価格設定の方法〜サービスや製品の価格はどうやって決めるべき?〜

製品やサービスを販売する際、経営者やマーケティング担当者の方の頭を悩ませるのが「価格設定の方法」かと思います。

製品やサービスの価格をどのように設定するかによって、売上高や販売数が大きく変動する可能性は十分に考えられます。
「たった100円高くしただけで顧客が一斉に離れていったら・・・」と思うと、とても怖いですよね。

マーケティング分野で扱うトピックの中でも、価格設定は特に重要な問題と言っても過言ではないかと思います。
そこで今回は、サービスや製品の価格設定の方法を、消費者の視点と中小企業診断士の視点それぞれから考えてみようと思います。

価格設定には主に3種類の方法がある!

サービスや製品の価格設定に関して、明確な正解は残念ながらこの世に存在しません。
つまり、経営者なりマーケターなりが、自分の好きな価格を設定すれば良いわけです。

とはいえ闇雲に価格設定をすると、全く見当違いな価格を設定してしまう恐れもあります。
そこで基本的には、下記3つの観点(方法)から価格設定を行うのが良いと言われています。

  • コスト志向
  • 需要志向
  • 競争志向

上記3つの観点で価格設定することで、ある程度理にかなった価格をサービスや商品に設定できます。
これ以降は、上記3つの観点から価格設定する方法を具体的にご紹介します!

コスト志向で価格を設定する方法

コスト志向で価格設定する方法とは?

まず最初に紹介するのは、コスト志向で価格設定する方法です。
簡単に言うと、商品やサービスの原価(作るのにかかった費用)に一定の利益を上乗せした金額を、製品やサービスの価格とする方法です。
「コストプラス法」とか「マークアップ法」などと呼ばれることも多いです。

たとえば原価の5割の利益率を設定したとしましょう。
商品の原価が1,000円であれば、利益額は1,000円×0.5=500円になります。
よって商品の価格は、1,000円+500円=1,500円となる訳です。

コスト志向の価格設定方法のメリット

コスト志向の方法における最大のメリットは、得たい利益と原価さえ分かっていれば、簡単に価格設定できる点です。
市場調査などの面倒なプロセスを経なくても、比較的短時間で価格設定できてしまいます。

また、その他に発生する経費(人件費など)を上回る利益率を設定すれば、確実に利益を得られるのもメリットの一つです
自社のサービスや製品に多くの需要がある場合には、確実かつより多くの利益を得られるため、とても効果的な方法と言えます。

コスト志向の価格設定方法のデメリット

一見するとメリットの多い価格設定方法ですが、コスト志向には「顧客の希望する価格とは乖離しやすい」という罠があります

極端な例ですが、自動販売機にて5,000円でジュースが売っていたとしたら、誰も買おうとは思わないでしょう。
「原価が高いから」とか「利益をたくさん得たいから」という安易な考えでサービスや製品の価格設定を行うと、誰も購入(利用)してくれなくなるリスクがあります。

需要志向で価格を設定する方法

需要志向で価格設定する方法とは?

次にご紹介するのは、 需要志向で価格を設定する方法です。
分かりやすく言うと、「お客さんはどの程度の価格であれば買ってくれるのか?」という観点から、サービスなどの価格を設定する方法です。

お客さんの目線で価格設定する方法を細かく分けると、「知覚価値法」と「差別価格法」の二種類あります。

知覚価値法

知覚価値法とは、お客さんが自社のサービスや商品に知覚している価値を基に、価格設定する方法です

たとえば民泊のサービスで起業する場合は、既存の民泊サービス数社の価格を基に、自社サービスの価格設定を行います。
すでに成立しているサービスの価格設定を基準にするので、顧客から受け入れられやすい値段になります。

もしくは、潜在的なお客さんからアンケートを取るなどして、価格を設定するのも一つの手です。

差別価格法

差別価格法とは、ターゲットである顧客セグメントごとに、同一商品・サービスに異なる価格を設定する方法です
この価格設定方法は、身近なサービスや製品に沢山使われています。差別価格法の最たる例としては、旅行の季節割が挙げられます。

旅行プランは全く同じなのにも関わらず、ゴールデンウィークやお盆シーズンになると、数万円〜数十万円単位で価格が変動します。
「せっかくの休みに旅行に行こうと思って調べたら、ありえないほど値段が高かった」という経験は、多くの方が経験していることではないでしょうか?

お客の側からすると腹立たしいと思うかもしれませんが、需要の大きさに合わせて価格設定を行うことで、企業側は戦略的に利益を得られるわけです。

競争志向で価格を設定する方法

競争志向で価格設定する方法とは?

最後にご紹介するのは、競争志向で価格設定する方法です。
簡単に言うと、ライバル他社や業界の価格水準などを基準に、自社サービスや商品の価格設定を行う方法です

たとえば、ライバル会社がジュースの販売価格を300円から250円に変更したとしましょう。
この時価格を250円以下に設定することで、市場シェアの低下や顧客の流出などを防ぐ効果を期待できます

競争志向で価格設定する方法はオススメできない

こうした競争志向の価格設定は、スーパーや家電量販店など、様々な場面で行われています。
他社よりも低い価格を設定することで、確かにお客さんの流出や、市場シェアの低下を阻止しやすくなります

しかし長期的に見ると、競争志向で価格設定することには、デメリットしかないと思っています。
先ほどの例で言うと、自社が240円に設定した場合、お客さんの流出などを阻止したい他社はさらに価格を下げてくるでしょう。
そうなるとこちら側も、相手に負けないためにさらに価格を下げざるを得ません。

このような価格を下げ合う競争を続けると、もはや十分な利益を得られないほどまでサービスや商品の価格が低下してしまいます。
一度そうなると、どれほど多くの顧客を抱えていても手元には全く利益が残らなくなるでしょう。

マーケティングの観点から言うと、価格競争は百害あって一利なしです
顧客はある商品を買った一番安い価格を覚えているため、価格を再度上げると以前のように買ってもらえなくなる可能性が高いです。

競争志向で価格設定を行う背景には、 技術力などの進歩により、商品やサービスの差別化が難しくなっている現状があります。
そのため、仕方なく価格競争を行なっている企業が多いのも事実です。

差別化が難しい分野で、価格競争をせずに利益を得るのは難しいでしょう。
ですが、ブランド化や新製品の開発などにより、利益を得られる体質を目指すことは、長期的に利益を得る上で不可欠なことだと思います。

価格設定方法のまとめ

今回の記事では、価格設定の方法として「コスト志向」「需要志向」「競争志向」の計三種類ご紹介しました。

それぞれメリットやデメリットがありますが、結局のところどの方法が一番良いのでしょうか?
最初にお伝えした通り、価格設定の方法に正解はありませんが、得られる利益がどんどん減るリスクが大きいことから、「競争志向」での価格設定はなるべくなら避けるべきでしょう。

競争志向以外であれば、周囲を取り巻く状況や各々の好みにより、「コスト志向」または「需要志向」のいずれかの観点で価格設定するのが良いのではないでしょうか?

たとえば革新的なサービスや他社が容易に真似できない商品であれば、コスト志向の方法による価格設定が効果的です。
一方で参入がある程度容易であったり、成熟している市場であれば、サービスや商品の差別化を図りつつ、需要志向で価格設定するのが良いでしょう。

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