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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや問題点・課題を徹底解説!

サプライチェーンマネジメントとは

企業経営で成功(継続的に十分な利益を得る)するには、経営戦略やマーケティング面が完璧なだけでは不十分です。

どれほど優れた商品を開発し、適切なターゲットに販売できても、適切な経営管理ができなければ黒字を維持するのは難しい場合もあります。

その最たる例が「過剰(過小)在庫」や「リードタイムの長期化」です。

在庫過多で赤字となったり、リードタイムの長期化により市場の変化に対応できないと、業績が急降下する可能性があります。

そのような事態を回避する上で有効な経営管理手法に、「サプライチェーンマネジメント(supply chain management)というものがあります。

経営学を経営したり、物流や製造企業で働いている方であれば、一度は耳にした経験があるかもしれません。

今回は、そんなサプライチェーンマネジメント(SCM)の意味やメリット、課題などをわかりやすく解説しようと思います。

サプライチェーンマネジメントとは?SCMの概論

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、原材料の調達から最終消費者への販売までに至るまでのプロセス(サプライチェーン)を、部門・企業間の枠を超えて総合的にマネジメントする経営管理の手法です。

簡単に言うと、もっとも効率的かつ収益性が高まるように、複数部門や企業が一体となって、製造から販売までのプロセスを最適化を図る考え方です。

具体的には、POSシステムに蓄積された情報や営業担当による販売実績などの情報を、上流の製造業者(企業)や物流業者の間で共有します。

情報を製品に関わる全ての会社や部門間で共有し、全体での効率性や収益性が最適になるように生産・販売計画を立てるのがSCMのポイントです。

サプライチェーンマネジメントは、アメリカのコンサル会社が1980年代に初めて活用して以来、業界全体で業務プロセスを最適化する経営管理の手法として多くの企業に活用されています。

サプライチェーンマネジメント(SCM)のメリット

サプライチェーンマネジメントを導入すると、さまざまな面でメリットを体感できます。

今回はその中でも、企業にとって特に大きなSCMのメリットを4つご紹介します。

在庫量を最適な量に保てる

サプライチェーンマネジメントでは、商品の売れ行きや材料入荷計画などに基づいて、サプライチェーン上の各企業が製品を生産・在庫を保有します。

つまりお客さんの需要に応じて、必要な量だけを製造・保管することになるので、無駄な在庫を持たずに済むのです。

在庫量が最適化されることで、在庫の保管費用を削減できたり、逆に在庫不足による機会損失(得られるはずの収益を得られなくなる)を回避できるといったメリットを得られます。

需要予測の精度が上がる

サプライチェーンマネジメントでは、小売店での売れ行きを上流工程の製造会社(部門)がリアルタイムで把握できます。

そのため勘や感覚で予測する場合と比べて、今後どのくらい商品が購入されるかをより正確に予測できるようになります。

予測精度が上がることで、生産計画や販売計画を立てやすくなるのは大きなメリットです。

顧客に商品を届けるまでの時間(リードタイム)を削減できる

SCMを導入すると、各部門や企業が他の部門(製造や販売)の売れ行きや在庫状況などをリアルタイムで把握し、それに合わせて原材料の発注や商品の配送を行います。

そのため、下流(卸売業者から見た小売店など)からの要求が来るたびに上流工程(卸売業者から見たメーカーなど)に商品の発注を依頼する場合と比べて、より迅速かつスムーズに商品をお客さんに届けることができます。

リードタイムを短縮することで、市場の需要変動に迅速に対応できるようになる点は、経営戦略の観点から見ても大きなメリットです。

顧客満足度の向上につながる

在庫量の適正化やリードタイムの短縮は、顧客にとっても大きなメリットになります。

好きな商品をいつでも素早く入手できるようになるので、お客さんの満足度は高まります。

また、顧客のニーズをサプライチェーン全体で把握し、より顧客の好みにあった方法で商品を提供できるようにもなるでしょう。

お客さんの満足度が高まれば、長期的に自社の商品を買ってくれる(ライフタイムバリューが増加)ようになり、結果的に業績の向上にもつながり得ます。 

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サプライチェーンマネジメント(SCM)の問題点・課題とは

メリットの多いサプライチェーンマネジメントですが、導入にあたっては問題点(課題)もあります。

今回は、サプライチェーンマネジメントを導入している多くの企業が課題として認識している二つの問題点をご紹介します。

人手やコストが必要となる

SCMを実際に活用する際には、基本的にSCMの機能に特化したソフトを導入・運用することになります。

ですが、本格的なSCMソフトを導入するには、初期費用だけで数十万円もの費用がかかってしまいます。

また、SCMのソフトを運用するための人手も必要となります。

SCMを実施するには費用と労力が必要となるため、人手不足や資金不足に悩む中小企業にとっては中々導入できないのが現状です。

ただし近年は、比較的低コストで導入できるクラウド型SCMのサービスも普及しつつあるため、以前と比べると中小企業でもサプライチェーンマネジメントを導入しやすくなりました。

部門・企業間の連携が図れずに、SCMの効果を十分得られない

サプライチェーンマネジメントを成功させるには、部門・企業間で連携を図ることが必須となります。

しかし機能別組織の形態をとっている企業だったり、各企業が自社の利益や業務遂行を最優先にしていると、 円滑な連携を図るのは難しくなり、SCM導入の効果を十分得られなくなります。

サプライチェーンマネジメントの効果を最大限得るには、サプライチェーンに携わる部門や企業の間で密に連携を図るのが不可欠です。

サプライチェーンマネジメント(SCM)の事例

サプライチェーンマネジメントは、日本国内でも多くの企業で導入されています。

たとえばローソンは、SCMとCRMを融合したクラウドシステムを導入し、新規事業立ち上げに要する準備時間を大幅に短縮化できるようになりました。

また建設機械の大手「小松製作所」は、世界各地に点在している部品在庫を最適化する目的で、最先端のSCMツール(QlikView)を導入しました。

これにより同社は、在庫削減という目標を達成することができたそうです。

サプライチェーンマネジメントの導入事例は、他にもたくさんあります。

他の事例も見てみたい方は、下記の記事(外部サイト)で詳しく紹介されているのでもしよければご覧になってみてください。

www.sbbit.jp

サプライチェーンマネジメント(SCM)のまとめ

サプライチェーンマネジメントを導入すると、在庫量の最適化やリードタイムの短縮かなど、企業にさまざまなメリットをもたらします。

運用にはある程度のコストや労力を要しますが、 最近は中小企業でも導入しやすい環境が整ってきました。

より効率的な経営管理を実現する手段として、SCMを導入してみてはいかがでしょうか?