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ターゲティングとは?効果的なターゲティングの方法を徹底解説!

ターゲティング

マーケティングの業務に携わる方や経営者であれば、「ターゲティング」という用語に馴染みがあると思います。

新規事業を始めるに際して、ターゲティングは誰もが行うプロセスです。

誰もが行うプロセスであるものの、事業の成功を左右する重要なマーケティング活動でもあります。

今回の記事では、そんなターゲティングの意味や戦略、設定に役立つフレームワークなどをくわしく解説します。

起業家の方やマーケターの方は、ぜひ参考にしてください!

ターゲティングとは

ターゲティングとは、自社商品やサービスを販売する市場(顧客)を設定することを意味します。

ターゲティングは、新しく製品やサービスを販売する際に行うターゲットマーケティング(STP分析)の一環として行われます。

どの市場を選ぶかによって、同じ商品やサービスを販売しても得られる収益の額は変わってきます。

適切な市場を選べるかどうかで成功が左右されるため、ターゲティングはビジネスを行う上で非常に重要なプロセスです。

ターゲティングと「セグメンテーション」・「ポジショニング」の関連性

ターゲットマーケティングでは、ターゲティング以外にもセグメンテーションやポジショニングといったプロセスも経ます。

この章では、ターゲティングとセグメンテーション、ポジショニングの違いや関連性をご説明します。

セグメンテーションは市場を細分化するプロセス

セグメンテーションとは、ある市場を複数のグループに細分化するプロセスを意味します。

たとえば自動車を購入したい市場(顧客)は、年収や家族構成などによってグループ分けできます。

年収が少ない人は安くて燃費の良い車に強いニーズを持つ一方で、高年収の方はデザイン性やブランド力のある車に強いニーズを持ちます。

セグメンテーションは、年収や性別といったデモグラフィック基準以外にも、人口密度や気候などのジオグラフィック基準、価値観や趣味嗜好といったサイコグラフィック基準などにより行います。

ターゲティングは、セグメンテーションにより細分化したいくつもの市場の中から、自社に適した市場を選ぶプロセスです。

したがって、セグメンテーション自体が根本的に的外れだと、ターゲティングのプロセス自体が無駄になってしまいます。

ポジショニングはターゲット市場内での競争優位性を考えるプロセス

ポジショニングとは、ターゲティングで選択した市場内で、競合他社に勝つためのポジションを考えるプロセスです。

細分化した市場の中には、何社か競合となる企業がほぼ必ず存在します、

たとえば自動車市場の中で、高年収の顧客市場をターゲットにした場合、ロールス・ロイスやベントレーなど、競合企業がいくつか存在することになります。

ポジショニングでは、こうした競合企業が顧客に提供する価値や立ち位置を踏まえて、自社の立ち位置を決めていきます。

基本的には同じことをしても勝てないので、競合他社とは異なる自社独自の立ち位置を見いだします。

以上がターゲティングと「セグメンテーション」・「ポジショニング」それぞれの関係性となります。

より深く3つのプロセスについて知りたい方は、以下リンク先の記事を参考にしてみてください!

www.bizkurage.com

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ターゲティング設定の3つの基本戦略

経営学者のコトラーは、ターゲティング設定の戦略として、「無差別型」、「差別型」、「集中型」の3つを挙げました。

ターゲティングを行う際には、まず3つの戦略の中から自社に最適なものを選択します。

無差別型

無差別型とは、細分化された各市場の違いを考慮せず、全ての市場に同じ商品・サービスを投入する戦略です。

つまり違いではなく、各市場に共通するニーズに着目したターゲティング戦略です。

同じ商品・サービスを投入するため、マーケティングや製品の開発・製造コストを削減できます。

しかし近年は、消費者のニーズが多様化しているため、共通するニーズを見出すのが難しいです。

そのため、無差別型のターゲティングで十分な利益を得るのは困難であると考えられます。 

差別型

差別型とは、細分化された市場一つ一つに対して、それぞれのニーズを満たす商品やサービスを販売する方法です。

市場全体のニーズを満たすため、得られる収益はとても大きいものとなります。

ですが、市場によって異なるニーズ全てに対応するため、莫大な費用がかかります。 

集中型

集中型とは、細分化された市場の中から、自社に最適な一つの市場を選んで、そこに経営資源を集中的に投下するターゲティング戦略です。

仮に環境変化などによりその市場が衰退した場合、一気に得られる収益が減少します。

ですが、少ないコストで効率的に利益を得られるため、経営資源の少ない中小企業やベンチャーには最適なターゲティング戦略であると言えます。

ターテゲィングの実施に役立つフレームワーク「6R」

ターゲティングの重要性や基本的な戦略は分かっても、具体的にどのように設定すれば良いか分からない方は多いと思います。

そこでターゲティングを行う際に役立つ「6R」というフレームワークをご紹介します。

下記で挙げる6つのRの視点から検討することで、結果につながるターゲティングを設定しやすくなります。

有効な市場規模(Realistic Scale)

一つ目に検討すべきは、市場規模の大きさです。

ターゲット市場は、目標とする収益(利益)を獲得できるだけの十分な規模を持つ必要があります。

市場規模が小さいと、たとえ顧客に商品やサービスが売れても、利益が手元に残りません。

市場の成長性(Rate of Growth)

ターゲティングで考慮すべき2つ目の項目は、市場の成長性です。

ターゲット市場を選定する際には、現時点での市場規模のみならず、今後の成長性についても考慮する必要があります。

たとえ現時点で市場規模が十分大きくても、今後市場が衰退してしまうと利益を得られなくなります。

今後伸びるであろう市場を選定することが、ターゲティングでは重要になります。 

競合状況(Rival)

ターゲティングで考慮すべき3つ目のポイントは、競合企業の数や規模です。

すでに強力なリーダー企業が存在したり、競合企業の数が多い場合、その市場で十分な利益を得るのは難しいです。

ターゲティングでは、なるべく強力な競合が存在せず、かつ競合企業が少ない市場を選定することが重要となります。

波及効果(Ripple Effect)

近年の傾向を踏まえると、顧客の持つ波及効果の大きさもターゲティングにおいて重要な要素となります。

波及効果を簡単に言うと、顧客が口コミやSNSなどで商品やサービスを宣伝してくれる度合いを意味します。

広告やSEO対策のみで顧客を獲得する場合、時間がかかる上に費用もある程度かかります。

一方でSNSや口コミで商品の良さを積極的に広めてくれる顧客が多ければ、より素早くコストをかけずに顧客を増やすことができます。

とくに近年は、ネット広告や企業による積極的なマーケティングを信用しない顧客が増えています。

そのため、インフルエンサーとなってくれる顧客の存在は無視できないものとなっています。

ターゲティングを成功させるには、なるべく波及効果をもたらしてくれる消費者が多い市場を選定することも意識しましょう。

測定可能性(Response)

測定可能性とは、ネット広告やSEO対策などのマーケティング施策の効果を把握できる度合いを意味します。

ターゲティングでは、マーケティング施策の効果を把握しやすい市場を選定する必要があります。

と言うのも、施策の効果を把握できない市場を選定してしまうと、上手くいかなかった時に改善のしようがないからです。

最初からマーケティングの施策が上手くいくことは滅多に存在せず、試行錯誤してようやく結果が出てくるケースが圧倒的に多いです。

そのため、PV数や申し込み数といった指標を目で見て把握できるような市場を選定することは不可欠なのです。

到達可能性(Reach)

ターゲティングで意識すべき最後の要素は、到達可能性です。

到達可能性とは、ターゲット顧客にアプローチできる度合いです。

ここでいうアプローチとは、顧客のデータを集めることや、マーケティング施策(広告やホームページでの宣伝)を顧客に伝える行為などを意味します。

こうしたアプローチをできない場合、どれほど魅力的な市場であっても、満足に商品やサービスを売ることができません。

たとえば「地方に住むお年寄り」はたくさん存在する上に今後も増えるため、市場の大きさや成長性の面では問題ありません。

しかしインターネットを行わない上に都心からは遠いため、商品を販売したりデータを収集することは困難です。

顧客と双方向的にコミュニケーションを取れる市場を選ぶことは、ターゲティングで最低限重視すべきポイントです。

※参考

mba.globis.ac.jp

ターゲティングを成功させる上で必要なもう一つの要素

「6R」のフレームワークを活用すれば、利益をもたらす市場を効率的に設定しやすくなります。

ですがターゲティングを成功させるには、6Rの要素以外に加えて、「自社の強みを活かせるかどうか?」という視点も重要となります。

どれほど市場の規模が大きくて成長性が高くても、自社の強みを活かせない場合、競合企業に勝てなかったり、後発企業に抜かされるリスクが大きいです。

長期的に競争優位性を確立し続けるには、自社の強みを最大限発揮できる市場を選択するのが一番です。

たとえば絶対的にAI開発の技術力に強みを持っていれば、今後のAI市場で先発企業・後発企業よりも優れた商品を開発でき、長期的に利益を得られる可能性が高いでしょう。

自社の経営資源がどの程度強みとなるか知りたい方は、下記記事で紹介している「VRIO分析」を活用してみてください!

www.bizkurage.com

ターゲティングのまとめ

今回の記事では、ターゲティングの意味や重要な戦略、設定に役立つフレームワークについてご説明しました。

マーケティング活動を成功させる上で、販売対象の顧客を決める「ターゲティング」はとても重要なプロセスです。

このプロセスに対する取り組み方次第で、その後の成否が左右されてきます。

今後新しい事業を始める際には、今回お伝えした内容を参考にして、結果につながるターゲティングを行ってくださると幸いです!