中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

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ペネトレーションプライシングとは?【新製品の価格設定方法:その1】

ペネトレーションプライシング

新製品の価格設定は慎重に!!!さもないとその後の事業運営で失敗するかもしれません・・・

 

新しい製品を開発・発売する際、「いくらで商品を販売すべきか?」という悩みを抱えた経験を持つ方は少なくないと思います。

「新製品の価格なんて最初は適当でも良いでしょ」と思うかもしれませんが、実はむやみに価格を設定するのはリスクの高い行為です。

心理学や行動経済学の研究により、私たち消費者は、最初に購入した価格をベースにその後の購買意思決定を行うことが明らかとなっています。

※気になる方は「アンカリング効果」という用語を調べたり、行動経済学を読んでみてください。

例えば一度商品を安く販売してしまうと、後から値段を上げても中々買ってもらいにくくなります。

なので最初の価格設定に失敗すると、その後の事業運営にも支障をきたす可能性があります。

事業運営で成功するためには、製品の特性や市場の状況に応じて、慎重に新製品の価格を設定することが重要です。

 

新製品の価格設定では、主に「ペネトレーションプライシング」と「スキミングプライシング」という二種類の方法が用いられます。

それぞれメリットや適している新製品の条件は異なるため、状況に応じて適切な価格設定の方法を選択する必要があります。

 

そこで今回の記事と次回の記事では、新製品の価格設定で用いられる「ペネトレーションプライシング」と「スキミングプライシング」を詳しく解説します。

今回(その1)は、ペネトレーションプライシングのメリットや条件をご紹介します。

新製品の価格設定に悩んでいる方は必見です!

ペネトレーションプライシング(市場浸透価格政策)とは?

ペネトレーションプライシングとは、新製品の価格を圧倒的な低価格に設定し、価格面での魅力により顧客の購買意欲を掻き立てる価格設定の方法です。

短時間で新製品を市場に浸透させるのを目的としているため、市場浸透価格政策とも呼ばれます。

圧倒的な低価格とお伝えしたように、製造原価とほぼ同じくらい、もしくはそれ以上に低い価格で新製品を販売するのがペネトレーションプライシングの特徴です。

そのため新製品の導入初期は、市場シェアや認知度を獲得しやすくなる代わりに、利益は度外視となる場合が多いです。

ペネトレーションプライシングと真逆のスキミングプライシングについては、下記の記事をご参照ください。

www.bizkurage.com

ペネトレーションプライシングにより新製品の価格を決めるメリット

ペネトレーションプライシングで新製品の価格を設定すると、下記3つのメリットを期待できます。 

早い時期から市場シェアを確保できる

通常新しい製品は知名度もなくそこまで安くないので、市場に浸透する(多くの消費者に買ってもらえる)まで長い時間を要します。

一方で圧倒的な低価格を新製品に設定すれば、私たち消費者は基本的に安い商品に魅力を感じるため、新製品を導入してまもない時期から市場シェアを一定数獲得することができます。

革新的なサービス・製品の市場で早期に市場シェアを確保することで、その後の事業展開を有利に進められるのは大きなメリットです。

早期から製品ブランドの認知度を高めることができる

一つ目のメリットと重複しますが、早い時期から製品ブランドの認知度が向上する点も、ペネトレーションプライシングの大きなメリットです。

いち早く優れたブランドイメージを消費者に植え付ける事ができれば、他社が同種の商品を発売した際に乗り換えを防止する事ができます。

また私たち消費者は、今使っている商品と同種の商品を他の企業が発売しても、新しく使用方法を覚える面倒さなど(これをスイッチングコストと言います)から、わざわざ他のブランドに乗り換えないケースが多いです。

なのでブランド力の有無に関係なく、ペネトレーションプライシングによりブランドの認知度をいち早く高めるのは有効な施策と言えます。

※スイッチングコストについては下記の記事で詳しく解説しています。

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累積生産量が多くなるに伴い、さらなる低価格を設定できる

後ほどお伝えしますが、ペネトレーションプライシングは生産量の増加に伴い製造コストが低下する新製品に適用する価格設定の方法です。

つまり累積生産量が増加に伴い製造コストが低下するため、さらなる低価格を設定できるようになります。

他社が参入してきた頃にさらなる低価格を設定できれば、他社との競争に打ち勝つ事ができます。

ただし価格を設定する際には、価格競争に陥らないように注意が必要です。

他社の動向次第で価格競争に陥りそうであれば、価格を下げる戦略には慎重にならなくてはいけません。 

ペネトレーションプライシングを適用する新製品の条件

ペネトレーションプライシングは、全ての新製品に適している訳ではありません。

かの有名な経営学者フィリップ・コトラー氏は、ペネトレーションプライシングが成立する条件として、主に下記3つの条件を述べました。

市場の価格弾力性が高い

まず一つ目の条件は、市場の価格弾力性が高いことです。

市場の価格弾力性が高いというのは、価格を下げることで需要量が大きく増加する状態を意味します。

ペネトレーションプライシングは、低価格により他社に競争優位を築く戦略です。

そのため、価格を低くした際に大きく需要量が増えないと、通常価格で販売する他社と比べて優位に立てないので意味がないのです。

生産や流通に要する費用が販売量の増加に伴い低下する

ペネトレーションプライシングが適する二つ目の条件は、生産や流通にかかる費用が、販売量の増加に伴い減少する新製品であることです。

ペネトレーションプライシングは、導入当初は原価と同等かそれ以下の価格で販売する方法です。

なので、コストが下がらない限り大きく利益を得るのは難しい価格設定の方法であると言えます。

ペネトレーションプライシングで価格を設定するには、大量生産などによりコストが低下し、得られる利益の幅が大きくならなくてはいけません。

低価格を設定することで競合他社を打ち負かすことができる

繰り返しになりますが、ペネトレーションプライシングは「低価格」をウリに新製品の市場シェアや売り上げを伸ばす価格設定の方法です。

ですので、低価格を設定したのに競合他社に優位性を築けない状況には適していません。

具体的には、新製品ですでに差別化やブランド化が進んでいる状況の場合、低価格を設定しても競合他社を打ち負かすのは難しいと言えます。 

ペネトレーションプライシングのまとめ

今回の記事では、新製品の価格設定方法の1つ目として、ペネトレーションプライシングをご紹介しました。

新製品に低価格を設定することで、発売してから短時間で市場シェアを高められる可能性があります。

ただし価格弾力性が低い場合や生産コストが低下しない新製品の場合、ペネトレーションプライシングは適していないので注意が必要です。

次回の記事では、新製品の価格設定におけるもう一つの方法「スキミングプライシング」をご紹介します。

新製品の価格設定に悩む方は、そちらの記事もぜひご参照ください!

 

なお価格設定の方法には、他にも様々な方法があります。

さまざまな商品・サービスに適用できる価格設定の方法を知りたい方は、下記の記事も参照してみてください! 

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