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リストラクチャリングとは?〜リストラは悪い行為なのか?〜

リストラクチャリング

皆さんは「リストラ」という用語を聞いて、どのようなイメージを抱くでしょうか?

「人を切り捨てる行いだ」とか「頑張ってきたビジネスを簡単にやめてしまう」など、ネガティブな印象を抱く人は多いと思います。

ネガティブな印象を抱かれやすいリストラクチャリングですが、本来は会社にとってプラスとなる行いです。

今回は、リストラクチャリングの意味やメリット・デメリットなどを事例を交えつつ開設します。

リストラクチャリングとは?リストラの意味

リストラクチャリング(restructuring)とは、 ビジネスの構造を再構築する行いを意味します。

リストラクチャリングは、主に業績が悪くなった際に、大規模な改革により現況を打開する目的で実施されます。

具体的には、採算がとれない部門について、縮小や撤退、分社化、売却などを図ることをリストラクチャリングと呼びます。

また、事業所の閉鎖や人員削減もリストラクチャリングの一種となります。

つまりリストラクチャリングとは、利益率の悪いビジネスを辞めたり規模を縮小する形で、採算性を改善しようとする活動です。

日本国内においては、省略して「リストラ」と呼ばれることが多く、人員削減を意味する場合が大半です。

しかし人員削減はリストラクチャリングの一部に過ぎず、本来の意味は「事業構造の再構築」なので注意しましょう。 

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リストラクチャリングとリエンジニアリングの違い

リストラクチャリングとリエンジニアリング、意味を混同しがちな二つの用語について違いをお伝えします。

リストラクチャリングとリエンジニアリングの違いとは

リストラクチャリングと意味を混同されがちな用語に、「リエンジニアリング」というものがあります。

語感は似ているものの、リストラクチャリングとリエンジニアリングの意味は全く違います。

リエンジニアリングとは、業務プロセスや組織構造、戦略を抜本的に改革する行いです。

例えば、ITシステム(業務管理システム)を導入し、製造時間や納品までの時間を短縮化することがリエンジニアリングとなります。

つまりリストラクチャリングとリエンジニアリングの違いは、「現況を改善する方法」にあります。

リストラクチャリングでは業績を悪くしている部分をとにかく取り除く形で現況の改善を目指す一方で、リエンジニアリングでは業績を悪化させる根本的な要因を変えます。

リストラクチャリングとリエンジニアリングはどちらが優れているのか?

結論から言うと、どちらかが絶対的に勝っている手法であるとは言い切れません。

リストラクチャリングとリエンジニアリングは、どちらも実施するのが好ましいと言えます。

現時点で大きく業績が悪くなっている場合は、とりあえずリストラクチャリングにより不採算なビジネスを縮小または廃業します。

リストラにより採算性は回復しますが、一時的な改善にしかならない可能性があります。

と言うのも、不採算ビジネスを生み出した要因(経営戦略や業務プロセスなど)が何も変わっていないためです。

そこでリエンジニアリングを実施し、業務プロセスや戦略の抜本的な改革に取り組みます。

リエンジニアリングを遂行すれば、不採算のビジネスを生み出しやすい環境を改善でき、結果的に長期的な収益性の向上につながります。

リストラクチャリングのメリットとデメリット

経営改善の一環として遂行されるリストラクチャリングですが、メリットのみならずデメリットもあります。

この章では、リストラクチャリングのメリットとデメリットを簡単にお伝えします。

リストラクチャリングのメリット

リストラクチャリングのメリットは、何と言っても会社全体での収益性を改善できる点です。

赤字に陥っているビジネスや余分な費用を生じさせている人員や事業所を整理すれば、縮小や廃止した部分に相当するだけ収益性が改善します。

日本においてリストラは、依然として悪い行いだと思われる風潮が残っています。

しかしリストラせずに会社内の全員が共倒れするよりは、リストラを遂行して残された優秀な人の雇用を守る方が全社的にはマシな選択肢だと言えます。

会社全体の利益や経営改善の効果を踏まえると、リストラは必ずしも悪い行いではないのです。

リストラクチャリングのデメリット

 一方でリストラクチャリングを遂行すると、次にあげる2つのデメリットが生じる恐れがあります。

一つ目のデメリットは、従業員のモチベーション低下です。

日本ではリストラ自体がマイナス印象を持たれているため、周囲の同僚や部下が人員整理の対象となることで、「次は自分が切られるのではないか」とか「この会社は平気で人を切る会社だ」と思う従業員が出てくる可能性があります。

社内全体で士気が低下してしまうと、かえってリストラクチャリングにより業績が悪くなる危険もあります。

二つ目のデメリットは、将来性のあるビジネスを見限ってしまうリスクです。

革新的なアイデアや技術を使った新規事業は、始めてから数年は赤字が続くケースが少なくありません。

しばらくは赤字であっても、一度顧客に価値を認められれば、その後圧倒的な利益を獲得できるようになります。

リストラクチャリングによりこのようなビジネスを切り捨ててしまうと、将来の芽を潰してしまうことになり勿体ないです。

リストラクチャリングを実施する際には、現時点での採算のみならず、将来的な可能性も考慮するのがベストです。

リストラクチャリングの事例〜パナソニックのV字回復〜

リストラクチャリングの成功事例は様々ありますが、今回はパナソニックさんを事例として説明します。

家電メーカーとして知られるパナソニックは、テレビに関連するビジネスでの失敗により、2年続けて7,000億円以上の大損失を計上したことがあります。

現況を打開するために、同社は大規模なリストラクチャリングを遂行しました。

具体的には、不採算なテレビに関連したビジネスから退いて、保有する工場の売却も遂行しました。

そして削減した経営資源を自動車や住宅関連のビジネスに投入することで、同社の業績は見事V字回復を果たしました。

同社の事例からわかるように、リストラクチャリングは何千億円もの巨額の損失からも立ち直れるほどに、強力な経営改善の手法なのです。

 参考:https://job-q.me/articles/4587#article_item_394500

リストラクチャリングのまとめ

今回の記事では、 リストラクチャリングの意味やリエンジニアリングとの違い、メリット・デメリット、事例について解説しました。

日本ではリストラに対して、ネガティブな印象を持っている人が依然として多いです。

しかしリストラクチャリングを実施すれば、全社的な収益性を改善でき、結果的に残された従業員の雇用を維持しやすくなります。

つまりリストラは、デメリットこそあるものの良い面もある経営戦略なのです。

現在経営状況が悪い傾向にある企業は、思い切ってリストラクチャリングを遂行してみるのも一つの手だと思います。