリーダーシップのスタイルは、「指示型」、「支援型」、「参加型」、「達成志向型」の4つに分類できます。

パスゴール理論では、上記2つの要素によって、4種類のうちどのリーダーシップが最適となるかは変化するとしています。

この章では、4種類あるリーダーシップの概要と最適な状況をご説明します。

指示型リーダーシップ

指示型リーダーシップとは、従業員に期待している役割や目標をはっきり示しつつ、タスクのやり方やプロセスを具体的に伝えるスタイルです。

一つひとつの行動を細かく指示し、リーダー自身の意見のみを突き通す点が特徴です。

どのようなケースで有効か?

指示型リーダーシップは、主に下記2つのケースで有効です。

・仕事内容があいまいであったり、チームワーク(人間関係や雰囲気)が悪い

・部下の経験値や能力および自立性が低い

具体的には、新人教育の場面で極めて有効です。

新人は能力や経験値が低いため、自主性や創意工夫を促すスタイルで接すると、何をすべきか良いかわからず業務が進まなくなるおそれがあります。

そのため、上司や経営陣が手取り足取りやるべきことを指示した方が、安心して業務を進めることができます。

また、従業員同士の仲が悪く、話し合いで意見がまとまらないような状況でも、上司が具体的な指示を与えることで、業務を滞りなく進めやすくなるでしょう。

支援型リーダーシップ

支援型リーダーシップとは、部下の意見や考え方を尊重し、快適に働ける職場環境を作り出すスタイルです。

具体的な指示はほとんど出さずに、基本的には従業員同士で自主的に仕事を進めてもらいます。

一方で経営陣や上司は、業務外の話題をすることで部下と積極的にコミュニケーションをとったり、福利厚生を充実することに注力します。

どのようなケースで有効か?

支援型リーダーシップが有効となるケースは下記の2つです。

・上司と部下との間にある指揮命令系統がはっきりしている

・仕事内容が明確である

具体的には、工場のラインやファミリーレストランの各店舗などが支援型リーダーシップが有効です。

こうした職場では、上司と部下の業務内容や権限が明確に分かれています。

また、仕事内容も比較的単純で明確であり、一度慣れれば問題なくこなせます。

そのため、指示型のように具体的な指示を細かく与えるアプローチは不要です。

一方で単純作業で言われたことだけをやるため、モチベーションや楽しさを維持することが難しいです。

楽しくやる気を持って働き続けてもらうために、福利厚生を充実したり、部下との楽しい会話を心がけるなどして、リーダーは良好な職場環境を作り上げる必要があるのです。

参加型リーダーシップ

参加型リーダーシップとは、経営上の意思決定に際して部下の参加を促すスタイルです。

意思決定のときに部下から意見を求めて、良い案があれば積極的に採用する点が大きな特徴です。

どのようなケースで有効か?

参加型リーダーシップは下記2つの条件を満たしている場合に有効です。

・部下の自主性が高く、創意工夫をこらして業務を行いたいという意欲を持っている

・有用なアイデアや意見を出せるほどの高い能力や経験値を持っている

具体的には、部長〜役員クラスの人材に最適なスタイルです。

管理職になれるだけの能力や経験値を持っているため、意見を聞けば役立つアイデアや意見を得られるでしょう。

また、社内ベンチャーや新規プロジェクトに志願してきた社員に対するマネジメントでも有用でしょう。

自らプロジェクトに志願するほどの自信や自主性を持っているため、参加型リーダーシップを発揮すればチーム全体のパフォーマンスが向上すると考えられます。

達成志向型リーダーシップ

達成志向型リーダーシップとは、難易度の高い目標を設定し、従業員に対して全力で努力するように要求するスタイルです。

部下の能力を信じて細かな指示を与えない点が特徴と言えます。

また、成功した場合の魅力的な未来を提示したり、叱咤激励を繰り返すことで、モチベーションの向上を図る点も特徴的です。

現在よりも大きく事業を成長させたい場合や、困難なプロジェクトを成し遂げたい場合には不可欠なリーダーシップでしょう。

どのようなケースで有効か?

達成志向型のリーダーシップは、以下2つの条件を満たした場合に有効です。

・仕事の内容が不明確かつ難しい

・従業員の能力や自主性が高い

このスタイルは、新規事業の立ち上げや海外進出といった難易度の高いプロジェクトで役立つ可能性が高いです。

業務内容は不明確であり、かつ成果を出すこと自体の難易度が高いです。

こうした状況では、高い能力や自主性を持った従業員に明るいビジョンを見せて、困難な状況を自分たちで打開してもらう必要があります。

ただし、能力や自主性が低いメンバーに対して達成志向型のリーダーシップは逆効果です。

指示を出さないことや困難な仕事に不満を感じ、かえってモチベーションが低下してしまうからです。

パスゴール理論のまとめ

パスゴール理論では、「職場環境」と「従業員の特徴」という2つの要素に応じて、4つあるリーダーシップのスタイルを使い分けるべきとしています。

4種類のスタイルとそれぞれが最適なケースをまとめると以下のとおりです。

スタイル概要最適なケース
指示型リーダーシップ業務の方法やプロセスを具体的に提示する・業務内容があいまい、チームワークが悪い
・部下の経験値や能力、自主性が低い
支援型リーダーシップ部下の考えを尊重し、快適な職場環境を整える・業務内容が明確
・上司と部下の間にある指揮命令系統や権限の差が明確
参加型リーダーシップ意思決定の際に部下の意見を取り入れる・部下の自主性が高い
・部下の能力や経験値が高い
達成志向型リーダーシップ困難な目標を設定し、最大限の努力を促す・仕事内容が不明確かつ難しい
・部下の能力や経験値が高い

リーダーシップのスタイルを使い分けるには、部下の特性や職場環境を正確に把握することが不可欠です。

日頃から部下や職場の状況を観察し、常にどのようなスタイルを取ることで部下のパフォーマンスを最大限まで引き上げることができるかを考えておきましょう。

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