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リソースベースドビューとは?自社の強みを活かした経営戦略で優位性を確立しよう!

リソースベースドビュー

緻密な経営戦略や高品質の商品は、ビジネスを成功させる上で欠かせない要素です。

確かに重要ではあるものの、それだけで十分とは言い切れません。

長期的にビジネスを続けるには、「リソースベースドビュー」の考え方が求められます。

この記事では、リソースベースドビューの意味や具体例、批判的な意見などを分かりやすくお伝えします。 

リソースベースドビューとは?意味や具体例、メリット

リソースベースドビュー(Resource Based View)とは、企業の内部資源を重視する経営戦略の考え方であり、アメリカの経営学者バーニー氏が提唱しました。

リソースベースドビューでは、企業内部に蓄積された経営資源を競争優位性の源泉とします。

リソースベースドビューで重視する経営資源の具体例は下記になります。

  • ブランド
  • 特許
  • 専門的なノウハウや技術力
  • 組織文化
  • 製造プロセス

企業内部に蓄積される経営資源は、資金や設備といった経営資源と比べて、模倣することが難しいです。

リソースベースドビューに重視した経営を行うことで、価格競争を回避したり模倣による優位性の喪失を回避できるなどのメリットを得られます。

持続的な競争優位性を確立しやすい点は、変化の激しい現代において大きなメリットとなるでしょう。

リソースベースドビューの考え方は、コアコンピタンスやケイパビリティを重視する経営戦略に通じる部分があります。

コアコンピタンスは企業経営で最重要とも言える概念なので、興味がある方はぜひ下記の記事をご参照ください。

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リソースベースドビューとポジショニングビューとの違い

リソースベースドビューと似た用語に「ポジショニングビュー」と呼ばれるものがあります。語感こそ似ているものの、両者の目指す経営戦略は180度違います。

この章では、双方の違いとどちらの考え方が優れているのかを説明します。

リソースベースドビューとポジショニングビューの違いとは 

リソースベースドビューとポジショニングビューの違いは、「どこに着目して経営戦略を展開するか」にあります。

リソースベースドビューでは企業内部の経営資源を重視する一方で、ポジショニングビューでは企業を取り巻く外部要因を重視して経営戦略を策定・実践します。

ポジショニングビューでは、ファイブフォース(既存他社、新規参入、売り手、買い手、代替品)を分析し、その結果をもとに自社にとって優位な立ち位置を見いだします。

リソースベースドビューVSポジショニングビュー 〜どちらが優れているのか?〜

結論から言うと、どちらが優れているとは断定できず、状況に応じて二つの理論を使い分けることが大事です。

市場が安定している状況ではポジショニングビュー、市場の変化が激しい状況ではリソースベースドビューがそれぞれ適しているという評価もあります。

確かにそれは事実ですが、どちらかに傾倒して経営戦略を策定するのは好ましくありません。

自社の立ち位置のみ重視して内部の経営資源をおろそかにすれば、より経営資源を多く持つ企業に模倣されることで競争優位性を失うリスクがあります。

ニッチ市場を獲得した新興企業が、大手企業に飲み込まれるケースはよくありますよね。

逆に内部の経営資源ばかり重視して外部要因を軽視すると、外部環境の変化に対応できずに競争優位性を失うかもしれません。

優れた技術力を持っていた日本のエレクトロニクス産業が、市場ニーズの変化に対応できずに衰退したのが最たる例です。

経営戦略を策定・実践する際には、リソースベースドビューとポジショニングビュー双方の視点を持つことが重要です。

自社事業にとって優位なポジションを模索しつつ、内部資源の獲得・強化にも努めることで、長期的な競争優位性を得られるようになるのです。

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リソースベースドビューには批判的な意見や問題点も

リソースベースドビューは一見万能な経営理論ですが、批判的な意見(問題点)もあります。

一世を風靡したリソースベースドビューでしたが、2001年にテキサス大学のリチャード教授と香港理工大学のバトラー教授により批判的な意見が出されました。

バーニー教授は、企業の持つ内部経営資源を競争優位性の源泉と述べました。

しかし両者は、「企業の経営資源が優位性の源泉となるかは、資源単体では決定しない」と批判しました。

例えば、あるブランドが競争優位性の源泉となっている(価値を持つ)のは、そのブランド名を冠した商品が売れているからと考えられます。全く顧客に価値のない商品にそのブランド名をつけた場合、思うように売れない可能性があります。

そうなるとブランド自体に価値があるのではなく、顧客にとって価値のある商品やマーケティングの戦略が競争優位性の源泉であるとなり、リソースベースドビューの考え方は間違っているとなります。

つまり、「競争優位性は経営資源ではなく製品やサービス、経営・マーケティング戦略次第で決まる」というのがリソースベースドビューに対する批判的意見です。

バーニー氏はなんと、この批判的な意見を認めてしまいました。その上でバーニー氏は、「リソースベースドビューはあくまで経営資源に着目した理論であり、経営戦略や製品(サービス)は考慮していない」と反論しました。

 

では、リソースベースドビューは批判された通り全く役に立たない意見なのでしょうか?

個人的には、リソースベースドビューは完全な経営理論ではないものの、十分実務でも役に立つ考え方だと思います。

なぜなら100%ではないにしろ、ノウハウやブランド力といった経営資源は、少なからず競争優位性の源泉となっているからです。

例えばAppleの製品は、品質やデザインはさることながら、ジョブズのカリスマ性や圧倒的なブランド力といった要因もあいまって、世界的な人気を得ていると考えられますよね。

ヴィトンやシャネルの製品も、ブランド力の高さがあるからこそ高額でも売れるのです。

以上の理由から、経営戦略や製品の品質のみならず、その裏側にある経営資源も競争優位性の確立に不可欠であると考えられます。

※参考

business.nikkei.com

リソースベースドビューの実践に役立つVRIO分析とは

これまでの説明で、企業内部の経営資源が競争優位性の確立に一役買うことは分かりました。

では、「自社が持つ経営資源がどの程度競争優位性に寄与するか」はどうやって判断するのでしょうか?

ノウハウやブランド力と一口に言っても、大いに役立つものもあれば全く競争優位性の確立に寄与しないものもあります。

そんな経営資源の価値を測る際には、「VRIO分析」というフレームワークが役立ちます。

VRIO分析とは、「価値(Value)」・「希少性(Rarity)」・「模倣困難性(Imitability)」・「組織(Organization)」という4つの要素から、経営資源の持つ競争優位性を測るフレームワークです。

V→R→I→Oの順番で各要素があるかどうかを分析し、より多くの要素を持つ経営資源ほど価値がある(競争優位性の源泉となる)と判断します。

VRIO分析の詳しいやり方については、下記の記事で分かりやすく説明しています。

興味がある方はぜひ参考にしてもらえると幸いです!

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リソースベースドビューに基づいた経営を成功させるポイント

リソースベースドビューに基づいた経営戦略を成功させるには、下記4つのポイントを押さえておく必要があります。

ポジショニングビューの視点も持つ(外部の状況にも着目する)

前述しました通り、持続的な競争優位性を確立するには、内部資源のみならず外部の経営状況にも着目する必要があります。

外部の状況を認識しておかないと、例えば大企業と真っ向から勝負するなど、間違った経営戦略を遂行してしまう恐れがあります。

ノウハウや技術力の強化と同時に、競合他社や代替品などを意識した上で経営戦略を策定・実践するのが成功のポイントです。

顧客に価値を与えることを重視する

どれほど優れた経営資源を持っていても、顧客に価値をもたらさなければ意味がありません。

企業経営の最終目的とは、より多くの利益を生み出すことです。利益を得るには、顧客にとって明確な価値を提供しなくてはいけません。

リソースベースドビューを実践する際には、自社の持つ経営資源が「どの顧客にどのような価値を与えているか」を常に確認することが大切です。

競争優位性のある経営資源を確立する

リソースベースドビューが成功するには、「競争優位性のある」経営資源を確立する必要があります。

顧客に価値を与えられても、希少性がなかったり他社に簡単に模倣される経営資源では持続的な競争優位性は確立できません。

リソースベースドビューを実施する際は、「誰にも真似できない経営資源」を確立するのを心がけましょう。

そのためには、VRIO分析のフレームワークを使って、経営資源の持つ価値を測定することが欠かせません。

経営資源の持つ優位性は永続的ではない点を意識する

たとえ現時点で競争優位性を保つ経営資源であっても、それが永続的に続くとは限りません。

特に近年は、IT技術の進歩や経済のグローバル化などの影響で、以前よりも経営資源を模倣もしくは代替しやすくなっています。

常に外部の状況にアンテナを張り、自社の経営資源の持つ優位性が失われていないかを確認する必要があります。

場合によっては、新たな経営資源を確立することも必要となるでしょう。 

リソースベースドビューのまとめ

内部の経営資源に着目するリソースベースドビューは、持続的な競争優位性を確立する上でとても役立つ考え方です。

とはいえ、顧客に価値を届けるという意識や外部の環境にも目を向けることも大切です。

リソースベースドビューに傾倒するのではなく、あくまで「企業内部の経営資源も重要なんだな」ということを意識することが大切です。

今回お伝えしたリソースベースドビューの説明が、この記事を読んでいる方のビジネスに役立てば幸いです!