中小企業診断士クラゲの経営学・マーケティングラボ

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製品ライフサイクルの各段階で最適な戦略とは?

製品ライフサイクルの戦略

製品ライフサイクル(プロダクトライフサイクル)とは、新しい製品が市場に現れてから衰退するまでのプロセスを表す理論です。

自社の販売する商品・サービスが製品ライフサイクルのどの段階に位置しているかによって、取るべきマーケティング戦略は変わってきます。

1%でも多く・1年でも長く利益を得たいのであれば、製品ライフサイクルの各段階の特徴と、取るべきマーケティング戦略を理解する必要があります。

この記事では、製品ライフサイクルの段階に応じて、最適なマーケティング戦略をそれぞれご紹介します。 

製品ライフサイクルの導入期に最適な戦略

製品ライフサイクルの導入期とは?

製品ライフサイクルの導入期とは、新製品が開発されたばかりで、市場に姿を現してまもない段階を意味します。

導入期にある商品は、ごく一部の革新的なモノ好きのイノベーター層にのみ購入されるのが一般的であり、一般的にはほとんど商品の存在が認知されていません。

世の中の人にほとんど知られていないので、当然ながら導入期の商品は売上高が低いです。

一方で開発費用や営業に要する人件費などのコストは多く発生するため、利益もマイナスとなるケースがほとんどです。

導入期にとるべき戦略

製品ライフサイクルの導入期では、とにかく商品(市場)の認知度を高める戦略が求められます。

一部の革新的な消費者をターゲットとし、商品の機能や特徴を理解してもらえるような販促活動や広告宣伝を行うのが有効です。

技術的な側面や性能をアピールするのはもちろん、イノベーターに向けた販促活動を行い、実際に商品やサービスを試用してもらうのも戦略として有効です。

また商品価格は比較的高く設定し、なるべく早い段階で製品の開発費用を回収する戦略も大事となります。

それと同時に流通業者にもアプローチを行い、狭い範囲で流通チャネルを確立する必要もあります。

導入期は販促や開発にコストがかかる一方で、商品に対する知名度が低く十分な売り上げが得られません。

そのためマーケティングの難易度は、製品ライフサイクルの段階の中でも特に高いです。

基本的にハイリスクなので、圧倒的な強みや資金力を持っていない限り製品ライフサイクルの導入期にある商品には手をつけないのが無難です。

製品ライフサイクルの成長期に最適な戦略

製品ライフサイクルの成長期とは?

製品ライフサイクルの成長期とは、製品が消費者に認知され始めて市場が急成長を遂げる段階です。

消費者からの需要が急激に高まるに伴い市場規模も拡大し、売上高も大幅に増加します。

しかし一方で新規参入の企業も急激に増えるため、競争は激化する傾向が見られます。

市場拡大や競争激化の影響に伴い、製造や販売に多額の費用がかかってきます。

売上高の上昇とコストの上昇が同時に来るため、成長期の前半はあまり手元に利益が残らないケースが多いです。

ただし成長期の後半に差し掛かるにつれて、作業の熟練や生産量拡大などの影響でコストが減少し、一般的には手元に残る利益も増えていきます。 

成長期にとるべき戦略

製品ライフサイクルの成長期では、市場シェアを最大化するための戦略が最適です。

そのためには、成長期前期と成長期後期で戦略を切り替えることが求められます。なぜなら成長期前期と後期では、対象とする消費者の考え方が異なるためです。

成長期前期に対象とする顧客は、新しいモノや流行に乗るのが好きな層となります。

製品の技術などの専門的な部分に関心があるイノベーターとは違い、「新しくて画期的」とか「従来にはなかった画期的な商品である」というような動機により購入します。

大規模に商品のプロモーションや販促活動を行い、より多くの顧客を巻き込んで「商品を知ってもらう・使ってもらう」のがポイントとなります。

その為には販売チャネルを導入期よりもさらに広げる必要がある上に、値段もある程度購入しやすい価格に下げなくてはいけません。

 

成長期の後期になると、「製品の実用性や安心さを重視する顧客層」をターゲットとする必要があります。

そのような顧客に受け入れてもらう為には、新しさの訴求のみならず、実用的な商品であることや安心して商品を利用できる旨を訴求するのも大事です。

商品を利用して得られるメリットを明示して実用性を伝えたり、アフターサービスを充実して安心感を与える施策などが効果的です。

つまり成長期の前半は商品の新しさを訴求するのを重視し、後半は新しさに加えて実用性や安心さを知ってもらうようにする戦略が有効となります。

成長期後期の顧客(実用性や安心さを求める層)は市場の大多数を占めているため、この層へのアプローチが成功すれば事業を大きく拡大できます。

逆に戦略をうまく切り替えることができなければ、俗にいう「キャズム」に直面し、市場シェアの最大化は実現できなくなります。

 

また製品ライフサイクルの成長期には、競合他社との競争に対処するための戦略も大事となります。

より多くの市場シェアを確保するために、製品の種類を増やしたり、独自性の強い商品を作って差別化を図るなど、競合他社との競争に試行錯誤しながら対処しなくてはいけません。

製品ライフサイクルの成熟期に最適な戦略

製品ライフサイクルの成熟期とは?

製品ライフサイクルの成熟期とは、製品が十分市場に知れ渡り、市場の成長が鈍化する段階です。

市場の成長が鈍化するに伴い、成長期に急増していた売上高の伸びもストップします。

一方で、生産技術の確立や広告宣伝や販促活動が落ち着くに伴いコストも減少します。

ですので、成熟期は製品ライフサイクルの中で利益が最大となる段階であると言われています。

なお成熟期の商品を購入するのは、世の中の大多数を占める保守的な顧客層です。

なお成長期に十分な市場シェアを得られなかった企業が撤退するので、競合他社の数自体は少なくなるのが一般的な傾向です。

成熟期にとるべき戦略

製品ライフサイクルの成熟期にとるべき戦略は、「他社との価格競争の回避と競争優位性の確立」です。

製品ライフサイクルの成熟期は競合他社の数が少なくなる一方で、市場の成長もストップします。

「すでに決まっている数の椅子を取り合う状況」となるため、価格競争が発生する可能性が高くなります。

価格競争が発生すると、勝った方も負けた方も十分な利益を得られなくなります。

そのため「いかにして価格競争を避けつつ、他社との市場シェアの奪い合いに勝つのか」という観点から戦略を考える必要があります。

価格競争を避けつつ市場シェアの奪い合いに勝つには、ブランディングや商品のデザイン性を高めたりして、他社との差別化を図る戦略がセオリーです。

もしくはリーダー企業が参入しないニッチ市場をターゲットとして、そこで差別化やコストリーダーシップ戦略をとるのも一つの手です。 

製品ライフサイクルの衰退期に最適な戦略

製品ライフサイクルの衰退期とは?

製品ライフサイクルの衰退期とは、その製品に対する需要(市場規模)が縮小していく段階です。

市場規模が小さくなるため、通常は売上高と利益ともに減少していきます。

基本的には魅力のない市場ですが、十分な市場シェアを維持している企業であれば、しばらくは利益を得られる可能性もあります。 

衰退期にとるべき戦略

衰退期にある商品では、もはや十分な収益を得られないため、基本的には市場から撤退する戦略がセオリーです。

市場で事業をし続けることも可能ですが、その場合には販促や宣伝、開発に要するコストを極限まで下げて、少ない収益でも利益を得られるように工夫しなくてはいけません。

また商品の新しい用途を見出したり新しい付加価値を加えるなどして、製品ライフサイクルを伸ばす戦略も考えられます。

基本的には十分な収益を得るのは難しいものの、戦略次第では新しいチャンスを生み出せるのが衰退期の特徴です。

製品ライフサイクル別の戦略まとめ

製品ライフサイクルにおける各段階に合わせた戦略をとれば、何も考えずに商品やサービスを販売するケースと比べてより多くの利益を生み出せる可能性が高いです。

新しく事業を始めるにしろ既存事業を引き続き行うにしろ、販売する商品が製品ライフサイクルのどの段階に位置するかを意識すると、効果的な戦略を立てやすくなるでしょう。