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リーダーシップとマネジメントの違いを学問的な視点から解説

リーダーシップとマネジメント

リーダーシップとマネジメント、一見似ているようで両者の意味は大きく異なります。

リーダーシップとマネジメントの果たす役割や必要なスキルの違いを知れば、より効率的に事業を運営できるかもしれません。

この記事では、学問的な視点を交えつつリーダーシップとマネジメントの違いを考えてみます。

リーダーシップとマネジメントの定義

 まず初めに、リーダーシップとマネジメントの定義をそれぞれご説明します。

リーダーシップの意味

リーダーシップという用語をめぐっては、さまざまな経営学者が自身の観点から定義を述べています。

数年前に日本で話題となったピーター・ドラッカー氏は、リーダーシップを「組織の使命を考えて、それを明確に確立すること」と定義しています。

一方で組織論の大家であるバーナード氏は、リーダーシップを「信念を作り出すことによって、協働する個人を鼓舞する力」と定義しています。

学者によって定義は異なるものの、およそリーダーシップとは「組織構成員のモチベーションを高めたり将来のビジョンを考えることで組織を統率する行為・能力」であると言えます。

マネジメントの意味

リーダーシップと同様に、マネジメントについても著名な経営学者が定義づけしています。

その中でもっとも有名な定義は、ドラッカー氏の「組織に成果を上げさせるための道具や機能、機関」というものです。

もっと簡単にいうと、具体的な目標や目標達成に必要な計画を立ててメンバーを動かす行為がマネジメントとなります。

リーダーシップとマネジメントの果たす役割の違い

リーダーシップとマネジメントの最も大きな違いは、それぞれが担う役割にあります。

結論から言うと、リーダーシップが会社の基幹となる部分(ビジョンや戦略など)の構築を担う一方で、マネジメントは具体的な実務の実行を担います。

リーダーシップの担う役割

リーダーシップの担う役割には、主に下記の3つがあります。

長期的なビジョンの提示

リーダーシップが果たすもっとも重要な役割は、長期的なビジョンの提示です。5年先、10年先にどのような会社になっていたいのかを明確にし、それを従業員や株主に伝えるのです。

長期的なビジョンがなければ、従業員にとっては働く目的や目標がないため、モチベーションが湧き上がってきません。

また組織としての明確な目標がないため、一人一人の行動がバラバラになり、長期的な目標の達成が難しくなります。

一致団結して会社を成長させるには、長期的なビジョンを示すリーダーシップが欠かせないのです。

ビジョン達成に必要な体制の確立

リーダーシップが果たす二つ目の役割は、ビジョン達成に必要な体制の確立です。どれほど優れたビジョンを持っていても、それを実行するための人材や戦略、組織構成がなければ実行しようにも上手くいきません。

ビジョンの達成に必要な経営戦略を策定することや、従業員がスムーズに働けるための組織構成の構築などを行い、ビジョンの達成に必要な環境を整えるのもリーダーシップの重要な役割なのです。

組織メンバーのサポート

意外と見落とされがちなリーダーシップの役割に「組織メンバーのサポート」があります。リーダーシップと聞くと、経営者が何でもかんでも決めて、厳しく従業員の行動を監督することだと思う方もいるでしょう。

しかしリーダーシップをふるうリーダーには、権限を部下(マネジメント層)に移譲し、マネジメント層を補佐する役割が求められています。

社員がほとんどいないベンチャー企業ならばともかく、社員数が多い企業で全ての従業員の行動を管理するのはかえって非効率です。

むしろマネジメント層(部長など)に日頃の業務は任せて、自身はマネジメント層がより効率的に役割を果たせるようにサポートする方が、全社的なパフォーマンスは向上します。

※リーダーシップについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

www.bizkurage.com

マネジメントの担う役割

一方でマネジメントが担う役割は、下記の3つであると考えられます。

計画の立案

マネジメント層が担うべき一つ目の役割は、計画の立案です。

リーダーシップをふるう層(経営陣)が示すビジョンや戦略を達成するには、具体的な行動計画が必須となります。

例えば「5年後に売上高10億円」というビジョン(目標)があっても、それを具体的に達成するための計画がなければ、どのように達成するのか不明確です。

ビジョンや戦略を達成するために「いつまでに・何を・どのように行うか」を詳細かつ具体的に策定するのがマネジメントの重大な役割です。

経営資源の配分

立案した計画に沿って経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最適に配分するのも、マネジメント層の大切な役割です。

経営資源の配分を間違えると、目標達成に余分な費用がかかったり、計画通りに業務を遂行できなくなる可能性があります。

よってマネジメント層には、経営資源を最適に配分するために、業務や業界に関する深い知識や経験が求められます。

計画の実行・管理

マネジメント層の担う三つ目の役割は、計画の実行と管理です。

具体的には、部下のモチベーションや健康を管理したり、進捗状況をチャットツール等で管理し、計画通りに業務を進める役割を担います。

ただし計画通りに物事が進むとは限りません。取引先が倒産して原材料を調達できなかったり、急な欠員などのトラブルが発生する可能性は少なくありません。

マネジメント層には、こうした突発的なトラブルに対処する臨機応変さも求められます。

リーダーシップとマネジメントに必要な能力の違い

リーダーシップとマネジメントには、必要となる能力にも違いがあります。この章では、リーダーシップとマネジメントのそれぞれに必要な能力の違いをご説明します。 

リーダーシップに必要な能力

リーダーシップを発揮する上で必要な能力は下記2つの要素です。 

将来を予測する力

会社組織が成功するには、正しい経営ビジョンや戦略を従業員に示す必要があります。

そのためには、今後の経済動向や消費者のニーズを予測する力が必要です。

カリスマ性・人間性

リーダーに不可欠な能力といえば、「カリスマ性」や「人間性」です。会社が成長するには従業員の活躍が欠かせませんが、リーダーにカリスマ性が皆無であったり、人間性が悪かったりすると従業員は動いてくれません。

想像してもらいたいのですが、どれほど能力が優秀でもめちゃくちゃ性格が悪い人からは指図を受けたくないですよね笑

より多くの人に熱心に働いてもらうには、人を惹きつけるだけのカリスマ性や人間性が必要です。 

マネジメントに必要な能力

 一方でマネジメントを行う上で必要な能力は次の2つです。

業務や業界に関する知識

目標やビジョンを達成し得る計画を立てるには、業務や業界に関する知識はあった方が良いでしょう。

何をやっているか分からない分野で、質の良い計画を立てるのは難しいです。

ある程度業界や仕事の内容を知っているからこそ、質の良いマネジメントができるのです。

計画の管理能力

マネジメント層には計画の管理能力も不可欠です。

質の良い計画を策定することはもちろん、その計画を達成するように進捗状況を適切に管理する必要があります。

そのためには、予定通りに物事を進める真面目さや几帳面さ、トラブルに迅速かつ適切に対処する臨機応変さも求められるでしょう。

まとめ

役割や必要な能力に違いこそあるものの、 リーダーシップとマネジメントには優劣はありません。会社経営を長期的に継続するには、リーダーシップとマネジメントの双方が必要です。

今後ビジネスを行う際や新規プロジェクトのリーダーとなった際には、ぜひリーダーシップとマネジメントを意識して行動してみてください!

そうすれば、普段以上の成果を上げることができるかもしれません。